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「「『総がかり』という名で市民運動と共産と社会が一緒になりましたね」緊急再鼎談:岩上安身氏」
http://sun.ap.teacup.com/souun/18759.html
2015/11/6 晴耕雨読
https://twitter.com/iwakamiyasumi
これより、2015年10月27日に東京都内で行われた、自民党の憲法改正案に関する緊急再鼎談・澤藤統一郎弁護士×梓澤和幸弁護士×岩上安身の後半の模様を報告ツイートします。
岩上「ここからは澤藤先生を中心にお話を伺います」
澤藤氏「まず、呼び名が『戦争法案』にまとまり、運動が統一的に行われたことのシンボルにもなったと思います。1985年の『スパイ防止法』案の時は、反対派は呼称を統一できませんでした」
澤藤氏「『国家秘密法』と『国家機密法』で使い分けられていました」
岩上「言葉ひとつを見ても、伝統的な社会党と共産党の対立のような意地を張り合いではなく、お互い手を結ぼうという柔軟さが出てきましたね」
澤藤氏「戦争法案では、立憲主義、民主主義、平和主義の3つの理念をめぐるたたかいだったと思います。何よりも意識されたのは立憲主義。立憲主義は、選挙で勝っても憲法の範囲内のことしかできないという、民主主義の限界を意識すること」
澤藤氏「民主主義は、市民の政治参加です。それは権利でもあり責務であると思います。投票日だけが主権者で後は政権にお任せではなく、常に政治を監視し、能動的に政権に影響を与え続けなければなりません」
岩上「選挙で選んだんだから文句を言うな、というのはとんでもない話だということですね」
澤藤氏「民主主義は手続き重視という側面もあります。権力の行使の仕方は厳密に決められているのに、乱暴に踏みにじられたから、みんなが怒りました」
澤藤氏「本当に戦争法は成立したのか。喧騒と混乱はあったが、委員会採決はなかったじゃないか、委員会で成立していないものを本会議に報告しても意味はないじゃないかと。多くの人が主権者として政治参加の必要性を自覚しました」
澤藤氏「平和主義をめぐるたたかいでもありました。吉田茂、幣原喜重郎など保守政治家は、『自衛のための戦争はありうる』と論陣を張った共産党の野坂参三に対し、一切の戦争はしない、非武装平和主義を貫くという理想を掲げました」
澤藤氏「それが、1952年の保安庁法成立で専守防衛路線に舵を切り、54年に自衛隊ができました。当時は個別的・集団的の議論はありませんでしたが、同年、参議院全会一致で自衛隊の海外派遣をなさざることの決議をしています」
岩上「そういうことを積み重ねてきたんですね」
澤藤氏「それは今も生きています。攻撃型の武器は持たない、空母は持たない、と。軍隊ではないから軍隊用語も避けてきました。それは今も空文になったわけではありません」
岩上「多くの人は、非武装平和主義は共産党が言っているんだろうと誤解しています」
澤藤氏「自民党の吉田茂や幣原喜重郎です。大変立派なことを言っていると思います」
岩上「知られていないと思いますが、大事な歴史のポイントですね」
澤藤氏「自民党の保守本流は、非武装平和主義から専守防衛路線に変わり、安保は合憲という立場になりました。それでも専守防衛ですから、侵略戦争は絶対にしない、海外には出ない、自衛隊は最小限にするという考えです」
澤藤氏「平和主義だが自衛隊は持ち、心許ないので安保も持つということです。非武装平和主義はそれを違憲だと言って対立してきましたが、集団的自衛権行使容認の安倍政権と追随者に挑まれて、非武装平和と専守防衛の両者が団結しました」
岩上「中道と左派が手を結んで右派に対抗せざるを得なくなったということですね」
澤藤氏「そうです。平和憲法は9条だけでなく、基本的人権を守るために、今までになかった『平和的生存権』という新しい概念をつくりました」
