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2015.11.06 「おおさか維新の会=国家保守の大阪モデル」の本質があらわになった結党大会、自民・公明とも「ねじれ選挙」となった大阪ダブル選挙は、自民党分裂が全国に拡大するきっかけになるだろう(リベラル21)
〜関西から(177)〜
広原盛明(都市計画・まちづくり研究者)
http://lib21.blog96.fc2.com/blog-entry-3361.html
今回の大阪ダブル選を取り巻く情勢は蜘蛛の巣のように錯綜している。情勢を複雑にしている要因は4つある。第1は、維新の党の分裂に伴う泥仕合が膠着状態になり、それがダブル選にどれほどの影響を与えるのか見通しがつかないことだ。第2は、ダブル選直前に行われた大阪府民対象の各社の世論調査で橋下人気が依然として衰えず、大阪維新の支持率も高止まりしていることだ。つまり維新の党の醜い分裂泥仕合にもかかわらず、大阪では橋下人気が依然として高いので、それが選挙にどのような影響を及ぼすのか見当がつかないのである。
情勢を複雑にする第3、第4の要因は、選挙戦に臨む自民・公明陣営の党組織がいずれも「ねじれている」ことだ。自民党は大阪維新候補を実質的に支援する首相官邸と反維新派候補を支持する自民党大阪府連にねじれているし、公明党は橋下氏と対立したくない創価学会・公明党本部と反維新派候補を水面下で支援する大阪市議団にねじれている。自民・公明ともにそれぞれの勢力が政策の異なる候補を勝手に支援するという「ねじれ選挙」が展開されているのである。
もともと大阪維新は自民党大阪府連が分裂してできた地域政党だ。政策的にも「大阪都構想」をめぐって大阪府連と激しく対立し、それが住民投票で決着付けられたのはわずか半年前のことである。本来であれば、首相官邸も自民党本部も大阪府連の決定に基づき反維新派候補を支持するのが筋だが、安倍首相・菅官房長官をはじめ官邸が維新派候補を支援しているために、地元大阪府連との間で「ねじれ」が生じているのである。
これをどう見るかは人によって違うだろうが、私は首相官邸が維新派候補を支援することによって、分裂した自民党を大阪維新の側に立って立て直そうとする策動の一環だとみている。自民党が「安倍一強」体制になっている現在、府県レベルで自民党が分裂しているのは沖縄と大阪だけだ。沖縄では米軍基地を恒久化しようとする自民党政権に対して沖縄県連が分裂して反旗をひるがえし、翁長知事が辺野古基地建設反対の先頭に立った。安倍政権が強権発動して基地建設を遮二無二進めるのは、米軍の意向はもとより安倍政権に忠実な自民沖縄県連を立て直すためでもある。沖縄選出の島尻議員を沖縄担当相に任命したのもその一環だろう。
沖縄とは少し事情は違うが、大阪では安倍政権の「地方統制=道州制」政策を先取りする「関西州」の実現を掲げて橋下・松井氏らが自民党を分裂させ、その前哨戦として「大阪都構想」を仕掛けた。だが住民投票で否決されるとみるや、今度は大阪ダブル選で再挑戦し、あくまでも「大阪都構想」を実現する構えだ。官邸の指示に基づき「地元保守=大阪府連」を潰し、「国家保守=おおさか維新の会」の制圧下に置いて地元保守の反乱の芽を摘み取り、自民党分裂の波が全国に波及することを防ぐ作戦なのだ。
本来ならば、自民党は「国家保守」と「地元保守」に分裂しても何らおかしくない。安倍政権の掲げる政策は、改憲による軍事大国化といい、貿易自由化によるグローバル経済化といい、原発再稼働によるエネルギー政策といい、悉く国家主導で「古きよきもの(保守)を壊す」路線を邁進しているではないか。これは郷土を愛し、平和な日常生活を愛する保守的な価値観やライフスタイルとはまったく異なるもので、根本から国民の利益に反するものだ。原発災害に悩む福島やTPPに直面する北海道などにおいても、自民党の分裂がいつ起こってもおかしくないのである。
だからこそ、安倍政権は大阪ダブル選で勝利しなければならない。勝利しなければ、国家保守の「大阪モデル」であり、官邸の「トロイの木馬」である橋下新党が勢いを失い、大阪での地元保守の位置がより確かなものになるからだ。それはまた、全国レベルでの自民党分裂のきっかけになるかもしれず、「安倍一強」体制の崩壊にもつながる恐れがあるからだ。では、官邸の期待を担う橋下新党は果たしてその任に堪えることができるのだろうか。
