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政権の耐えられない鈍さ 国会開き「沖縄」解決策競え
http://mainichibooks.com/sundaymainichi/column/2015/11/01/post-405.html
サンデー毎日 2015年11月 1日号
倉重篤郎のサンデー時評 連載72
国会内を歩く。静かである。
少し前まで議事堂内外を覆い尽くした熱気はどこにもない。
秋風や兵(つわもの)どもが夢の跡
そんな句が浮かんでくる。
それにしても、日本国自衛隊という名の「兵ども」はどこへ行かされるのであろうか。安保法制が来春に施行され最初に適用されるのが、スーダン派遣中のPKO部隊となる。新たに駆けつけ警護や治安維持活動ができるようになる。武器使用基準の細目については国会が目を凝らさねばなるまい。
世界は中東中心に相も変わらず不安定である。後方支援(兵たん)強化立法の派遣先第1号はどこになるのか。これも国益に照らして、叩(たた)いても橋を渡らないぐらいの慎重さが欲しい。最後の砦(とりで)となる国会としては、その覚悟と識見を積むべく議論を始めるべきだ。
選良として論戦を闘った「兵ども」はどこに行ったか。視察や地元か。それも良し。じっくり休養し、選挙区の声を改めて聞き、次なる論戦に備える時間も必要だ。
ただし、である。あの国会が閉じて3週目が過ぎた。そろそろ臨時国会の準備をしなければならない。課題は満載である。前述の安保法制のフォローアップは当然のことながら、旧アベノミクスの総括と新アベノミクスの展望。何よりも、安倍晋三再改造内閣のスタートである。首相の所信表明、新閣僚のお披露目国会答弁もある。
にもかかわらず、年内は臨時国会を開かずに済ませようという動きがある。年末の予算編成までの期間が短く、かけるべき目ぼしい法案もない。頻繁な外国訪問で首相の日程が取りづらい。通常国会が長過ぎ、十分働いた......云々(うんぬん)。いま国会を開いても野党に追及の場を与えるだけ、というのが召集権を握る政権側の本音だという。
とんでもない話だと思う。
予算編成があるからこそ国会の声に耳を傾けるべきである。法案審議がないのであればディベート(討論)国会にすればいい。むしろ、安倍政権の折り返し点ということからすれば、そちらの方がふさわしい。これまでの政策の検証・総括だけでなく、国の形も含めた中長期的政策について各党各人が裃(かみしも)を脱いで率直な論戦をすればいい。首相不在でもその手の議論は可能だ。働きはまだ足りないくらいである。国権の最高機関(憲法41条)に本来休みはないのだ。
◇大ディベート大会を召集し、民主的で大胆な基地問題への対応を
そこで提案がある。会期は11月の1カ月間でいい。大ディベート国会を召集してはどうだろうか。法案審議は一切なし。所信表明、予算委だけは通例通りとし、後は衆参の全委員会で最低1日はテーマを絞った終日ディベートを義務付ける。その模様はインターネット中継で国民に観戦してもらう。
取り上げるテーマについては、一つだけ注文を付けたい。「沖縄及び北方問題に関する特別委員会」では、衆参の合同委員会を開き、普天間問題の真の解決策について徹底討論してほしいのだ。
理由は三つある。一つ目は、この問題をめぐる政権と沖縄県側の対立が抜き差しならぬステージに移りつつあるからだ。新基地周辺海域の埋め立てをめぐり、県が認可取り消しの挙に出れば、政権側は国家権力を背にこれを無効とし工事再開を強行せんとする。お互いに振り上げた拳の下ろし先を得ず、流血事態も予想される。
この問題を第二の三里塚にすべきではない。国会には、この問題にもっと関心をもち、専門的な立場から議論し、解決の糸口を模索する責任がある。双方がエスカレートしないよう与野党一体になって緊急避難的な決議を上げ、冷静さを取り戻させるツールもある。
二つ目に、日本にとってこれほど重要な政治問題はない。それは日本が自立した民主主義国家であるか否か、につながってくる。
安保法制成立によって、日本の安全保障体制における米国と日本の分担割合については、日本側の集団的自衛権一部容認、兵たん強化という一つの方向性が出た。次の議論は、その日本の分担の枠内で在日米軍基地負担を本土と沖縄がどうシェアするか、になる。
沖縄側は、本土の1%足らずの面積に70%以上の基地を背負わされ、さらに新基地建設というのはもうこれ以上耐えられない、これは人権問題である、という明確な主張をしている。これに対して、政権側は過去の経過、約束を盾に強硬姿勢を崩さない。民主、平等という基本価値の毀損(きそん)と、米国に物申せないという非自立性が鋭く問われている。国会での突っ込んだ議論が望まれるところだ。
三つ目に、解決策がゼロではないことである。国会議員の多くがこの問題の重要性に気づき、出口の模索を始めている。ある自民党の派閥領袖(りようしゆう)は、新基地計画も新国立競技場問題と同様いずれ白紙撤回するしかないが、そのためには二度の国政選挙を経なければならない、と率直に語った。現政権がここまで突っ張っている以上白紙撤回にはそれなりの時間がかかる、ということであろう。民主党幹部は、県外移設と言いながら最後には新基地建設に戻った鳩山由紀夫政権時の方針をいずれ引っ繰り返すとして、海兵隊配備の必要性から議論し直すべきだ、という。
せっかくの言論の府である。党の枠を超えて、「私の解決策」をフリーに語り、選択肢を広げる中で適切な解を見いだしていく。過去の経過にがんじがらめにしばられた政権の不自由さを解きほぐし、さまざまな座標軸から大胆に解決策を大衆討議する。国会のディベート機能はまさにそのためにある。
「存在の耐えられない軽さ」という映画があった。「1億総活躍担当相」との命名でふと思い浮かんだが、臨時国会、沖縄問題への対応は、むしろ民意に対する驚くほどの鈍さというべきであろう。
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