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事件の経緯については、事件板に投稿しています。それほど深みにははまっていないのでご参照ください。
ありもしない朝鮮半島有事や米中衝突までネタにしながら米軍支援活動をより拡大する「新安保法制」を成立させたが、安倍首相が、国民の生命と財産を守ることを政府の第一義的役割と考え、憲法第13条を自衛権行使の根拠とするのなら、「熊谷6人殺害事件」の経緯を調査し、対応の誤りと今後の対策を明確化する動きの陣頭に立たなければならない。
最初のお二人の犠牲者については埼玉県警の責任を厳しくは追求しにくいとしても、翌々日段階で殺害された4人の方々は、警察が最低限の対応を行っていれば、死を免れることができたのだから....。
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2015年10月15日 (木)[NHK総合]
時論公論 「熊谷市6人殺害 問われる警察の危機意識」
寒川 由美子 解説委員
埼玉県熊谷市で住民6人が相次いで殺害された事件から1ヶ月。逮捕されたペルー人の男は容疑を否認し、事件の詳しいいきさつはまだ分かっていません。一方、地域の住民は、警察からもっと情報が伝えられていれば事件を防げたのではないかとして検証を求めています。
今夜は事件の未然防止に対する警察の危機意識について、この事件をもとに考えます。
事件は、安全なはずの自宅で、子ども2人を含む住民6人が、短期間に相次いで殺害されるという、まれにみる凶悪なものでした。警察は先週、ペルー人のナカダ・ルデナ容疑者を、最初の夫婦殺害事件の容疑で逮捕。3件の事件全てに関わったとみて調べています。
事件について、地元の住民は、警察からもっと情報が伝えられていれば防げたのではないかとして検証を求める署名活動を進め、埼玉県の上田知事も、情報の周知や捜査に過ちがなかったか検証を求めるとしています。
こうした批判はなぜ起きているのか。背景には、事件を防ぎ住民を守ることに対する警察の危機意識への疑問があるように思います。
事件は半径1キロの狭い範囲で起きました。
事件前日の先月13日、警察は、住宅の敷地に入り込んだ男から任意で事情を聞いていましたが、男は財布などを警察署に残したまま逃げ出します。その直後に住居侵入の通報が2件相次ぎ、警察は行方を探しましたが発見できませんでした。
翌日、最初の夫婦殺害事件が発生。
その2日後には、住居侵入があった付近の住宅で84歳の女性が、さらにすぐ近くの住宅で母親と小学生の姉妹の親子3人が殺害されているのが見つかりました。犯人が3軒の住宅に、どのように侵入したかはまだ分かっていませんが、いずれの住宅も、遺体発見の際には玄関などの鍵が開いていました。
住民たちは、警察が任意で事情を聞いていた男が逃げ出したことや、住居侵入が相次いでいたという情報が提供されていれば、戸締まりも厳重になり、せめて第2、第3の事件は防げたのではないか、と指摘しているのです。
警察の危機意識がどうだったのか、捜査の経緯からみてみます。
そもそも未然防止の観点から考えると、任意で事情を聞いていた男にあっさりと逃げられたことが出発点です。警察犬を使っての捜索でも発見できないまま日没を迎え、警察は4時間で捜索を終了しています。所持品を持たずに逃げていることや、住居侵入が相次いでいたことを考えると、発見するまで捜索を続ける判断は出来なかったのでしょうか。
次に最初の事件が起きた後。
警察は当初からナカダ・ルデナ容疑者の関与を強く疑い、80人体制で行方を捜索。翌日には、事件前の住居侵入の疑いでナカダ・ルデナ容疑者の逮捕状をとりました。さらに全国の警察に連絡し、殺人に関わった可能性があるという情報も共有します。あわせて、現場で採取されたDNAの型が容疑者のものと一致するか、鑑定も進めていました。
このように、警察は1人に的を絞った見立てのもと、手順通りに捜査を進めていたようにみえます。ところがその一方で、ナカダ・ルデナ容疑者が事件前に住居侵入を繰り返した付近の捜索は行った形跡がありません。捜索していれば、近くで起きた2件目以降の事件は防げたかもしれないと考えると、なぜその発想がなかったのか。現場周辺に重点を置く型どおりの捜査にとらわれすぎていたのではないか。
