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2015年11月07日
以下のコラムは、中国がインドネシア高速鉄道建設計画で、中国が欧米先進国型のルールを歪め、卑怯な手を使って、騙し討ちのように受注してしまった顛末を語っている。つまり、利益度外視した上に、民間のフェアな競争原理のルールまで無視し、国家一丸となって、受注にこぎつけたのは、卑怯である。また、中国の建設するインフラ整備は、その地域の住民の権利を無視した強制力が働き、尚且つ、その品質への疑問も積み残したままだ。このような選択をインドネシアがしてしまったことは、結果的にインドネシアの将来的計画の足を引っ張るのではないだろうか、と中国準国営企業のルール無視を批判するとともに、インドネシアにも警鐘を鳴らしている。
たしかに、このコラムの書き手のような考え方にも一理ある。しかし、中国は日欧米と初めから異なるルールで運営されているわけで、日欧米が自画自賛するルールはあなた方のルールでしょう、と考えているのだろう。安倍晋三は、アジアの一国であり、まさしくアジア人であるのも関わらず、欧米価値観こそが無比な普遍的価値観だと、真理のように口にするが、どこの世界に、欧米価値観が無比な価値観などと書いてあるのだろうか。そして、世界の国々や民族や地域が、それを認めているフシはまったくない。
先進経済圏におけるルールと云うものは、先進経済圏にとって都合の良いルールに過ぎないわけで、開発途上国や未開発地域にも適用された当たり前と云う思考停止は、驕りに過ぎない。アメリカのルールを、今現在TPPを通じて押しつけられている日本と云う立場を考えれば判ることだが、上のルールに合わせて、下が動くのは日本社会くらいのもので、そうそう、従属に甘んじる国や民衆は少ないものである。彼らは常に狡猾であり、反撃の精神を忘れないものだ。つまり、自分たちが従属したルールが、絶対的なものだと思うくらいおバカな勘違いはないわけで、それが永遠に守られるだろうと考えることは根本的に間違いだろう。
考えてみれば、わが国日本においても、立憲主義に基づき、政府の統治はいわゆる日本国憲法の原理に従って行うことが義務付けられているわけだが、条文に書いていないことに関しては、立憲の法理に関わりなく、政府に一定の解釈を加えることは許される。このような立憲主義の法理を、具体的に書いていないから、時の政府の解釈で行うことが出来る。まさかと思うが、今の安倍政権は、それを正々堂々、正義の執行のように行ったのだから、ルール無視の典型のようなもので、民主主義だと云う日本でさえ起きているのだから、中国共産党独裁体制の中国がルールを守らないのは、或る意味で当然だと思っておくのが、筆者などは常識じゃないか思う次第だ。
中国にしても、イスラム教が支配的な国や地域にしても、独裁的大統領制が敷かれている国も、欧米先進国にとって都合の良いルールが普遍的だなどと受けとめている人々は存在しない。そんな、俺たちに無関係なルールを、良い思いをしている連中に言われてなるものか。その反骨精神があるからこそ、その発展途上国には、それなりの未来展望が存在する。小金持ちの裕福に満足して、従属の方が楽じゃないか。そう云う国や人々の未来展望は、21世紀においては絶望的に見つけることは出来ないようだ。
たしかに、インドネシアが中国企業に高速鉄道を建設を発注と云うか丸抱えでお願いしたのには、それなりに意味がある。仮に、食うものがない時に、食えそうなものがあれば、それを喰らって、生き延びるわけで、将来の健康被害まで思いが及ぶことは稀である。つまり、インドネシアにとって、中国企業の提案は、非常に魅力的で、国家100年の計などは糞喰らえだったと云うことだ。また、中国政府のインフラ整備の呼び水は、途上国にとって常に蠱惑的で、金持ち達のルールなんて、絵に描いた餅に映ると云う事実を政府も企業も肝に銘ずるべきである。
ルールに従わないと非難したければ、まず足元の日本政府の立憲主義のルール違反を厳しく詮議した上で、語るのが筋だろう。原発立地地域問題も、似たようなニアンスがある。同じニアンスを抱えた沖縄県が、徹底抗戦に出ているのは、おそらく、沖縄のアイデンティティから来ているのだろうが、注目に値する。蟻が不遜な木偶の坊を懲らしめる、お伽噺が正夢になることを祈りつつ、今夜のコラムを締めくくる。
≪ 中国が競争ルールを歪める限り
途上国開発で日本は敗北し続ける
インドネシアの高速鉄道の建設計画の受注をめぐり、日本の新幹線案が中国に敗退したことは周知のとおりだ。その後、計画は着々と進み、先月16日にはインドネシアと中国の企業連合が合弁会社の設立で正式な契約調印に至った。
