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安保法成立で難題を乗り切ったかに見えたが……【PHOTO】gettyimages
安倍政権に大混乱の難問! 軽減税率めぐり、自民・公明に「ひび割れ」の兆し 公明党・創価学会・新聞社の本音と抵抗
http://gendai.ismedia.jp/articles/-/45663
2015年10月05日(月) 田崎 史郎 現代ビジネス
「財務省の力はここまで落ちたか」
財務省はかつて「イコール政府」だった。予算編成で財務原案(旧大蔵原案)はほぼそのまま政府案となった。税制でも、財務省は政府と与党、なかんずく自民党の税制調査会の間を行き来しながら、裏で税制改正大綱をまとめた。
だが、2017年4月から導入を目指している負担軽減策について、財務省案は政府案とはならず、風前のともしびとなってしまっている。
■「財務省の力はここまで落ちたのか……」
安倍官邸の要人は怒りを込めてこう語る。ただ、今回のことについては少々、同情に値する。
負担軽減策に関する財務省案の報道は、9月4日付読売新聞夕刊から始まった。読売は「飲食料品 消費税負担を軽減 財務省案 10%後 給付金」という見出しで、こう伝えた。
《消費税率を10%に引き上げる際の負担軽減策の財務省案が4日、明らかになった。2017年4月に税率が10%に引き上げられるのにあたり、ほぼ全ての飲食料品を軽減対象とする。
複数の税率を設けると事業者の経理処理が複雑になるため、いったん10%の税率を課した上で、払いすぎた税金分を後から支給する方式を導入する方向だ。
財務省案は、納め過ぎた税を後から戻す還付ではなく、給付金を国民に配る形をとる》
一方、この日午前、日本テレビは「軽減税率導入時"マイナンバー"活用の新案」と伝えた。
《消費税率の10%への引き上げに際して生活必需品の税率を低くする軽減税率が導入された場合、「マイナンバーカード」の機能を活用する新たな案を政府が検討していることが、日本テレビの取材で分かった。
政府が検討している新しい案は、来年1月から発行されるマイナンバーカードのICチップ機能を使って、買い物の段階で税率が低い商品を買った額を把握し、払いすぎた軽減税率の分を一人一人に後から払い戻すというもの。軽減税率の導入で課題となっている事業者の事務負担の軽減になるという》
先月4日時点で、マイナンバーカードを利用することに触れた点において、日本テレビの報道が読売新聞よりも正確だった。読売と日テレは一体と見られがちだが、取材・報道ではそれぞれ独立している。
■政府内でも大混乱!
この報道を機に、朝日新聞を除く新聞社は一斉に反発を強める。社説では毎日新聞が先陣を切り、9月6日付で「軽減税率 給付金では代替できぬ」と書いた。新聞への軽減税率の適用は新聞業界の悲願だ。消費税率を8%に引き上げた際に、新聞の部数減に悩まされた生々しい記憶が残る。
そんなことに構わず、副総理兼財務相・麻生太郎は「複数の税率を入れるのは面倒くさい」(アンカラで、日本時間9月5日未明)と発言し、新聞社の神経を逆なでした。麻生はさらに「カードを持っていきたくなければ持っていかないでいい。その代わり、減税はない」(同8日の記者会見)と発言し、火に油を注いだ。
財務省はマイナンバーカードを利用した事後還付案を作成するのに、自民党税調会長・野田毅、税制改正を仕切る公明党副代表・北側一雄と念密に打ち合わせた。主税局長・佐藤慎一は北側と旧知の仲だ。北側は代表・山口那津男、幹事長・井上義久の了解も取った。
その上で、財務省は8月31日に官房長官・菅義偉に、9月1日に首相・安倍晋三に説明した。この段階で、少なくとも安倍は了解し、ゴーサインを出した。財務省に同情するのは、政府与党内の根回しを完璧に近い形で行っていたからである。
ところが、読売新聞の報道によって、事態は一気に暗転した。菅は読売報道の翌日の9月5日、土曜日にもかかわらず、財務省幹部との協議に臨んだ。
「この案だと、事業者の負担を消費者に回すことになるぞ」「これで公明党が本当に納得するのか」
菅の消極論に対し、財務省は野田、北側らが了解していることを理由に、同10日の与党税制協議会に提出する方針を変えなかった。菅はしぶしぶ了承した。
はたして菅の懸念は当たった。創価学会幹部は同7日、北側らを呼び、案の内容をただし、反対する立場を明確にした。
■安保の次は軽減税率がのしかかる
この翌日の8日、朝日新聞は1面トップで「飲食料品2%分『還付』 消費税10%時、自公了承 マイナンバーカード利用案」という見出しで大々的に報じた。
《自民、公明両党は7日、2017年4月に消費税率を8%から10%に引き上げるのに合わせ、酒を除く飲食料品の2%分を購入後に消費者に戻す「還付制度」の導入について、大筋で了承した。購入時点で税率が低くなっている欧州などでの「軽減税率」とは異なる仕組みで、今後、両党は詳細な制度設計に入る》
同日付2面の「時時刻刻」では「増税分還付、公明乗る 協議暗礁、焦りの末 幹部『立派な軽減税率だ』」という見出しで長文の記事を掲載した。今、振り返れば、公明党・創価学会はこの段階で反対の方針を固めていたわけで、朝日の報道は誤報と指摘されても仕方がない。
そもそも、公明党は昨年暮れの衆院選で「今こそ、軽減税率の実現へ。」というポスターを作り、街中に貼った。軽減税率もどきの事後還付案をのめるはずがない。北側らがなぜのんだのか、学会側に事前の説明をしなかったのか……。学会が北側を見る視線は冷たい。
一方、安倍は公明党・創価学会、および新聞社の本音を知り、9月24日、総裁再選が党大会で決まった後の記者会見で軽減税率案にカジを切った。
「昨年の税制改正大綱では、消費税の軽減税率制度について、早急に具体的な検討を進めるとされたところであります。この大綱に沿って、議論を進めていくことが必要であると考えています」
しかし、軽減税率を導入すると、事業者が消費者から税金を預かったことを記すインボイス(税額票)という書類の発行が必要とされ、自民党の支持基盤の商工業者の負担増となる。そのため、自民党税調の抵抗は強い。
また、対象となる食料品をより多く買うのは所得の高い層で、必ずしも低所得者対策とならない可能性もある。公明党幹部は次のように語る。
「安保法制はしょせん頭の中の論理の話だった。生活とは関係がない。しかし、軽減税率の問題は一人ひとりの懐に響く話なんですよ。自民、公明連立にひびが入りかねない問題だ」
安全保障法の成立で政権の難題を乗り切ったかに見える安倍政権の前途に、さらに高い山がそびえ立っている。(敬称略)
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