橋下氏らが10月31日、新党「おおさか維新の会」の結党大会を開いた。大会には衆参18人の国会議員、19都府県からの地方議員ら約240名が出席し、橋下氏は「『おおさか』は改革の象徴。東京中心だった政治を変え、地方からしっかり改革を進める」と訴えた。また、「6人の大阪府議からスタートし、5年でここまで来た。次の5年以内には必ず国会で過半数を取れると信じている。原点に立ち返り、実行、挑戦、捨て身の政治を目指す」と抱負を語ったという。
新党代表には12月18日の大阪市長任期満了で政界引退すると表明している橋下氏が暫定的に就き、幹事長には松井知事、政調会長には市長選に出馬表明した吉村氏がそれぞれ就任した。新党綱領では「地方分権型政党」をうたい、憲法改正による首相公選制や一院制などの統治機構改革、大阪の「副首都」化による東京一極集中の打破および道州制の実現などを掲げた。
問題は党規約だ。規約の骨子が10月31日の朝日・毎日両紙には新党の組織図が図解入りで詳しくは出ているが、その「大阪色」があまりにもドギツイのに驚く。以下、私の解説を含めて新党組織の主な特徴を分析してみよう。
(1)大阪は従来からの地域政党「大阪維新の会」をそのまま引き継ぐ。
(2)他の地域は「おおさか維新の会」の支部として、都道府県ごとに地域政党「○○維新の会」を結成する。
(3)大阪以外の全ての地域政党「○○維新の会」が参加して、政治団体「日本維新の会」を構成する。
(4)党本部を大阪に置き、執行部にあたる常任役員会は、大阪維新の会からの「常任役員」と大阪以外の維新の会からの「非常任役員」で構成する。
(5)「常任役員」は、代表、幹事長、大阪府議団・大阪市議団・堺市議団の団長および代表が選任する者で構成される(ただし代表、幹事長は大阪以外からも可、共同代表に片山参院議員を想定しているためか)。
(6)「非常任役員」は、大阪以外の地域政党が参加する「日本維新の会」から互選する。ただし、任期は1年、役員数は代表が決める。
この党規約を一目見れば、橋下氏らが「大阪純化」にこだわって新党「おおさか維新の会」を結成した理由と目的がよくわかる。党運営など全ては大阪維新の会からの「常任役員」で実権を握り、大阪以外の支部は「非常任役員」の立場でしかなく添え物扱いにされている。最初から大阪維新の会は「一級」、大阪以外は「二級」と格付けされ、大阪以外の支部は参加するが権限は与えられない仕組みになっているのである。これでは植民地国家における「本国=大阪」、「植民地=大阪以外」の政治構造と寸分も違わない。
さらに、役員数が代表の意のままになる点も「大阪主導=大阪独裁」の傾向を一層強めている。常任役員も主要ポストを除いては代表が選任する「その他役員」を幾らでも加えることができるし、一方、非常任役員は任期1年の上に代表が役員数を決める(制限する)というのだから、これでは代表が思いのままに役員数を増減して党運営を操作することができる。発展途上国でもこれほど露骨な政党組織はいまどき珍しい。橋下氏らは近代政党組織を前世紀に戻すつもりなのだ。
「おおさか維新の会」は、首相官邸が期待する国家保守の「大阪モデル」として産声を上げた。そして新しく「地方分権型」の国政政党というコピーでその特色を打ち出そうとしている。しかしこの党規約が示すように、「おおさか維新の会」の実体はまさに国家保守の「大阪モデル」にふさわしく極め付きの独裁色で彩られている。こんな規約を19都府県の地方議員らがシャンシャン大会で採択したのは驚き以外の何物でもないが、大阪ダブル選で「おおさか維新の会」の本質が明らかになるにつれて地方議員は今後有権者の厳しい批判にさらされるに違いない。
国政政党を目指すと言いながら、橋下氏らは「日本維新の会」(2012年9月結党)、「維新の党」(2014年9月結党)の国政政党化に悉く失敗し、挙句の果てにたどり着いたのが今回の「おおさか維新の会」だった。だが政党を作っては壊し、壊しては作るうちに「橋下新党」はやせ細り、「橋下新党=橋下私党」の本質が誰の目にもあらわになってきた。国家保守の「大阪モデル」として再出発したものの、橋下新党の行く手は平らでない。そして「おおさか維新の会=橋下私党」が消えていく日は、「安倍一強」体制が崩壊するときであり、自民党の分裂が本格化するときでもある。