中国による受注の背景には、いくつかの要素が存在した。その決定的な要素となったのが、中国側からの「インドネシアの財政負担をなくし、債務保証を求めない」という提示だった。
ことの経緯はこうである。
この東南アジア初の高速鉄道は首都ジャカルタと西ジャワ州バンドン間150kmを結ぶもので、将来的にインドネシア第二の都市である東ジャワ州スラ バヤへ延ばすという計画がある。これに、日本と中国が入札を争っていたが、今年9月3日、インドネシア政府はこの計画を白紙に戻すと宣言した。
もともと日中は「インドネシア政府の支出がある」ことを前提に競り合っていたが、その前提がここで揺らいでしまった。そして、インドネシア政府は 計画を凍結させると同時に、「高速ではなく低速に」と計画を変更させ、挙句は「政府は建設コストを負担しない」と条件を二転三転させて行ったのである。
その後、わずか4週の間に、インドネシア政府は中国案の採用を決定してしまう。同月29日のことだ。「インドネシアの財政負担をなくし、債務保証を求めない」という中国の提案が決定的となった。
この要求の変化をものともせずに食らいついて行ったのが中国だ。国際問題に詳しい専門家は、この間髪入れずしての提案をこう分析する。
「インドネシア政府の要求に合わせてすかさずカードを切り返したのが中国。内容の精度はさておき、中国は(上記の政府支出ありから出資なしまでの)“3枚のカード”を携えていたと見ることができる」
■激しいロビー活動と 実績に対する自信も勝因
また、この専門家は「民間企業が主体となることで、政府の支出を低減させるやり方は、途上国のニーズがインフラの質よりも財政的負担の軽減にあることを中国は見抜いていたという証左だ」と指摘している。
一方で、インドネシアには公的資金はジャワ島以外の他の島に振り向け、人口や経済が集中するジャワ島の開発は民間投資に委ねようとする政策がある。中国案はこの政策とうまく合致したとも言える。
これに対し、日本案は債務保証に拘泥した。これが敗北につながったという説は有力だ。ちなみにこの「債務保証なし」というのは、事業主体への融資 に返済リスクが生じた場合、それを相手国政府が返済するのを通例とするが、中国案はそのリスクも中国が負うことを意味するものだ。
計画が最終的に中国の手に落ちた理由は他にもある。外交的揺さぶりもそのひとつだろう。
党中央、国務院、国家発展改革委員会、外交部、国家開発銀行、そしてこれに中国鉄路公司が一丸となった激しいロビー活動である。
また、“揺るぎない自信”もそのひとつだ。世界で最大規模にして最速の技術と管理――は彼らが自認する強みである。中国には、たった12年間で1 万7000キロの高速鉄道を敷設したという成功体験があり、北京−上海を結ぶ1300キロの高速鉄道に至ってはわずか3年ほどで正式運行にこぎつけてい る。
こうした経験を背景に、中国はインドネシアのジャカルタ−バンドン間の150キロを結ぶ高速鉄道も「3年でできる」と誇示した。完工は2018年。これは日本案の2021年の半分の工期に過ぎない。
■中国の「一帯一路構想」に インドネシアの思惑が合致
中国にとっては、初の高速鉄道の海外輸出大型プロジェクトとなるだけに高揚気味だ。150キロの走行距離とはいえ、これを契機に今後はインドネシアの鉄道市場を独占できると見るからだ。
中国はジャカルタ−バンドン沿線での「経済回廊」の構想も描く。インフラ建設とともに不動産開発や工業団地開発を進めれば、中国国内の産業チェーンの輸出にもつながると期待を深める。
また、中国の受注をめぐって注目すべきは、中国の掲げる「一帯一路構想」とインドネシアが掲げる「海洋国家構想」のドッキングである。「一帯一路構想」が重視するのは「連結」、他国の交通を連結させながら、中国発の複数のルートを作り上げるこの構想に、インドネシアも利点を見出した可能性は否めない。
ちなみに2013年10月、習近平国家主席は首都ジャカルタで「21世紀海上シルクロード」構想を発表したが、中国は互いに首位の貿易相手国であること、インドネシアがアセアンでも最多の人口を有する国家であることを理由に、2つの経済体が連結することの利点を強調している。中国にとってさらに重要なのは、マラッカ海峡、ロンボク海峡、ナトゥナ海峡などを有するインドネシアを、海上戦略上の攻略地点に組み込むことにある。
他方、日本の経済界からは嘆息が漏れる。日本の商社幹部のひとりは失望を隠さない。
「今回の一件で明らかになったのは、インドネシアの経済発展に最大の貢献国として認知されてきた日本が、中国にとって代わられたということだ。今後、インドネシアには中国資本が大きく投下されるのは間違いない」
■ルールを無視する中国の前に 健全な競争原理が歪んでいく
