http://www.asyura2.com/15/senkyo196/msg/608.html
Tweet |
バタクラン劇場近くで負傷者を手当てする救急隊員(C)AP
パリの悪夢の真相…勇ましい連帯で世界は“出口”なき戦争へ
http://www.nikkan-gendai.com/articles/view/news/169675/1
2015年11月16日 日刊ゲンダイ
■各国がフランス支援を表明した今後の展開
週末のパリの夜を襲った同時多発テロ。死者は少なくとも132人に上り、フランス全土に非常事態宣言が発令された。オランド大統領はすぐさま「イスラム国(IS)による犯行」と断定し、「これはテロではなく戦争行為だ」と激しく非難。「フランスは、イスラム国の攻撃に対し無慈悲な戦いを決行する」「あらゆる手段を駆使して戦う」と報復を誓った。
事件を受け、各国首脳も相次いで連携を表明。15日にトルコで開幕したG20でも、テロ対策が主要議題に浮上し、団結してテロに立ち向かうことを宣言する特別声明が採択された。
フランス市民を狙った無差別殺戮によって、テロとの戦いはフェーズが変わったと言っていい。仏メディアも「これはGuerre(戦争)だ」と報じている。
卑劣なテロは決して許されるものではない。だが、「今回のテロは起こるべくして起こった」と、元外務省国際情報局長の孫崎享氏がこう言う。
「今年9月ごろ、各国の情報機関の報告でフランスでテロが起きると言われた。これにオランド大統領は空爆強化で対応したのです。それがますますIS側の攻撃決意を高めたのは間違いありません。ある日突然、テロが起きたわけではない。パリの事件は、テロを武力で封じ込めることは無理だと教えています」
G20出席のためトルコを訪問中の安倍首相も、「いかなる理由があろうとテロは許されない。断固、非難する」と表明し、「価値観を共有する国々と緊密に連携していく」と拳を振り上げた。西側の一員として、テロとの戦いで大国と連携できることがよほどうれしいのか、「日本にできることは何でもする」とまで言っていた。
「軽々しく連携などと言うべきではありません。米国務省の『国別テロリズム報告』によれば、01年に約400人だったテロの犠牲者は14年に3万2000人に激増している。西側諸国による空爆や軍事介入は、問題を解決できないどころか、事態を悪化させているだけです。日本はキリスト教国でもイスラム教国でもないのに、積極的にコミットしてキリスト教十字軍の一員とみなされれば、日本人の犠牲者を出すという代償を払うことになります。実際、それで日本人の人質が殺されたじゃないですか」(孫崎享氏=前出)
すでにISはプロパガンダ誌「ダビク」で「安倍晋三の愚かさにより、すべての日本国民が戦闘員の標的となった」と宣言。今年9月には、マレーシアやインドネシアにある日本の外交施設へのテロも呼び掛けた。
そんな中、日本では新たな安保法制が成立し、集団的自衛権の行使が解禁される。このことの意味を国民はよく考えなければならない。イスラム国という怪物が生まれた原因が、米国の対イラク政策の失敗にあることは疑いようがない。そのイラク戦争を主導したラムズフェルド元国防長官やアーミテージ元国務副長官という戦争屋に「旭日大綬章」を贈るのが今の政府だ。ホンネでは、有志連合の空爆に加わりたくてウズウズしているんじゃないか。
短絡的に「連帯」を口にしてイキがる首相を見ていると、自ら進んでイスラム国の標的になり、国民を危険にさらそうとしているようにしか見えないのだ。
■「テロに屈しない」という掛け声だけの虚しさ
G20の各国首脳(中列右は安倍首相)/(C)AP
G20は「テロに屈しない」ことで一致した。米オバマ大統領も「裁きを下す」「壊滅に向けた努力を倍増させる」と勇ましいが、じゃあ具体的に何をするのか。さらに空爆を強化するのか。それで問題が解決しないことは明らかだ。
オランド大統領が空爆への参加を決めた際、フランス国内で公然と反対の声を上げた人物がいた。かつて米国のラムズフェルド国防長官から「古臭いヨーロッパ」と嫌みを言われても、当時の仏外相として毅然とイラク戦争に反対し、国連で名演説を行ったドビルパン元首相だ。
メディアに出演して「空爆によって世界各地に散らばるテロリストをわが国に呼び込むことになる」と警告し、「軍事介入はテロを根絶するのではなく、テロの土壌をつくってしまう」と断言していたが、その予言通りのことが起こってしまった。今回のパリのテロだ。国際ジャーナリストで早大客員教授の春名幹男氏が言う。
「武力は憎悪の応酬を呼ぶ。追いつめられたIS勢力は自分たちの支配領域から出て行って各国で自爆テロを起こす。テロを封じ込めるどころか、脅威が拡散してしまう。本当に解決しようと思えば、政治や外交の努力、人間の安全保障を訴えていくしかありません」
事件直後、コラムニストの小田嶋隆氏はこうツイートしていた。
〈人々が怒りや復讐心をもとに判断を下すようになれば、テロリストにとってそれ以上の成功は無い〉
〈今回の事件が民族間の憎しみと宗教の対立を煽る結果を招き、人々に恐怖と相互不信を植え付けるのだとすれば、それはテロが成功したことを意味するのだと思う〉
パリのテロは、実行犯の一部がシリアからの難民に紛れて入ってきた可能性が高く、欧州では排他的なナショナリズムが急激に高まっている。
「こういう事件が起きれば、難民を排斥する動きが出てくるのも当然ですが、欧米による空爆で民間人の犠牲者が出ていることも事実です。その結果、大量の難民が生まれて欧州に押し寄せる。負の連鎖としか言いようがなく、フランスも出口の見えない対テロ戦争の泥沼に入り込んでしまった」(春名幹男氏=前出)
事件後、フランス国民への連帯を示すために、東京タワーやNYの1ワールドトレードセンターなど、世界各地の観光名所がフランス国旗の赤、白、青の3色にライトアップされた。フェイスブックのプロフィル写真にフランスの3色旗を重ねあわせることのできるキャンペーンに参加する人も続出。これに文句をつける者はいない。
だが、連携は時に同調圧力を生む。対立を激化させる。前述の「シャルリー・エブド」襲撃テロでは、「私はシャルリー」の標語が、表現の自由という欧米の価値観と、イスラム世界を分断した。こういう記号化、単純化は危うい。一種の思考停止状態で、暴力の報復が正当化されてしまいかねない。
投稿コメント全ログ コメント即時配信 スレ建て依頼 削除コメント確認方法
▲上へ ★阿修羅♪ > 政治・選挙・NHK196掲示板 次へ 前へ
スパムメールの中から見つけ出すためにメールのタイトルには必ず「阿修羅さんへ」と記述してください。
すべてのページの引用、転載、リンクを許可します。確認メールは不要です。引用元リンクを表示してください。