澤藤氏「全世界の国民が平和のうちに生きる権利を有することを確認しているのです。平和的生存権を保障するために、憲法体系ができていると言えます。したがって、集団的自衛権を含む今回の戦争法体系は憲法に乖離しています」
岩上「平和憲法で非常に大事な前文をめぐって、首相の答弁を引き出す議論がなされていないと指摘したのは、民主党の小西洋之さんです。昭和47年見解の要求質疑で、当時の吉國一郎・法制局長官が集団的自衛権は認めないと答えています」
岩上「小西さんは国会でも質問しましたが、スルーされました。これに言及したのが元最高裁判事の濱田邦夫さんです。公聴人として『これは違憲です。理由は昭和47年見解に反しています』とおっしゃったのです」
澤藤氏「メディアは読売・産経を除いて味方でした。地方紙もとてもよかった」
岩上「読売・産経は保守反動の最悪のメディアと思われていますが、今回、最悪はダントツでNHKですよ。確信犯的な報道の歪め方は、産経の比ではありません」
澤藤氏「学者や法曹界、元内閣法制局長官、元最高裁長官も発言された。こういう人たちを引っ張り出せるような雰囲気を大衆運動がつくったと思います」
岩上「『総がかり』という名で市民運動と共産と社会が一緒になりましたね」
澤藤氏「味方の政治的立場は、A.違憲だから憲法を変えてやるべきという『形式的立憲主義派』、B.安保も自衛隊も合憲と考える専守防衛路線の『戦後の保守本流』、C.安保も自衛隊も違憲という『伝統的護憲派』の3つがありました」
澤藤氏「戦後の保守派は非武装中立から専守防衛に変節しましたが、まじめな専守防衛だったと思います」
岩上「政治的な妥協を重ね、民意にも耳を傾けながら、現実的なところにどう落とし込むか、呻吟しながら作ってきたものですよね」
澤藤氏「防衛費もGDP比1%の枠をはめ、節度を守ってきました。今回は、彼らも安倍政権と闘わざるを得なくなり、BとCの共闘がうまくいきました。運動の中核で頑張ったのはCだと思いますが、Cの陣営の狭さをAとBが補いました」
岩上「Bは穏健保守、中道リベラル、現状を変えなくてよいという無関心層など、かなり雑多なマスの層ですね。Cのように丸裸になるのは怖いけれども、Cが自らの主張を棚上げにして一生懸命やってくれるなら、組めるよね、と」
岩上「安倍政権は集団的自衛権行使、違憲も構わない、どこまでも対米従属、その一方でナショナリスティックな主張をして改憲へ。これは非常事態だから組めるね、となって、形式的立憲主義の人も加わりました」
澤藤氏「組織動員型から非組織の市民中心型の運動になったと言われていますが、地を這うように運動してきた政党や市民団体を軽視してはなりません」
梓澤氏「組織の力は、参院選でたたかっていく布陣として大事なことだと思います」
岩上「ただ、各政党には人を集める大きな力はなかったし、労働組合は必ずしも褒められたものではなかったと思います。とくに連合は原発に関して。というのは、今回の運動には、3.11に始まる前史があります」
岩上「3.11以降、集会やデモなど自分で動く人たちが増え、さらに原発だけでなく、TPP、特定秘密保護法、対米従属のマルチイシューだと初めて気づいた人たちが増えていきました」
岩上「そのなかで、特定秘密保護法に反対する弁護士や大学の教員たちの大きな影響を受けて、学生たちがSASPLを組織しました。その運動はついえましたが、彼らが中心となってSEALDsができました。彼らのアピール力はたいしたものでした」
岩上「60年、70年安保では教員と学生が断絶していましたが、SEALDs世代は上の世代に敬意を払うんですよ。『自分たちが始めたのではない、先輩が70年間守ってきたものを受け継いでいる』と」
岩上「それに大人たちが感涙して、『この若者たちを応援しなくて大人はどうする』とばかりに学者の会をつくり、一万数千の署名を集めました。次に、ママさんたちが動きました。運動論も何も一切関係なく集まってきた人たちです」
