http://www.asyura2.com/15/senkyo196/msg/190.html
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※関連参照投稿
「日米首脳会談 その1:「TPP日米市場アクセス交渉」は宮中晩餐会前に基本合意:内容公表の先延ばしでしのごうとする安倍政権」
http://www.asyura2.com/14/senkyo164/msg/637.html
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※NHKオンライン
今だから明かす TPP交渉の舞台裏(1)
10月28日 20時05分
5年にわたる交渉の末、10月に大筋合意したTPP=環太平洋パートナーシップ協定。秘密交渉の水面下では、日本やアメリカをはじめとする各国が、国益をかけた駆け引きを繰り広げていました。交渉の節目でいったい何が起きていたのか。
日本の交渉参加以降、TPP交渉の取材に当たってきた経済部の新井俊毅、伊賀亮人、中野陽介、3人の記者が今だから明かせる交渉の舞台裏を2回シリーズでお伝えします。
1回目は、日本が交渉に参加した際の日米間の不平等とも指摘される交渉の経緯、そして豚肉の関税交渉が実質的にまとまって日米交渉が大きく前進した瞬間です。
「完璧は良好の敵である」
アメリカ、ジョージア州アトランタで開かれていたTPPの閣僚会合。10月5日、大筋合意した後の共同記者会見で各国の閣僚がTPPの意義を強調する中、ある閣僚のことばが強烈な印象を与えました。
「完璧は良好の敵である」(完璧を求めて全く譲歩をしなければ、結局何も成し遂げられない)。発言の主は、自由貿易の旗手・ニュージーランドのグローサー貿易相。交渉開始当初から誰よりも完璧(=関税撤廃)を求めてきた彼がこのことばで交渉を総括するところに、TPPの真実があります。すべての国が何かを得て、また、何かを失ったー。そこにはどんなドラマがあったのでしょうか。
安倍政権発足 TPPは成長戦略の柱
話は3年前に戻ります。2012年の暮れに政権交代した安倍政権は、TPPを最初から成長戦略の重要な柱と位置づけていました。
安倍総理大臣は、年があけた2013年2月にアメリカを訪問し、オバマ大統領と会談。この時に発表された共同声明で、TPP交渉では双方に配慮すべき品目(=センシティビティー)があることを確認しました。
これによって、日本としては、農産物5項目の関税撤廃が前提ではなく、交渉次第では、関税撤廃の例外を認めさせることができるとして、1か月後の3月15日に参加表明に踏み切ります。
TPP交渉の幕開け 「高い入場料」を払わされた日本
しかし、実際の交渉はそんなに甘いものではありませんでした。安倍総理大臣の正式参加表明を受けて、2013年4月、政府の交渉関係者はアメリカから交渉参加の同意を取り付けるためワシントンで日米2か国の事前協議を行っていました。
アメリカはさまざまな無理難題を突きつけてきたといいますが、ある日、交渉は急転直下でまとまります。東京からは「とにかく話をまとめろ」という指示が届いたとも言われています。
結局、日米で合意したのは、日本からアメリカに輸出する自動車にかかる関税の撤廃については「TPP交渉における最も長い期間をかける」などというものでした。
これは日本が守りたい農産物の関税の撤廃を遅らせようとしたり、日米以外のほかの国が何かの品目の関税撤廃を遅らせようとしたりすれば、自動的に日本車の関税の撤廃もそれに合わせて遅れるという「わな」のような取り決めでした。
日本がアメリカに対して「攻め」の分野と位置づける自動車の関税交渉は、最初から交渉の「矛」にはなりえない、のちに 交渉関係者が「高い入場料」と呼ぶ、なかば屈辱的な形でスタートしたのです。
