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安保法制を考える(1)〜なぜこの法制が必要か〜拓殖大学 特任教授森本 敏:米国の強い要請だからと言えないのであれこれ多弁
http://www.asyura2.com/15/senkyo194/msg/153.html
投稿者 あっしら 日時 2015 年 10 月 02 日 02:44:08: Mo7ApAlflbQ6s
 


2015年09月28日 (月) [NHK総合]
視点・論点 「安保法制を考える(1)〜なぜこの法制が必要か〜」
拓殖大学 特任教授 森本 敏

このたび、安全保障関連法いわゆる平和安全法制が成立しました。この法制についてはいろいろな意見や見方がありますが、本日は、この法制の背景や意味合いについてお話ししたいと思います。

まず、この法制の背景にある国際情勢の変化についてですが、その特徴は第一に、世界のパワーバランスが構造的に変化しているという点です。特に、米国の相対的国力が低下し、対米戦略上の協調を進めているロシアと中国が経済的には難しい状況に直面しつつも、軍事面では軍の近代化につとめ、クリミア・ウクライナや南シナ海などで見られるように力を周辺に押し出して国際秩序の現状変更を試みるなど国際社会の不安定要因となっています。

第二は国際経済面で経済連携の進展に伴い発展と成長を享受する地域がある一方で、経済格差や難民・移民・環境・人権・人口の構造変化などの問題が深刻化し、先進国による国際協力だけでは、十分に対応できない状況が続いていることです。

第三は、中東・湾岸・北アフリカや欧州・アジアなどで、IS=過激派組織イスラミックステートのテロ活動や国家と非国家主体の混在するハイブリッド紛争や平時と有事の間に混在するグレイゾーン事態が見られ、海洋における領有権問題・サイバー戦争や大量破壊兵器の拡散などが国際社会を不安定にしているという現象が広がっていることです。

アジア太平洋においては、北朝鮮が依然として弾道ミサイルや核兵器の開発を進め、特に、日本を射程に入れた弾道ミサイルの配備は数百発に上っています。また、核実験も過去3回行っており、核兵器の小型化・軽量化が進むことが懸念されます。

中国は、9月3日に抗日戦勝記念式典と軍事パレードを行い、日米両国を目標とした各種兵器を示威し、30万人の兵員削減を提唱しつつも海・空軍の近代化、統合化を加速させる方向を強調しました。南シナ海では埋立て施設をすすめ、東シナ海では海洋プラットフォームを建設するなど海洋権益の拡大・保護にまい進しています。また、過去3年間にわたり尖閣諸島への領海侵入を続け、航空機の接近も顕著です。こうした中国の軍事動向は米国はじめアジア・太平洋諸国の共通懸念となっていますが、これに対しては多国間協力や同盟関係を軸とした抑止機能を強化しつつ対応することが一層重要になりつつあります。

このような安全保障環境のもとで、日本は、@米国が進めているリバランスーいわゆるアジア太平洋を重視した兵力展開と米軍再編計画―を支援しつつ、日米防衛協力ガイドライン見直し合意に基づき相互の役割・任務・機能の分担をすすめるとともに、A国際社会の平和と安全に対する一層の協力・貢献をすすめることによって、抑止機能を強化し日本の安全を確保していく必要があります。即ち、日本の防衛力を適切に整備するとともに日米同盟の信頼性を一層向上することにより、国の主権・領域・国民の安全を守ることは最優先課題ですが、同時に、国際社会の平和と安定のために協力し、貢献することも重要であることを意味します。今日の国際安全保障環境下では一国のみで自国や地域の平和と安定を確保することはもはや不可能に近く、一国平和主義は成り立たないからです。

日本がこのたび、憲法下において日本の平和と安全を守るために国会審議を通じて制定した平和安全法制は以上のような背景のもとに制定されたものですが、この法制は大別して2つの法制から構成されています。

第1は、いかなる事態においても日本の平和と安全を守るため、抑止力を一層強化することを狙いとした備えの体制をつくるために必要な法制です。

その1つは、存立危機事態−即ち、我が国と密接な関係にある他国が攻撃され、日本の存立が脅かされる事態−など新三要件のもとで日本の防衛のために集団的自衛権を行使するための法制です。これは日本防衛のための活動をしている米軍等に対する武力攻撃が発動要件であり、実際に自衛隊に防衛出動を命ずる場合は原則として事前の国会承認が求められています。

