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安保法案に反対した者はTPPの廃案に動かなければウソだ
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2015年10月6日 天木直人のブログ 新党憲法9条
甘利大臣や安倍首相が歓迎しているTPP大筋合意であるが、これほ
ど禍根を残した交渉はないだろう。
そのツケは必ず表面化して来る。
御用報道を見ただけでも、次のような大問題に気づく。
一つはTPP交渉が秘密交渉であった事だ。
最終合意の段階では関税交渉ばかりが報道されたが、TPP協定が
扱っているものはもちろんそれだけではない。
サービス、投資、知的財産権、など多岐にわたり、おまけに悪名高い
ISDS条項がある(企業が国を相手にTPP違反訴訟を起こせる権
利)。
そのすべてについて合意されたとでもいうのか。
次に、仮に合意が見られたとしても、それはTPP交渉者の間の合意でしかない。
国際協定である以上、各国の議会(国民)の承認がいる。
その段階で秘密協定が公開されて問題が百出するだろう。
日本の国会は安倍政権のやりたい放題だから、安保法案と同様に強行
承認されるかもしれないが、各国の議会はそうならないだろう。
肝心の米国議会さえ待ったをかけるかもしれない。米国お得意のちゃ
ぶ台返しだ。
日本政府だけがTPP協定の旗を振るという滑稽な事になるかもしれ
ない。
三番目に、関税交渉に限って見ても、今度の合意は完全なWTO違反
である。
そもそも世界規模の自由貿易協定が出来たのは、保護主義が戦争につ
ながった苦い経験の反省があったからだ。
だからGATT(その後のWTO)の原則は無差別自由化だ。
開発途上国に対する優遇を例外として、域外差別は許されない。
今度のTPPはそれを真っ向から否定するものだ。
それだけではない。
TPP加盟国間でさえ不平等になっている。
こんな協定が許されるはずがない。
なぜこのような協定が出来たのか。
それはTPP加盟12カ国がすべて対米従属や弱小国であるからだ。
中国やロシアはもちろんの事、EUが入っていない。
カナダやメキシコはそもそも北米自由貿易協定と言う名の差別的地域
協定の加盟国である。
しかもその交渉は米国とその他の国々の二国間交渉の寄せ集めだ。
米国だけがすべてを掌握し、その他の国は他国の交渉に関与しない、
できない。
米国に次いで域内で最大の経済大国である日本は世界一の対米従属国
である。
こんどのとりまとめでも日本の国益を守る事より米国の為にとりまと
めに奔走した。
まさしくHUB & SPOKE つまり車輪の中心(米国)と櫛
(その他の国)の関係だ。
4番目の問題として、米国がTPPを世界に広げていくとしている点
だ。
しかし、そううまくは行かない。
今度はEUや中国、ロシアと交渉しなければいけないからだ。
彼らが米国一強を許すはずがない。
私が驚いたのはオバマ大統領がTPP大筋合意を評価してこう述べた
ことだ。
これからはTPPを中心に新たな国際ルールをつくる。中国に国際
ルールを作らせるわけにはいかない、と。
TPPの正体をここまであからさまに発言したのには驚いた。
これはまさしく安全保障政策と並んで中国を意識した協定である。
しかし、オバマ大統領はもうすぐ去っていく。
そして、その後に誰が米国の大統領になろうとも、もはや米国はかつ
ての米国ではない。
TPPは単に12か国の自由貿易協定ではなく、米国主導の国際政治
のルール作りの協定ということだが、果たしてその力が米国にあるの
か。
そして5番目に日本の役割だ。
日本がTPPにここまで熱心な理由がもうお分かりだろう。
安保法案強行とまったく同じ構図である。
国益や民意を無視して米国に協力する対米従属の象徴である。
安保法案に反対する者はTPPにも反対し、廃案に動かなければいけ
ない。
日本は対米従属と引き換えに世界から孤立してはいけないのである
(了)
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