http://www.asyura2.com/15/senkyo196/msg/331.html
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先進国における消費税(付加価値税)依存型競争力強化策や移民による経済力維持策は、「冷戦時代」までぎくしゃくしながらもなんとか通用したが、新興国(発展途上国)が世界経済の成長を支える今の時代には通用しないものである。
棲み分けが進んだ国際水平分業構造、需要地に近い場所での生産拠点強化、新興国での積極的投資が先進国の利益という経済論理のなかで、消費税増税でグローバル企業の競争力を増強させたとしても国内の産業力強化にはつながらない。ただ、グローバル企業の利益を増大させるだけである。
また、長寿命化(少子高齢化)社会だからと、生活水準(通貨価値=為替レベル)が低位の国から移民のかたちで労働力を受け容れようというのも、「冷戦時代」とは違いうまくいかない。
先進国のどこでも少子高齢化が進み人々は低賃金のきつい労働を忌避するようになり、新興国は経済成長の道を歩もうとしている状況で、国家の無策で不足する労働者を補うための移民が“安定”的にやってくると考えるのは錯誤でしかない。
(これから10年くらいは大丈夫だろうが)
移民受け容れに関しては、「社会の変質」や「共同体性の分裂や対立」という問題が取り上げられるが、その問題を棚上げし“移民ウェルカム”の看板を掲げたとしても、自国で働くほうがいいのか、日本以外の先進国や新興国で働く方がいいのかを移民候補者が判断するようになり、期待するほどの移民が日本にやってこない時代が近づいている。(どこかの国がやっているように戦乱状況をつくり出し続ければ別だが)
日本は食材でも国際市場で“買い負け”するようになっているが、それは、移民についても“買い負け”する可能性を強く示唆している。
日本は、人口減少と長寿命化が同時進行する将来を憂うべきではなくバタバタする必要もない。
まず、GDP的経済成長は、ボリュームではなく、一人当たりで考えていかなければならない。
人手不足と言っても、低賃金できつい労働に従事しようという日本人が少ないだけであり、高賃金にしたり省力化をすすめればある程度は解消できる。
また、公務員、勉強する気はない高校大学生、必需性に欠ける営業パワーなどなどを考えれば、ちょっとした「国内人員配置」の変更で人口減少と長寿命化を乗り越えていくことができる。(2030年代までをどう乗り切るかが問題)
今日本で生きている一人ひとりが、怯えることなく安定的に暮らせ、将来についてもそこそこ安心できる国家社会にすることこそ、人口減少と長寿命化の時代を乗り切るための基礎的で優先的な政策である。
それを抜きに、子育て支援や出生率目標に打ち出しもムダである。
※ 参照投稿
「「一億火の玉」を想起させる「一億総活躍」:50年後も人口1億を維持と表明、有効な共時的政策がないことを露呈させた安倍首相」
http://www.asyura2.com/15/senkyo193/msg/614.html
「安倍政権支持率回復の秘策は「消費税増税再延期」の是非を問うかたちでの来年7月“衆参同時選挙”」
http://www.asyura2.com/15/senkyo193/msg/463.html
「追加緩和回避 透ける思惑:首相、「新3本の矢」で家計重視:安倍政権期のGDPを支えてきたのは財政支出」
http://www.asyura2.com/15/hasan101/msg/226.html
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出生率1.8で1億人維持は困難 外国の人材獲得もカギ
安倍晋三首相の経済政策「アベノミクス」の第2段階が始まった。名目国内総生産(GDP)600兆円、希望出生率1.8の実現、介護離職ゼロが新3本の矢。50年後も人口1億人を維持するという目標も掲げるが、死角もある。
「少子高齢化という構造的課題に今こそ、真正面から取り組むべきだと判断した」。10月29日の一億総活躍国民会議の初会合で首相は力説した。
日本は世界最速で人口減少と高齢化が進んでいる。デフレ脱却の先の政策課題として人口減に照準を定めたのは、基盤の安定した長期政権ならではともいえる。
人口減少が進むとその分、経済の下押し圧力が強くなる。社会保障制度を維持しやすくするためにも、ある程度の人口規模を維持しようという判断は理解できる。
新3本の矢のうち希望出生率は、子どもをほしいと思っている若年層の希望がすべてかなうと達成する水準。1人の女性が生涯に生むこどもの数を示す合計特殊出生率は2014年時点で1.42だ。1.8は1984年を最後に達成しておらず、非常にハードルの高い目標といえる。
1.8という出生率目標そのものが悪いわけではない。ただ、仮に1.8という出生率が実現しても、中長期的に人口1億人を保つのはきわめて難しいという事実はあまり知られていない。
世界銀行が10月に発表したグローバル・モニタリング・リポートは、日本の人口問題を取り上げた。日本の出生率が今世紀半ばに希望出生率である1.8に達し、2100年まで同水準で続くというのが基本シナリオだ。それでも今から50年後の65年には人口が1億人を下回ってしまう。
出生率が2.1まで上昇すれば、50年後も人口1億人を維持できる。しかし、経済協力開発機構(OECD)によると先進7カ国で最も高いフランス(14年時点で1.98)を超える高水準で、難度はさらに上がる。
ならば外国人の受け入れ拡大で1億人を維持できるか。「移民は受け入れない」という方針の安倍政権の下では難しいが、それだけではない。人口減少圧力に直面する先進各国のなかで「外国人獲得競争」(みずほ総合研究所の岡田豊氏)が強まるからだ。
国連によると、仮にカナダや英国で移民がなかったと想定した場合の2100年時点の人口は15年時点を下回る。米仏を含めて人口増のかなりの部分を外国人に依存している国が多い。
しかし、主に外国人を送り出す側の途上国の大半も2100年までに人口減社会に突入してしまうため、先進国がパイの限られた外国人材を奪い合う展開が予想される。
出生率を着実に高め、さらに希望出生率も1.8を超えて高まるような思い切った少子化対策を打ち出せるか。「移民」と一線を画したうえで、外国の高度人材や専門人材、留学生をどれだけ増やせるか。1億人維持の隠れた論点だろう。
(編集委員 瀬能繁)
[日経新聞11月8日朝刊P.2]
- 日本政府、移民らに門戸を開くことに慎重 あっしら 2015/11/10 05:04:54
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