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醍醐聰のブログ
それでも「採決」はなかった〜NHKの実況中継で再現すると〜
http://sdaigo.cocolog-nifty.com/blog/2015/09/nhk-5092.html
2015年9月30日
【速報】IWJが9月25日の記者会見全部の録画を公開しました。ぜひご覧下さい。
http://iwj.co.jp/wj/open/archives/266904
「無」を「有」と言いくるめさせてはならない
時間が経つうちに潮が引くように政治に対する怒りがあきらめに、ため息に変わっていく・・・・こんな光景を何度も見てきた。
しかし、9月17日、参院安保特別委員会で起こった出来事が既成事実として一人歩きするのを黙過してよいのか?
違憲の指摘が相次いだ安保関連法案が、「採決」の外形も、議事進行の公式の記録もないまま「可決」されたという「事実」がねつ造され、まかり通ろうとしている。
しかし、私は、この先、「無」を「有」に言いくるめるどのような仕業がなされようとも、「採決なるものは存在しない」とこだわり続ける。そこで、記憶の風化に抗う作業の一環として、9月17日、多くの国民が「視聴体験」したNHKの特別委実況中継の模様を原稿に起こし、あの日、あの時刻に何があったかを再現(抄録)しておきたい(記載した時刻はNHKふれあいセンターに問い合わせ、応対した担当者に録画を辿てもらって確認したもの)。
「委員長の姿はほとんど見えない状況です」
(16:28:46)高瀬アナ:委員長不信任動議が否決され、鴻池委員長が着席しました。中谷、岸田両大臣、そして安倍首相が着席しました。・・・・・ 委員長席には野党議員が激しく詰め寄っています。委員長のすがたがほとんど見えない状況です。・・・・・
(16:30:16)高瀬アナ:今、安倍総理大臣が席を立ちました。・・・・今、与党の議員が立ちあがっています。
田中泰臣・政治部記者:はっきりしたことはわかりませんが、法案についての採決が行われているものと見られます。
高瀬アナ:採決ですか・・・・
田中:はい、委員長に対する不信任動議が否決されました。その後、与党は質疑を打ち切る構えをみせていたんです。その後、(法案の)採決に踏み切る方針でしたので・・・・。それに対して野党が激しく抗議している状況だと思われます。
「委員長の発言はまったく聞き取れません」
高瀬アナ:与党側の委員が起立する姿が見られましたので、採決が行われた可能性があります。委員長の姿は、ほとんど多くの委員の姿に隠れてしまっています。・・・・今、拍手が起きています。正確な情報が入り次第、お伝えします。与野党の議員が激しくもみ合う状況になっています。
委員長の発言はまったく聞き取れない状況になっています。先ほどは与党側の議員が立ちあがる姿が見られました。そして拍手も起きています。・・・・
今、何かを読み上げているようにも聞こえます。採決が行われているようです。与党議員は立ちあがりました。まったく聞き取れない状況です。田中さん、さきほどから混乱した状況ではありますが、採決が行われているようですね。
田中:5分ほど前になりますが、委員長不信任動議が否決され、委員長が席に戻りました。その後、与党の方針としては質疑を打ち切って採決に移る構えだったのです。それを踏まえますと、質疑(「採決」の誤り)を行っている可能性が高いと思います。
「与党の理事らが起立を促す様子が見えます」
高瀬アナ:何か与党の議員が立ちあがる姿が見えました。・・・・安倍内閣総理大臣が不在の場ですが、採決が行われているようです。何度か、このように委員席の方へ与党側の理事らが起立を促す様子が見えます。
(16:37:21)高瀬アナ:鴻池委員長が今、席を立って委員会室から退室します。これは田中さん、散会したということでしょうか?