答えを先に記せば、乗用車の関税撤廃の期間は25年で決着。最も長い期間である30年よりは短くはなったものの、アメリカが要求した「できるだけ関税撤廃は先延ばししたい」という要望は受け入れたことになります。
なぜ日本はそこまで不利と思える内容で事前協議に合意したのか。当時、交渉担当者に取材すると、みな一様に「やむを得なかった」と、苦虫をかみつぶしたような表情を浮かべていたことが強い印象として残っています。
背景には、政権として何が何でもアメリカから同意を得たい、そしていち早く正式参加にこぎつけたいという焦りにも近い思いがあったように感じました。
日本の交渉参加で交渉に変化が…
アメリカの同意を得て、日本は2013年7月にマレーシアのコタキナバルで開かれた会合で、正式にTPP交渉に参加します。この会合で日本政府交渉団は3年かけて積み上げられてきたテキストと呼ばれる協定内容を記した文書を100人規模の態勢で読み込み始めます。
1か月後にブルネイで閣僚会合が開かれるまでの間に、泊まりがけの「合宿」を行い、600ページに及ぶ文書を読み込み、何が論点となり、どの分野の議論が進んでいないのか、詳細に把握するまでにいたりました。各省から集まった交渉のスペシャリストたちの、すばらしい仕事ぶりだったと今、振り返っても思います。
日本がTPP交渉に参加したことで、会合の雰囲気は大きく変わったといいます。これまでアメリカがほかの交渉参加国に一方的に要求を突きつけるだけの関係から、国ごとに抱える事情は違うのだということを堂々と主張できるようになったというのです。
2013年8月にブルネイで開かれた閣僚会合で甘利経済再生担当大臣は、アメリカに対して「1国のルールを他国に押しつけるべきではない。皆がウィンウィンでなければ」と繰り返し説得しました。
ロシアによるクリミア併合がTPPを進展?
その後、2013年10月のインドネシア・バリ、2013年12月のシンガポール、2014年2月のシンガポールと閣僚会合が繰り返し開かれましたが、交渉は一進一退を繰り広げ、なかなか大きく前進しませんでした。当時の交渉関係者の間では次第に焦燥感が漂い始めていました。2014年4月には東京で日米首脳会談が開かれることが決まっている。しかし、両トップがTPPで華々しく何かを打ち出せる状況では全くない。どうすればいいのか。。。。。
TPP交渉の流れを大きく変える事態は突如、はるか西の方から訪れました。
2014年3月、東京から遠く離れたウクライナ領クリミア半島で緊張が高まる中、ロシアが一方的にクリミアの併合を宣言したのです。アメリカだけでなく、世界がロシアの行動に震かんしました。
アメリカは当時、中東政策でも墓穴を掘り、中東各国との関係改善ができずに苦しんでいました。予想だにできなかったロシアによるクリミア併合で、外交上の余裕がなくなったアメリカ。一方、アジア太平洋地域では政治経済両面で急速に勢力を拡大する中国の存在がありました。
TPPを貿易自由化の枠組みとしてだけとらえるのではなく、ルールを通じた中国へのけん制として使えるのではないか。しかもオバマ政権の『レガシー(=遺産)』として歴史に名を残すこともできる。こうしてアメリカはこの時期からTPP重視へとかじを切ったと、ある交渉関係者は分析します。
このころを境にアメリカは日本に対して柔軟な姿勢に転じ、すべての品目の関税撤廃に必ずしもこだわらなくなってきたといいます。
このころ取材していた私たちは当初、理由がよく分からなかったものの、急速にアメリカが積極的に交渉に乗り出してきた雰囲気を確実に感じ取っていました。
すし屋での豚肉協議で交渉進展?
