http://www.asyura2.com/15/senkyo194/msg/187.html
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主要メディアが実施し公表する世論調査で生のデータがそのまま報じられることはマレである。
官邸や与党には生のデータが伝えられるとしても、購読者や視聴者が見聞きするデータは、政権や新聞社幹部の意向に従って“補正”された値でしかない。
「新安保法制」に関する世論調査は、成立を推進する読売新聞グループやフジ産経グループまでが、「説明が足りない」や「法制化は反対(もしくは今国会で成立させる必要はない)」を圧倒的多数であると報じていた。これは、珍しく生のデータに近いものか、意図的に反対を増やしたケースかもしれない。
(読売や産経は、法案の成立には反対だが、そのような法案は必要だと考えるひとが過半数ということを示すことでバランスをとった)
「新安保法制」には反対だが、そのような法案を成立させたいとゴリ押ししている張本人=政権が反対運動を誘発するという“異様”で“不可思議な”こともあると承知していたほうがいい。
「新安保法制」に賛成するひとが多いという世論調査のまま法案が成立してしまえば、それを求めている米国支配層の“派兵”要請を断りにくくなる。
国民多数が反対しているなかで無理強いに近いかたちで成立させたということで、法律の適用や発動を渋ることもできる。
対米従属の政治家や政権とはいえ、米国の利益に奉仕するかたちで国民を犠牲にしたいと思っているわけではない。
犠牲者が出れば、政権が倒れかねないという問題も大きいが...
※関連投稿
「安保法制を考える(1)〜なぜこの法制が必要か〜拓殖大学 特任教授森本 敏:米国の強い要請だからと言えないのであれこれ多弁」
http://www.asyura2.com/15/senkyo194/msg/153.html
「安保法制を考える(2)〜法的安定性と国民の不信感〜NPO国際地政学研究所理事長柳澤協二」
http://www.asyura2.com/15/senkyo194/msg/154.html
「安保法制を考える(3) 〜正しい判断をするために〜早稲田大学教授植木千可子:抑止力が無効だったマレな例が大日本帝国」
http://www.asyura2.com/15/senkyo194/msg/155.html
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2015年10月01日 (木)[NHK総合]
視点・論点 「安保法制を考える(4) 〜民意は反映されたのか〜」
埼玉大学社会調査研究センター長 松本正生
去る9月19日未明に成立した「安全保障関連法」。この法律に対する国民世論の評価はどうだったのか。報道各社の世論調査結果にみられるように、国会の審議期間を通じて「(法制化に)反対」が多数を占めていました。ただ、それは、法律そのものへの批判よりも、法制定過程の慎重な取り扱いを求めていたと推定されます。今国会で決着させるという手続きや日程に「それほど急ぐ必要があるのか」、他の政策や法案に最優先で「政権がエネルギーを傾注するほどの必然性があるのか」という疑義を持っていたのだろうと思います。
もちろん、安保法制の必要性を強く感じ、今回の法律の成立を高く評価するという回答も相応の比率を占めています。その一方で、一連の法律に付随する不確実要素の多さに不安を感じるという回答もまた相当数の割合を占めています。
最近の世論調査結果には、安倍内閣への「支持と不支持の併存」というような状況が存在します。つまり、相対的に安定基調にある内閣支持率と、(安保法案の今国会成立や原子力発電所の再稼働への反対など)個別政策への不支持とが、背反せずに併存しているのです。これをどのように解釈すべきなのか。おそらく、安倍首相・安倍政治を評価はするが、全面的に賛成しているわけではなく、不安や批判も持ち合わせているという、「(支持六分、不支持四分の)四分六分意識」の反映だと推定されます。
また、昨今の世論調査結果にはもう1つの傾向が存在します。それは、個別の政策に関して「賛・否」を表明しない留保回答が、課題によっては3割程度存在することにほかなりません。現行のRDD方式の電話世論調査結果は、賛・否の態度が明確に表出されるという特性があります。にもかかわらず、態度留保回答がそれ相応に高いということは、実際の社会における割合をさらに多く見積もる必要のあることを示唆しています。
いずれにせよ、賛成と反対、ないし、評価と不安の双方が、国民1人1人の心の内に併存するということを考慮するならば、安保法制に関する世論は、比較的冷静だったと言えるのではないでしょうか。
