46. 2015年10月06日 00:12:35
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2015.9.30 21:13 櫻井氏、抗議の民主に反論文送付 集団的自衛権否定の岡田氏は「180度転換」と重ねて強調 民主は再質問状 http://www.sankei.com/politics/news/150930/plt1509300032-n1.html ジャーナリストの櫻井よしこ氏は30日、自身のNHK番組での発言について抗議の質問状を送付していた民主党に反論する回答文を同党に送った。櫻井氏は9月27日の番組で、「岡田克也代表が外相時に集団的自衛権は必要と述べていた」と発言したことは、「民主党が野党時代の幹事長として」だったと訂正。その上で、岡田氏が6月の党首討論で「集団的自衛権の行使は要らない」と主張したことを「180度の転換」と強調した。 民主党は、櫻井氏が番組で「民主党が共産党と組む」と発言したことにも、「連立を組むことが決まっているかのような誤解」を与えたと抗議していた。これに対し、櫻井氏は該当部分のやり取りを紹介し、「(両党が)選挙協力したときに何が起き得るかに言及し、協力関係を批判した」「誤解を与えているのは民主党」と反論した。 一方、櫻井氏の回答を受けた民主党は30日、「全く同意できない」として再質問状を送付した。岡田氏は幹事長時代も含め「『集団的自衛権は必要』とは一言も述べていない」などと反論。2日までに番組での発言を撤回し、岡田氏と民主党に謝罪するよう求めた。 2015.9.30 14:25 http://www.sankei.com/politics/news/150930/plt1509300017-n1.html ジャーナリストの櫻井よしこ氏は30日、自身のNHK番組での発言に事実誤認があったとして、民主党から発言の撤回と謝罪を求める質問状を受け取ったことに対し、反論する回答文を民主党本部に送付した。全文は以下の通り。 岡田克也氏が「民主党政権の時の外務大臣として」「集団的自衛権は必要です」と言ったと、私が語ったのは事実です。「外務大臣として」という部分は「民主党が野党時代の幹事長として」の思い違いであり、訂正します。 同件は、今年9月14日、参議院の「国際社会の平和安全法制に関する特別委員会」で、自民党の佐藤正久議員も取り上げました。岡田氏は党幹事長だった平成15年5月3日の「読売新聞」で以下のように発言しています。 「集団的自衛権は非常に幅広い概念だ。第三国が米国と戦争になったとき、日本が出かけて行って武力行使をするのは憲法を逸脱している。米国本土が攻撃された場合も憲法上は問題だ。ただ、日本を防衛するために活動している米軍が攻撃された場合、日本に対する行為と見なし、日本が反撃する余地を残すのは十分合理性がある。今の憲法は、すべての集団的自衛権の行使を認めていないとは言い切っておらず、集団的自衛権の中身を具体的に考えることで十分整合性を持って説明できる。ただ、日本を守るため公海上に展開している米軍艦艇が攻撃された場合という限られたケースなので、むしろ個別的自衛権の範囲を拡張したと考えた方がいい。集団的自衛権という言葉を使わない方がいい」 また、17年7月号の『中央公論』誌上で、読売新聞編集委員の橋本五郎氏の取材を受けて、以下のようにも語っています。 −−今回のビジョンでは、集団的自衛権の問題に触れていない。どうしてなのか 岡田「安全保障論議をする際に、集団的自衛権こそが極めて重要な問題であるように語られているが、ややシンボル化されすぎているように感じている。もちろん、日本の利害に直接関わるような地域で、同盟国である米国が攻撃を受けた際、日本が傍観していていいのか、という問題意識はある。ただ、これは個別的自衛権の拡張という考え方で対応できる部分もあるだろう」 ーー理屈ではなく,実態論でいくということか 岡田「そうだ。集団的自衛権の議論にすると、神学論争に陥ってしまう。また、集団的自衛権を安易に認めてしまうと、地球の裏側であっても行使できるということになりかねない。仮に集団的自衛権を憲法なり法律なりで認めるとしても、きちんと制限を明示したほうがいいだろう。いずれにせよ、より具体的な形で議論すべきだ。そして、最後にはその時々のリーダーが政治生命を賭けて決断しなければならない」 岡田氏の発言で赤線を引いた右の部分(※太字部分)は明らかに集団的自衛権の必要性を認めています。