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官民対話は首相の公開八つ当たりの場 日本経済一歩先の真相/高橋乗宣
http://www.nikkan-gendai.com/articles/view/news/169269
2015年11月13日 日刊ゲンダイ
剣の達人は、やたらと刀を抜かないものだが、一国の首相が持つ“権力の刃”は、今は常にムキ出しだ。閣僚や経済3団体トップらが出席した「官民対話」の2回目の会合でのこと。安倍首相から財界への注文は、3年連続となる春闘での賃上げ要請にとどまらなかった。
下請け企業が製品を納入する際、原材料コスト上昇分の価格転嫁を認め、値下げ要求も控えるように伝えた。揚げ句に賃上げの具体策や投資拡大の見通しについて、「次回、産業界としての方針を示して欲しい」と月内にも開く次の会合までに回答を迫ったのだ。これでは「対話」というより「強要」で、ロコツな強権発動である。
賃上げも設備投資も企業の経営判断の重要事項だ。そこに時の政権が余計なクチバシを入れるべきではない。下請け企業との取引交渉だって同じ。経済活動の担い手の自主性を重じるのが市場経済であり、自由主義経済の原則である。経済学のイロハのイを無視する首相の強権発動を容認すれば、自由競争の大原則が崩れ去る。ひいては日本経済全体のバランスをおびやかすことになりかねない。
安倍首相のなりふり構わぬ強権的介入には、自分の思い通りに動かない財界へのイラ立ちが透けて見える。特に円安で儲けた輸出大手が今なお内部留保を貯め込み、賃上げや設備投資に慎重姿勢を崩さないのは歯がゆいほどなのだろう。
だが、国内投資に消極的なのは企業の経営判断の結果である。政権はその判断を尊重すべきだし、積極姿勢に転じさせるだけの経済環境をつくり出せなかった証左として、受け止めるべきである。
消費増税後、消費は低迷続きで、今後の景気の見通しも暗い。来週発表の7〜9月期GDPはマイナス予測が圧倒的。前期に続く、マイナス成長は景気後退局面を意味する。異次元緩和を続けても、2%の物価目標は遠のくばかり。何もかも行き詰まり、企業に国内投資を求めるにはもはやムリな状況だ。
大体、下請け企業がコスト上昇に苦しんでいるのは誰のせいなのか。原材料高は、アベノミクスの無軌道な円安政策による副作用だ。財界に「価格転嫁を認めろ」なんて、どの口が言うのか。
自らの経済失政が招いた八方ふさがりの状況で、官邸に財界トップを呼びつけ、強権発動するのは、まるで公開八つ当たり。BPOが批判した放送への政治介入と同じ構図で、この政権はとにかく権力という“刀”を振りかざしたがる。それが政治の役目と思い込んでいるフシもある。安倍首相を筆頭に権力というものを、完全にはき違えているとしか思えない。
財界が首相の強要に唯々諾々のフリをするのは、法人減税や規制緩和といった「見返り」を求める下心があればこそだろう。
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