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シベリア抑留記録を世界記憶遺産に登録させた日本が、南京事件については抗議するのが恥ずかしい。
http://blog.goo.ne.jp/raymiyatake/e/b7a4813c393a7efeec42c13da7f51814
2015年10月11日 Everyone says I love you !
自分が被害者的な立場の事件については言い募るのに、自分が加害者だった事件については被害者の申請に文句を言うという態度が、わたくしの美学に超合いません。
2015年10月9日、ユネスコの「世界記憶遺産」に、日本が申請していたシベリア抑留に関する資料などの登録が決まりました。
登録が決まったのは、第二次世界大戦後にシベリアに抑留された日本人捕虜の日記や手紙、引き揚げ船名簿などの資料、570点です(京都の東寺に伝えられた国宝「東寺百合文書」の登録も決まりました)。
ところが、中国からの「南京大虐殺」に関する資料の登録も決まったため、日本政府は
「中国の一方的な主張に基づき申請されたもの」
「中立・公平であるべき国際機関として問題」
「極めて遺憾」
との外務報道官談話を発表しました。
ところで、シベリア抑留問題とは何かご存知でしょうか。
これは、第二次世界大戦の終結の時期に、中国東北部にいた約60万人以上の日本軍兵士や民間人がソ連の捕虜として連行され、シベリアでの強制労働に従事させられた問題です。
強制連行は、1945年8月にスターリンが拘留指令を出したためであり、この結果、抑留者の帰国が終わる56年までの間に、6万人以上が厳寒の地で命を落としました。
この旧ソ連の行為は、捕虜のすみやかな送還を明記したハーグ陸戦規則にも、武装を解除した日本軍兵士が「各自の家庭に復帰」することを定めたポツダム宣言にも反するものです。
このように国際法を乱暴に踏みにじったソ連側に、シベリア抑留の悲劇を生んだ最大の責任があることは明白で、1993年にエリツィン露大統領が来日した際に謝罪しています。
そもそも、終戦当時には二百数十万人もの日本人が中国東北部にいたのですが、これは日本が中国を侵略し、満州国をでっち上げていたからです。
そして、日本政府は、「ソ連」への請求権は1956年の日ソ共同宣言で相互放棄されたとしています。
これは、戦後補償問題で中国や朝鮮の人々の請求権について、日中・日韓の条約で放棄されたとしているのと同じ問題です。
しかし、シベリア抑留者の個人賠償請求権まで、法的には他人である国が放棄できるものではありません。
ですから、シベリア抑留者は第一次的には旧ソ連を引き継いだロシアに賠償を請求できるはずですし、それを認めないのであれば、抑留者は日本軍に徴兵・徴用され、日本が開始した戦争のせいで抑留されたのですから、強制労働に対する未払賃金は日本政府の責任で補償が行われるべきです。
この問題は1979年に、全国抑留者補償協会(全抑協)が設立され、抑留者への未払賃金を払えなどの運動が始まるなかで、政府は1988年、「平和記念事業特別基金等に関する法律」を制定し、この「基金」で、抑留者に10万円の慰労金(国債)、銀杯を贈呈、これで決着済みとしました。
しかし、死に直面し苦労を重ねてきたシベリア抑留者に対して、わずか10万円支給しただけで、戦後処理は終わったなどというような態度をとり続けることは到底認められるはずがありません。
この戦争責任、戦後補償の問題に口を閉ざしたまま、シベリア抑留の記録を世界記憶遺産にしてくれなどと、日本政府はよく申請できたものだと私は呆れています。
それにしても世界記憶遺産になったのを機会に、我々がもう一度シベリア抑留者の方々の問題と、日本の侵略責任や戦後補償の問題を考えるきっかけにしたいものです。
1956年、10年の抑留生活に生き残り、やっと日本に帰還する元日本兵捕虜たち。
ひるがえって、日本の申請と同時に中国が申請した「南京大虐殺」の資料もまたユネスコの世界記憶遺産に登録されたことについて、安倍政権が中国ばかりか、ユネスコに対してさえ激しく抗議していることは恥ずかしいことです。
世界記憶遺産を審査する委員会に歴史学者がいない、などと読売新聞が批判したりしているのですが、シベリア抑留の記録を記憶遺産にしたのも同じ委員たちだってば。ブーメランが返ってきすぎでしょう。
そもそも、記憶遺産の審査基準は資料保全の必要性だけが検討対象で、歴史的に正しいかどうかは判断材料になりません。
また、国際条約に基づいた世界文化遺産とは異なり、記憶遺産はユネスコの一事業のため、加盟各国は認定の是非に関与もできないのです。
日本も申請したのですからそんなことは百も承知なのに、ユネスコへの分担金・拠出金を見直すなどとまで言い出して脅している姿は、クレーマーを通り越してまるでヤクザのようで、国際社会の笑い物です。
15年戦争資料 @wiki より史料発掘:南京虐殺の現場と写真から
被害者の人数に学説の争いはあれど、日本軍が南京入城の際に市民を数万人以上は虐殺したことに争いはありません。
南京事件がなかった、虐殺はなかったという立場は、さすがに日本でも普通の歴史学者は取りません。
ですから、実際の虐殺された被害者の人数や実態については、世界記憶遺産の問題とは別に歴史学者らの論争に委ねればいいのです。
同上
それを、南京事件の記録がユネスコの世界記憶遺産になったこと自体に抗議するのは、ロシア政府がシベリア抑留の記録が記憶遺産になったのに文句を言いだして、
「記録にあるより捕虜の人数も死者の人数ももっと少なかった」
「それに、記録にあるほど手荒いことはしていない」
「いやいや、日本人捕虜に対するシベリア抑留はなかった」
「もうユネスコに金は払わん」
などと言い募るようなものです。
このように、安倍政権がユネスコや中国に抗議すればするほど、日本が歴史をねつ造する歴史修正主義であると世界に喧伝することになるわけで、こんな政府を持って本当に恥ずかしいとしか言いようがありません。
参考
国際法から見た日本人捕虜のシベリア抑留 東海大学平和国際戦略研究所 白井久也教授
https://www.jstage.jst.go.jp/article/jarees1993/1994/23/1994_23_33/_pdf
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安倍首相は日本が侵略戦争をしたと言いたがらず「侵略の定義は歴史学者に任せたい」、と都合の悪いところは歴史学者任せなのですが。
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