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TPP協定の大筋合意を受け、首相官邸で記者会見を開く安倍首相(首相官邸HPより)
検証! TPPで安倍政権は国民にどんな嘘をついてきたのか? 畜産物価格の暴落で日本の農家は壊滅の危機に
http://lite-ra.com/2015/10/post-1560.html
2015.10.06. リテラ
環太平洋経済連携協定(TPP)交渉に参加する12か国は日本時間9月5日夜、共同記者会見を開き、交渉が大筋合意に達したとする声明を発表した。
2010年3月に始まったTPP交渉は5年半を経て終結し、世界の国内総生産(GDP)の約4割を占める巨大な経済圏が誕生することになった。
現在38.5%の牛肉の関税は協定発効時に27.5%にまで引き下げ。協定発効から10年で20%に、16年目以降は9%に段階的に引き下げる。
価格が安い肉には現在1キロ当たり482円の関税がかけられている豚肉は、協定発効時に125円に引き下げ。発効5年目に70円、10年目以降には50円に。関税の引き上げ幅は段階的に縮小され12年目以降は廃止される……。
政府は10年後に輸出が年2.6兆円増え、GDPは3.2兆円押し上げられると試算。安倍晋三首相は「TPPは国民を豊かにする」と胸を張った。アベノミクス新3本の矢「国内総生産(GDP)600兆円への拡大」を目指す安倍晋三政権にとっては欠かせない経済政策だといっている。
しかし、そもそも自民党・安倍政権はTPPに反対ではなかったか。2012年12月の総選挙では、当時の民主党政権が前のめりになったTPP交渉に対し、「聖域なき関税撤廃を前提にする限り交渉参加に反対」との公約を打ち出し、「ウソつかない。TPP断固反対。ブレない。日本を耕す!! 自民党」というポスターを大票田の農村にバラまいた。
というのも、TPPでは、日本は貿易額、品目ともに10年以内に95%の輸入関税を撤廃するために、国内農業は厳しい価格競争にさらされることになるためだ。自民党は農村の期待を背負い、政権に返り咲いたはずだ。
ところが、政権に返り咲くと、わずか4カ月後の13年3月には安倍首相は「聖域なき関税撤廃が前提ではない」と交渉参加の姿勢に一転する。
さらに同年4月には衆参両院の農林水産委員会は「農産物5項目」(コメ、麦、牛肉・豚肉、乳製品、サトウキビなど甘味資源作物)について「農家が生産を続けられるよう関税の交渉から除外または再協議の対象とすること」「(守れない場合は)交渉からの撤退も辞さない」と関税死守を決議。14年12月の総選挙では「経済連携交渉は、交渉力を駆使して、守るべきは守り、攻めるべきは攻め、特にTPP交渉は、わが党や国会の決議を踏まえ、国益にかなう最善の道を追求します」と公約を掲げていたはずだ。
しかし、今回の合意では、コメは「米国、オーストラリアに無関税輸入枠を設定」。麦は「優遇輸入枠を新設、発効後9年目までに関税にあたる『輸入差益』を45%削減」、牛肉・豚肉の「段階的縮小・廃止」などとサンザンな状態で、交渉では譲りに譲ったものになったのだ。
いったい、衆参両院の農林水産委員会「農産物5項目」関税死守決議は何だったのか。東京新聞10月6日付6面「密室交渉に反発も 13年衆参委で5項目関税維持決議」によれば、「政府は『決議文は、今後も農家が生産を続けられるような対策をとれば関税を撤廃してもいいと読める』(政府関係者)と農業振興策を打ち出して農業団体や農水族議員を懐柔する方針。最終的には党議拘束をかけて強行突破する構えだ」という。首相も6日朝の記者会見でTPP交渉を振り返り、「聖域」としてきた農産物重要5項目を中心に、「関税撤廃の例外を数多く確保することができた」という。
もう一度まとめるとこうなる。
・2012年12月の総選挙「聖域なき関税撤廃を前提にする限り交渉参加に反対」→4カ月の13年3月には「聖域なき関税撤廃が前提ではない」と交渉参加に一転
・2013年4月の衆参両院の農林水産委員会。「農産物5項目」について「農家が生産を続けられるよう関税の交渉から除外または再協議の対象とすること」と決議→「決議文は、今後も農家が生産を続けられるような対策をとれば関税を撤廃してもいいと読める」(政府関係者)
前段を「巧み」に利用してつく大ウソの数々。うまく言い逃れができたと思っているのだろうか。ウソがバレないように、安倍政権は7日の内閣改造後にもかかわらず秋の臨時国会の見送りも濃厚になっている。
さらに、首相は「農業は国の基であり、美しい田園風景を守っていくことは政治の責任だ」(5日夜)と述べ、6日朝、安い農産品の輸入が増える懸念があることについて、「TPPに入ると農業を続けていけなくなるんじゃないか、大変な不安を感じる方もたくさんいることを承知している」としたうえで、「政府全体で責任をもって、できる限りの総合的な対策を実施する」と語っているが、これもまた怪しい。
というのも、たとえば、牛肉の場合、米国産の輸入牛肉が大量に入ってくることで価格が急落し、畜産農家は壊滅的な打撃を受けるからだ。おとなり韓国のケースでは米韓FTA(自由貿易協定)発効後、なんと1年目で米国産牛肉の輸入量は基準より53.6%も増え、価格面でも韓牛は5年間の平均価格より1.3%、子牛は24.6%下落したというのだ。12年3月に発効した米韓FTAはTPPのミニモデルとされている。
米韓FTAに詳しく迫っている『徹底解剖 国家戦略特区』(浜矩子、郭洋春ほか/コモンズ)によれば、米韓FTAによって米国産の輸入牛肉の40%の関税を15年間でゼロにすることになっている。1年当たりの削減幅はわずか2.7%。引き下げられた関税はわずかにもかかわらず輸入業者が大量に買い付けるため、価格は大きく減少したというのだ。これは政府の想定外だったという。
「その結果、生産者は大きな打撃を被り、廃業へと追い込まれる。『強い農家を育てる』と言っても、時間がかかる。大量に流入してくる農産物に、すぐには対応できない。できるのは廃業だけだ。日本政府のいう農業支援とは、絵に描いた餅と言わざるを得ない」
「これでは将来、畜産農家、ひいては農業従事者が減少していき、農業全体が衰退してしまう」(同書より)
なお、日本は米韓FTAの失敗を見習ってか、一定の輸入量を超えれば関税を引き上げる「セーフガード」という制度(1年目は最近の輸入実績から10%増えた場合に関税を現在の水準である38.5%まで戻す)を導入し、国内の生産者への影響を抑えるというが、はたして、効果があるかは怪しい。
いずれにせよ、米韓FTA発効後、1年で起きているのは、米国企業によって韓国市場は荒らされ、貧富の格差がますます拡大したという衝撃の事実だ。
マスコミはこうした事実を無視して、TPPが発効すると、関税が(全部または一部)撤廃・緩和され、域内でのモノや人材、サービスのやりとりが盛んになり、経済が大きく活性化することが期待できる、と触れまわっている。消費者はいかにトクをするかを喧伝し、日本は少子高齢化で国内市場が縮小に向かうなか、米国や新興国の需要を取り込み、新たな成長の推進力になると祝福ムードだ。
しかし、TPPでトクをするのは消費者ではなく、安倍政権を支える経団連、そしてアメリカだけだということを忘れてはならない。
(小石川シンイチ)
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