集団的自衛権の行使に踏み込むか否かは、「その時々のリーダーが政治生命を賭けて決断」すべきことだと、正しいことを言っています。 事実上、集団的自衛権は必要だと言っているとの私の理解は間違っていないと考えます。 ところが、今年6月17日の党首討論で岡田氏は「集団的自衛権の行使は要らないんです」と断定して、発言を締めくくりました。これは180度の転換ではありませんか。 × × × 「民主党が共産党と組む」との私の発言に対して、貴殿は「民主党と共産党が連立を組むことが決まっているかのような誤解を視聴者・国民に与えるものです」と決めつけていますが、私の発言を再度調べてください。 念のため、私の発言を以下に記します。 島田敏男NHK解説委員「櫻井さん、今の安倍1強の自民党をどうごらんになっていますか?」 櫻井「今まで1年ごとに政権が代わるというのを私たちは体験してきたわけですよね。第1次安倍内閣から始まって、自民党、それから民主党になったらもっと短くなった。これでは国の政治もできないし、国際社会における日本国の主張なんて誰が聞いてくれるんだろうと思いますと、やっぱり長期政権というのは必要だというふうに思うんですね。それがたまたま今、安倍政権であって、私はその意味では1強とかって言う代わりに、言う前に、政権、政治の安定性ということについていえば必要なことだというふうに思いますね。これはだって、また3年後には総裁選挙がありますし、来年には参議院選挙があるわけですから、いろんな段階での民意の表現というのは可能なわけですから、やっぱりできるだけ安定した政権の中で、下で、国政を担ってほしいと私は思います」 島田「櫻井さん、来年夏の参議院選挙、注目されます民意の反映という視点からどう見ますか?」 櫻井「私ね、今思い出すのはね、自民党と社会党が手を組んで政権を奪還したときですね」 島田「自社さ政権ですね」 櫻井「あの時は、自民党の支持者も社会党の支持者も怒ったと思いますよ。だって全然違う価値観の人たちが一緒になって、政権をとるためだけにやったわけですね。今、岡田さんが言っていることは、共産党なんかと一緒に選挙協力やりましょうと言っていますね。同じことだというふうに思うんですね。じゃあ自民党と社会党の協力で何が起きたか。社会党が没落してしまったわけですよね。もう今、社民党5議席ですか、もうほとんど政党の体をなしていないところまで落ちてしまった。じゃあ今度、民主党と共産党が選挙協力したときに、どっちが食い込んで、どっちが取られちゃうのか、これやってみないとわかりませんけれども、いずれにしても、岡田さんはかつて、『集団的自衛権は必要です』と、民主党政権の時の外務大臣として言った人が、今は『それは必要ありません』と180度変わって、民主党が共産党と組むというのは、かつての自民党と社会党のことを思ってもですね、あまりにも国民を、さっきあなた国民を馬鹿にしているとおっしゃったけれども、これこそ国民を馬鹿にしていることだと、私は思います」 以上の私の発言は、自社両党の無節操な連立を批判したうえで、「民主党と共産党が選挙協力したときに」何が起き得るのかに言及し、民主・共産両党の協力関係を批判したものです。 貴殿は私が民主党・共産党の関係について視聴者や国民に誤解を与えると論難しますが、そのような誤解を与えているのは民主党の皆さんではありませんか。以下、民主党議員の方々の発言を示します。 9月19日、共産党の志位和夫委員長が安保関連法制廃止に向けて「国民連合政府」構想を提案。 9月20日、岡田氏は秋田市内での記者会見で「かなり思い切った提案で、注目している。選挙区で競合を避けるのは重要だが、政策をどうするかなど、さまざまな議論をしないといけない。提案の中身についてよく話を聞きたい」(産経ニュース9月22日)と、発言しました。 辻元清美政調会長代理はNHKの番組で「(安保法に反対する)国民の声を受け止める大きな受け皿がいる」(同)と、共産党の提案を前向きに受け止めていることを示唆しました。 9月21日、岡田氏は大分市内の記者会見で共産党の提案を「思いきった提案だ。特に選挙協力について重要な提案を頂いた」(読売新聞、9月22日)と語り、またもや前向きに検討する姿勢を見せました。 同日、菅直人元首相は「1人区では安保法制廃止の野党統一候補を擁立すべきだ」とブログで発信しました(産経ニュース、9月22日)。 9月24日、岡田氏は「最大の支持団体である連合の古賀伸明会長ら幹部との定期協議に出席し、安倍政権に対抗する野党勢力の結集を目指す考えを表明。