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2015年11月18日
形式上だとしても、わが国は民主国家の一員として、自他ともに認められているのだが、どうも最近では、形式的な姿まで変りつつある。どうも、内閣法制局人事を強引に官僚から奪う人事に着手したことで、霞が関も、面と向かって争うのは、得策ではないと、戦略を変えたようだ。しかし、その代り、安倍官邸や日本会議の人々が興味を示さない裁量行政領域や、経済領域、司法領域においては、かなりの好き勝手が出来ているらしい。
安倍官邸の興味は、アメリカへの徹底追随だけだ。特定秘密保護法も安保法制も、すべて、アメリカネオコン系人物らによるレポートそっくりに、為政のかじ取りをしている。ただ、日本会議系の連中を黙らせるフェイントが必要なわけで、靖国参拝を強行したり、明治維新遺産を世界遺産にしてみたり、サミットを伊勢志摩に決定するなど、単純な右翼願望を具現化して見せるので、迷いつつも、安倍の右翼思想を信じている。
今回のパリ同時多発テロ事件に関しても、安倍首相は、トルコで開催のG20に出席、「如何なる理由があろうとテロは許されない。価値観を共有する国々と緊密に連携していく。日本に出来ることは、何でもする!」と「アジア一の反イスラム宣言」と取られかねない発言を平気でしてしまう。フランス・オランド大統領の激昂度は、911のブッシュよりも、興奮気味である。世界的な流れとしては、スケールは異なるが、911のブッシュとパリ同時多発テロのオランドとは、同じような雰囲気が漂っている。
17日日中、移動中の車の中でニュース番組はないかなと、チャンネルすると『ミヤネ屋』が飛び出し込んできた。これしか報道番組がないので、聞き流していたが、意味不明な人気に支えられている宮根誠司の非常にお下劣なお顔が映し出されていた。出席のコメンテータ全員は覚えていないが、例の防衛知らない拓殖特任教授の森本敏氏が座っていたので、アリャリャだったが、講義している講師らしき人物。あぁこの人は、同志社大のムスリム専門家内藤教授。もう一人、知らないのも出ていたが、顔も名前も知らない。まあ、殆ど知ったかぶりのつまみ食い情報を垂れ流しているだけだったが、全員で一致したのが、シリア空爆にロシアが参加したことで、話が混乱した。
まあ、言いたいことは、ロシア軍の空爆がイスラム国を必要以上に刺激して、今回のテロに至ったと云う風を吹かせていた。つまり、米国を中心とする有志連合(安倍晋三は参加しているW)と反アサド勢力、イスラム国勢力は、阿吽の呼吸で、アサド大統領を上手いこと失権させることに、半ば成功していたのに、ロシアが、アサドの味方をしたために、マッチポンプ裏外交の呼吸が壊れてしまった、そのような趣旨になる。つまり、反アサド勢力も、イスラム国勢力も、アサドを追い出す点で、米国を中心とする有志連合と目的の調整がついていたのに、何てことしてくれた、と言っている。有志連合空爆が、イスラム国中枢に当たらんわけだよ。外して撃つんだから(笑)。筆者の目から見る限り、911以降の米国のヒステリーがアフガンであり、イラクだ。そして、価値観を独善的に強制する北アフリカの混乱、シリア、ウクライナの混乱に至る。元凶はアメリカンの価値観押しつけが元凶だよ。
こんな中、自分の勇ましい発言に酔いしれている安倍首相は、勇気凛々、正々堂々の人格者かと思いきや、憲法規定を無視して、53条規定も「何日以内と書いていないから、来年早々で良いだろうと、またまた、屁理屈解釈を法制局連中にヤラセタようだ。こう云うことの連続だと、憲法の条文なんて、捻じ曲げたら、何でも出来てしまいそうだ。筆者は見ていないが、News23の岸井氏をターゲットに放送法違反発言だと、読売、産経に全面意見広告を出した団体があるらしい。岸井成格氏がここ数年、吹っ切れたように、反安倍官邸発言に徹していたのは知っているが、それは本来のコメンテータの姿であり、古館の三倍正論を語っていると思っていたので、遂に官邸は、裏から攻めだしたと云うことか。
≪私達は、違法な報道を見逃しません≫
(放送法遵守を求める 視聴者の会) 賛同者:すぎやまこういち氏、渡部昇一氏、鍵山秀三郎氏、渡辺利夫氏、ケント・ギルバート氏、上念司氏、小川榮太郎氏とあっと驚く面々が賛同している。桜井某女史と曽野●子女史の賛同はなかったようだ。また、更に驚くのは、磯崎首相補佐官は「極めて冷静で妥当な意見」だと論評してる。官房機密費でもなければ、全国紙に全面広告はないと考えるのがゲスの勘繰りとは言えない。それとも、読売産経は投げ売りディスカウントしたのかな?まあ、こんな怪しげな団体に構っている時間はない。次の話題は沖縄だ。
上述のNEWS23岸井成格氏への「ヘイトスピーチ系」の放送法の悪用は、使えそうな法律は目一杯に拡大解釈して、NHK対して、総務省が報道に介入した官邸の流れと同じだ。そんな矢先、沖縄においては、翁長沖縄県知事による辺野古埋め立て承認取り消しに対し、政府機関が行政不服審査法を悪用している。あきらかな憲法違反であろうが、法律の法理に関係なく、わい曲解釈、拡張解釈、挙句が、立法府で、立憲主義までも無視してしまう法律を作ってしまうのだから、手に負えない。この内閣に、本当に45%前後の支持率があるのだとすると、昨日のコラムではないが、日本人に民主主義は馴染まないと云う大疑問が生まれてしまう。
