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「海自は南沙に行くべきでない」元陸自方面総監が強烈な一言
http://www.nikkan-gendai.com/articles/view/news/168770
2015年11月7日 日刊ゲンダイ
元陸自方面総監の酒巻尚生氏(C)日刊ゲンダイ
南シナ海をめぐる米中の覇権争いが日増しにエスカレートしている。ついに、カーター国防長官が原子力空母「セオドア・ルーズベルト」に乗り込み、南シナ海を視察することが明らかになったのだ。すでに米軍は中国が造成している人工島の12カイリ(約22キロ)内にイージス艦を航行させている。そのうえ、カーター長官が空母を訪問すれば、一帯の主権を主張する中国を刺激するのは確実だ。
恐ろしいのは、この争いに日本が巻き込まれる危険が現実味を帯びてきたことだ。軍人出身の共和党の重鎮、ジョン・マケイン上院議員が5日の朝日新聞のインタビューで12カイリ内の航行を日本にも促し、それに呼応するように、菅官房長官が「今後、十分に検討していくべき課題だ」と、海上自衛隊の参加を示唆し始めたのだ。
そんな折も折、5日、外国特派員協会で興味深い会見があった。北海道の陸上自衛官3万人のトップを務めた元北部方面総監・酒巻尚生氏が、南シナ海への海自派遣を強く牽制したのである。言っておくが、酒巻氏は政府批判のために会見に臨んだわけではない。むしろ目的は全く逆で、“元軍人”の立場から、安保法制の必要性と自衛官の社会的地位の向上、平和を守るために国民が負うべきリスクを強く訴えた。
ところが、参加者から「公海上の南シナ海の海域で、海自が米軍と一緒に航行しても問題ないのではないか?」と問われると、キッパリとこう言った。
「日米同盟は絶対的に重要です。しかし、アジア圏においての日本は全方位外交が前提。もし12カイリ内で航行すれば、日中関係にどんな影響を及ぼすかを考えなくてはいけません。万が一、中国の行動が我が国のシーレーンに対し、致命的な影響を及ぼすとなれば話は別ですが、その段階においても政治的にはかなりハードルの高い問題になってくると思います」
ゴリゴリの元軍人の酒巻氏が「おかしい」と言ったことを、菅官房長官は国民の承諾もなしにシレッとやろうとしている。この国は明らかにヘンな方向に進もうとしている。
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