共産党との協議について『向こうの主張を確認する作業から入りたい』と理解を求めた」(時事通信、9月24日)。 9月25日には、岡田・志位会談が行われ、会談後、岡田氏は「政策が一致していないと国民にとって困ったことになる。選挙協力もなかなか難しい」と述べた一方で、「協議の継続では一致した」(毎日新聞、9月25日)と語っています。 一方、『赤旗』は次のように報じました。 志位氏が「戦争法(安保法制)廃止の国民連合政府」の実現をよびかけ、「丁寧に説明」すると、「岡田代表は『思い切った提案をいただいたことに、敬意を表します』と述べ」、「両者は『今後も引き続き話し合っていく』ことで一致しました」 『赤旗』は会談後の志位氏の発言として、「全体として、たいへん良いスタートが切れたのではないかと思います。引き続き私たちの考えを丁寧に伝え、一歩一歩、合意にむけて進んでいけたらいいと思います」と語ったことも伝えています。 これが27日のNHKの番組前までの民主・共産両党関係についての報道です。両党の協力、連携がどう決着するのかは不明ですが、話し合いが継続している状況を踏まえて論じた私の発言に問題があるとは思いません。 つけ加えるならば、共産党とのあるべき関係について、民主党内にも批判があるのは周知のとおりです。 金子洋一参院議員は9月20、21の両日、「共産党などとの協力には大反対だ。根本的な考え方が違う」「決して共産党などとの連携をしてはいけません」などとツイッターに書き込みました(産経デジタル)。 前原誠司元外相は9月24日、「『安保法廃止』のみで共産党と選挙協力するのは論外だ」とする文書を自身が率いるグループの会合で配布しました(時事通信、9月24日)。 その他にも反対意見は少なくないはずです。民主党は3年3カ月、政権を担当した経験をもつ野党です。その点で他の野党とは異なる責任ある言動を、私は民主党に期待していますが、安保法制を巡る議論ではそのような期待は所詮、無理なのかと感じ始めています。 以上、私の見解です。 櫻井よしこ 2015.9.30 20:01 民主党が櫻井よしこ氏に再質問状(全文) 「貴殿の回答は何ら説得力がない」 http://www.sankei.com/politics/news/150930/plt1509300028-n1.html 民主党の近藤洋介役員室長が櫻井よしこ氏に送った再質問状の全文は次の通り。 9月28日付の小職からの質問状に対し、本日、貴殿からの回答を受領しました。速やかにご回答いただいたことは多としますが、その内容は全く同意できないものです。したがって、下記のとおり、再度お訊ねいたしますので、10月2日までに書面でご回答願います。 1 まず、貴殿が回答の中でお認めになったように、「集団的自衛権は必要ですと、民主党政権の外務大臣として言った」との貴殿の発言が事実に反することが明確になりました。 2 その上で、貴殿は回答の中で、岡田代表が「集団的自衛権は必要」と述べた根拠として、読売新聞(2003年5月3日)と中央公論(2005年7月号)における発言を挙げています。しかし、この中で岡田幹事長(当時)が述べたことは、「日本を防衛するために活動している米軍が攻撃された場合、日本に対する行為と見なし、日本が反撃する余地を残すのは十分合理性がある」(読売新聞)、「日本の利害に直接関わるような地域で、同盟国である米国が攻撃を受けた際、日本が傍観していていいのか、という問題意識はある」(中央公論)ということであって、「集団的自衛権は必要」とは一言も述べていません。そして、「むしろ個別的自衛権の範囲を拡張したと考えた方がいい。集団的自衛権という言葉を使わない方がいい」(読売新聞)と結論付けています。したがって、「集団的自衛権は必要だと言っているとの私の理解は間違っていない」との貴殿の認識は明らかに誤りです。 3 なお、貴殿は、「集団的自衛権は要らない」と岡田代表が党首討論(6月17日)で発言したことを挙げて、「180度の転換」としていますが、これも誤りです。岡田代表は、安倍政権が進める集団的自衛権の行使は憲法違反であり容認しないとしつつ、「未来永劫ないのかと言えば、それはいろいろなことがこれからもあり得るわけですから、すべてにわたって未来を否定する、そういうイデオロギー的な考え方は我々はとらない」(本年4月28日定例記者会見)と明確に述べています。 4 また、貴殿は、「民主党と共産党が組む」とのご自身の発言について、連立ではなく「選挙協力」について批判したものと回答されました。