今度は、安倍首相や与党自民党、そして野党の対応はどうだったでしょうか。先ず、安倍首相です。今回の安保法案法制化過程における安倍首相の姿勢については、やはり、妥協を許容しない強行突破型の手法が印象に残ります。
「安倍一強政治」とか、「安倍翼賛政党」などと揶揄される自民党。党の内なる状況の真偽はともかくとして、「雑居的寛容さ」と表現された、かつての懐(ふところ)の広い政党から、付け入るスキを許容しない、いわば「ハリネズミ的」な政党へと変質しつつあるように見えます。果たして、安倍政権や自民党が、今後の政策遂行や政局運営において、今回のようなやや強引な姿勢を転換するのか。注目されるところです。
加えて、野党の責任の大きさも指摘しなければなりません。とりわけ野党第一党の民主党は、対案を出すには出したものの、法律の内容で議論するというよりも、批判に終始した感は否めません。結局、反対のデモや集会の盛り上がりに便乗する形で、審議過程の終盤には阻止一辺倒になり、「反対運動」と化してしまいました。
国会戦術の上でも、自民党による野党の分断策に有効に対抗することができず、民主党は野党内でのリーダーシップを発揮することができませんでした。
安保法制一色となった今国会においては、後回しになってしまった重要課題や、成立はしたもののきちんとした議論が行われなかった法律もいくつか存在します。与野党は、このことにも留意しなければなりません。
さて、安保法制をめぐっては、世論を反映し、政治と世論をつなぐ役割を担うマス・メディアについて、ちょっと気に掛かる傾向が見受けられました。先ほど指摘した「四分六分意識」のように、国民世論は比較的冷静だった一方で、報道機関、とりわけ新聞各社では、賛否の態度をことさら強調する姿勢が存在したことです。
安全保障関連法に対する賛否を尋ねた各社の世論調査に関しては、質問文が誘導的ではないのかという批判が出されました。
ここで、集団的自衛権を是認する閣議決定がなされた、去年の7月を思い起こしてください。新聞各社の世論調査結果が割れ、「民意のありか」が議論になりました。
集団的自衛権行使について、「賛成か・反対か」の二者択一で聞くと、「反対」が多数となりました。これに対して、「全面的に認めるべきだ・限定的に認めるべきだ・認めるべきではない」の三者択一で問うと、今度は「限定的に認める」が多数を占め、「全面的に」と合わせた「容認(賛成)派」が過半数を超えました。
外交政策に関わる争点は、もともと理解の難しい問題です。わけても「集団的自衛権をどう思うか」となると、なかなか判断のつかない事柄でしょう。報道各社の世論調査結果に違いが出るのは、「有権者がまだ明確な意思を持ち合わせていないこと」を示している。この程度の解釈にとどめるべきだったと思います。
ところが、当事者である新聞各社は、互いの調査結果の相違に神経質でした。奇しくも、反対を表明する会社は自らの世論調査で結果的に反対が多数となる二択質問を採用し、賛成を明確にする会社では容認意見が過半数を占める三択質問を採用していました。そうしたこともあってか、紙面では相互に質問の偏向をあげつらうような記事も散見されました。ある日突然掛かってくる報道機関からの世論調査の電話に、煩わしさを感じながらもきちんと答えてくれた人たちに対して、たいへん失礼な話だと思います。
近年の日本のマス・メディアには、自社の政治的スタンスを明確にする傾向が定着しつつあり、政治の側も、それを承知の上で対応しています。とくに、現在の安倍政権には、報道機関に対する戦略的な姿勢が見受けられます。社説をはじめとする社論関連の報道は、すでに現実の政治過程に組み込まれていると言わざるを得ません。
けれども、世論調査までが社説に付き合う必要はありません。われわれ国民にとってみれば、報道機関が社会の注目や批判を受けながら世論調査を実施するからこそ、その結果としての世論が、われわれ1人1人の手の届くところにあると言えるでしょう。世論調査とは、一種の公共財に相当します。
調査主体であるマス・メディアには、自社の世論調査結果を社説で引用し、社論の大義名分にすることに、留保とためらいが求められます。まして、一定方向への回答を誘導するかのような質問設定や、調査実施のタイミングを政局の仕掛けに利用することなど、世論調査を都合良く酷使するのは「ご法度」とするべきでしょう。
http://www.nhk.or.jp/kaisetsu-blog/400/228526.html
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