田中:詳しいことは分かりませんが、何らかの・・・・・
(16:42:17)画面上方に字幕「安保法案 参委特別委で可決 自民、公明、次世代などの賛成多数」
(16:42:18)画面下方に字幕「安保法案 参院特別委で可決」
再生した映像からわかること
1. 映像には、与野党議員が委員長席を囲んでもみ合う状景や、与党議員(秘書も動員されていたという指摘もある)がスクラムを組む格好で鴻池委員長を取り囲み、ブロックしている状景が映されている。高瀬アナも何度も委員長の姿は委員に隠れてまったく見えないと語っている。
このような状況で、鴻池委員長は賛成「起立者の多少を認定」(参議院規則137条)できたはずがなく、「その可否の結果を宣告」(同条)できるはずがなかったことは明らかである。
2. さらに、参議院規則第136条は、「議長(ここでは「委員長」と読み替え)は、表決を採ろうとするときは、表決に付する問題を宣告する」と定めているが、速記録には「議場騒然、聴取不能」と記されるのみで、鴻池委員長が5つの問題ごとに表決に付する問題を宣告した記録も、起立多数を認定した委員長の発言も記録されていない。
高瀬アナも「委員長の発言はまったく聞き取れない状況になっています」と発言している。
3. 田中泰臣・政治部記者は何度か「採決がされた模様です」と発言しているが、よく状況を把握できないと言いながら、そのように「憶測」したのは「与党としては」委員長不信任動議が否決されたら、直ちに質疑を打ち切り、採決に移る構えだったから」と語っている。
しかし、予定されていた2時間の締め括り質疑を打ち切ることは理事会で合意されていたわけではないし、どの時点で質疑を打ち切るかなど、野党議員は知る由もなかったはずだ。
しかも、委員会室の模様は高瀬アナが何度か語ったように、委員長も委員も互いの姿も声も確認できる状況ではなかった。
結局、田中記者は自分が事前に知っていた議事進行のシナリオをもとに「推測」で「採決がされた模様」と語ったことになる。これがどうして「事実にもとづく報道」といえるのか、与党が描いたシナリオを解説し、「存在」自体を現認できない「採決」が成立したかのように伝えた田中記者のバイアスを見過ごすことはできない。
これについては目下、対応を検討中である。
鴻池委員長の音声はマイクからの録音もなし
この点について、小西洋之議員は9月24日、ご自身のツイッターに、「強行採決時の鴻池委員長の音声は、マイクに一切録音されていない。 また、マイク音声を通じて行う速記も一切記録が無い。 この音声無し、記録無しは、永久に補訂できない。 以上、国会事務局から確認。つまり、委員会の議事進行の実体がない不存在かつ無効の採決と断ぜざるを得ない」と書き込んでいる。
これが事実か確かめたいと思い、9月28日、参議院議員会館の代表番号に電話をして小西洋之議員、福山哲郎議員の国会事務所に回してもらったが、つながらなかった。そこで仁比聡平議員事務所に回してもらったら秘書が在室。小西議員が書き込んだことは間違いないか、国会事務局(参議員事務局のことと思われる)に確認してもらえないか要請した。秘書氏には快く引き受けてもらい、追って連絡するとのこと。
確かに、翌日、連絡があり、小西議員の前段の書き込みに間違いはない、後段(「つまり」以降)は小西議員の判断、考えです、との回答だったという。
つまり、「採決」されたと称される時の鴻池委員長の音声は、マイクに一切録音されておらず、マイク音声を通じて行う速記も一切記録が無い」ことを国会(参議院)事務局も認めたのである。
とすれば、9月17日、あの特別委員会室で、参議院規則第136条、第137条で定められた表決の要件を充たした「採決」なるものがなされたころを証するものは一切ないのは歴然としている。それでも法案は「採決」された、「可決」されたと呼号するのは「無」を「有」と言いくるめる、ねつ造、以外の何物でもない。
野党議員は結束して異議申し立てを
安保特別委の理事でもあった福山哲郎氏(民主党)は9月25日、SEALDs KANSAIが開いた集会に参加して、「ぼくは、未だにあの採決は無効だと思っています。皆さん、議事録をご覧いただくとわかると思います。プレイボールのない野球がなぜ公式記録に残るんでしょうか?」と発言している。
大門みきし議員(日本共産党)も9月18日、参議員本会議に提出された鴻池委員長に対する問責決議案に賛成する討論の中で、「また、採決自体、本当に有効だったのか検証されるべきであります。強行採決の時の議事録は“発言するもの多く、議場騒然。聴取不能”としかありません。委員長は与党議員によってつくられたドーム型のアーチにガードされ・・・、外が見えませんでした。委員長のそばの議員が手振りで合図して、与党の議員が言われるまま立ったり座ったりしただけでした。今、何を採決しているのか、本人たちはさっぱりわからなかったのではないでしょうか。なぜ、あんなことが採決と言えるのか。あまりにずさんではありませんか。」