岩上「それから、原発の時から頭数になると言っていたOLDsがデモをやるとなって、それを支えようとMIDDLEsが出てきた、という順番だと思います。並行して、『総がかり行動』が今までのいろんな対立を乗り越える形で生まれていました」
岩上「総がかりとSEALDsは、同じ日に同じ場所ですみ分けしながらデモを行い、参加者が増えていきました。その様子をネットで観た人たちが全国で好き勝手にやるわけですよ。『アベ政治を許さない』というプラカードをコンビニで印刷して」
岩上「田舎でも村デモをしたり、釧路ではプラカードを持って一人で立っていたら200人以上の人が集まったとか、国道で数人がプラカード掲げて立ったり。まったくの個人でやっている人たちがいっぱいいます。どこにも与していない」
澤藤氏「今回は個人が前面に出てきましたが、今後、それがどうなるか。SEALDsについても評価はしますが、かつては街頭で何かをやるよりは、職場や地域に根ざして何かをやることが非常に大切だと言われていました」
岩上「職縁とか地縁ですよね。でも今、何よりも大きなのは『電縁』です。電子ネットワークで生まれる御縁で、この方がはるかに多くの人が集まります。新しい集まり方で、人の出入りはありますが散り散りにならず、人間関係が継続しています」
澤藤氏「敵のイデオロギーは中国脅威論と抑止力期待論です。我々が負けた、という表現は正確ではないかもしれませんが、その原因は、数の暴力と安倍政権の求心力があります。これからの課題は、中国や北朝鮮の脅威論や嫌韓論をどう克服するか」
澤藤氏「特定秘密保護法と戦争法の合併症に加えて、これまで持っていた9条ブランドは早晩なくなるかもしれず、非常に大変なことです。戦地に自衛隊を派遣し、戦死者も確実に出ます。そうなればナショナリズムの高揚の危険が高まります」
澤藤氏「これから成すべきことは、本流は選挙協力をして安倍政権の打倒、立憲派政権の樹立による戦争法の廃止、改憲を阻止することです」
岩上「その通り。選挙協力の時点から、改憲阻止という旗をたてないといけないと僕は思うんですよね」
澤藤氏「傍流としては、戦争法賛成議員に対して、できるだけ早く落選運動をやりましょう。まずは来年の参院選地方区の改選議員で自民・公明、修正に応じた3党の42人をリストアップして担当を決め、ありとあらゆる公開情報をネットに集めましょう」
澤藤氏「国民の総意で『再び戦争はしない』と言って再出発したはずなのに、おかしくなっています。抵抗する自由、表現する自由、集会結社の自由を守るだけではなく、行使しなければなりません。萎縮しないことがとても大事です」
澤藤氏「弁護士の自治もとても大切です。戦前、弁護士は自治権を持っていませんでした。治安維持法で起訴された人を弁護すると、共産党の利益のために弁護したと言われて治安維持法違反に問われ、大日本弁護士会は擁護もせずに除名しました」
澤藤氏「その反省から、現在は公権力から直接の指揮監督を受けず、弁護士の不祥事に対しては弁護士会が懲戒権を持っています。しかし、自治権を失い、最高裁や法務省の監督下に置かれたら、今のような弁護活動はできなくなります」
岩上「共産党の志位委員長は『日本はある種の非常事態』として、安保法制と『7.1閣議決定』を廃止し立憲主義を回復するため、来年の参院選で野党5党が統一戦線を張って安倍政権を退陣に追い込み、暫定政権の『国民連合政府』樹立を呼びかけました」
岩上「TBS JNNの世論調査によると、国民連合政府に期待する人は37%。野党5党の支持率合計の15.9%よりも20%高いことから、無党派層の声が反映されている可能性が高いと思われます」
岩上「しかし、民主党右派の長島、前原、細野、金子ら各氏は共産党との選挙協力には絶対反対。長島さんは、民主党は真ん中から右のウィングに出るべきだ、党内で同意見の議員は約30人いると話しています。連合の支持を受けている人も同じ考えではないかと」
