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日本植民地化最終兵器としてのTPPー(植草一秀氏)
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1st Nov 2015 市村 悦延 · @hellotomhanks
日本郵政、ゆうちょ銀行、かんぽ生命の株式が11月4日に上場される。
郵政民営化は、悪名高い「年次改革要望書」で米国が要求し、小泉政権が強引に実現したものである。
その後、民主、社民、国民新党の連立政権によって株式売却に歯止めがかけられたが、
野田政権以降の政権が路線を逆に戻して、株式が公開されることになった。
米国は三つの「お宝」に目を付けた。
第一は郵貯の巨額マネー。
第二は簡保の保険マネー。
第三は日本郵政が保有する巨大な不動産資産である
これらは、すべて、日本国民共有の財産である。
この巨大資産をかすめ取ることが米国巨大資本の目的である。
小泉純一郎氏が郵政民営化に突き進んだ第一の理由は、米国がこれを命令したからである。
日本の政治家の多くは米国の命令に隷従する。
その理由は、米国の命令に従っていれば、我が身が安泰であり、我が身の経済的、
社会的利益がもたらされるからだ。
日本をどのような国にするか、日本国民のための利益などは考えない。
自分の利益になればそれでよい。
日本が真の独立を果たしていない、などということはどうでもよいことだと考えるのである。
この種の志の低い、低劣な政治屋が多いことが日本社会の貧困を生み出している。
敗戦から70年もたつというのに、いまだに日本は独立さえ確立できていないのだ。
米国が郵政民営化を要求する際に、もっとも強い関心を注いだのは、実は保険マネーである。
米国では保険業界の政治的影響力が強い。
この保険業界が日本の簡保マネーに目を付けた。
これが郵政民営化の最大の原動力になった。
もちろん、郵貯300兆円のマネーもターゲットであった。
2007年秋以降に米国でサブプライム金融危機が進行してゆく過程で、
竹中平蔵氏は郵貯マネーをサブプライム危機支援に投入することを提言した。
米国と通じる竹中氏が、米国の郵貯マネー収奪の策略を垣間見せたことは象徴的な出来事であった。
この時点で郵貯マネーを米国金融機関に注ぎ込んでいたなら、
日本の国民金融資産は巨大な損失に直面したはずだ。
米国が求めることなら、日本国民の財産がどうなろうと関係ない。
この「思想」が明確に透けて見えてくる。
日本政府は日銀から借金して、1.3兆ドルもの米国国債を購入した。
いまも約1.3兆ドルの残高を維持している。
これが日本政府の外貨準備高である。
しかしながら、過去の円高の進行によって、この巨大資産に巨大損失が発生した。
2007年央を起点に考えると、投資元本合計150兆円が2011年末には100兆円を割り込んだ。
たった4年半で50兆円もの巨額損失を生み出したのである。
年金運用会社が1000億円の損失を計上して刑事事件にまで発展したが、
日本政府は外貨準備の運用だけで、何と50兆円もの損失を生み出したのである。
その損失が2012年以降の円安で大幅に縮小した。
1ドル=120円の円安水準で、外貨準備の為替損失は解消した。
したがって、ドルが高い水準にあるいま、
保有してきた米国国債を全額売却して損失の回収を図るべきである。
千載一遇のチャンスである。
ところが、安倍政権は保有米国国債を1ドルたりとも売る気配さえ示さない。
安倍政権は米国債を購入した150兆円の資金は、
米国に貢いだ上納金であると認識しているのだ。
貸したお金ではなく、貢いだお金なのである。
こうして、日本国民の貴重な財産は、悪徳な、自分の利益しか考えない、
利権政治屋、売国政治屋によって、外国資本に献上されているのである。
他方で、政府保有株式の管理を行っている財務省は、
その「管理している」権限に基づいて、こうした「民営化」企業に天下りし続けている。
自分の利益だけを考えているのは利権政治屋だけではない。
官僚組織こそ、自己の利益追求しか考えない、シロアリ集団なのである。
安倍政権は、
原発を推進し、集団的自衛権行使を容認し、TPP参加に前のめりになっている。
さらに、辺野古米軍基地建設を強行している。
すべては米国の命令、指令に基づいている。
傀儡政権なのである。
この米国の命令は、米国を支配する巨大資本の利益を極大化するためのものである。
原発稼働は許されるものではないし、集団的自衛権行使容認は、
米国が創作する戦争に日本が強制的に加担させられるための仕組みである。
主権者の意思を踏みにじる、まさに「暴政」が展開されているが、
対米隷属の安倍政治の究極の中心は、
TPP
である。
日本破壊、
日本米国化
のための最終兵器であると言ってよい。
原発、戦争法が、一点集中の政策であるのに対して、
TPPは日本全体を覆い尽くす面、
日本のすべての空間を支配する立体としての、
日本破壊装置、
日本の完全植民地化
のツールなのだ。
外国の肉が安く食べられるようになってうれしい、
などという無邪気な感想など、TPPにもっとも似つかわしくないものだ。
グローバル強欲巨大資本が、
日本市場を完全収奪する
日本を完全に米国化する、
日本を完全なる植民地とする
ための究極の最終兵器。
それがTPPである。
TPPの怖さとして秘密交渉、4年間の守秘義務などが指摘されている。
たしかにこうした点も問題ではあるが、何よりも重大な問題であると考えられることは、
TPPがもたらす影響の全貌が、当初は見えないことだ。
TPPには
ISD条項という
大量破壊兵器が隠されている。
大量の人間を瞬時に死に至らしめる猛毒ガス、サリンのようなものと言ってよいだろう。
このサリンがすぐにばら撒かれるわけではない。
10年後、20年後、あるいは30年後に、ひそかにばら撒かれることになるのだ。
気付いた時には日本全土が焦土と化しているだろう。
日本がせん滅されるのである。
日本全体が、グローバル強欲巨大資本の収奪の場に切り替えられる。
日本のメディアは、政府の指令に従って、いま、
TPPポジティブキャンペーン
を展開している。
TPPによって、輸入牛肉や、輸入乳製品がこんなに安くなりますよ、
と盛んに宣伝している。
困るのは、日本の農業生産者だが、これらの人々は、
これまで過保護のなかでぬくぬくとしてきた人々だから、むしろ競争の寒風にさらされるのは当然でしょう。
こんな話ばかりが流布されている。
本当にメディアの質の劣化は目を覆うばかりである。
TPPは、
日本の公的医療保険制度を破壊し、
食の安心、安全を破壊し、
日本農業を破壊し、
食料自給率を低下させ、
労働者の権利を破壊し、
さらに、
日本の各種共済制度を破壊するものである。
TPP交渉差止・違憲訴訟が提起されて、9月7日に第1回口頭弁論が行われた。
原告から意見陳述が行われた。
11月16日午後2時半より、東京地方裁判所にて第2回口頭弁論が開かれる。
第1回口頭弁論で、第2回口頭弁論においても意見陳述が行われる方針が確認されたが、
裁判所が方針を変えて、意見陳述を認めないとの主張を示している。
国の根幹を揺さぶるTPP、
そして、
違憲条約であるTPP
を阻止することは、憲法第13条が定める国民の幸福追求権を侵害するものである。
このTPP交渉を差し止め、違憲を確認しようとする訴訟で、
裁判所が不当な指揮を行うことは断じて許されない。
11月16日(月)の第2回口頭弁論当日、午後1時30分より、
東京地方裁判所正門付近において、門前集会が開催される。
一人でも多くの主権者が参集して、不当な裁判が行われぬよう、監視しなければならない。
一人でも多くの主権者の参集が求められる。
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