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定例会見をする民主党の岡田代表(C)日刊ゲンダイ
辺野古基地問題 民主党に必要なのは過去を捨てる「君子豹変」 永田町の裏を読む/高野孟
http://www.nikkan-gendai.com/articles/view/news/167167
2015年10月22日 日刊ゲンダイ
翁長雄志沖縄県知事が辺野古基地の埋め立て承認の取り消しに踏み切ったのに対して、国はその執行停止と無効を求める行政手続きに出た。
知事には、この取り消しが国との話し合い解決のきっかけにならないかという淡い期待もあったようだが、国は一切聞く耳持たずという強硬姿勢を示したので、もはや全面対決しかなくなった。
先週末に2泊3日で那覇を訪れて、辺野古基地阻止闘争の中心幹部や翁長県政を支える与党県議の主だった方々と懇談したが、皆さん一様に、行政裁判の行方にはまったく幻想を持っておらず、審議を通じて国の理不尽さを全国民に知ってもらう宣伝の場くらいにしかならないだろうと思っている。それは当然で、日本には三権分立も司法の独立もなく、裁判所は大事な問題では常に政府の言いなりであることを彼らが一番よく知っている。
それよりも、辺野古基地のゲート前の座り込みや大浦湾の海上デモを一段と強化して、工事強行を実力で阻止する闘争を進めると同時に、本土や国際社会の世論に訴えて日本政府を追い詰めていこうとしている。
本土の側では、安保法制反対の国会デモをあそこまで盛り上げてきた諸団体が、引き続き、安保法制廃止とともに辺野古基地反対を2本柱に運動を継続し、当面、来夏参院選で安倍政権を敗北に追い込むことを目指して態勢を整えようとしている。
そこで問題は、野党第1党の民主党の姿勢である。民主党内のリベラル派や社民、共産、生活、社会大衆などは辺野古反対で一致するが、肝心の同党執行部は、岡田克也代表が「自分が(鳩山政権の)外相として『辺野古しかない』と苦渋の決断をしたので、いまさら反対できない」という考えで凝り固まっているので、この野党共闘に加われない。おまけに、沖縄現地の民主党は、オール沖縄の翁長選挙にも加わらず、もはや組織的に壊滅状態にある。
沖縄と本土が連帯して運動を盛り上げ、参院選ではこれを日本の民主主義と地方自治の根本を問う大きな争点にしていこうとしているときに、民主党がひとり野党共闘の輪に加わらず、運動の足を引っ張る存在になりかねない。選挙でも当然、惨敗だろう。私の意見では、あの時は力不足でああするより仕方がなかったが、オール沖縄を背景にした翁長県政の誕生で「局面は変わった。沖縄の民意に添わなければならない」と、アッケラカンと君子豹変すればいいと思う。だが、変に生真面目に古証文にこだわり、民意よりも自分のメンツを大事にする岡田にそれができるのかどうか。
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