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NHKの籾井会長が受信料徴収にマイナンバーの活用検討?
http://www.zakzak.co.jp/society/domestic/news/20151026/dms1510261900009-n1.htm
2015.10.26
来年1月の運用開始に向けて23日から各世帯への配達が始まったマイナンバー。行政手続きが簡素化される期待と個人情報漏洩などの不安が国民に交差する中、NHKの籾井勝人会長(72)が受信料徴収にマイナンバー活用を検討したいと発言し、波紋を広げている。突然の発言に視聴者は戸惑う一方、「活用より、なぜ払わない人がいるかを考えるべきだ」といった急所をつく意見も。再熱する受信料の支払い義務化の話題と合わせ、さらに議論を呼びそうだ。
会長発言の背景には、76%(2014年度)にとどまる受信料の支払率の底上げをどう図るかという問題がある。
そもそも、現在の放送法はテレビ設置者にNHKとの「受信契約」を義務づけているが、訴訟以外に支払いを強制する制度はない。最近は、オートロックマンションの増加で居住者と会いづらかったり、都市部では転勤者も多かったりと、支払いを巡る環境も複雑化。担当者が自宅訪問しても思うように受信契約や支払いにつながっていかない状況が生まれている。
受信料の徴収コストは受信料収入の約1割に当たる735億円(15年度予算ベース)に上っており、公平負担の在り方が課題となっている。
こうした中、9月下旬に自民党の「放送法の改正に関する小委員会」が受信料の支払い義務化を検討するようNHKや総務省に求める提言を公表。その提言の中に盛り込まれたのが、マイナンバーを活用した受信料徴収の検討だった。
籾井会長は今月1日の定例会見で支払い義務化に慎重な姿勢を示した上で、「仮に支払いを義務化して罰則をつけたら払ってくれるかというと(対象となる世帯をNHKが)捕捉できない限りは無理だ」と発言。マイナンバーの活用については「今のところ何ともいえないが、何となく、使えばもっと便利なのではないか、という気はする」とし、「積極的に、活用については検討したい」と述べた。
マイナンバーが使われるのは現時点で、社会保障、税、災害対策の分野に限られている。だが、法施行から3年後をめどに利用範囲の拡大も検討するとされており、将来的にはNHKの受信料徴収に活用される可能性もゼロではない。
どのように活用できるかの議論は始まっていないが、会長発言後は視聴者から疑問や反発の声が多く上がった。
インターネット上では「マイナンバーって一事業者がこんな簡単に利用できる制度なの?」などの疑問から、支払い義務化の議論と合わせ「NHKを視聴しない自由もあるのでは?」といった書き込みも目立った。
一部で広がったこうした“混乱”について立教大の砂川浩慶准教授(メディア論)は、「国民はマイナンバーの活用範囲がなし崩し的に拡大していくのではとの不安を抱いている」と指摘。こうした中で「詳しい説明もしないまま『受信料徴収に活用を検討したい』といわれても視聴者はNHKが制度にただ乗りするイメージしか持たない」と話す。
受信料の支払い義務化の議論についても「受信料を支払わない理由の一つには、番組内容や経営努力への不満がある」と砂川氏。「改善努力の成果を見せずに唐突に支払い義務化やマイナンバー活用を持ち出しても、NHKと視聴者の距離は遠ざかるだけではないか」と疑問を呈している。
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