しかし、貴殿が先例として挙げた自民党と社会党の関係は、選挙協力ではなく連立政権です。貴殿の発言は、民主党と共産党の連立政権を視聴者・国民に惹起させるものであり、自社さ連立政権を持ち出したことは明らかに不適切です。 5 以上のとおり、貴殿の回答は何ら説得力がなく、『日曜討論』における貴殿の発言が事実無根であることが明らかになりました。貴殿のような実績のある論客がこのような回答をされたことは非常に残念ですが、誤りが明確となった以上、貴殿は発言を撤回・訂正し、岡田代表及び民主党に謝罪すべきです。貴殿のご見解を伺います。 2015.10.2 18:36 櫻井よしこ氏が民主党の「謝罪要求」を一蹴 送付文書の全文 http://www.sankei.com/politics/news/151002/plt1510020016-n1.html ジャーナリストの櫻井よしこ氏が2日、民主党本部に送付した文書は次の通り。 ◇ 10月2日 民主党役員室長 近藤洋介殿 貴殿より再度の質問を受けとりました。 新たに加えられた質問も含めて、先日の私の回答文で説明が尽くされています。したがって、再度の回答は不必要だと考えます。 但し、今後とも民主党の安保政策に関しては論評を続けます。 櫻井よしこ 2015.10.5 05:02 【主張】 民主党と安全保障 まず自分の考えまとめよ http://www.sankei.com/column/news/151005/clm1510050003-n1.html 一度でも政権を担当した政党なのだろうか。安全保障政策全般をめぐる民主党の対応に、改めてそう思うしかない。 法案の審議過程では、「安倍晋三政権のやることは危険だから反対」などと、結論ありきで議論に向き合わない姿勢にあきれるしかなかった。 成立後は、集団的自衛権の行使をめぐる岡田克也代表の発言のブレをジャーナリストの櫻井よしこさんから指摘され、抗議文を送って論争となった。 それにエネルギーをつぎ込んでいる場合なのか。民主党は明確な方針を詰め切れないまま、重要法案の審議に突入したことを忘れてはならない。自らの安保政策を確立するのが先決だ。 安倍政権は、冷戦期の憲法解釈による個別的自衛権の枠にとどまっていては、日本を守れないと判断した。中国の軍事的台頭や米国の国力の相対的衰退、北朝鮮の核・ミサイル開発の進展などを考えてのことだ。 だからこそ、集団的自衛権の限定行使を容認する憲法解釈の変更を閣議決定し、安保関連法を国会で成立させた。 民主党はグレーゾーン事態に対処する領域警備法案を提出しただけで、集団的自衛権を含む安保関連法には、はなから反対の姿勢を崩さなかった。細野豪志政調会長も「不本意だった」と対案の不足を認めているではないか。 通常国会の閉幕後、党内で意見対立が再燃していることに注目したい。 岡田氏ら執行部の多くが安保法の廃案を目指しているのに対し、前原誠司元外相は集団的自衛権の一部行使に賛成を表明し、廃案ではなく見直しを主張している。 岡田氏は党幹事長だった平成15年、読売新聞紙上で「日本を防衛するために活動している米軍が攻撃された場合、日本に対する行為と見なし、日本が反撃する余地を残すのは十分合理性がある」と語った。 しごく真っ当な判断だ。この立場を今も貫いていれば、集団的自衛権をめぐり、もっと深い法案審議ができただろう。 共産党からの選挙協力の呼びかけに呼応するようでは万年野党の道に突き進むしかあるまい。日米同盟の意義を認めない政党と一緒に「平和」を訴えるのか。民主党は政権復帰の夢を捨てた、と有権者は判断せざるを得まい。 2015.10.5 01:00 【櫻井よしこ 美しき勁き国へ】 民主党の矛盾と欺瞞 実態としての集団的自衛権を個別的と言い張る不誠実さ http://www.sankei.com/politics/news/151005/plt1510050003-n1.html 安保法制は成立したが、民主党代表の岡田克也氏は、9月18日の衆議院本会議で言明したように、安保法制を廃案にすべきだと主張する。氏は新法制を否定して日本の安全保障を一体どんな状況に引き戻そうというのか。 日本の安全保障体制の特徴は、国際情勢の変化に応じて自衛隊に一定の任務を担わせなくてはならなくなっている現実と、それを認めようとせず硬直した姿勢を貫くのがあたかも正義であるかのような欺瞞が横行してきたことだ。与野党双方に当てはまる政治の無責任が戦後日本の国防体制に幾つもの空白や法制の不備を残した。