http://www.asyura2.com/15/senkyo196/msg/288.html
Tweet |
日本敗戦後、北方領土、南シナ海、竹島などの領有権をめぐり係争が起き今なお解決されていないが、戦後世界の覇者となった米国が「戦後処理」をきちんと行わなかったことに起因している。(竹島は、日韓ともに実質的な米国支配状況にあるなかで、韓国の竹島占拠が黙認されたことが発端)
南シナ海領有権問題も、敗戦に伴い日本が放棄した島々をめぐる係争である。
サンフランシスコ講和条約を確認すればわかるが、米国は、沖縄に関しては“国連信託統治”というかたちで米国統治を明記したが、千島列島や樺太そして南シナ海の島々については日本の領有権放棄を規定しただけで、他の連合国間の協定を含め、新たな帰属先を確定させることはなかった。
端的に言えば、太平洋アジア地域に対立と紛争のタネをまくことで、戦後アジアにおける米国のプレゼンスを高めようとしたのである。
※関連記事
「シナ海 応酬激しく 米、航行で「領海」骨抜きに 中国、人工島軍事化進める」
http://www.asyura2.com/15/kokusai11/msg/700.html
※関連参照投稿
「南シナ海埋め立て合戦 中国への反発強まる:ベトナム・フィリピン・マレーシアのほうが南シナ海係争諸島の造成で先駆」
http://www.asyura2.com/15/kokusai10/msg/695.html
「南シナ海領土論争、台湾は中国の味方につくか?:南シナ海は台湾省管轄の領土・領海なのだから当然」
http://www.asyura2.com/15/kokusai11/msg/633.html
「防衛相 比の南シナ海仲裁申し立てを支持:島々を占拠している比だが、南沙諸島領有問題に口を挟める法的歴史的根拠は希薄」
http://www.asyura2.com/15/kokusai11/msg/658.html
「中国とベトナム 南シナ海 適切な処理で一致」
http://www.asyura2.com/15/kokusai11/msg/679.html
=======================================================================================================
[ニュース複眼]海の大動脈 米中対立の行方
航行の自由や地域の安定を守るためのパトロールと米国が主張すれば、中国は造成した人工島を領土とみなして米艦の「領海侵犯」と反発する。南シナ海を舞台にした米中の激しい応酬は、日本の安全保障にも重い問いを投げかける。緊迫度を増す南シナ海情勢の背景や課題を聞いた。
-------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------
米、軍事力均衡へ行動必要
米国際評価戦略センター主任研究員 リチャード・フィッシャー氏
米国防総省が中国が「領海」と主張する南シナ海の人工島12カイリ(約22キロ)以内の海域への艦船の派遣を訴えてから、オバマ大統領が決断するまで実に5カ月間を要した。ここから分かることは、オバマ氏は中国との衝突を考えるような指導者ではなく、彼は中国と事を構えたくないのだ。
オバマ政権の外交政策のかじ取りをみると、ライス米大統領補佐官(国家安全保障担当)に権限が集中している。ライス氏はほかのどの閣僚よりもオバマ氏と関係が近いことは明白だ。オバマ氏は、国連大使だったライス氏がリビアのベンガジで起きた米領事館襲撃事件の対応を間違わなければ、国務長官に起用するつもりだった。
中国の専門家でもないライス氏が、オバマ氏が好む政策を取りたがるというのは周知の事実だ。中国と事を構える政策を取りたがらないのも、オバマ氏の考えを体しているためだ。
中国の人工島の付近に米艦船を航行させても、南シナ海で領有権を主張するという中国の目標は変わらない。人工島の造成を中止させることもできない。中国は南シナ海の空と海を人民解放軍が支配するための潜在能力を磨き、そのためのインフラを整備し続けるだろう。米国と日本、フィリピンの同盟国などが南シナ海の諸島のために中国と戦争する決断をしない限り、中国の動きは止められない。
米国にとって最も重要なのは(中国と南シナ海で領有権を争う)フィリピンとの関係の改善だ。米国のとるべき対応は、フィリピンにまず戦闘機や戦闘艦を提供する。米海空軍との連携を強めるとともに、日本やインドなど関係国と南シナ海で中国を抑止するために幅広いネットワークづくりをすることが必要になるだろう。
我々ができる最善の姿は、各国の軍事力の均衡によって国際間の平和が保たれる「武装平和」だ。フィリピンが中国を抑止できる能力を持つために米軍の駐留を早急に増やすとともに、日本など関係国と協力して、防衛力を強化する。こうした取り組みで長期的に中国を抑止し、対抗することはできる。
