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2015/11/02 05:44
<TPP=環太平洋パートナーシップ協定交渉の大筋合意を受け、自民党は今月取りまとめる国内対策の提言に、農業関係者らの意見を反映させようと、小泉進次郎農林部会長らを7つの道と県に派遣し、要望の聞き取りを行うことになりました。
TPP交渉の大筋合意を受け、自民党は先週、国内対策を検討する総合対策実行本部を開き、緊急に取り組むべき対策などを盛り込んだ提言を今月20日までに取りまとめることを確認しました。
自民党は、農業関係者を中心にTPPの影響を懸念する声が出ていることを踏まえ、今月6日から3日間、小泉進次郎農林部会長や、西川元農林水産大臣らを北海道や兵庫県など、7つの道と県に派遣することになりました。そして、生産者に大筋合意した内容や、農林水産省がまとめたコメや小麦など品目別の影響などを説明したうえで、具体的な要望を聞き取って、提言に反映させたうえで、政府に申し入れることにしています>(以上「NHKコュースウェッブ」より引用)
TPP実施による貿易収支の「損益」をマスメディアはステレオタイプを国民に刷り込もうと躍起になっているようだ。それは農業では日本に損失が及ぶが、製造業では利益に働く、という矮小化した議論だ。
しかし事実上、関税率50%近い引き下げと同等の効果をもたらした「円安」でも日本の輸出はそれほど伸びなかった。むしろ世界的な原油価格下落がなかったら、日本の貿易収支は壊滅的になっていただろう。関税率減50%近い円安でも国内産業はそれほど活性化しなかった。ただ企業の内部留保だけが異常に膨らんだだけだ。
TPP実施による関税撤廃が日本の農業を直撃するのは議論の余地はない。その手当の空手形を自民党は早くも発行しようと躍起になっているが、TPP関税撤廃はその程度の対策で解消されるほど一面的なことではない。
むしろ非関税障壁の撤廃こそがクセモノだ。TPPの問題は関税自体の撤廃だけではなく、本質は関税と同等の日本社会制度のあり方も「関税」と同じ働きをしている、と米国の投機家が指摘される「内政干渉」にある。それは指摘だけにとどまらず米国主導の世界銀行に設置された調停で裁定され国家賠償を求める、というものだ。これほどの不平等条約があるだろうか。
かつて江戸時代末期、国際貿易と為替のありように対して無知な幕閣を黒船で恫喝して、不平等な日米修好通商条約を締結させた当時と米国は何も変わっていない。そして無知な幕閣が安倍自公政権に置き換わっただけだ。
年間予算総額100兆円の日本国内の社会保障制度に米国がヨダレを流して凝視しているのは指摘されて久しい。郵政は民営化というプロセスを経て解体され、バラ売りで安く外資に買い叩かれる途上にある。それと同様な運命を日本の社会保障制度もたどろうとしている。その突破口がTPPによるISD条項だ。
かつて民主党の「国民の生活が第一」政策の一環として、未来への投資「子ども手当」を批判する際に、マスメディアは煩いほど「財源は、」と追及したが、安倍自公政権の野放図な公共事業の大盤振る舞いや海外漫遊でばら撒く援助等に関して一切「財源は、」と批判しない。今回のTPPによる関税撤廃で国庫に入っていた関税の歳入がゼロによるというのに、マスメディアは数兆円の関税歳入が消えるという観点から一切論じていない。
そのクセ10%消費増税時の軽減税率で消費税収入が減少する、などとワケの解らない議論を国民に刷り込むのに余念がない。この国のマスメディアは腐り切っている。全体像を伝えないで議論を矮小化するのはこの国のマスメディアのお家芸だ。小泉JRが農業対策で島根などを漫遊したと報じているが、この国の自給率をいかにして維持し、食糧安保を日本はどのように確保するのか、という観点なしに農業対策をやったところで、それは「国民の生活が第一」の政治ではなく、業界のための政治に過ぎない。まさしく壊れたレコードを国民は聞かされ続けることになる。それもこの国の翼賛マスメディアの犯罪の一つだ。
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