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蓮池透氏(C)日刊ゲンダイ
蓮池透氏 「安倍首相は拉致問題を政治利用しているだけ」
http://www.nikkan-gendai.com/articles/view/news/169251
2015年11月16日 日刊ゲンダイ
拉致被害者の再調査はどうやらウヤムヤになりそうだ。日朝両国は2014年5月、スウェーデン・ストックホルムで再調査について合意。北は昨年秋には報告書を出すはずだったが、先送りを通達され、揚げ句は「報告書は完成しているが、日本側が受け取りを拒否している」なんて言い出す始末だ。つまり、交渉は完全に失敗に終わったのだが、安倍政権はそれを認めようとせず、「一日も早いすべての被害者の帰国を目指し、最大限の努力をする」なんて繰り返している。これに怒ったのが元家族会副代表の蓮池透氏(60)だ。家族会が言えない本音をぶちまけた!
■「政府の見通しは甘すぎる」
――報告書について、どういう情報を聞かされていますか?
従来からそうですが、国は家族にはあまり説明しないんです。拉致については官邸、外務省、それに拉致対策本部がありますが、どこも同じスタンスです。我々はマスコミの報道を通じて知る。国はマスコミが報じてから私たちに説明をする。
――だとすると、この間の家族らの苛立ち、想像を絶します。
私はそもそもストックホルム合意は、合意と呼べるべきものではなかったと思っています。あまりにも対象が広すぎるんです。拉致被害者、特定失踪者、日本人妻、遺骨問題、残留日本人の行方不明者。これらを総括的、包括的に解決するのは難しいし、合意書を見ると、拉致問題優先なんてどこにも書いていないんです。
――安倍首相は拉致問題を最優先と言っていますが口だけですか?
拉致優先と言うなら、拉致に限って合意し、短期間で決着すればいい。それが終わったらこの問題、あの問題と段階的にやっていけばいい。
――そうしないから、案の定、拉致については何の進展もなく、他の課題から出してきて、日本側は「それじゃダメだ」とかやっている。
発想が甘いんです。制裁を段階的に解除すれば、何人か帰ってくるだろうと思っている。前アジア大洋州局長の伊原純一さんが弟(薫さん)に「制裁を解除していけば帰ってきますよね」って聞いてきたんです。弟は「甘い甘い」と答えたら、「えっ」という顔をしたらしい。驚きましたよ。神格化されている金正日総書記が「8人死んだ」と明言したことを正恩第1書記がひっくり返すには、相当な利益、見返りがなければやりませんよ。国はそこを読み違えているんです。
――果たして、この政権は本気で拉致問題を解決する気があるのか。
「拉致の安倍」を売り物にして、官房副長官から総理へと駆け上がったのに、拉致を政治利用しているだけじゃないか。そんな疑問すら浮かびます。
――100%政治利用じゃないですか。
拉致問題で動いたのは小泉元首相だけです。後の人は国内向けにパフォーマンスをしているだけです。安倍首相は「全員を取り返す」「みなさんの胸に家族を抱かせる」など非常に情緒的なことを言うんです。家族は希望を持ちたくなる言葉なんですが、家族と同じレベルの感情論だけでは政治や外交は動かせない。理性的な言動が求められていると思います。
蓮池薫さん(右から2番目)は透さんの実弟(C)日刊ゲンダイ
――安倍さんは弟さんが一時帰国という名目で帰ってこられた際、北朝鮮に返そうとするのを体を張って止めたと言われています。朝日新聞のインタビューで今年9月、福田元総理が当時を振り返って、「安倍、古川両官房副長官が『5人を戻さない』との方針を掲げた文書を持ってきた。5人の意向を確認するように指示すると翌日、『確認を取った、帰らなくてもよいということでした』と報告してきた」と語っていますね?