http://lib21.blog96.fc2.com/blog-entry-3361.html
今回の大阪ダブル選を取り巻く情勢は蜘蛛の巣のように錯綜している。情勢を複雑にしている要因は4つある。第1は、維新の党の分裂に伴う泥仕合が膠着状態になり、それがダブル選にどれほどの影響を与えるのか見通しがつかないことだ。第2は、ダブル選直前に行われた大阪府民対象の各社の世論調査で橋下人気が依然として衰えず、大阪維新の支持率も高止まりしていることだ。つまり維新の党の醜い分裂泥仕合にもかかわらず、大阪では橋下人気が依然として高いので、それが選挙にどのような影響を及ぼすのか見当がつかないのである。
情勢を複雑にする第3、第4の要因は、選挙戦に臨む自民・公明陣営の党組織がいずれも「ねじれている」ことだ。自民党は大阪維新候補を実質的に支援する首相官邸と反維新派候補を支持する自民党大阪府連にねじれているし、公明党は橋下氏と対立したくない創価学会・公明党本部と反維新派候補を水面下で支援する大阪市議団にねじれている。自民・公明ともにそれぞれの勢力が政策の異なる候補を勝手に支援するという「ねじれ選挙」が展開されているのである。
もともと大阪維新は自民党大阪府連が分裂してできた地域政党だ。政策的にも「大阪都構想」をめぐって大阪府連と激しく対立し、それが住民投票で決着付けられたのはわずか半年前のことである。本来であれば、首相官邸も自民党本部も大阪府連の決定に基づき反維新派候補を支持するのが筋だが、安倍首相・菅官房長官をはじめ官邸が維新派候補を支援しているために、地元大阪府連との間で「ねじれ」が生じているのである。
これをどう見るかは人によって違うだろうが、私は首相官邸が維新派候補を支援することによって、分裂した自民党を大阪維新の側に立って立て直そうとする策動の一環だとみている。自民党が「安倍一強」体制になっている現在、府県レベルで自民党が分裂しているのは沖縄と大阪だけだ。沖縄では米軍基地を恒久化しようとする自民党政権に対して沖縄県連が分裂して反旗をひるがえし、翁長知事が辺野古基地建設反対の先頭に立った。安倍政権が強権発動して基地建設を遮二無二進めるのは、米軍の意向はもとより安倍政権に忠実な自民沖縄県連を立て直すためでもある。沖縄選出の島尻議員を沖縄担当相に任命したのもその一環だろう。
沖縄とは少し事情は違うが、大阪では安倍政権の「地方統制=道州制」政策を先取りする「関西州」の実現を掲げて橋下・松井氏らが自民党を分裂させ、その前哨戦として「大阪都構想」を仕掛けた。だが住民投票で否決されるとみるや、今度は大阪ダブル選で再挑戦し、あくまでも「大阪都構想」を実現する構えだ。官邸の指示に基づき「地元保守=大阪府連」を潰し、「国家保守=おおさか維新の会」の制圧下に置いて地元保守の反乱の芽を摘み取り、自民党分裂の波が全国に波及することを防ぐ作戦なのだ。
本来ならば、自民党は「国家保守」と「地元保守」に分裂しても何らおかしくない。安倍政権の掲げる政策は、改憲による軍事大国化といい、貿易自由化によるグローバル経済化といい、原発再稼働によるエネルギー政策といい、悉く国家主導で「古きよきもの(保守)を壊す」路線を邁進しているではないか。これは郷土を愛し、平和な日常生活を愛する保守的な価値観やライフスタイルとはまったく異なるもので、根本から国民の利益に反するものだ。原発災害に悩む福島やTPPに直面する北海道などにおいても、自民党の分裂がいつ起こってもおかしくないのである。
だからこそ、安倍政権は大阪ダブル選で勝利しなければならない。勝利しなければ、国家保守の「大阪モデル」であり、官邸の「トロイの木馬」である橋下新党が勢いを失い、大阪での地元保守の位置がより確かなものになるからだ。それはまた、全国レベルでの自民党分裂のきっかけになるかもしれず、「安倍一強」体制の崩壊にもつながる恐れがあるからだ。では、官邸の期待を担う橋下新党は果たしてその任に堪えることができるのだろうか。