ならば、小西議員、福山議員、大門議員らは自ら無効と断じたり、存在自体に疑義を呈する「採決」をどうするのか? 言葉だけでやり過ごすのか? 3万3千余(9月28日現在)の国民が「採決は不存在」という呼びかけに賛同した事実をどう受け止めるか。野党議員にもこの点が問われている。
私も安保法案の「廃止」を呼び掛けることに異論はないが、スローガンとして語るだけでなく、そのために何をすべきかを考え、行動を提起することが喫緊の課題である。
しかし、その場合でも、稀代の違憲の悪法が無法なやり方で「ねつ造」された事実から目をそらしてはならない。そのような「ねつ造」に法的にあるいは政治的に徹底して抗うことを怠ってはならない。
それでも「採決」はなかった〜NHKの実況中継で再現すると〜
http://sdaigo.cocolog-nifty.com/blog/2015/09/nhk-5092.html
2015年9月30日
【速報】IWJが9月25日の記者会見全部の録画を公開しました。ぜひご覧下さい。
http://iwj.co.jp/wj/open/archives/266904
「無」を「有」と言いくるめさせてはならない
時間が経つうちに潮が引くように政治に対する怒りがあきらめに、ため息に変わっていく・・・・こんな光景を何度も見てきた。
しかし、9月17日、参院安保特別委員会で起こった出来事が既成事実として一人歩きするのを黙過してよいのか?
違憲の指摘が相次いだ安保関連法案が、「採決」の外形も、議事進行の公式の記録もないまま「可決」されたという「事実」がねつ造され、まかり通ろうとしている。
しかし、私は、この先、「無」を「有」に言いくるめるどのような仕業がなされようとも、「採決なるものは存在しない」とこだわり続ける。そこで、記憶の風化に抗う作業の一環として、9月17日、多くの国民が「視聴体験」したNHKの特別委実況中継の模様を原稿に起こし、あの日、あの時刻に何があったかを再現(抄録)しておきたい(記載した時刻はNHKふれあいセンターに問い合わせ、応対した担当者に録画を辿てもらって確認したもの)。
「委員長の姿はほとんど見えない状況です」
(16:28:46)高瀬アナ:委員長不信任動議が否決され、鴻池委員長が着席しました。中谷、岸田両大臣、そして安倍首相が着席しました。・・・・・ 委員長席には野党議員が激しく詰め寄っています。委員長のすがたがほとんど見えない状況です。・・・・・
(16:30:16)高瀬アナ:今、安倍総理大臣が席を立ちました。・・・・今、与党の議員が立ちあがっています。
田中泰臣・政治部記者:はっきりしたことはわかりませんが、法案についての採決が行われているものと見られます。
高瀬アナ:採決ですか・・・・
田中:はい、委員長に対する不信任動議が否決されました。その後、与党は質疑を打ち切る構えをみせていたんです。その後、(法案の)採決に踏み切る方針でしたので・・・・。それに対して野党が激しく抗議している状況だと思われます。
「委員長の発言はまったく聞き取れません」
高瀬アナ:与党側の委員が起立する姿が見られましたので、採決が行われた可能性があります。委員長の姿は、ほとんど多くの委員の姿に隠れてしまっています。・・・・今、拍手が起きています。正確な情報が入り次第、お伝えします。与野党の議員が激しくもみ合う状況になっています。
委員長の発言はまったく聞き取れない状況になっています。先ほどは与党側の議員が立ちあがる姿が見られました。そして拍手も起きています。・・・・
今、何かを読み上げているようにも聞こえます。採決が行われているようです。与党議員は立ちあがりました。まったく聞き取れない状況です。田中さん、さきほどから混乱した状況ではありますが、採決が行われているようですね。
田中:5分ほど前になりますが、委員長不信任動議が否決され、委員長が席に戻りました。その後、与党の方針としては質疑を打ち切って採決に移る構えだったのです。それを踏まえますと、質疑(「採決」の誤り)を行っている可能性が高いと思います。
「与党の理事らが起立を促す様子が見えます」
高瀬アナ:何か与党の議員が立ちあがる姿が見えました。・・・・安倍内閣総理大臣が不在の場ですが、採決が行われているようです。何度か、このように委員席の方へ与党側の理事らが起立を促す様子が見えます。
(16:37:21)高瀬アナ:鴻池委員長が今、席を立って委員会室から退室します。これは田中さん、散会したということでしょうか?