結局、第2、第3の事件が起きるかもしれないという危機意識に欠けていたのではないかという疑問が生じるのです。
さらに、住民が検証を求めている情報の周知。
警察から住民への注意喚起は、最初の殺人事件の翌日の1回のみ。市の教育委員会に対し、登下校の見守りや不審者への警戒を要請しています。
この情報は学校を通じて保護者などに伝えられましたが、警察からそれ以上の情報提供はなく、防災行政無線で広く住民に呼びかけるようなことは行われませんでした。
これについて警察は、この段階ではナカダ・ルデナ容疑者と事件を結びつける証拠はなく、具体的な情報を伝えることは出来なかったとしています。確かに、人物が特定できる情報や、殺人に関わったかのような情報は、出せなかったでしょう。
しかし、容疑者の見当がまったくつかない場合や、被害が広がるおそれが少ない事件などと同じような対応だけでよかったのでしょうか。
例えば、警察署から逃げた男が住居侵入を繰り返している疑いがあるという情報を、殺人とは切り離して伝えることはできなかったのか。危険の高さを地域全体に伝えることで、住民に警戒レベルをあげてもらうことは出来なかったのでしょうか。
ある捜査幹部は、殺人事件の後にそうした情報を出せば、結局、結びつけて考えられてしまい、先走った報道や人権侵害につながりかねないと指摘します。
実際、情報の受け取り方によっては、無関係な人を犯人視したり、差別的な見方につながったりするなど、過剰な反応を招くおそれもあるでしょう。断片的な情報でもいいと警察に要望するならば、受け手の側も、情報をどう受けとめるのか。我々報道も含め、考えなければならない問題だと思います。
しかし、今やネットで様々な情報が飛び交い、子どもへの声かけ事案も不審者情報として保護者に一斉メールで送られる時代。だからこそ、住民は少しでも正確な情報を求めているのであり、警察は、住民が危険性を判断できるような情報を、ケースバイケースで提供する必要があるのではないでしょうか。
情報の周知についても画一的な対応が続く限り、危機意識の欠如を指摘せざるを得ず、同じような事態が繰り返されるおそれがあります。
警察の組織や捜査に詳しい専門家は、「いまの警察は捜査のプロが少なくなった」と指摘します。不祥事防止などのため、組織の管理を徹底してきた反面、マニュアル化によって臨機応変な対応が出来なくなっているのでは、という指摘です。
いま、警察は団塊世代の大量退職時代を迎え、急速な世代交代が起きています。
一方で、ストーカーやサイバー犯罪など扱う分野は広くなり、捜査員の専門化、細分化が進んでいるといわれています。部署を越えた事件や、想定外の事件に対応する力が低下し、連続殺人のような凶悪事件を防げないのではないか。
そうした懸念が表れているのが治安に関する世論調査です。最近、治安が悪くなったと思うと答えた人は8割以上。実際の犯罪件数はこの10年で半数に減っているにも関わらず、感覚的には治安が悪化したと感じているのです。今回のような事件を防げない限り、安心を取り戻すことは出来ません。
ではどうすればよいのでしょうか。
まずは当然、捜査力の強化です。警察は、ベテラン捜査員のノウハウを継承する取り組みも進めていますが、経験不足の穴を埋め、部署を越えた連携を進めて、最大限、力を発揮できる体制を作るしかありません。
そして、効果的な情報の周知。状況に応じて、住民に正しく危機感が伝わるような情報を伝えることで、事件を防ぐという発想に立つべきではないでしょうか。
6人が犠牲になった今回の事件。警察庁の金高長官は、今回の事件から可能な限りの教訓を引き出し、犯人を検挙する力を強化するよう全国に指示しました。
事件を未然に防ぐという危機意識を高め、市民を守る見地から情報の周知や捜査のあり方を改めて考える。そのことが、悲劇を2度と繰り返さないことにつながっていくのではないでしょうか。
(寒川 由美子 解説委員)
http://www.nhk.or.jp/kaisetsu-blog/100/229439.html
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