安倍さんの手柄というのは全然違います。実際に引き留めたのは、私ですよ。親だって、2週間の滞在期間まであと何日ってカレンダー見てた。訪ねてくる友人も腫れものに触るようで「戻るな」とは言わなかった。みんなが2週間で戻るのは決まったことだと思っていました。そんな中、帰国しないことを持ちかけたのが私で、最終的に弟が決断した。弟はもちろん、帰るつもりだったと思います、北朝鮮に子供を残しているんですから。日本での絆は捨てよう、北朝鮮での絆で生きていこう。そう思っていたはずです。でも、24年ぶりに帰国して、一度は諦めかけた親や兄との絆がまたよみがえった。それを思い出した。しかし、子供との絆はどうするのか。日本に残って親を取るのか、北へ戻って子を取るのか、究極の決断を迫られたわけです。弟は、どっちを選ぶなんてできない、「両方取りたい」と言っていた。
――政治家の一言で決まるような話じゃない。
それでも日本に残ることにしたのは、北に戻ったら恐らく二度と日本の地は踏めないだろう、しかし、日本に残れば、北が子供を送り返してくれる可能性はゼロではない。そう考えたからです。だって、北は、次は親兄弟が平壌に来なさいって言っていた。戻ったら、返さないつもりであるのは明白でした。それで日本に残ることにしたんです。「我々は戻りません」という思いを中山恭子内閣官房参与(当時)に伝えた。それを受けて、中山さんや安倍さんが福田さんや田中均アジア大洋州局長(同)と侃々諤々やった。最終的に戻らないことになったのです。
■「時間稼ぎしていたら終わってしまうんです」
――だとすると、ますます、安倍首相は本気で拉致問題の解決に取り組む気があるのかと疑わしく思えてくる。拉致担当相はクルクル代わるし。
加藤拉致担当大臣は3つの大臣の兼務です。片手間でやってもらっても困ります。そもそも拉致担当大臣は9年間で15人ですよ。
――目先を変えて、時間稼ぎをしているような印象も受けます。
時間稼ぎをしていたら、終わってしまうんです。対象は人間ですから。北方領土問題とは違うんですよ。その辺を考えてもらわないと。ずるずる引き延ばして、関係者が全員亡くなればもうこの問題はなかったことになると考えているんじゃないか、とうがった見方さえしてしまいます。
――だとすると、どういう解決方法がふさわしいと思われますか?
そこです。どういう状況になれば解決だというのか。安倍首相が考えている解決の定義とは何か。それを示してほしいんです。拉致認定者は17人いて、5人帰ってきたから残り12人。12人をまとめて返せと言うのが安倍首相の考える「解決」なのか。だとすると、難しいでしょう。私はまずは安否解明だと思う。向こうは死んだと言い、こちらは生きているから返せと言う。水掛け論でズルズルきた。私は「正直に話せ」「安否を示す確実な証拠を出せ」と迫ることだと思います。そのためには見返りがいる。彼らだって、何も得るものがなければ、13年前の結論を覆して、本当のことは言わないでしょう。証拠を示せば、人道支援に応じる。過去の清算もする。そういうことをテコに動かしていく。政治決断が必要だと思います。
――そういう交渉の結果、よくない情報が出てきたらどうしますか?
情報の信憑性が大事ですが、家族は受け入れないでしょうね。私だって考えたくない。ただし、日本政府はそういうケースも念頭に置いておかなければいけないと思います。冷徹に考えれば、13年というのは長い年月だからです。13年も経てば、亡くなる人も出てくるかもしれない。そういう事実が厳然としてある。そうでなくても、彼らには北朝鮮に家族がいて、子供がいて、孫がいるのでしょう。被害者だけを引き抜いて日本に返すなんてできるのか。衣食住の保障がない日本に来て、暮らしていけると考えるだろうか。拉致被害者支援法はありますが、あくまで自立が基本で生活保護程度の支援金、17万円を出すだけです。弟はかろうじて40代で戻ってきたから何とかやってこられたけど、めぐみさんは51歳で他の方は60歳前後です。17万円で自立できますか?余生は全部、国が面倒を見る。国はそういう覚悟を示してほしい。そのうえで対策を練って、交渉をしてほしい。そうでなければ、拉致問題は解決しないと思います。
▽はすいけ・とおる 60歳、元拉致被害者家族連絡会副代表。拉致され、その後、帰国した蓮池薫氏の実兄。
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