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首相官邸ホームページより
安倍首相が「週刊現代」に異例の強硬抗議! 朴大統領の前で「ろれつ回らず」と書かれヒステリー? それとも
http://lite-ra.com/2015/11/post-1686.html
2015.11.16. リテラ
安倍首相がまたまたメディアに圧力をかけた。今度は、テレビや新聞ではなく11月9日発売の「週刊現代」(講談社)11月21日号に対して、だ。
同誌は11月2日にソウルで行われた朴槿恵大統領との初の日韓首脳会談について「安倍晋三首相「朴槿恵の前で大失態」一部始終」と題した特集を掲載。少人数で行われた朴大統領との会談中、健康状態のせいか安倍首相のろれつが回らず、醜態をさらしたと報じていた。
それは、まさに朴大統領が従軍慰安婦問題について滔々と持論を述べた後だったという。「週刊現代」はこう書いている。
〈続いて朴槿恵大統領の真向かいに座る安倍首相が発言する番になった。
『ええ、わが国といたしましても……』
安倍首相は、必死に語りかけようとするが、ろれつが回らなかった。
韓国の外交関係者が明かす。
「朴大統領と安倍首相の慰安婦問題を巡る応酬の中で、『異変』が起こったのです。韓国側の参加者の話によれば、安倍首相の顔はみるみるドス黒くなっていき、とても健常者には見えなかったそうです」〉
この事態に、同席していた岸田文雄外相などが必死に取り繕ったのだが、その様子はまるで6年前の故・中川昭一財務相(当時)の酩酊会見と似たような状況だったと「週刊現代」は報じている。そして、同誌は韓国の外交関係者のこんな証言を紹介する。
「結局、慰安婦問題を話し合う少人数会談は、予定の30分を大きく超えて1時間になりました。それは日韓双方で慰安婦問題に関して、突っ込んだ話をしたからだという発表になっています。
しかし一番の理由は、突然、朦朧とした表情になり、言葉も不自由になった安倍首相の体調異変だったとも言えるのです」
ようするに、日韓会談でかねてより噂されていた健康不安が顔をのぞかせたという報道だが、しかし、この記事が載った「週刊現代」が発売されたその日、安倍首相はいきなり講談社に記事撤回と謝罪を求める抗議文を送りつけてきたのだ。しかも、宛名には編集部だけではなく同社社長の野間省伸氏の名前も入っており、名誉毀損での法的措置までちらつかせるものだったという。
安倍首相は少し前、同様に体調不良を報じた「週刊文春」(文藝春秋)8月27日号に対しても、法的措置の可能性を記した抗議文を送っている。これについては、もともと「文春」編集長が首相と親しい関係だったことから、出来レース説や裏切りへの怒り説もささやかれたが、実際は「文春」という影響力の強いメディアに吐血というショッキングな事実を報じられたため、火消しに躍起になったという見方が有力だ。
しかし、今回、抗議したのはこれまでまともに相手にしたことのない「週刊現代」である。事実、「現代」は11月7日号で持病の潰瘍性大腸炎の薬で顔がドス黒くなっているという記事を、8月29日号でも健康不安情報を掲載しているが、このときは一切抗議を受けていない。
また、「現代」だけでなく、「週刊ポスト」(小学館)も8月21・28日合併号で首相の嘔吐事件を報道しているが、やはり安倍首相から抗議文は届いていないという。
それがいったいなぜ今回は強硬な抗議を行ったのか? 安倍首相を深く知るベテラン政治部記者は、今回の「現代」の記事が安倍首相の逆鱗に触れたのは、健康不安ではなく、「朴大統領との会談でろれつが回らなくなった」というところがポイントなのではないか、と推測する。
「官邸周辺では、安倍首相が『あれだと、俺が朴大統領に言い負かされたみたいじゃないか』と怒ったなんていう話も流れてました。たしかに、安倍さんは本気で韓国と朴大統領が嫌いだからね。プライドが許さなかったんでしょう」
この推測が事実なら、安倍首相がネトウヨ丸出しのヒステリーを起こしていたという話だが、しかし、事態はもっと深刻かもしれない。一方で、今回の抗議の背後には、官邸の週刊誌報道に対する方針転換があるとの見方があるからだ。
これまで、新聞やテレビ局に対して露骨な圧力をかけ、批判記事を封じこんできた安倍首相だが、唯一、週刊誌だけは黙らせることができなかった。そこで、より強い態度で臨む方針を打ち出したのではないかと言われているのだ。
「きっかけになったのは、『週刊ポスト』の高市早苗総務相のスキャンダルのようです。あのときは、菅義偉官房長官の方針で小学館を相手に訴訟を起こさせたのですが、結果、『ポスト』は編集長を更迭。反安倍政権的な編集方針をトーンダウンさせてしまった。おそらく、それで官邸は味をしめたのでしょう。雑誌の格や影響力に関係なく、批判記事には片っ端から内容証明を送りつけ、場合によっては訴訟も辞さない方針だと聞いています」(政治評論家)
だが、総理大臣というのは、閣僚や国会議員とはまったくちがって、報道の自由に格別の配慮が必要とされる。実際、歴代の総理はどんなスキャンダルを書きたてられても、メディアに対して抗議や訴訟をすることはほとんどなかった(唯一の例外は、買春検挙歴を報じた「噂の真相」を訴えた安倍首相の親分・森喜朗氏くらいだろう)。
ましてや、今回の「週刊現代」の記事は首脳会談と健康状態に関する情報だ。最高権力者の外交上の言動、そして健康は時と場合によっては国家の命運を左右する可能性がある。しかも、いずれも密室の中に封印されていることであり、これらの情報にメディアが推測も含めた形でアプローチするのは、国民の知る権利を代行するジャーナリズムの責務である。
それを、一国の総理大臣が名誉毀損訴訟という法的手段をふりかざして、メディアを黙らせようとする。そのヒステリー丸出しの姿はもはや、民主主義国家のリーダーのそれではない。
(伊勢崎馨)
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