もう1つは、すでに制定されている周辺事態安全確保法の中で、「我が国の平和と安全に重要な影響を与える事態」という法制上の目的を継承しつつ、現実にこのような事態に対して、日本の防衛に資する活動をする米軍等に対し、後方支援を行うための法制です。この法制を重要影響事態安全確保法と言います。この法律のもとで行う後方支援には補給・輸送・施設の利用・修理・整備・医療・通信などが含まれており、武力の行使に当たる行動は含まれていません。

第2は、日本だけでなく、国際社会の平和と安定に一層の協力・貢献をするための法制です。これにも2つの法制が含まれています。

その1つは、国連安保理決議に基づいて国際平和のために脅威を取り除く活動をする他国軍に対して後方支援を行うための法制であり、これは、国際平和支援法という新法として制定したものです。この後方支援にも武力の行使に当たる行動は含まれていません。日本が多国籍軍等に参加することもありません。

もう1つは、国際平和協力(PKO)法の改正であり、1992年に制定したPKO法では例えば、PKO活動中の自衛隊の近くにいる国連関係者などから救援要請があった際に、従来は救援活動ができなかったのですが、これら関係者の保護を行えるようにするなど活動内容の充実を図ろうとしたものです。

これらの法制について憲法違反であるとの指摘が一部から行われてきましたが、憲法の唯一の番人である最高裁は、「自国の平和と安全を維持し、その存立を全うするために必要な自衛のための措置は国家固有の機能の行使として当然である」という見解を示しており、平和安全保障法制は決して違憲ではありません。

また、この法制は戦争法案であるという意見が一部にみられますが、我が国が戦争をするといった違法な行為をこの法制によって行おうとしているといった指摘は極めて不適切です。この法制は国に対するリスクや危険を未然に防ぐためのものであり、抑止力を強化する法制です。決して戦争をするための法制ではありません。

この平和安保法制に関連して徴兵制を議論する意見もありますが、徴兵制はそもそも憲法違反であり、この法制のどこにも書いてありません。今日、ハイテク化された戦闘活動は長い時間と労力をかけて育成されたプロ集団のみが従事できる活動であり、今や、G-7諸国はいずれも徴兵制をとっておりません。

また、法制に基づいて活動する自衛隊員のリスクが高まるのではないかという議論があることも承知していますが、本来、自衛隊員の活動にはリスクがあります。新たな任務も同様にリスクを伴いますが、隊員のリスクを減らす努力は、今後、この法制に基づいて活動するための基準を整備し、訓練をすすめることによって果たしていくべきであると考えます。

いずれにしても、国の安全保障には失敗が許されないのであり、この法制が将来の日本にとって真に国民の平和と安全を守るためのものであると確信しています。

http://www.nhk.or.jp/kaisetsu-blog/400/228327.html


 

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コメント
 
1. 2015年10月02日 03:47:46 : nreoyl7KqI
>これらの法制について憲法違反であるとの指摘が一部から行われてきましたが、

はぁ? 一部?


2. 2015年10月02日 08:40:35 : jXbiWWJBCA
難産の末に成立、平和安全法制の最大の眼目とは?
「存立危機事態」よりも画期的な「重要影響事態」概念の導入
2015.10.2(金) 福田 潤一
南スーダン内戦、大統領が和平協定に「条件付き」署名
政治的混乱が続く南スーダンに日本は自衛隊を派遣している。平和安全法制の成立で自衛隊の活動はどう変わるのか。南スーダンの首都ジュバで、反乱軍との和平協定に署名するサルバ・キール大統領(中央、2015年8月26日撮影、資料写真)。(c)AFP/CHARLES LOMODONG〔AFPBB News〕
 9月19日未明、参院本会議で混乱の末に平和安全法制が可決・成立した。費やした国会での審議時間は衆院で116時間30分、参院で103時間32分。合計200時間以上を費やした大変な難産の末の成立であった。

 この法制が極めて論争的な内容であったことは疑いの余地がない。賛成側はこの法律は変化した安全保障環境の下で日本を守るために必要不可欠であると言い、反対側はこの法案には憲法違反の疑いがあり、かつ自衛隊の行動や政府の裁量への「歯止め」も不十分であると主張した。