そして交渉が大きく進展したのは、実は会議室ではなく、すし屋でした。2014年4月23日、首脳会談前夜に両首脳による「非公式夕食会」が開かれた、銀座の高級すし屋「すきやばし次郎」。
官邸が公開した写真には、カウンターで安倍総理大臣がオバマ大統領と和やかに歓談する様子が映し出されています。国家安全保障局の谷内局長やケネディ駐日大使ら両首脳の側近や通訳だけが同席。この席でのやり取りについては、公式に発表はされていません。
しかし、実際は、オバマ大統領はすしをほおばりながら「価格の安い豚肉の関税を50円程度まで引き下げることはできないか」と安倍総理大臣に持ちかけたのです。
大統領の提案にいちばん驚いたのはアメリカ側だったと言われています。
交渉関係者によると、アメリカの交渉担当者たちは「豚肉の関税は50円程度まで引き下げると魅力的になり、20,30円程度まで下げるとよい」という内容のアメリカ側の提案を大統領に打ち込んでいたようです。しかし、その内容がきちんと伝わらず、オバマ大統領が50円の部分だけを伝えてしまったのではないか、という見方が出ていました。
首脳どうしのやり取りについて、TPP政府対策本部の1人は「豚肉の関税が50円であれば“いただき”だ」と手応えを口にしていました。
すし屋での出来事から数か月後、ある政府関係者はこう振り返りました。
「すし屋での首脳どうしのやり取りがすべてだった。あれでTPP交渉を前に進められた。大きな一歩だった」
以前からビジネスライク(事務的)な態度で有名なオバマ大統領ですが、本来は首脳どうしがリラックスして打ち解けるための場で、TPP交渉、しかも豚肉という個別品目まで持ち出さざるをえないほど、首脳会談での成果にこだわっていたことがうかがえます。 そして、大統領のひと言をきっかけに一気に打開に動いた日本。両国の歩み寄りがTPP全体の停滞感を打破したのです。
(次回に続く)
http://www3.nhk.or.jp/news/business_tokushu/2015_1028.html
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今だから明かす TPP交渉の舞台裏(2)
10月29日 11時00分
5年にわたる交渉の末、10月に大筋合意したTPP=環太平洋パートナーシップ協定。秘密交渉の水面下で何が起きていたのか。
TPP交渉の取材に当たってきた経済部の新井俊毅、伊賀亮人、中野陽介、3人の記者が切り取る交渉の舞台裏。第2回目は水面下で繰り広げられた自動車協議に関する日米の攻防やコメの輸入を受け入れた秘策についてです。
自動車を巡り再び危機に
2014年春の日米首脳会談の裏で大きく進展した豚肉など農産物を巡る日米の交渉。
直後5月にシンガポールで開催されたTPPの閣僚会合での記者会見で、甘利経済再生担当大臣は「霧が晴れてきた」と述べ、フロマン通商代表も「圧倒的に前向きな協議ができた」と胸を張るなど、東京での交渉の進捗(しんちょく)を反映したものでした。
しかし、2014年秋にアメリカ議会の中間選挙をひかえ、交渉は次第に推進力を失っていきました。決定的だったのは9月、フロマン通商代表からの再三の要請を受けて甘利大臣がワシントンを訪れて行われた閣僚級協議でした。
甘利大臣は「最後の閣僚級協議にしたい」と述べ、相当な意気込みを示していました。
ところが・・・・。協議初日こそ4時間にも及ぶ交渉が行われたものの、いよいよヤマ場を迎えるとされた2日目。交渉会場に入った甘利大臣は僅か1時間ほどで出てきました。
