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「法律の捻じ曲げ解釈を許さないために…風塵だより51「マガジン9」:鈴木 耕氏」
http://sun.ap.teacup.com/souun/18693.html
2015/10/29 晴耕雨読
2015年10月28日up 風塵だより51 法律の捻じ曲げ解釈を許さないために… から転載します。
http://www.magazine9.jp/article/hu-jin/23645/
安倍首相は、内閣改造をしたにもかかわらず、臨時国会を開こうとしない。その理由が「外交日程がつまっているから」だという。しかし、閣僚の半数を新しく任命したのだ。新大臣たちの所信表明を国会で行い、それをもとに新しい内閣の方針を議論するのが、政府の当然の責務ではないか。
各閣僚に対する質問や審議は、国会を開けばできる。それこそ「#菅官房長官語で答える」ように、「粛々と」進めればいい。もしそれができないというのであれば、新大臣たちは“親がいないと何もできない甘ったれた子ども”と言われても仕方ない。そんな頼りない連中を、安倍首相は大臣に任命してしまったのか。
もっとも、下着泥棒とか暴力団がらみ、竹刀がバラバラになるほどの体罰元プロレス教師、カネの問題、選挙区に顔写真入りカレンダーをばら撒いた公選法違反の疑いの沖縄担当大臣…などと、あっという間のスキャンダル噴出内閣では、安倍首相の本心としても「国会で追及されるのはヤだもんね」ということだろう。
その間にも、安倍お得意の「ばら撒き外交」は健在。カザフスタンやタジキスタンなどを歴訪して、大金で各国の歓心を買いまくる。いったいこのカネはどこからひねり出すのか…。
アベノミクスの失敗は誰の目にも明らかなのに、それを隠すために「一億総活躍社会」なる空疎なお題目をぶち上げ、さらに「新3本の矢 @希望を生み出す強い経済、A夢を紡ぐ子育て支援、B安心につながる社会保障」を放つという。まるで絵に描いた餅。
特にBではスローガンとして「介護離職ゼロ」を掲げた。つまり、親の介護をしなければならないため、現在の勤めを辞めざるを得ない人の数をゼロにする、というわけだ。
しかし、東京商工リサーチが公開した資料によると、2015年1〜4月の「老人福祉・介護事業」の倒産は、前年同期より6割増の31件、負債総額も34億3300万円と前年同期から21.3%も増加して、過去最悪のペースだという。原因は、安倍政権によって4月に施行された「介護報酬の引き下げ」が、特に小規模の介護事業所の運営を直撃したものと思われる、と同リサーチは分析している。その上に、年収で一定条件を満たす高齢者の介護保険自己負担額を2割に引き上げ。
安倍政権ほど言うこととやることの違う政権はめったにない。利用者の自己負担額を増やし、さらに介護報酬を引き下げれば、事業所の経営が悪化するのは当然ではないか。
いったいどの口で「介護離職ゼロ」などと言えるのだろう。しっかりと介護施設の充実を図り、そこで働く人たちの待遇を改善していけば、こんな倒産増加などという事態が起こるはずがない。それを放置しておいて「安心につながる社会保障」など、白々しいにもほどがある。
そういうところのカネは絞れるだけ絞っておいて、安倍本人は海外に出かけ、得意顔でカネをばら撒いてくる。この感覚、どこかおかしい。
こんな安倍政権のやりたい放題に怒り、野党共闘を求める声が大きくなっている。
あの共産党でさえ、ここにきて政策の大転換。全選挙区での候補者擁立を取りやめ、全野党共闘で「安倍自民党打倒」のために手を組もう、と言い出した。共産党のこの提案には、さすがに驚いた。これまでは、とにかく「党勢拡大第一」として、頑なな態度に終始していた共産党を、何がこうまで変身させたのか。
ひとつは保守も革新も手を結んだ「オール沖縄」の勝利の経験であり、もうひとつは「SEALDs現象」であろうと、ぼくは思う。
目的をひとつ(沖縄では辺野古の米軍新基地建設反対の一点)に絞り、それ以外のことはひとまず棚上げにして手をつなげば勝てる、ということを沖縄の闘いは示した。それを、今度はSEALDsが「オール日本」という形の可能性で見せてくれた、ということによる。
沖縄の勝利を日本全国へ広げること。それにはまず「違憲の『戦争法』を潰すために、参院の与党を過半数割れに追い込む」という「一点共闘」で手をつなぐこと、それがSEALDsの見せてくれた可能性だったのだ。その可能性に、共産党はいち早く乗った。
だが、野党第一党の民主党は、腰が定まらない。
党内には「共産党アレルギー」を持つ議員が少なからず存在する。なにしろ、新自由主義ベッタリ、原発推進、集団的自衛権容認、9条改憲賛成、靖国参拝、日本会議会員までいるのだから、共産党と手を組むことに賛成できないのも当然だろう。
そこで、ぼくの提案だ。
民主党は「個別(個人)共闘」を図ればいい。つまり、共産党や社民党、生活の党、維新まで含め、手をつなごうという民主党候補者は勝手にやるのだ。党中央の意向など知ったことか、である。どうせバラバラなのだから、各候補者が自分の判断で「私は野党共闘に参加する」と宣言すればいい。そして、他の野党からの推薦を受け、それをきちんとポスターに明示する。