岩上「民主党が右に行くなら自民党で十分と思う人の方が遥かに多いと思いますけどね。しかも、連合と全労連が安保法制反対の『総がかり』で、共通経験を重ねたことはすごく重要。選挙でも考え方の違いを棚上げにしようという話し合いをしてくれるかもしれません」
岩上「もし連合と民主党が右に寄れば自滅して弱小勢力になり、自民党に吸収されかねません。そうなると大政翼賛会です。なかなか動きを見せなかった民主党リベラル左派から、阿部知子さんがやっと発言しました」
岩上「早速、私のインタビューを受けて頂き、『比例区だけでも立憲民主党という枠で、各党の候補を入れ込んではどうか』と話されました。これは生活・小沢さんのオリーブの木構想とほぼ同じです。もちろん共産党のアイデアとも一致します」
梓澤氏「政権交代後の民主党でひどい目にあった、だから自民党を信じる、と言う人たちが地域で自民党の地盤を固めています。こういう人たちをいかに動かし、また電縁をきっかけに戦争法案に反対した人たちの票を選挙につなげるかが課題です」
岩上「共産党は戦争法案の廃止と安倍政権の打倒を一生懸命、訴えていますが、他の党は非常に甘い動きをしています。自民党の改憲草案は立憲主義も人権も破壊する、クレイジーでものすごく危険ですから、共産党にはこの問題も掲げてほしいですよね」
岩上「今度の参院選は、自民の憲法草案に諾否を与えてしまう選挙です。それが自民党の裏の目的ですから。みんなで志位さんに言ってほしいです。私も直接言いましたが、『うーん、でも後ろ向きだから』という返答でした」
梓澤氏「改憲案をもっとやってくださいと志位さんに言うことのほかに、中央ではなく選挙区で、共産党と民主党候補で具体的な協力の話し合いの動きをぜひつくるべきだと思います」
岩上「民主党は、選挙協力はしたがっていますからね」
岩上「国民連合政府の約束はしたくないけれども。改憲反対を掲げると、与党に3分の2をとらせてはいけないという数値目標がはっきりします。当選後に裏切らせる手法もとってきますから、それをさせない統一戦線をつくることと十分余裕を持つことが必要です」
岩上「憲法学者の樋口陽一さんが、いつか9条を変える日が来るとしても、『この政権に触らせてはならない』と話されました。その通りだと思います。9条だけでなく、立憲主義も人権も言論の自由も、憲法の重要な条項がすべてズタズタになってしまいますから」
岩上「安保法制とコインの表裏で進められているTPPで、貧困化も進みます。米政府のウェブサイトに『TPPは我が国に仕事と富と市場をもたらします』『昔の砲艦外交や軍事介入の代わりに、今はISD条項を使います』と書かれています」
岩上「しかも、ISD条項が米国の不利益になる可能性を問われて、ISD条項による紛争解決で、米国は『過去30年間、一度も負けていない』と説明しています。これで怒らないなら、右翼も保守もその看板を下げろと言いたいです。人権や民権を言う左翼の人も」
澤藤氏「とにかく改憲草案があからさまな彼らの本音ですよね。非常に分かりやすい人権破壊体系だし、民主主義や人権を守るための立憲主義になっていません。このことをきちんと強調したいと思います」
梓澤氏「『前夜』増補改訂版をぜひ早く仕上げて、皆様に届けたいと思います」
岩上「『当日の朝』は目の前。ここが踏ん張りどころです。杞憂に終わることを願いますが、そうなるにはヘトヘトになるまで抗して、やっとつかみ取れるかどうかでしょう」
以上で「自民党の憲法改正案に関する緊急再鼎談・澤藤統一郎弁護士×梓澤和幸弁護士×岩上安身」後半の報告ツイートを終了します。
記事URLはこちらです→ http://iwj.co.jp/wj/open/archives/272308 … @iwakamiyasumi
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