行政不服審査法と云う、想定してない公人(防衛省防衛局)が公人(沖縄県)を、同じ穴のムジナ国交省に訴える茶番で驚いてはいけない。今度は、翁長雄志知事による名護市辺野古沿岸部の埋め立て承認取り消し処分を撤回する代執行に向けた訴訟を、福岡高裁那覇支部に起こした。ここで驚いてはいけない。詳細は不明だが、こともあろうに、高裁那覇支部の裁判長が急遽、人事の季節でないにも関わらず、裁判長を変えてしまった。沖縄タイムスは「絶妙?」と云う言葉でぼかしたが、どう考えても、行政の一部と重複する司法にも悪魔の腕を突っ込んだようだ。
≪辺野古埋め立て取り消し 国が沖縄知事を提訴 対立、異例の法廷闘争に
政府は十七日、米軍普天間(ふてんま)飛行場(沖縄県宜野湾(ぎのわん)市)の移設計画をめぐり、翁長雄志(おながたけし)知事による名護市辺野古 (へのこ)沿岸部の埋め立て承認取り消し処分を撤回する代執行に向けた訴訟を、福岡高裁那覇支部に起こした。十二月二日に第一回口頭弁論が開かれる。勝訴すれば、知事に代わって処分を撤回し、埋め立てを進める構えだ。政府と県の対立は、異例の法廷闘争に発展した。
政府側は訴状で「航空機事故や騒音被害といった普天間飛行場周辺住民の生命・身体に対する重大な危険は現実化している」と指摘。移設できなければ「米国との信頼関係に亀裂を生じさせ、わが国の外交、防衛上の不利益は極めて重大」とした。
菅義偉(すがよしひで)官房長官は十七日午前の記者会見で「やむを得ない措置だ」と指摘し、工事を続行する考えを示した。翁長氏に対しては「何ら瑕疵(か し)のない(前知事による)埋め立て承認を取り消した。普天間の危険性をどうするか知事の極めて重要な問題のはず」と批判した。
石井啓一国土交通相は記者会見で「普天間飛行場の危険な状況を放置し、米国との辺野古移設という約束を守れないことになることが公益を害する」と述べた。
これに対して、翁長氏は記者団に「ひと言では言い表せない。後でしっかり説明する」と述べた。夕方以降に記者会見する予定。安慶田(あげだ)光男副知事は「国との法廷闘争だ。県民の意思を法廷でも十分に訴えていく」と記者団に述べた。
埋め立て承認は公有水面埋立法に基づき、国が事務を都道府県知事に委託している地方自治法上の「法定受託事務」。地方自治法の規定では、十五日以内に口頭弁論の期日が設定される。翁長氏は自ら意見陳述する考えを表明している。
翁長氏は十月十三日、仲井真弘多(なかいまひろかず)前知事による埋め立て承認には法的瑕疵があるとして取り消しを決定した。
これに対し、公有水面埋立法を所管する石井国交相は同二十七日、翁長氏の決定を一時的に停止、政府は代執行手続きを進めることを閣議了解した。政府は中断していた現場のボーリング調査を再開し、本体工事も始めた。
一方、翁長氏は、石井氏の決定は不当だと主張し、総務省の第三者機関「国地方係争処理委員会」に審査を申し出ている。県側は主張が認められなければ、福岡高裁那覇支部に提訴する方針。
政府は一九九五年にも、米軍用地強制使用の代理署名を拒んだ大田昌秀知事(当時)を相手に、代執行に向けた裁判を起こし、勝訴した。国と地方を対等と位置付けた二〇〇〇年の地方分権一括法施行後、政府が知事を提訴するのは初めて。 ≫(東京新聞)
≪ 絶妙? 「辺野古」代執行前の人事に憶測飛ぶ 高裁那覇支部の裁判長
名護市辺野古の埋め立て承認取り消しをめぐり、代執行訴訟に向けて国が動き始める中、提訴先とみられている福岡高裁那覇支部の支部長が10月30日付で代わる人事があった。全国的に注目される訴訟を前に、沖縄県側は「国が介入した対抗策の一環か」と警戒している。
就任した多見谷寿郎氏は名古屋地裁や千葉地裁勤務を経て、2013年に成田空港用地内の耕作者に、土地の明け渡しと建物撤去などを命じた成田空港訴訟で裁判長を務めた。最高裁は、他県の裁判所で依願退官者が出たことに対応する人事で、「退職者が出た場合は必要に応じて適時発令する」と説明。この時期の人事発令が異例でないことを示唆した。
県の幹部は「玉突き人事とはいえ、タイミングが“絶妙”すぎて意図的なものを感じる」と顔をしかめる。「国寄りの強権派から選抜したのではないか」との臆測も飛び交う。 ≫(沖縄タイムス)
まだまだ、法治国の髄の髄「法理」(その法律の基本的目的を守る)話は、ごまんとあるが、政令と云うものも、いい加減なことをのべつ幕なしでやっている。財務省の麻生太郎大臣が、「現在の統計では消費の実態を示せていない」とGDP統計の数値基準を見直せと言い出した。早い話が、思ったようにGDPが伸びないのは、多分、家計調査(総務省)、毎月勤労統計(厚労省)、消費者物価指数(総務省)、建築着工統計調査(国交省)などの統計の取り方が拙いからだ。なにせ、見直しを麻生大臣が指示したわけだから、今後は、統計の前年度同月比較などが出来なくなる。まあ、細かく調整を入れていけば、ある程度算出可能だが、一見比較出来ないものにするようだ。八百長だろうが!