一方、日本政府の内部からも強い危機感が伝えられる。インドネシアの高速鉄道の受注に関わる一連の流れをつぶさに見つめてきた政府関係者はこうつぶやく。
「これはOECD陣営の『透明性を確保したモデル』の敗北だ……」
これまで途上国のインフラは、先進国を中心とするOECD(経済協力開発機構)による支援という枠組みを中心に整備がなされてきた。そこに中国が割り込んでくることの影響は小さいものではない。
この高速鉄道計画はインドネシアと中国の企業連合により進められるが、これはPPP方式(Public-Private Partnership)による実施であることを意味する。鉄道案件をビジネスとしてやろうというわけだ。では、その資金調達や返済期間をどう見積もるのか。参加する民間企業はそれぞれにソロバンを弾くところだが、中国の場合は違う。実質、政府が采配を振るってしまうのだ。しかも、中国の民間企業といって も政府と民間の線引きが曖昧で、その実態は純粋な民間企業でないものが多い。
他方、日本企業にとってPPP方式は、日本政府のサポートを離れたところでの単体での闘いを意味し、リスク増大の懸念からインフラ案件の受注が遠ざかる可能性がある。その結果、蓋を開けてみれば中国企業の跋扈――、こうした展開となることは容易に想像がつく。
また今回の案件に見るアンフェアは、政府組織を総動員しての手練手管の裏工作、「同じ土俵での闘い」がいつの間にか「水面下の交渉」に切り替えられてしまった点にある。中国側は「透明性の確保」など歯牙にもかけていないのだ。
「ビジネスをするなら“ビジネスの掟”があるはずだ。だが、“ビジネスの掟”を無視する国がいとも簡単にそれを落札した。途上国のインフラ市場は今後ますます競争原理が働かない市場となってしまう」(同)
透明性を維持すればそこに市場が発生し、よりよい企業が集まることができる。企業が集まれば競争原理が働き、質のいい技術が適正な価格で提供されるという好循環を生む。しかし、中国が割り込んでくることでこうした当たり前の競争原理ですら維持できなくなる懸念がある。
そもそも、すべてのインフラ需要を中国が独占して受注できるわけなどない。「世界の途上国の需要に対して、各国で協力して整備に当たる」というのが本筋だ。当然、そこにはルールが必要であり、そのルールこそがOECDがまとめる行動指針である。ところが、中国は「我々はそんなルールに縛られない」と開き直る。「それはあくまで先進国を対象としたものであり、中国は関係ない」という立場だ。
「一定のルールに基づいて公明正大な競争をすれば、ひいてはみんながハッピーになる、そういう思いで世の中が動いているはずなのだが……」(同)
■中国で短期完工が可能なのは 政府による“強制”があるから
今回の中国による受注、それがインドネシアの未来にとって最善の選択だったかという点についても疑問が残る。
筆者は、上海の街の変遷を通して「中国式インフラ建設」というものを目の当たりにしてきた。それは住民の強制立ち退きに始まり、民衆と政府の対 立、環境破壊と多くの矛盾と摩擦をもたらした。その本質を一言でいえば“政府による強制”である。インフラ建設には莫大な予算がつぎ込まれたが、その恩恵 に浴したのは一部の独占企業である。
今の中国の自信の根底には、「北京−上海の高速鉄道の3年の完工」があるが、不可能を可能にしたのは “強制”が働いたからに他ならない。しかもスピード重視となれば、当然アンフェア、不正を招き透明性が失われてしまう。果たしてそれは他国において支持されるモデルなのだろうか。
ちなみに今年3月、スリランカ政府はコロンボ港で進められる「中国城」の建設に中止命令を出した。この計画は520万平米にショッピングセンター やホテル、オフィスビルや3戸の住宅を含む不動産開発だが、法律の抵触と環境破壊が顕在化した。ミャンマーでも2012年に銅山開発をめぐり、民衆が大規模な抗議運動に乗り出している。
途上国で日本モデルは「展開が遅い」と不評を買っているのも事実である。だが、それには一定の合理性も認められる。経済効果の追求のみならず、住民や環境とのバランスを取るにはある程度の時間も必要なのだ。しかも、日本モデルの根底には「産業を興し、人を育て、それを裾野にまで広げる」という息の長さがある。
残されているのは、途上国による「賢い選択」だ。そのためには、まず目先の利益を捨ててもらうしかない。「国家100年の計」を立てた国づくりにこそ、日本モデルは大きな効果を発揮するだろう。
≫(ダイアモンドONLINE:国際China Report−姫田小夏)
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