「民主党候補 何野何太郎 共産党・社民党・生活の党・維新・各党推薦」とデカデカと刷り込むのだ。
むろん、共闘に参加しない候補者の選挙区には、他の野党からも立候補者が出るだろう。そうなれば不参加候補者はまず間違いなく落選する。自業自得である。
共産党は各選挙区に一定程度の票を確実に持っている。社民党だって、少数にはなったけれど、それなりの組織がある。民主党の候補者がその票を欲しくないはずがない。10月25日の宮城県議選で見られたように、共産党が今や安倍批判票の受け皿になっている感がある。それを利用しない手はない。
「オレの支持政党の候補はどうせ負けるだろうから選挙に行かない」「死に票覚悟で投票する」とか「仕方なしに自民党に入れる」という人たちは、ようやく投票先を見つけることができるというわけだ。
とまあ、来年の参議院選挙に関していえば、そういうことだ。
でも、これはあくまで過渡的な対策であり、抜本的な解決策だとは、ぼくはまったく思っていない。第49回のこのコラムでも書いたけれど、早急に「選挙制度改革」に手を打たなければならない。それこそが「民主主義回復」のとりあえずの近道だと思うのだ。
最近、「護憲的改憲論」を唱える人が増えているようだ。憲法9条をきちんと改定して、絶対に戦争を起こさない(巻き込まれない)ように明文化するべきだ、という論である。
東京新聞こちら特報部(10月14日付)では、おふたりの方が「平和のための新9条案」を提唱している。ジャーナリストの今井一氏と東京外国語大大学院教授の伊勢崎賢治氏だ。自衛隊をきちんと明文化して位置づけ「解釈の余地」を政権に与えないために「9条改憲」をしたらどうか、という提案だ。読んでみた。ぼくに異論はない。確かにこういう条文であれば「安倍流の改憲」に歯止めはかけられるかもしれない、と思う。
でも、一方ではやはり不安は残る。なぜか?
こういう例がある。
沖縄・辺野古の海の埋め立てに関し、翁長沖縄県知事は10月13日、「仲井真前知事が出した埋め立て承認を取り消す」決定をした。ところがそれに対し政府(防衛省)は「行政不服審査法」を悪用して、翁長決定の執行停止を求めた。この論拠になったのが「防衛省は一事業者であるから、沖縄県の行政に対して不服を申し立てることができる」というリクツだ。
つまり、防衛省は「一私人」であり、その私人としての権利が沖縄県によって侵害されたので不服を申し立てた、ということになる。だが、どう考えたって、国家機関である防衛省が「一事業者(一私人)」であるというのはムチャクチャなこじつけではないか。
もともとこの法律は、行政(権力行使機関)側の施策が個人(住民=私人)の権利や利益の侵害にあたると考えられた時に、個人の側が行政に異議申し立てできるように作られたものだ。つまり「権力」と「個人」の間の争いを調停するのが目的なのだ。
したがって、当初から「国家機関が一私人としての主張ができる」などということは、まったく想定されていなかった。ところが、そんなありえない主張を安倍政権は恥ずかしげもなく展開したのだ。つまり、どんな立派な趣旨の法律だって、政権がデタラメであれば、デタラメな解釈で押し通してしまう、ということをあからさまに見せてくれたのが、今回の「沖縄県」対「安倍政権」の対立の構図である。
このことは、憲法にも言えるのではないかとぼくは思う。安倍政権のようなデタラメな政権であれば、たとえどんなに素晴らしい「護憲的新9条」を作ろうとも、その隙間を突いて、やりたい放題のことをやるだろう。安倍政権は法解釈を恣意的に行い、黒だって白と言いくるめるようなことを平気でやってきたではないか。憲法学者の大多数が「違憲」であると指摘した安保法制を、強引に押し通してしまったではないか。
もし、安倍政権の次にも同じような極右政権が誕生すれば、どんな素晴らしい「新9条」ができていたとしても、デタラメ解釈を内閣法制局に強制して、今回と同じようなことをしてしまうのではないか。
ぼくの不安はそういうことだ。
だから、前々回のこのコラムの繰り返しになるけれど、そんなデタラメな政権が誕生しないように、ほんとうに民意を反映できる「選挙制度」に改めることが先決ではないかと思うのだ。
※記事を引用する場合は出典の明記「マガジン9:http://www.magazine9.jp/」をお願いします
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すずき こう
すずき こう: 1945年、秋田県生まれ。早稲田大学文学部文芸科卒業後、集英社に入社。「月刊明星」「月刊PLAYBOY」を経て、「週刊プレイボーイ」「集英社文庫」「イミダス」などの編集長。1999年「集英社新書」の創刊に参加、新書編集部長を最後に退社、フリー編集者・ライターに。著書に『スクール・クライシス 少年Xたちの反乱』(角川文庫)、『目覚めたら、戦争』(コモンズ)、『沖縄へ 歩く、訊く、創る』(リベルタ出版)、『反原発日記 原子炉に、風よ吹くな雨よ降るな 2011年3月11日〜5月11日』(マガジン9 ブックレット)、『原発から見えたこの国のかたち』(リベルタ出版)など。マガジン9では「風塵だより」を連載中。ツイッター@kou_1970でも日々発信中。
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