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ベルドイムハメドフ大統領(右)と握手はいいが…(C)AP
“独裁国”に2兆円をポン 目を疑う安倍首相の「バラマキ外交」
http://www.nikkan-gendai.com/articles/view/news/167691
2015年10月27日 日刊ゲンダイ
28日まで1週間の日程で、モンゴルと中央アジアの計6カ国を歴訪中の安倍首相。バカの一つ覚えのように“バラマキ外交”を展開しているが、こんな国にまで巨額のカネを出資するなんてどうかしている。2兆円超の経済協力を約束したのは「明るい北朝鮮」と呼ばれるトンデモ国家だ。
日本の首相として初めて訪れた「トルクメニスタン」。首脳会議でインフラ整備など総額2兆2000億円ものプロジェクトに合意。安倍首相は「官民挙げて最大限協力していく」と胸を張ったが、同国が「信頼に足るパートナー」かは疑問符がつく。世界第4位の天然ガス埋蔵量は魅力だが、完全なる独裁国家でもあるからだ。
ソ連崩壊後、サパルムラト・ニヤゾフ前大統領(2006年死去)が極端な独裁体制を敷き、現在のベルドイムハメドフ大統領(58)にも権限が集中。国民に大統領の個人崇拝を押し付け、前大統領の好物だった果実が由来となり、「メロンの日」と名付けられた国民の祝日まである。
国内の報道規制を徹底し、「報道の自由度」は世界180カ国中、エリトリア、北朝鮮に次ぐワースト3位。今回の訪問中も、日本の記者団が大統領宮殿に携帯電話を持ち込めず、現場が混乱した。現大統領は大の馬好きで、安倍首相夫妻も大統領所有の競馬場に招かれたが、馬の曲芸を見せられるサマは、マスゲームで歓待される北朝鮮さながら。
そもそも、中央アジア一帯は中国の影響力が強く、同国が掲げるシルクロード構想「一帯一路」の陸上ルートに位置している。そんな場所で、安倍首相は経済支援を表明する一方、各国に安保法案への理解を求めたり、南シナ海での中国の動きを批判しているのだ。元外交官の天木直人氏がこう言う。
「安倍外交とはことごとく中国をにらんだ“牽制”です。今回は特にその傾向が強い。『積極的平和主義』と言いながら、やっていることは中国を刺激しているだけです。今回の訪問国のいくつかは以前から“独裁”国家といわれています。官僚レベルでは、独裁国家を援助する発想は出てきません。2兆円もの出資は安倍さん周辺が“中国包囲網”のため、独断で決めたんでしょう」
安倍首相はトルクメニスタン以外にも、タジキスタンでは約9億円、ウズベキスタンでは約127億円、キルギスでは約136億円の政府開発援助を行うことを表明している。いつものように大盤振る舞いをして、本当に大丈夫なのか。
「中央アジアの近くにはイスラム国があり、メンバーの流入も指摘されています。積極的に援助することで日本もますますテロに狙われる可能性がある。これほど無策な外遊は過去にみたことがありません」(天木直人氏)
独裁国家援助の安倍外交は、世界に紛争の火種をバラマくことになる。
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