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防衛省内にあるメモリアルゾーンでの自衛隊殉職隊員追悼式 (c)朝日新聞社
「命の値段」もコストカット? 自衛官の遺族補償は今後どうなるのか〈週刊朝日〉
http://zasshi.news.yahoo.co.jp/article?a=20151113-00000002-sasahi-soci
週刊朝日 2015年11月20日号より抜粋
安保国会の喧騒も終わり、世の中は何事もなかったかのような日常を取り戻す。だが、これから待ち構えているのは、“リアルな戦場”。日本国民が新たな「戦死者」と向き合わざるを得なくなる。考えなければならないのは、遺族への補償の問題だ。
まず、自衛官も公務員なので、公務中の死亡に対して共済年金の遺族年金が支払われる。勤続年数や死亡時の階級に応じた退職金も支払われる。
これとは別に、公務での死亡や重度障害が残った場合、国から「賞恤(しょうじゅつ)金」という弔慰・見舞金が支払われる。防衛省人事教育局によると、2009年度以降、計4件が支払われているという。現行では6千万円が最高限度額だが、イラク派遣時には、任務の危険さなどを考慮して例外的に9千万円まで限度額が引き上げられた。
一見、手厚い補償と見えなくもないが、すでに自衛官の間から不安の声が出ている。山形県で自衛官専門のファイナンシャルプランナーとして相談に応じる元自衛官の佐々木拓也氏には、安保法案審議が注目された今夏以降、海外派遣に関する相談が多く寄せられているという。佐々木氏がこう語る。
「示されている賞恤金の額はあくまで上限で、全員にその額が支給されるわけではない。どのようなケースでどれくらいの額が支払われるのか事前にわからないと、残された家族の生活など人生設計が難しいという声があります。可能な限り基準を明確化していくことが、自衛官の安心につながるのではないでしょうか」
防衛省人事教育局によれば、賞恤金の金額は、任務の危険度や障害の程度などにより、あくまで個々のケースごとに判断するという。
もう一つのポイントは、自衛官のほとんどが加入している「防衛省職員団体生命保険」だ。佐々木氏が続ける。
「普通に支払われると思っている自衛官の方が多いですが、パンフレットをよく読むと『戦争その他の変乱によるとき』は原則として保険金が支払われないという契約になっている。これは一般の生命保険でも同じで、紛争で多くの死者が出たら保険会社が破綻(はたん)してしまうからです。実際は紛争の規模や亡くなった人数によって減額されて支払われるなど、保険会社の判断も変わってくる。他国軍やNGO職員が武装集団に襲われた場合などに、武装した自衛隊が救援に向かう『駆けつけ警護』で亡くなったらどうなるかなど、事前にはハッキリわからないのです」
見通しが立たない点が多いのが遺族補償の問題点ということだが、「今後、賞恤金は減額されるのでは」と、ショッキングな予測をするのは元陸上自衛隊レンジャー隊員の井筒高雄氏である。
「1人約1億円を国が支払うとすると、仮に100人戦死者が出たら100億円になる。今後、海外派遣のコストも加わって防衛予算が逼迫(ひっぱく)する中、戦力充実にもつながらない補償に、そこまで支出できなくなるのではないか」(井筒氏)
実際、アフガン戦争とイラク戦争で計6千人を超える死者を出しているアメリカでは、戦死者の弔慰金は1200万円程度。自衛隊員の命の値段が今後、「コストカット」の対象にならない保証はない。
こうした「命の値段」を考えていくと、どのような自衛官が戦場に送られるのかも類推できるのだという。
「勤続年数が長く階級も上のベテランや幹部のほうが、死亡時の退職金が高くなる。特に公務中の死亡では『1階級特進』もあるので、退職金はさらにはね上がります。海外に地上部隊として派遣されるのは、勤続年数も短く階級も低い20代の若い隊員が中心になるでしょう。特に自衛隊は最近、人件費削減のために一般企業の『非正規雇用』にあたる『任期制自衛官』を増やしている。こうした人々がいわば『消耗品』として海外に送られるのです」(同)
一つのターニングポイントになりそうなのは来年だ。ある防衛省関係者は、こんな見方を示した。
「当初、来年5月からと言われた『駆けつけ警護』の開始が11月からに延期されたのは、7月の参院選前に『戦死』者が出る事態を避けたかったからではないか。選挙さえ乗り切れば、いよいよ自衛隊が戦う条件が整う。イラク戦争のとき、政府はかなり抑制的で『無理をするな』という方針でしたが、安倍政権には『安保法制で解禁された武力を実際に使ってみたい』というムードが漂っている。現場はそうした空気に影響されるものです」
大義のない戦いで、立場の弱い若い隊員たちが命を落としていく。そんな未来を、われわれは選択するのだろうか。
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