オバマ政権が中国政策で失敗したとみられるのは、中国の目標の幅広さや深さを認めるのを拒み、理解していないからだ。中国は地球を回る低軌道の空間や月と並んで海域を支配し、世界の超大国になるのが目標だ。オバマ氏は地球規模で中国を抑止する軍事的な枠組み作りが求められるのに、拒絶している。
次期米大統領選に向けて共和党候補の中国政策は現実的だ。中国を地球規模の競争相手になり得るとみているからだ。民主党のヒラリー・クリントン前米国務長官が大統領になるよりも、期待が持てる。
クリントン氏が政権を取った場合に中国政策のカギを握るのは前国務次官補のカート・キャンベル氏だ。もしキャンベル氏が重要な役職に就けば、中国政策についてはよい兆候といえるだろう。
(聞き手はワシントン=吉野直也)
Richard Fisher 米ジョージタウン大卒。20年以上、アジアの安全保障を研究し、米議会で証言した経験もある。56歳。
===========================================================================================================================
中国、水面下で譲歩模索も
東京財団研究員 小原凡司氏
米艦を追跡した中国海軍の行動は抑制的だった。次の段階として米艦の横側に艦船をつけたり、進路を妨害したりして米側に圧力をかける可能性がある。中国側の口調は厳しいが、行動をエスカレートさせると軍事衝突につながる恐れがある。それは極力避けるだろう。
中国の共産党指導部は「米国は口だけで手は出さない」と思っていたフシがある。米国を見くびる雰囲気が党内でまん延すると、批判されるのを恐れて米国脅威論が出にくくなる。
中国の行動が抑制的なのは米国との軍事衝突を避けたいからだ。人民解放軍の幹部であり、習近平国家主席の側近が最近発表した日中関係の論文は「戦争で負ければ国際問題が国内問題になる。戦争は避けるべきだ」と指摘した。沖縄県の尖閣諸島などをめぐる対日関係を念頭に置いた主張だが、相手に米国を意識しているのは明らかだ。党指導部は、米国と戦争すれば敗北し、共産党の統治が倒れる可能性を考慮している。
中国の要望は、米国に人工島12カイリ以内の米艦の航行をやめてもらうことにある。南シナ海で航行を繰り返されると国内で批判が高まり、厳しい対応を取らざるを得なくなる。そうした行動は取りたくないのが本音だ。
水面下では米側に譲歩する可能性がある。そこで対象になるのは、サイバー攻撃や人工衛星の破壊を巡る宇宙の安全保障など米国側が特に懸念している分野だ。これらの分野では相手国からの攻撃を防ぐのが難しく、どれだけ防衛力を高めても一定のダメージを受けてしまう。中国が譲歩することで、米国が人工島12カイリ以内の航行をやめる、もしくは航行しても公表しない、といった落としどころを探る可能性がある。
もちろん強硬な中国が目に見える形では譲歩できない。両国が何らかの形で合意しても公表されないだろう。中国は「人工島で滑走路の建設を終えた」とあくまで目的遂行を言い張ればメンツが立つ。
米国の要求は中東などに通じる南シナ海で米海軍の「航行の自由」を確保することにある。国連海洋法条約では領海内で他国の軍艦が(害を与えない限り船舶の航行を認める)「無害通航」の権利を認めているが、中国は否定している。
米国は人工島が軍事拠点となって、米本土が核攻撃の脅威にさらされることも防ぐ構えだ。軍事拠点として使うには滑走路だけでなく燃料タンクや弾薬庫を設ける必要がある。こうしたプロセスに進むのを防げれば、米国としても中国側の譲歩を受け入れる余地が生まれる。
中国は米国のような超大国に肩を並べることを目指して、軍事や経済など様々な分野で挑戦している。今回、南シナ海では中国は実質的には米国に負け、苦汁を味わう形になる。圧倒的な軍事力を誇る米国に対抗し、自国の軍事力を一段と強化しようとするに違いない。だが武器の価格が高騰するなか軍事費を増やすのにも限界があり、米国に追いつくのは簡単ではない。
(聞き手は鳳山太成)
おはら・ぼんじ 85年防衛大卒。03年から06年まで駐中国防衛駐在官。中国の軍事戦略に詳しい。13年から現職。52歳。
===========================================================================================================================
将来の自衛隊派遣 備えを
元海将 香田洋二氏
米国がこのタイミングで艦船の派遣に踏み切った理由の一つは、中国による埋め立てが抜き差しならない状況まで進んだことがある。このまま放置すればさらに事態は悪化し、軍事的に許容できない水準になる。(攻撃の探知や防御能力が高い)イージス駆逐艦「ラッセン」を選んだのは、中国が反撃してくるという万が一への対応も想定している。最悪の事態に備えるのは軍の世界の原則だ。