気がついてみれば、民主的法治国家だと思っていた日本の法律のすべてが、立法府に強権を握らせてしまうと、法律の趣旨に関係なく、自己都合な拡大解釈や、わい曲な解釈や、不当な人事、或いは人事的圧力を通じて、行政側を意のままに扱えることになる。まさにナチスによるワイマール憲法等々、ドイツの法律を根こそぎ変えた経緯に近似している。筆者が考えていた以上に、日本の民主主義も法治主義も、まったくもって脆かった。ここまで、三権に支配力を振るう政権が独裁政権と言わずに何というのだろう?現状に合わせて政治が行われるのであれば、その時々の政権を握る者は、誰でも全員独裁者になる資格がある。こんなデモクラシーはないだろう?いや、現に安倍政権があるのだから、それは正しい(笑)。
PS:翁長知事の決意(毎日新聞)
菅スダレ官房長官が屁臭い顔で、≪菅義偉官房長官は17日の会見で、普天間飛行場の危険性除去に関し「翁長知事から全く解決策を聞いたことがない」と批判≫しているそうだが、その前にだな、普天間の移設先が同じ沖縄の中で、辺野古いう風光明媚な地である必要を、政府が明確に説明していないじゃないか!長崎でも何ら問題はない。おそらく岩国でも問題ない。どうして、同じ沖縄の地が移設先でなければならないか、沖縄県民の民意がひっくり返るだけの説得力あるものを提示せよ!それが菅の責務だよ。銭をバラマキャいいものではない。
≪<辺野古・司法対決>翁長知事、自ら出廷、沖縄の苦難訴えへ
◇知事周辺「法廷闘争は移設阻止に向けた通過点」
米軍普天間飛行場(沖縄県宜野湾市)の名護市辺野古への移設計画を巡る国と沖縄県の対立は、代執行に向けた17日の政府の提訴で、司法に場を移して争われることになった。沖縄県の翁長雄志(おなが・たけし)知事は17日記者会見し、「提訴は県民にとって(米国統治下の)『銃剣とブルドーザー』による強制接収を思い起こさせる」と強い不快感を表明。「(基地負担を巡って)沖縄の置かれてきた歴史はいくら何でもひどい」と述べ、自ら出廷し、沖縄の苦難の歴史や思いを訴えることに意欲を示した。
訴訟で県は翁長氏の埋め立て承認取り消しの適法性を訴える。「埋め立てが必要との論理に飛躍があり、具体的に審査されていない」「環境保全措置が適正とは言えない」などの理由から、前知事の承認は公有水面埋立法の要件を満たしておらず、法的な瑕疵があったと主張する方針。主張を補強するため、法律や環境などの学識者らを証人申請する構えだ。20年前の「代理署名訴訟」では県側の証人申請が却下されており、今回も短期間で結審するのではとの懸念もある。それでも知事周辺は「法廷闘争は移設阻止に向けた通過点。どんな判決でも知事はひるまない」と語る。県幹部も「この闘いは政府との我慢比べだ」と決意を示した。
一方、菅義偉官房長官は17日の会見で、普天間飛行場の危険性除去に関し「翁長知事から全く解決策を聞いたことがない」と批判。「沖縄11市の9市長は条件付きで翁長知事に反対し、辺野古の地元の人たちは条件付きで移設に賛同いただいている」と指摘した。強気の理由は勝訴に「100%」(政府高官)の自信があるからだ。判決を得て来夏の参院選に臨み、移設の正当性を県民世論に訴える構えだ。また、政府は未就学児の加入率が高い市町村国民健康保険への支援策を17日に発表。全国で約30億円のうち約8億円が沖縄向けという配慮を示した。振興策を重ねて地元世論にくさびを打ち込む狙いだ。 ≫(毎日新聞:佐藤敬一、高本耕太)
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