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森永卓郎の「経済“千夜一夜”物語」 TPPの舞台でも太鼓持ち
http://wjn.jp/article/detail/7710958/
週刊実話 2015年11月5日号
TPP交渉の大筋合意を受けて、農林水産省が妥結内容を発表した。日本が課している農産品834品目の関税の約半数が撤廃される。例えば、ブドウ、小豆、ツナ缶の関税は即時撤廃となり、ワイン、オレンジ、鶏肉、紅鮭などの関税も、6〜11年かけて撤廃されることになった。
それだけではない。政府が重要5品目と位置付けたコメ、ムギ、豚肉・牛肉、乳製品、甘味資源作物についても大幅な譲歩がなされた。コメは、関税を残したが、米国と豪州に7万8400トンの無税輸入枠を与えることになった。小麦は、実質的な関税であるマークアップ(売買差益)を45%削減、牛肉の関税は現行の38.5%から協定発効15年後に9%まで段階的に引き下げる。
「聖域には指一本触れさせない」と与党議員が言い、国会決議まで行ったのに、約束は反故にされたのだ。しかも、豪州やニュージーランドが国益を守るために最後まで戦ったのに、日本政府は夏以降はほとんど何の抵抗もせず、むしろ米国の応援団に回る始末だった。
今から思うと、交渉は茶番だったのかもしれない。改めて国会決議を読み直すと重要5品目については、「段階的な関税撤廃も含め認めないこと」と書かれている。5品目とも大幅譲歩をしたが、完全な関税撤廃はしていない。
しかも、「ルールの統一」でも同じことが行われた。日本政府はISD条項の導入に否定的だった。ISD条項というのは、海外進出を目指す企業が進出先に非関税障壁がある場合には、進出先の政府を訴えることができるというものだ。この条項を使うと、都合の悪い法制度を何でも変えさせることができる。しかし、国会決議では「濫訴防止策等を含まない、国の主権を損なうようなISD条項には合意しないこと」となっている。今回のTPP合意では、まさに乱用防止策を入れたうえでTPP条項が採用されることになった。
これまでも、北米自由貿易協定で、米国企業が買収したメキシコの業者が、廃棄物処理施設を建設するのをメキシコ政府が環境問題を理由に許可しなかったとして、ISD条項で訴えられ、メキシコ政府が賠償金を支払うことになった。訴訟になれば、大部分が米国の勝ちに終わっている。
日本がどのような分野で訴えられるかは不明だが、仮に訴えられなくても、日本政府が先回りして訴訟を回避するという行動は、十分に予想できる。
例えば、軽自動車だ。税制面で優遇されている日本の軽自動車の制度は、非関税障壁だと米国はずっと主張してきた。そして政府は軽自動車税を今年4月から1.5倍に引き上げた。日本が生産国による差別をしているのではない。米国の自動車メーカーが軽自動車を作れば、国内メーカーと同様に税制優遇は受けられる。しかし、米国のメーカーには軽自動車を作る技術がない。だから、軽自動車の優遇そのものを批判してくるのだ。
このような形で、今後、TPPに基づく「ルールの統一」が進んでいくだろう。具体的にどの分野でそれが起きるのかは分からない。米国が何を要求してくるのか定かでないからだ。分かっていることは、米国の要求を何でもかんでも聞かなければならなくなるということだけだ。
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