会場の外で取材をしていた記者団は甘利大臣に状況を確認しようと質問を投げかけましたが返答はありませんでした。これまでどんな時でも二言、三言は取材陣の問いかけに応じてきた甘利大臣にしては珍しいことで、その顔には怒りの表情が浮かんでいました。
実はこのときの交渉ではフロマン通商代表が自動車部品の多くの品目について、即時撤廃ではなく、10年や20年といった長期間をかけて撤廃する方針を崩さず、話にならないと反発した甘利大臣が交渉を打ち切って席を立ったのです。甘利大臣はこのとき、テーブルを叩いて激怒したとも言われています。
日本は交渉に入る前に「高い入場料」として、日本から輸出されるクルマ本体への関税撤廃を最も長い期間かけることに同意させられていたので、できるだけ多くの自動車部品で関税の即時撤廃を勝ち取らなければならなかったのです。
2014年中の年内合意はあっさりと見送られました。
秘策の備蓄スキームでコメ受け入れへ
日米の農産物5項目を巡る交渉のうち、コメだけはなぜか目立った動きがないまま2015年の新年を迎えました。「アメリカはそれほどコメの輸出余力がない。コメに関心はないのではないか」とさえ、まことしやかにささやかれていました。
一方である政府関係者は「アメリカはコメを早い段階で争点に持ち出したら日本がアレルギー反応を起こして交渉が頓挫することを熟知している。逆にいうと最終盤になれば確実にコメの輸入拡大を求めてくるはずだ」と話していました。
この政府関係者の見立ては的中しました。アメリカは主食用だけで17万5000トン、加工用も含めると21万5000トンの輸入拡大を強硬に求めてきたのです。あまりに膨大な量の要求にコメを所管する農林水産省は怒りを隠せずにいましたが、官邸サイドからは「もはやゼロ回答は無理だ。どれだけコメの輸入を受け入れることができるものなのか検討せよ」との指示がおりていました。
ただでさえコメ余り傾向が続き、価格下落の不安にさらされるなか、どうやってアメリカから追加でコメを輸入できるというのか。価格下落を引き起こさない仕組みは考えられるのか。秘策として練り上げられたのが「コメの備蓄制度を活用した価格対策」です。
政府はコメ不足に備えて100万トンのコメを備蓄しています。
この備蓄のために毎年、国産のコメを20万トン買い入れて、5年たったコメは飼料用などとして出荷する仕組みになっています。
この備蓄サイクルを4年に短縮すれば、備蓄を100万トンにするために年間25万トンのコメを買い入れることになります。5万トン分のコメを市場から余計に買い入れるため、逆に市場では5万トン分の余裕が生まれることになります。
ここにアメリカ産のコメをはめ込めば、理論的にコメの需給は均衡がとれ、価格下落は起きないことになります。ただ、コメを多く買い入れるため、追加の国費負担が発生することになります。
政府はこうした極秘の方法を懐に忍ばせ、アメリカ側と交渉に臨んでいました。当時、政府はこの方法をひた隠しにしていたので、NHKがニュースで詳しく伝えると、激しい反応が起きました。
交渉の過程で、農林水産省は財務省と協議し、備蓄サイクルを3年にして年間33万トンを買い入れることで最近の買い入れ実績25万トンとの差、8万トンの輸入受け入れが可能という結論に達しました。財務省と予算上出せるギリギリのラインをつめておいたのです。
こうした調整に基づき、コメを巡る交渉は結局、アメリカ向けに7万トン、オーストラリア向けに8400トン合わせて7万8400トンの輸入枠を設けることで決着しました。
アメリカ、まさかの調整ミス!?
