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問題だらけの軽減税率 〜天下り先確保、野放しの脱税、そして増税…得をするのは金持ちだけ 古賀茂明「日本再生に挑む」
http://gendai.ismedia.jp/articles/-/46097
2015.10.31 週刊現代
軽減税率の議論が最悪の方向に向かっている。
まず、財務省が提案したマイナンバーカード利用の「還付案」は、本コラムで指摘した通り(9月26日・10月3日合併号)、あまりにも筋が悪く、あっという間に葬り去られた。
還付案では、酒を除く食料品全般を軽減の対象とする代わり、還付額に4000円程度の上限を設けようとしていた。上限を設けないと、年間1・3兆円もの税収減となるからだ。
これが白紙撤回されると今度は、食料品全部を対象にするのではなく、軽減の対象を限定しようという話になってきた。
もちろん、これは財務省が描いたシナリオだ。彼らの計算はわかりやすい。特定の品目を軽減対象として認める代わりに、その関連業界の団体や企業に天下りを送ろうというのだ。もちろん、族議員たちも、献金と選挙協力という見返りを得られる。
しかも、財務省は、最低でも2年ごとに品目見直しを行うことにするだろう。そうすれば、2年に一回、見返りを要求できるからだ。これは巨大な利権になる。
次に問題なのは、中小企業を中心とした脱税の構造が固定化されることだ。軽減税率を導入すれば、軽減品目かどうかを区別して経理処理し納税することになる。その事務負担増大を避けるため、中小商店はこれまでのような大雑把な申告方式を認めろと大合唱するだろうし、公明党がすでに同じ主張をしている。自民党も選挙対策で、これを認める方向だ。
欧州では、インボイス方式と言って、どの企業からどの品目を仕入れて、その品目の税率がいくらかということを全て記録して税務申告している。そうしないと脱税が横行するからだ。
実は、現在でも、サラリーマンと違って、中小商店の売り上げ・仕入れの捕捉は十分ではない。税務署としては、これを全て把握するのが悲願だった。今回は、それが失敗に終わるだけでなく、脱税の機会はさらに広がることになりそうだ。
インボイス方式が欧州でできて日本でできないわけがない。できないのではなくて、やると困る人がいるからやらない。消費者や一般サラリーマンから見ると許しがたいことではないか。
そもそも軽減税率を導入して、得をするのは、金持ちである。彼らは、100グラム1000円のステーキを買える。消費税を2%軽減してもらえれば、20円の得。一方、庶民はスーパーの特売などで100グラム100円以下の鶏肉しか買えない。2%軽減で2円分しか得しないのだ。
金持ちにも軽減して、税収が減れば、その分は、社会保障から削ると自民党は言う。そのしわ寄せを受けるのは、低所得層だ。
さらに、軽減対象を広げれば、大幅に税収減となり、さらなる増税の根拠にもされるだろう。
こう考えると、軽減税率は問題だらけだ。軽減税率の代わりに、増税で打撃を受ける低所得層に絞って、助成金を支払う手法(給付付き税額控除もその一つ)のほうがはるかに効果的だし、景気刺激効果も期待できる。
国民は、軽減税率の対象品目に一喜一憂するのは止めて、立ち止まって冷静に考える時なのではないか。
『週刊現代』2015年11月7日号より
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