それらを辛うじて補ってきたひとつの要素が自衛隊員の気概だった。 1999年に能登半島沖で北朝鮮の工作船に対処した海上自衛隊の自己犠牲の精神がその1例である。イージス艦「みょうこう」の当時の航海長、伊藤祐靖氏が振り返った。 「北朝鮮工作員が強力な武器を持っているのは間違いなく、乗り込めば銃撃戦になる。しかしわれわれには防弾チョッキもない。そこでせめてもの弾丸除けに船内の雑誌を腹に巻いて準備をしました」 偶然相手のエンジンが始動して彼らが逃走したため、乗り込むには至らなかった。 97年には鹿児島県下甑島に中国人密航者20人が不法上陸し逃走した。航空自衛隊員30人は一切の武器を携行せず自己責任で、野外訓練名目で出動した。中国人全員を拘束したが、彼らが武装していれば丸腰の自衛官が犠牲になった可能性もある。 いずれの事例も日本人の命や国土を守るために、自衛官が危険を承知で身命を賭して展開した点だ。自衛隊の海外でのPKO活動も同様だ。 国の内外を問わず、自衛隊員の犠牲を前提にした国防や安全保障は根本的に間違っている。その点に目をつぶった政治の無責任のもうひとつの顕著な事例が東日本大震災のときに起きた。 2011年3月17日、防衛相の北澤俊美氏が会見で、爆発した東京電力福島第1原発3号機への自衛隊ヘリによる放水について、こう述べた。 「昨日、菅直人首相と話し合う中で『放水は今日が限度である』という結論に達した。首相と私の重い決断を(折木良一)統合幕僚長が判断し、統幕長の決断で実行した」 防衛相が命令を下さず、部下が忖度して決断したというのだ。常々シビリアン・コントロールの重要性を強調してきた民主党が重要な局面のひとつでシビリアンである政治家の責務を放棄し、高い放射線量の危険が予想される原発上空に隊員を送り込む責任を、現場に丸投げしたまさに責任回避の事例だった。 同様の矛盾と欺瞞の精神を、集団的自衛権を頑迷に否定する民主党の主張に私は見てとるのである。 日本国の安全を担保するために、集団的自衛権を限定して行使するという今回の安保法制を岡田氏は認めず、「集団的自衛権の行使は要らない」と断定した。しかし実際に氏が語ってきたことは集団的自衛権の容認である。 氏は、まず、日本国憲法が集団的自衛権の行使を否定していないことを認めている。日本を防衛中の米艦への攻撃を日本への攻撃とみなし、日本が反撃することも肯定している。ただし、無制限な集団的自衛権の拡張はできないとして、集団的自衛権とは呼ばずに個別的自衛権の範囲を拡張するのがいいと主張する。 これは明らかな論理の矛盾であろう。個別的自衛権はあくまでも武力行使を受けたその国が反撃する権利である。国際社会の常識では、他国が攻撃された場合に日本が反撃すれば、個別的自衛権ではなく集団的自衛権になる。 岡田氏の論法は実態としての集団的自衛権を肯定しながら、名前だけ個別的自衛権にしようというものである。自衛隊に放水してほしい、今日が限度だと首相と合意しながら、危険な放水の任務は自衛隊が自ら決断して踏み切ったことにした。事態に正面から向き合わないという点で両事案は共通していないか。 実態としての集団的自衛権を容認しながら、個別的自衛権だと呼ぶ岡田流考え方に同意する国は果たして存在するだろうか。米艦が攻撃され日本が反撃するとして、その措置は「直ちに」国連安全保障理事会に報告されなければならないが、国連はわが国に直接の攻撃がないにもかかわらず、反撃する事例を個別的自衛権とは認めないだろう。 むしろ、国際社会が集団的自衛権とみなす軍事行動をわが国が個別的自衛権だと主張したら、いかなる国にも個別的自衛権でどんどん進出することを許していない国際社会は警戒を強めるであろう。実態としての集団的自衛権を個別的自衛権と言い張るのは、国際社会に対しても国民に対しても不誠実なことだ。 民主党幹部の多くが国会の外でデモ隊と一緒に、戦争法案だ、廃案だと叫び続けた。自民党の説明が十分だとも分かりやすかったとも思わないが、自民党は激しい反対論に遭遇しながらも日本の国防体制を変えなければならないと説き続け、法案を成立させた。どちらが政党としての責任を果たしたかは明らかだ。 こんな状況では民主党は国民の支持を得られないとして、少なからぬ民主党議員が危機感を抱き、民主党解党論まで飛び出した。当然であろう。観念的安保論に凝り固まり続ける岡田民主党から、有為の人材が離れていくのも遠いことではないのではないかと、私は感じている。
[32削除理由]:削除人:関係が薄い長文 |