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田原総一朗:「1億総活躍社会」を考えた安倍首相は実に欲深い政治家だ
http://zasshi.news.yahoo.co.jp/article?a=20151112-35869742-collegez-pol
BizCOLLEGE 11月12日(木)9時57分配信
安倍晋三首相は、大変欲の深い政治家だと思う。
安全保障関連法案は難航に難航を重ねて成立した。これは、彼の祖父・岸信介元首相が取り組んだ安全保障政策に重なる。
1960年、岸さんは野党の激しい反対を押し切り、日米安全保障条約を改定しようとした。これは難航に難航した。デモに参加していた東大生の樺美智子さんが警官隊と衝突して亡くなるという事件もあった。
多くの学生が安保反対を叫び国会周辺を取り囲み、岸さんは強行採決に踏み切ったが、結果退陣に追い込まれた。
岸さんは日米安保条約の改定後、憲法を改正しようとしていたが、結局これは実現できなかった。
岸さんの次に政権を担った池田勇人首相は、国民所得倍増計画を打ち出し、高度経済成長を実現した。実は所得倍増計画の基本構想は、岸さんがつくったものだ。
■「1億総活躍社会」に秘められた壮大な野望
安倍さんは、日米安保条約をやった岸さんの役割と、所得倍増計画から高度成長に繋げた池田さんの役割、つまり安全保障と経済成長という大きな柱づくりを一人でやろうとしている。彼は大変欲深いことを考えているのだと思う。
そして、祖父の岸元首相ができなかった、この一人二役をやるために、安倍さんが掲げたのが「1億総活躍社会」というスローガンだ。そしてそれを実現するための戦略が「新3本の矢」だ。
あえて漠然としたスローガンを掲げて3年間勝負する。3年勝負するためには、なるべく具体的でないほうがいいからだ。
だが「1億総活躍社会」というキャッチフレーズは、あまりにも漠然としていて、総花的で、何を言っているのかよく分からない。
「1億総活躍社会」という言葉は、とにかく国民全員に「もっと働け、もっと働け」と尻を叩くかけ声のように聞こえる。だから国民から非常に評判が悪い。
その上、安倍さんが「名目GDP600兆円を目指す」と発言したことから、目標に向かって無理矢理走らされるイメージがある。
■「1億総活躍社会」は国民全員に働けと言っているわけではない
しかし、10月15日の推進室発足式で、安倍さんは「若者も高齢者も、男性も女性も、困難な問題を抱えている人も、また難病や障害を持った方々も、みんなにとってチャンスのある社会をつくっていく」と発言した。つまり、国民の尻を叩いて「働け」と言っているわけではない。
さらに1億総活躍担当相の加藤勝信さんは、「高齢者、若い方、女性、男性、障害や難病を抱える方々が、職場のみならず、地域社会や家庭においてその力を発揮していく、その環境をつくっていくというのが私どもの任務であります」と言った。
二人が強調しているのは、高齢者や若者、女性、男性、障害がい者、みんなが生きがいを目指せる社会、環境をつくるという「条件整備」をするということであり、決して個人にむかって働けと言っているわけではないということだ。内容をよく聞くと、今後3年間の大きな広いテーマを捉えていると思う。
ただし、今のところ中身は空っぽだ。1億総活躍社会を目指すため、安倍首相は「新3本の矢」を提唱したが、内容には全く具体性がない。
新3本の矢は「矢」ではない。矢には具体性がなければならないからだ。つまり、これは3つの「的」だ。的に向かって、これから具体性が示せるのかどうか。ここが勝負だと思う。
■なぜ加藤勝信が1億総活躍担当相に選ばれたのか
勝負の鍵を握るのは、1億総活躍担当相の加藤勝信さんだ。僕は、「激論クロスファイア」(BS朝日)の収録で、加藤さんに「1億総活躍社会」や「新3本の矢」の具体性について直接疑問をぶつけた。
加藤さんは、「来年の1月までには、政策の中身を具体化していきたい」と言った。実際にそれができるかどうか、僕は非常に注目している。
また彼は、1億総活躍のほか、拉致、女性活躍、再チャレンジ、国土強靭化、少子化対策、男女共同参画という7つもの担当大臣を兼任している。どれも重要なセクションだ。政策の実現は、彼の双肩に懸かっていると言っても過言ではない。
なぜ、安倍さんは加藤担当相一人にあらゆる役割を任せたのか。加藤さんは安倍さんに非常に信頼されている。彼は政治家には珍しく「目立とう」精神がない。安倍内閣が発足してからずっと官房副長官をやっていたが、目立たなかったから、加藤さんの存在が知られることはなかった。
加藤さんは、徹底的に縁の下の力持ちの役割を背負っていた。この姿勢を、安倍さんがえらく買った。今、安倍さんが最も信頼する人物だと思う。官僚や政治家にも評判がいい。僕も初対面で好感を持った。
■加藤担当相は無事調整役を果たせるか
田中角栄元首相は「箱根山、籠(かご)に乗る人、担ぐ人、そのまた草鞋(わらじ)を作る人」という話をよくした。籠に乗って行く人もいれば、担いで行く人もいる。だが、それだけではなく、目立つ存在ではないが、草鞋を作るという縁の下のさらに縁の下の力持ちも必要だという意味だ。
そして田中角栄の下で力をつけた政治家に竹下登という人がいた。僕は何度も取材したが、彼はまさに「草鞋を作る人」をやって田中さんに認められ、最後は首相にまで上り詰めた。
まさに加藤さんは、竹下さんのように「草鞋を作る人」をやった。こうして安倍さんをはじめとする官僚や政治家の信頼を獲得していったのだと思う。
興味深いことがもう一つある。今までの少子化担当大臣は、民主党時代も、自民党が政権を担ってからも、ほとんどが女性だった。そして今回、加藤勝信という男性の大臣が就任した。こう言っては悪いが、安倍さんが初めて少子化対策に本気になったという裏返しだと思う。
女性の閣僚が実行力に欠けているとは思わないが、これまでの少子化担当大臣は実行力がなかったと言わざるを得ない。
ここで、安倍さんの信頼する加藤さんを少子化担当大臣に置いたということは、本腰を入れて取り組もうとしているということだと思う。
■安倍政権の命運握る「新3本の矢」の中身
加藤さんの勝負は、ここからだ。安倍さんが力を入れたいことは全部、加藤さんが担っている。ある種の調整役を期待しているのだと思う。
また、加藤さんの役割は、石破茂地方創生・国家戦略特別区域担当相や塩崎恭久厚生労働相ともバッティングする。
問題は、石破担当相や塩崎厚労相とすべてバッティングしてもみくちゃにされ、失敗に終わるのか、あるいは加藤さんがうまく調整しながら主導権を握れるのかどうか、ということだ。
「1億総活躍社会」を実現するために来年1月に具体化されるという「新3本の矢」がどういったものになるのか、まさに安倍政権にとって最後の正念場になると言えるだろう。
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