 しかし、200時間超の審議時間を費やしても、平和安全法制への国民の理解が深まったとは言い難い。なぜならば、この法律はただでさえ11本の法律(10本の法改正と1本の新法制定)を束ねたものであって、大変複雑であるうえに、与野党その他の政治勢力の様々な政治的な思惑から極端に捻じ曲がった評価をされてきた経緯があるからである。

 それでは、真実の平和安全法制の姿とはどのようなものであろうか。以下、2回に分けて、政治的思惑を介さない安全保障の専門家の見地から整理してみたい。

 最初にお断りしておきたいが、以下の評価は筆者個人のものであって、筆者の所属組織を含む、いかなる団体や組織の立場とも無関係である。

日本はこれまでどおり集団的自衛権を行使できない

 平和安全法制によって、自衛隊法や武力攻撃事態対処法が改正され、従来「憲法上行使不可」とされてきた集団的自衛権の限定的な行使が可能になった。法制はこれを「存立危機事態」が認定された場合に可能であるとしている。

 「存立危機事態」とは、「我が国と密接な関係にある他国に対する武力攻撃が発生し、これにより我が国の存立が脅かされ、国民の生命、自由及び幸福追求の権利が根底から覆される明白な危険がある事態」を指す。

 この存立危機事態という概念について、どう理解すればよいのだろうか。

 安保法制を批判する人々は、この「存立危機事態」について、認定基準が曖昧で政府の裁量の余地を際限なく広げるものだという。しかし、現実にはこれは極めて抑制的な認定基準であって、ほとんど個別的自衛権の発動とイコールといってよいほどの、集団的自衛権行使への高いハードルを課す基準である。

 よって、この認定基準は「個別的自衛権に薄皮一枚被せたような」自衛権行使しか可能にしない。これほど高いハードルをクリアして集団的自衛権を発動した国が過去存在したかどうか疑わしい。

 ごくわずかな例外(一部の状況での米艦防護など)を除き、これはむしろ、集団的自衛権の行使を事実上不可能にするほどの厳しい認定基準である。平和安全法制は実質的には集団的自衛権の行使を事実上禁じる法律であるとすら言ってよい。

 そのため、筆者は平和安全法制で最も重要な部分は、実はこの「存立危機事態」概念の導入ではないと見ている。この法律が施行されても、実際には日本はこれまでどおり集団的自衛権を行使しないし、またできないであろう。事態を想定した訓練が平時からあらかじめできるようになる点が若干の新機軸だが、今後数十年のスパンで見ても集団的自衛権が行使されることはまずあり得ない。

「存立危機事態」概念の導入は、実質的な自衛隊の活動や日本の安全保障への影響という意味で言えば、さほどの重要性を持たない。法制にはそれより注目すべき要素が存在しており、それらを下記で取り上げたい。

決定的に重要な変革は「重要影響事態」概念の導入

 筆者が「存立危機事態」の導入よりもはるかに重要性があると見ているのが「重要影響事態」概念の導入である。従来の周辺事態安全確保法を改正し、新たに重要影響事態安全確保法を制定するものだ。

 この法改正で具体的に変化するのは以下の3点である。

(A)従来の「周辺事態」概念には存在した、「我が国周辺」という地理的制約がなくなり、「我が国の平和及び安全に重要な影響を与える事態」と定義される「重要影響事態」であればグローバルに他国軍への後方支援が可能になった。

(B)「国際連合憲章の目的の達成に寄与する活動を行う外国の軍隊」であれば、米軍以外の外国軍隊(豪州軍など)に対しても後方支援が可能になった。

(C)後方支援内容が従来よりも拡充され、特に、武器の提供までは認められないものの、「弾薬の提供」と「戦闘作戦行動のために発進準備中の航空機に対する給油及び整備」が可能になった。

 なお、これら以外にも後方支援における「武力行使との一体化」の概念が改められ、従来、「現に戦闘行為が行われておらず、かつ、そこで実施される活動の期間を通じて戦闘行為が行われることがないと認められる」地域と定義される「非戦闘地域」でなければ後方支援できなかったものが、「現に戦闘行為が行われている現場」でなければ実施できるようになった(※)。

(※)この緩和は後述の「国際平和支援法」における「協力支援活動」にも適用される。もっとも、実施場所やその近傍で戦闘行為が行われたり、それが予測される場合には、活動の一時休止や中断を行って、リスクを回避する規定が設けられた。