これまでもめにもめて交渉が進まなかった日米の自動車協議は2015年に入ると、ようやく歩み寄り始めました。ある政府関係者は、懸案だった自動車部品の撤廃期間も含め、5月ごろには極秘裏に両国が「握る」段階になっていたと明かします。
日米で握ったなかで重要だったのは「原産地規則」という関税をゼロにする際のルールについてです。原産地規則とは自動車を生産する際にTPPに参加する国で生産された部品をどれぐらいの割合使えば、メイド・イン・TPPと認めて、関税をゼロにするか、その基準のことです。
日本の自動車メーカーはTPPに参加していないタイや中国などでも部品の調達を行っており、この基準を厳しくされると、関税撤廃のメリットが受けられないリスクがあったのです。一方、メキシコとカナダは、アメリカとむすぶNAFTA=北米自由貿易協定ですでに厳しい原産地規則のルールを実現しており、安易にこの割合を引き下げると他国からの部品の流入を招くことになりかねず、日本とは利害が対立する関係でした。
アメリカは日本の立場に理解を示して「握った」わけで、その内容を同じNAFTAのメンバーであるメキシコとカナダに説明し、説得する責任がありました。日本政府も当然のようにアメリカが2国を説得してくれるだろうと信じ切っていました。
しかし、7月にハワイで開かれた閣僚会合で日本の交渉団はとんでもない事実に直面します。アメリカが日米で握った内容をメキシコ、カナダに伝えたのは、ハワイの閣僚会合の僅か1週間前で、両国とも猛反発してきたのです。
5月ごろから2か月も時間があったにもかかわらず、アメリカが何の調整もしていなかったことに日本側はショックを隠しきれませんでした。自動車協議に携わったある政府関係者は「話が違う!アメリカの調整ベタのせいで時計の針を戻してたまるか」と怒りに肩を震わせていました。
何事につけ、「根回し」と「事前調整」を好む日本流と、「正面からの議論」と「その場での決断」を重視するアメリカ流の違いといえばそれまでですが、重要な局面でのまさかのアメリカの調整ミス。ハワイの閣僚会合が大筋合意できなった理由のひとつは原産地規則を巡る調整にあったのです。
だからこそアトランタでの閣僚会合の前に日米はメキシコ、カナダを交えて2回にわたって事前協議を集中的に行いました。
結局、日本側も原産地規則の割合について妥協のカードを切りつつ、例外を認めさせることで日本メーカーへの影響をギリギリの線で抑え込み、長く続いた自動車交渉に終止符を打ちました。
ニュージーランドに対するあめとむち作戦?
「大筋合意を発表する準備が整ってきている」−。アトランタでの閣僚会合のさなか、甘利大臣が大筋合意がもはや時間の問題だと宣言したのは、現地時間の10月4日正午(日本時間5日午前1時)。各新聞は「大筋合意へ」と一面トップで伝えました。
しかし、このとき日本は最後に残ったニュージーランドとの乳製品の詰めの交渉を実は始めていませんでした。一向に大筋合意が発表されないことに現地のメディアも、そして交渉官たち自身ですら混乱を隠せませんでした。にもかかわらず甘利大臣が踏み込んだ発言した背景には、政治家ならではの計算があったようです。
話は7月にハワイで開かれた閣僚会合の前にさかのぼります。ニュージーランドはこのころから、乳製品の市場開放について、高い要求を突きつけていました。しかし、日本の交渉関係者は「ニュージーランドは交渉がまとまるとわかれば必ず要求を下げる」と分析。過度な要求は相手にしないという戦略をとり、ハワイ会合前にニュージーランド側が申し込んできたキー首相と安倍総理大臣との電話会談を受けませんでした。
ニュージーランドは「オバマ大統領とは電話会談ができたのに、なぜ日本はトップどうしの電話会談を受けないのだ?」と日本側の対応に怒りをあらわにしたといいます。
日本政府はアトランタでの閣僚会合前、逆の方策に出ます。ニューヨークで開かれていた国連総会で、安倍総理大臣がキー首相と立ち話をしたのです。TPPについて込み入った話をしたわけではないとされるものの、首脳間で話したことでニュージーランド側の顔は立ちました。
ニュージーランドとしては、最後まで粘るほど利益を得られる可能性が高まるものの、決裂させてしまっては取れるものも取れません。現地時間の午前5時まで交渉して、最後は妥協しました。決着はギリギリまでかかりましたが、日本側の戦略は功を奏したようです。
日本は何を勝ち得たのか
「守るべきは守り、攻めるべきは攻める」。
政府が繰り返してきたTPP交渉のスローガンです。交渉の結果、農業で守ることができた部分があり、工業製品の輸出でメリットがあることは事実です。