橋下氏らが10月31日、新党「おおさか維新の会」の結党大会を開いた。大会には衆参18人の国会議員、19都府県からの地方議員ら約240名が出席し、橋下氏は「『おおさか』は改革の象徴。東京中心だった政治を変え、地方からしっかり改革を進める」と訴えた。また、「6人の大阪府議からスタートし、5年でここまで来た。次の5年以内には必ず国会で過半数を取れると信じている。原点に立ち返り、実行、挑戦、捨て身の政治を目指す」と抱負を語ったという。
新党代表には12月18日の大阪市長任期満了で政界引退すると表明している橋下氏が暫定的に就き、幹事長には松井知事、政調会長には市長選に出馬表明した吉村氏がそれぞれ就任した。新党綱領では「地方分権型政党」をうたい、憲法改正による首相公選制や一院制などの統治機構改革、大阪の「副首都」化による東京一極集中の打破および道州制の実現などを掲げた。
問題は党規約だ。規約の骨子が10月31日の朝日・毎日両紙には新党の組織図が図解入りで詳しくは出ているが、その「大阪色」があまりにもドギツイのに驚く。以下、私の解説を含めて新党組織の主な特徴を分析してみよう。
(1)大阪は従来からの地域政党「大阪維新の会」をそのまま引き継ぐ。
(2)他の地域は「おおさか維新の会」の支部として、都道府県ごとに地域政党「○○維新の会」を結成する。
(3)大阪以外の全ての地域政党「○○維新の会」が参加して、政治団体「日本維新の会」を構成する。
(4)党本部を大阪に置き、執行部にあたる常任役員会は、大阪維新の会からの「常任役員」と大阪以外の維新の会からの「非常任役員」で構成する。
(5)「常任役員」は、代表、幹事長、大阪府議団・大阪市議団・堺市議団の団長および代表が選任する者で構成される(ただし代表、幹事長は大阪以外からも可、共同代表に片山参院議員を想定しているためか)。
(6)「非常任役員」は、大阪以外の地域政党が参加する「日本維新の会」から互選する。ただし、任期は1年、役員数は代表が決める。
この党規約を一目見れば、橋下氏らが「大阪純化」にこだわって新党「おおさか維新の会」を結成した理由と目的がよくわかる。党運営など全ては大阪維新の会からの「常任役員」で実権を握り、大阪以外の支部は「非常任役員」の立場でしかなく添え物扱いにされている。最初から大阪維新の会は「一級」、大阪以外は「二級」と格付けされ、大阪以外の支部は参加するが権限は与えられない仕組みになっているのである。これでは植民地国家における「本国=大阪」、「植民地=大阪以外」の政治構造と寸分も違わない。
さらに、役員数が代表の意のままになる点も「大阪主導=大阪独裁」の傾向を一層強めている。常任役員も主要ポストを除いては代表が選任する「その他役員」を幾らでも加えることができるし、一方、非常任役員は任期1年の上に代表が役員数を決める(制限する)というのだから、これでは代表が思いのままに役員数を増減して党運営を操作することができる。発展途上国でもこれほど露骨な政党組織はいまどき珍しい。橋下氏らは近代政党組織を前世紀に戻すつもりなのだ。
「おおさか維新の会」は、首相官邸が期待する国家保守の「大阪モデル」として産声を上げた。そして新しく「地方分権型」の国政政党というコピーでその特色を打ち出そうとしている。しかしこの党規約が示すように、「おおさか維新の会」の実体はまさに国家保守の「大阪モデル」にふさわしく極め付きの独裁色で彩られている。こんな規約を19都府県の地方議員らがシャンシャン大会で採択したのは驚き以外の何物でもないが、大阪ダブル選で「おおさか維新の会」の本質が明らかになるにつれて地方議員は今後有権者の厳しい批判にさらされるに違いない。
国政政党を目指すと言いながら、橋下氏らは「日本維新の会」(2012年9月結党)、「維新の党」(2014年9月結党)の国政政党化に悉く失敗し、挙句の果てにたどり着いたのが今回の「おおさか維新の会」だった。だが政党を作っては壊し、壊しては作るうちに「橋下新党」はやせ細り、「橋下新党=橋下私党」の本質が誰の目にもあらわになってきた。国家保守の「大阪モデル」として再出発したものの、橋下新党の行く手は平らでない。そして「おおさか維新の会=橋下私党」が消えていく日は、「安倍一強」体制が崩壊するときであり、自民党の分裂が本格化するときでもある。
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