 こうした自衛隊の活動拡大こそが、筆者が平和安全法制の最大の眼目と評価するものである。

 この法律は「存立危機事態」のような異様に厳しい事態認定基準を設けず、何が「重要影響事態」なのかについての政府の解釈の幅を残している。さらに日米以外の第三国も支援でき、その支援内容にも踏み込んだ拡充がなされた。従来から(国際法上の根拠のない)日本独自の制約であるとして批判の対象になってきた「武力行使との一体化」の概念が緩和されたことも大きなポイントである。

 おそらく「重要影響事態」概念は、「存立危機事態」の定義において安倍政権が反対派の厳しい批判を受け入れて大幅な譲歩をする(=厳格な「歯止め」をかける)ことの代償として、ある程度の柔軟性と政府の裁量余地を残すものとして成立したのであろう。それゆえ筆者はこの「重要影響事態」概念の導入こそ、平和安全法制において「存立危機事態」概念の導入を上回る決定的に重要な変革だと見なしている。

 なお、同様に「国際の平和と安定を脅かす事態」における外国軍等への「協力支援活動」を可能とする「国際平和支援法」(=いわゆる自衛隊の海外派遣の「恒久法」)については、筆者はほとんど評価をしていない。これは本来、重要影響事態法とセットにされるべき法律であった。この法律は「例外なき国会の事前承認」の導入など使い勝手が悪く、今後、重要影響事態法と比較してさほど使われることがないと考える。

平和安全法制の「目玉」、改正PKO法

 平和安全法制では、国際平和協力法(PKO法)も改正された。主な改正点は、従来認められていなかった「安全確保業務」及び「駆け付け警護」における「任務遂行のための武器使用権限」が自衛隊に付与されたことと、従来のPKO参加五原則を維持する形とはいえ、これまでの国連統括型のPKO活動への参加を越えて、欧州連合のような地域的機関の要請でもPKO活動への参加が可能になったことである。

 この改正PKO法の規定は、特に前者の“武器使用権限の拡大”という点において、平和安全法制の中でも重要な変化と認識されるべきものである。

 従来のPKO法では、自衛隊に可能なのは自己保存型の武器使用または自衛隊の武器等防護のための武器使用に限られており、任務妨害や不服従の排除のための武器使用や、他国の軍隊や我が国の要員(文民を含む)へのいわゆる「駆け付け警護」のための武器使用が認められていなかった。そのため、今回これらが認められたことは、PKO活動における自衛隊の役割を拡大するものとして、注目される。

 自衛隊はこれまで軍事組織でありながら現地の住民の安全確保のための監視や巡回、検問、警護などを行うことができず、また離れた場所で攻撃を受けている他国軍や日本の要員を助けに行くこともできなかった。今回の改正でこれらの活動が可能になり、自衛隊がより積極的に現地の平和維持に貢献することができ、国際的な期待にも応えることができるようになった。

 もっとも、今回の法改正は自衛隊のPKO活動への参加について、従来の参加5原則を維持したまま、すなわち現地の紛争当事者間の停戦合意の存在や、日本の参加についての紛争当事者の同意などのハードルを残していることは事実である。また、日本自身、今後はますます自国の安全に直接関わる任務に優先的な防衛資源配分を行わねばならなくなるであろうから、例えば南スーダンにおける活動のような、大規模な国際的PKO活動に今後どれほど参加し得るのかには疑問の余地がある。

 こうした限界があることは事実だが、改正PKO法の規定は、平和安全法制の中でも「目玉」と言える重要性があるものと考える。

 後篇では、米軍等の部隊に対する「武器等防護」、在外邦人等の保護措置や船舶検査活動等のその他の法改正、武力攻撃に至らない侵害(グレーゾーン事態)への対処などへの各評価、そして平和安全法制全体の評価について言及したい。
http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/44888


3. 2015年10月02日 22:45:42 : Ns4lmygKjc
 自衛隊がアメリカ軍と肩を並べ世界中の紛争地帯へ出かけて武力行使をすることがどうして国際社会の平和と安定のためになるんだ?
 武器を携えて殺し合いをすることがどうして平和的貢献なんだ?
 一国では平和を維持できない。で、複数国での武力行使で平和が保障されるのか?
 森本よ、安全保障の権威なら「丸腰の国際平和」を論じてみろ。

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