http://www.asyura2.com/15/senkyo194/msg/432.html
Tweet |
内閣改造の目的は「異論封殺」にあり! 「閑職」に追いやられた石破氏は、首相と全面戦争の覚悟を決めた
http://gendai.ismedia.jp/articles/-/45727
2015年10月08日(木) 鈴木哲夫 現代ビジネス
■見事な「封じ込め」作戦
「奇をてらうのではなく、しっかり仕事をして結果を出す」
10月7日に行われた安倍改造安倍内閣の陣立てを安倍首相はこうアピールした。
第二次安倍政権発足以来の主要閣僚である菅義偉官房長官、麻生太郎財務相兼副総理、甘利明経済財政担当相らと、谷垣禎一幹事長など党四役も含め多くが留任。
一方新入閣組は、加藤勝信一億総活躍担当相や丸川珠代環境相、河野太郎行革担当相などだった。
今回の改造には、二つの視点があると言える。
まず一つは、「リスクを背負わず、派手なことはせず、頭を低くして行く」内閣だということ。
「安保法制で下がった支持率をじっと我慢しながら回復させる。来年の参院選まで引きずるようなことになってしまうと大変だからだ。そのために、表向きは経済一本、陣容もこれまでのままを維持して、とにかく地味に行こうということだ」(安倍首相に近い自民党国対経験議員)
そうした安倍首相の戦略を裏付けるように、早くも秋の臨時国会を見送るべきだという意見も官邸内や与党内で出始めている。つまり、国会を開けば予算委員会などを通じて、安保法制なども含めて追及され、支持率に影響する可能性があるからだ。
改造のもう一つの視点は、ある意味では見事な、安倍首相の「封じ込め作戦」が働いているということだ。首相に近い自民党中堅議員がこんな見方を示した。
「河野太郎氏は原発反対など自民党内では異端児。その河野氏を登用したのは安倍首相の度量や挙党一致の姿勢だとの評価もありますが、公務員改革担当というのがポイント。
河野氏はかなり過激な改革論を持っていますが、内閣の一員になるとそれが抑えられてしまいます。原発だって、安倍内閣が再稼動の方針なのにそれに反して行動できなくなる。完全な封じ込めです」
そして、安倍首相の最大のライバル・石破茂地方創生担当相を留任させたのも、同じく「封じ込め」なのだという。
■石破氏の「宣戦布告」
「今回安倍首相が看板にしている、加藤勝信氏の一億総活躍担当相就任ですが、各省庁横断で総合的・全国的な経済政策をやり予算などを仕切るということになりそうです。
すると石破さんがいま行っている、地方創生政策や予算の確保などとかなりの部分で重なってくる。閣内で相対的に石破さんの力を削ぐということになります」(同中堅)
安倍人事はなかなかしたたかだ。「人事権というのはそうやって使うもの、権力とはそうやって維持するもの」(同中堅)だということか。
さて、その石破氏、いつまでも安倍首相の軍門に下っているわけには行かない。
総裁選が終わり、今回の改造までの間を狙って、ついに自らの派閥「水月会」を立ち上げた。メンバーとともに政権構想をまとめたことは、次期総裁選に出馬し、首相を狙うという「宣戦布告」だ。
発足時のメンバーをなんとか20人集めたのも、総裁選に出る条件として必要な推薦員の数が20人であることを意識し、「総裁選への意思をアピールするため」(石破派幹部)のものだ。
ところが、特にライバルの安倍首相周辺からは言われ放題である。
「なんとか20人という数は揃えたが、本来参加すると言われていた小此木八郎氏、浜田靖一氏、小池百合子氏らは逃げた。それに派閥立ち上げのタイミングもおかしい。
名を挙げるチャンスだった9月の総裁選には不出馬。別の見方をすれば、いまから最大3年は安倍政権が続くというタイミングでの派閥立ち上げだ。つまり、遅いし、早い。石破さんはやはり政局カンがないということだ」(安倍首相に近いベテラン議員)
■両者とも「恨み骨髄」
しかし、実は、石破氏はこの「立ち上げの日」を1年前から決めていた。「石破氏なりの」という形容詞は付くが、私はあくまで、これは「周到で確実で信念を持った歩み」だと思う。
1年前というと、一つ前の内閣改造が行われた時期だ。それを目前にして安倍首相が石破氏を幹事長から安保担当相にスライドさせる意向だという観測が広がった。