ただ、中国の反応は極めて抑制的だった。彼らにとっても米国と事を構えるのは最悪の選択肢だ。おそらく指導部は現場の部隊をかなり厳しく教育し、不測の衝突を起こさないように徹底しているだろう。
米中はこの問題を巡り裏で交渉してきたとみられるものの、効果が全くなかった。オバマ米大統領は9月下旬に訪米した習近平・中国国家主席との首脳会談で、最後の打開を期待した。それは米国にとって失望に終わる結果となり、今回の駆逐艦の派遣に踏み切る最後の決め手になった。
米国防総省は2年以上前から(南シナ海での中国の活動を)把握していたが、対話を重視するホワイトハウスとして首脳会談まで待ちたかったのだろう。ただ、対応の遅れで中国に既成事実を作られてしまった側面は否定しがたい。
従来、中国は南沙(英語名・スプラトリー)諸島に足場として使える陸地を持っていなかった。埋め立てが進んだ今もなお軍事バランスは米国が圧倒的に優位に立っている。とはいえ、中国がこれから人工島にレーダーサイトを造ったり、戦闘機を飛ばしたりし始めれば、そのバランスが崩れる可能性がある。中国が人工島を造った政治的な意味合いは大きい。
埋め立て問題の本質は航行の自由という理念が損なわれることだ。米国はこれを問題視して艦船を派遣したが、中国は領有権の問題にすり替えようとしている。日本政府がこの問題に対処する際は、同盟国として米国にどう協力するかを出発点にするのではなく、航行の自由を自国の問題としてどうとらえるかをまず考えるべきだ。
そのうえで仮に自衛隊を南シナ海に派遣するとしたら、どのような名目が考えられるか。例えば海賊対策のためにアフリカ東部・ソマリア沖に派遣している艦船を、南シナ海の人工島周辺に立ち寄らせることはできるかもしれない。
自衛隊は中国艦船が頻繁に侵入してくる沖縄県・尖閣諸島をはじめ、東シナ海での対応に追われている。人手不足への手当てをしつつ南シナ海に足を伸ばすのは不可能ではない。もちろん焦って派遣することはない。国会で論議し、国民にも透明性の高い形で派遣の意義を説明する必要もあるだろう。
将来の派遣の可能性を確保しておくためにも、自衛隊と中国軍の不測の事態を防ぐための「海空連絡メカニズム」をまとめるのは焦眉の急だ。日中双方が立場の違いを埋める努力をすべきだ。
(聞き手は永沢毅)
こうだ・ようじ 72年防衛大卒、海上自衛隊へ。海上幕僚監部防衛部長、自衛艦隊司令官(海将)などを歴任。65歳。
===========================================================================================================================
[アンカー]米の指導力不安 日本の役割重要
米海軍が駆逐艦を派遣しても、中国が人工島の造成を中止して領有権の主張をやめる可能性は低い。不測の事態をきっかけに全面的な軍事衝突が混乱をもたらすのは自明であるはずなのに、米中両国も世界もまだ収束への道筋は描けそうにない。
フィッシャー氏が指摘したように米国が同盟国や友好国との協力を広げて中国への抑止力を高めるのは正攻法の対応といえるだろう。ただ、不安をかきたてられるのは今回も決断の遅れが指摘されるオバマ政権の指導力だ。1年後の大統領選が迫るに従って、米国では権力の空白が生じやすくなる。一方で今の中国の行為をなし崩し的に容認するようなら、世界で同様の例が頻発しかねない。日本にも問題の「出口」を探るため米国などと結束した共同作業が求められる。
(吉野直也)
[日経新聞11月5日朝刊P.8]
==================================================================================================================
米軍の行動、97%が支持
南シナ海での米軍の人工島接近を97.5%が支持した。「(中国は)強引すぎる」(62歳、男性)、中国の行動に「対抗措置を取れるのは米軍しかいない」(39歳、男性)、「もう少し早く行動すべきだ」(67歳、女性)との意見が聞かれた。日本も「積極的に関与すべきだ」との回答は71.4%に達した。「中東の石油も、オーストラリアの食料もこの海を通って日本に届く。この海の平和を諸国と協力して守るのは当たり前だ」(65歳、男性)との声が多かった。
[日経新聞11月5日朝刊P.9]
投稿コメント全ログ コメント即時配信 スレ建て依頼 削除コメント確認方法
▲上へ ★阿修羅♪ > 政治・選挙・NHK196掲示板 次へ 前へ
スパムメールの中から見つけ出すためにメールのタイトルには必ず「阿修羅さんへ」と記述してください。
すべてのページの引用、転載、リンクを許可します。確認メールは不要です。引用元リンクを表示してください。