一方で、関税を撤廃する割合はこれまでの最高を大幅に上回る95%。農産物ではこれまで高い関税をかけて保護をはかってきた鶏肉やオレンジなど多くの品目で関税が撤廃されます。自動車分野もメリットがあるとはいえ、最大の市場アメリカで乗用車の関税が撤廃されるのは協定発効後25年目以降と気の遠くなるほど先のことです。
12か国が参加する枠組みで、どこかの国が1人勝ちすることはありません。それは交渉参加当初から日本自身が言い続けてきたことでもあります。
では日本は何を勝ちとったのか。ひとつ言えるとすると、これから世界の貿易の標準となりうるルール設計に関わり、それを主導できたということではないでしょうか。今後も世界経済は好むと好まざるとにかかわらず、グローバル化が一段と進展していくでしょう。
各国が豊かさを追い求めて市場を獲得しようという競争の時代。誰がそれを支配するのか。TPPは今の時代に適合した最新の仕組みです。
ただ、TPPだけが唯一の仕組みではありません。中国はAIIB=アジアインフラ投資銀行を年内にも設立し、新しい価値基準を構築しようとするでしょう。アジア太平洋の経済の主導権争いは、始まったばかり。TPPを日本にとって価値ある枠組みにできるかどうかは、まさにこれから。新たな舞台の幕はもう開いています。
http://www3.nhk.or.jp/news/business_tokushu/2015_1029.html
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※ TPP関連投稿リスト
「「TPP共同声明」を読む:米国とグローバル企業が日本のTPP参加で狙うもの:TPP参加と日本の食」
http://www.asyura2.com/13/senkyo144/msg/818.html
「経産省(官僚機構)と経済界は、メリットが少ないTPPより、ずっと大きな利益が見込める「東アジア共同体」を志向」
http://www.asyura2.com/12/senkyo140/msg/450.html
「グローバル(輸出優良)企業があれほどTPP参加に執着するワケ[その1]:輸出ではなく輸入の関税撤廃こそ利益源」
http://www.asyura2.com/11/senkyo122/msg/123.html
「グローバル(輸出優良)企業がTPP参加に執着するワケ[その2]:恐いのは米国企業?それとも日本企業?」
http://www.asyura2.com/11/senkyo122/msg/131.html
「グローバル(輸出優良)企業がTPP参加に執着するワケ[その3]:デフレになじみデフレを利としているグローバル企業」
http://www.asyura2.com/11/senkyo122/msg/136.html
「TPPをめぐる誤解1:日本は「自由貿易」で経済成長を達成したわけでなく、TPP自体が「自由貿易」に反するもの」
http://www.asyura2.com/11/senkyo121/msg/130.html
「米国とのFTAより過酷な交渉になるTPP:理念は参加国全体が共有、具体的適用ルールは二国間の交渉がTPP」
http://www.asyura2.com/11/senkyo121/msg/801.html
「TPP参加の旗振り役=日経は「混合診療」解禁を主張:『「混合診療」とTPPの混合』で生まれる“生き地獄”」
http://www.asyura2.com/11/senkyo121/msg/336.html
「人々を被曝させ食材を危険物に変えた“原発推進派”が農村破壊のTPP参加を我が物顔で推進する理不尽を許す日本」
http://www.asyura2.com/11/senkyo121/msg/504.html
「TPPが抱える時限核爆弾=ネガティブリスト方式:TPPは“おばけ”が出てくる原理と構造を内包した通商協定」
http://www.asyura2.com/11/senkyo121/msg/568.html
「TPP交渉で日本を不利にしかねない主張をベースに、農業問題への矮小化と「撤退可能」論でTPP参加を煽る日経新聞」
http://www.asyura2.com/11/senkyo121/msg/193.html
「TPP:榊原英資氏「日本政府に対米交渉力なし」(理由)「マスコミが後ろから鉄砲を撃つ」「外務省は半分米側につく」」
http://www.asyura2.com/11/senkyo121/msg/867.html
「TPP交渉参加、日米首脳会談で伝達へ…首相:昨年11月に続き二度も「交渉参加」表明!?安倍氏は保守派なのか?」
http://www.asyura2.com/12/senkyo138/msg/839.html
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