対して石破氏はTBSのラジオ番組で「幹事長以外は受けない」旨を宣言したのだ。これには石破氏を知る多くが驚いた。それまで、何かと組織論を優先させ、ルールなどに従うことをよしとしてきた石破氏が、おそらく初めて任命権者に楯突き、「反旗」を翻した瞬間だった。相当な覚悟だったと言える。
背景には、石破氏と安倍首相の強烈なライバル関係がある。
そもそも石破氏は、政権交代直前の12年の総裁選では、ドブ板を踏むように回ってきた地方組織の票を集め、一回目の投票でトップになった。しかし過半数に届かず、規定により国会議員だけの決選投票になりそこで敗れたのだった。
悔しさとリベンジへの思いは常に持ち続けてきた。一方の安倍首相も、第一次政権のときに石破氏が退陣を迫ったことについて「あのときの恨みは忘れていない」(安倍首相側近議員)のだった。
さらに、今国会で安倍首相が進めた安保法制を巡っても、二人はライバル関係にある。石破氏にとっても、安保は「誰にも負けない」という自負を持つライフワークである。
石破氏は日米同盟を単体でとらえるのではなく、そこに沖縄基地軽減問題なども絡めた総合的な安保論を持っていて、安倍首相とは論理的な違いが大きいのだ。実は1年前に安倍首相が安保担当相にしようとした裏には、「ライバル・石破の得意分野の安保まで封じる狙い」(石破氏側近)があったとも言われている。
こうしたあらゆる背景から、1年前、石破氏は覚悟を持って「幹事長以外は受けない」と楯突いたのである。
当時、安倍首相周辺はこれに即反撃。石破氏の態度を「任命権を侵すもの」「生意気」「挙党一致を乱す」などと猛烈に批判してネガティブキャンペーンを展開。結局石破氏は追い込まれ、最後は地方担当相を受けてしまったのだ。
だが、石破氏にとってあのときラジオで一度は「受けない」と宣言したことは、それまでの自分の殻を破ったという自信につながっていた。今だから明かすが、地方担当相を受けることになった直後、石破氏は私に「これでやるべきことがはっきりした。その時期は1年後かもしれない」と、首相を目指す決意を語ってくれたのだった。
また、この9月の総裁選直前に出馬するかどうかを訊ねたところ、「安倍首相を支持する」とは一切言わず、「閣僚として安保法案にサインした以上成立させなくちゃならない責任がある」と表現していた。
■安倍側近の「脅し」「圧力」
つまりこういうことだ。
「もし石破氏が総裁選に出馬し安保論争になっていれば、野党を勢いづかせ、成立も危ぶまれた。だから、安保法制成立のために総裁選に出ないのであり、何も安倍首相を支持したから出ないということではない」
こんなところにも、石破氏が抱く強いライバル心や意地が見て取れる。
さて、石破派の立ち上げに対して、安倍首相サイドどうするのか。自民党中堅議員が言う。
「安倍さんとそのおともだちを甘く見てはいけません。かつて私や他の若手議員がメディアでほんの少し政権批判したことがあるんです。その直後に安倍さん本人や側近から圧力があり『選挙ではあなたを応援しないように組織団体に伝える』などと散々脅されました。
権力維持というのはそういうものかもしれませんが、私のようなどんな小さな敵でも徹底して潰すのが安倍グループです。いま党内でリベラル派などみんなが黙っているのもそれがあるからです」
そうした安倍首相と周辺グループの習性から、石破派への対応は容易に想像できると言う。
「そもそも安倍首相と石破氏はケミストリーが合わない。安倍首相は石破さんは閣内で封じ込め、他のメンバーにはまともな役職を与えないなど徹底的に干し上げると思います」
ただ、石破氏や派閥に参加したメンバーは、そうした覚悟は持っての行動だ。「今回はあの優柔不断な石破氏が『首相を目指す』と言い切った。安倍首相と全面戦争の覚悟だ。政権構想をぶち上げて議論を吹っ掛ける」(石破氏周辺)との意気込みである。
私は「ライバルがいてこそ安倍首相にも緊張感が生まれ成長する、自民党も活性化する」と考える。安倍一強の偏狭政党になってしまった自民党に、はたして石破派が風穴を開け、活性化をもたらすか。(了)
投稿コメント全ログ コメント即時配信 スレ建て依頼 削除コメント確認方法
▲上へ ★阿修羅♪ > 政治・選挙・NHK194掲示板 次へ 前へ
スパムメールの中から見つけ出すためにメールのタイトルには必ず「阿修羅さんへ」と記述してください。
すべてのページの引用、転載、リンクを許可します。確認メールは不要です。引用元リンクを表示してください。