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[風見鶏]女心と安倍政権の行方 編集委員 大石格
この人が出張ってくればどんな候補でも必ず当選する。20年ほど前、そう紹介されて会ったのが、選挙参謀の鈴木精七さんだ。選挙の戦い方に関心を持つきっかけになった。
立候補に向けて後援会をつくるとき、地元企業のオーナー社長のような名士を上座に据えることが多い。「企業ぐるみ選挙」を展開してもらえれば、自動的に票読みできるからだ。
しかし、組織票だけでは当選ラインには届かない。鈴木流が重視するのは、どうやって「近所のおばちゃん」を味方に付けるかだ。
企業ぐるみ選挙に駆り出される男性社員には日ごろから活躍の場がある。おばちゃんたちは日常生活で達成感を味わう機会があまりないので、他人から感謝される喜びを知ると馬車馬のように走り出す。そうなれば倍々ゲームで支持が広がる。そんな話を聞いた。
専業主婦が減った現在にはそのまま当てはまらない戦術かもしれないが、女性票が重要なことは昔もいまも変わりはない。どんな選挙でも有権者は男性より女性が7%前後、多い。
その意味で、安倍晋三首相が看板政策の柱のひとつに「女性活躍」を掲げているのは、中身が当を得ているかどうかはともかく、目の付けどころはなかなかのものだ。新たに打ち出した「一億総活躍」に埋没させては、もったいない。
それに女性活躍が尻すぼみに終わった場合、政権の先行きが危ぶまれるデータがある。グラフでわかるように、2012年の政権復帰以降、安倍内閣の支持率はほぼ一貫して女性が男性より低いのだ。しかも、その開きは最近、どんどん大きくなっている。
内閣改造を受けて日本経済新聞とテレビ東京が実施した世論調査によると、安倍内閣の支持率は44%。前月より4ポイント上昇し、不支持の42%を上回った。これだけ聞くと、安倍政権はまだまだ大丈夫のようだが、女性だけだと支持(38%)が不支持(42%)を下回る。
20%にもなる「いえない・わからない」も、どちらかといえば安倍首相を快く思っていないということだろう。いずれにせよ、男性の支持(51%)との差は13ポイント。9月は16ポイントもあった。
比較のために野田佳彦前首相の内閣支持率も載せたが、男女でさほど差はなく、むしろ女性が高かった。現在の安倍内閣ほど男女差がある例は歴代政権でもほとんど見当たらない。
「支持しない」と答えた理由をみると、「政府や党の運営の仕方が悪い」「国際感覚がない」「指導力がない」などを選ぶ割合は男女ともほぼ同じである。
他方、男女で最も差があったのは「自民党中心の内閣だから」(男性35%、女性46%)。女性有権者が安倍首相どころか、自民党丸ごとにそっぽを向き始めたのだとすれば小手先の対策で流れを反転させるのは容易ではないかもしれない。
「女性の支持率が男性に比べてかなり低い。どういう発信が必要か。やってみてくれと(党首から)指示があった」
自民党幹部の最近の発言ではない。9年前、民主党代表代行だった菅直人氏が語った言葉だ。当時は女性に不人気といえば例外なく民主党を思い浮かべた。
民主党がその後、間もなく政権を奪取したことを考えれば、自民党も男女差くらい聞き流せばよいのかもしれないが、それにしてもこの現象が与野党を通じてほとんど話題にならないのはどうしたことだろうか。
初代女性活躍相の有村治子氏は大活躍とはいかなかった。子どもは4人とも娘という後任の加藤勝信氏ならば女心をわしづかみにするすべを知っているだろうか。
(編集委員 大石格)
[日経新聞10月18日朝刊P.2]
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