田中:詳しいことは分かりませんが、何らかの・・・・・
(16:42:17)画面上方に字幕「安保法案 参委特別委で可決 自民、公明、次世代などの賛成多数」
(16:42:18)画面下方に字幕「安保法案 参院特別委で可決」
再生した映像からわかること
1. 映像には、与野党議員が委員長席を囲んでもみ合う状景や、与党議員(秘書も動員されていたという指摘もある)がスクラムを組む格好で鴻池委員長を取り囲み、ブロックしている状景が映されている。高瀬アナも何度も委員長の姿は委員に隠れてまったく見えないと語っている。
このような状況で、鴻池委員長は賛成「起立者の多少を認定」(参議院規則137条)できたはずがなく、「その可否の結果を宣告」(同条)できるはずがなかったことは明らかである。
2. さらに、参議院規則第136条は、「議長(ここでは「委員長」と読み替え)は、表決を採ろうとするときは、表決に付する問題を宣告する」と定めているが、速記録には「議場騒然、聴取不能」と記されるのみで、鴻池委員長が5つの問題ごとに表決に付する問題を宣告した記録も、起立多数を認定した委員長の発言も記録されていない。
高瀬アナも「委員長の発言はまったく聞き取れない状況になっています」と発言している。
3. 田中泰臣・政治部記者は何度か「採決がされた模様です」と発言しているが、よく状況を把握できないと言いながら、そのように「憶測」したのは「与党としては」委員長不信任動議が否決されたら、直ちに質疑を打ち切り、採決に移る構えだったから」と語っている。
しかし、予定されていた2時間の締め括り質疑を打ち切ることは理事会で合意されていたわけではないし、どの時点で質疑を打ち切るかなど、野党議員は知る由もなかったはずだ。
しかも、委員会室の模様は高瀬アナが何度か語ったように、委員長も委員も互いの姿も声も確認できる状況ではなかった。
結局、田中記者は自分が事前に知っていた議事進行のシナリオをもとに「推測」で「採決がされた模様」と語ったことになる。これがどうして「事実にもとづく報道」といえるのか、与党が描いたシナリオを解説し、「存在」自体を現認できない「採決」が成立したかのように伝えた田中記者のバイアスを見過ごすことはできない。
これについては目下、対応を検討中である。
鴻池委員長の音声はマイクからの録音もなし
この点について、小西洋之議員は9月24日、ご自身のツイッターに、「強行採決時の鴻池委員長の音声は、マイクに一切録音されていない。 また、マイク音声を通じて行う速記も一切記録が無い。 この音声無し、記録無しは、永久に補訂できない。 以上、国会事務局から確認。つまり、委員会の議事進行の実体がない不存在かつ無効の採決と断ぜざるを得ない」と書き込んでいる。
これが事実か確かめたいと思い、9月28日、参議院議員会館の代表番号に電話をして小西洋之議員、福山哲郎議員の国会事務所に回してもらったが、つながらなかった。そこで仁比聡平議員事務所に回してもらったら秘書が在室。小西議員が書き込んだことは間違いないか、国会事務局(参議員事務局のことと思われる)に確認してもらえないか要請した。秘書氏には快く引き受けてもらい、追って連絡するとのこと。
確かに、翌日、連絡があり、小西議員の前段の書き込みに間違いはない、後段(「つまり」以降)は小西議員の判断、考えです、との回答だったという。
つまり、「採決」されたと称される時の鴻池委員長の音声は、マイクに一切録音されておらず、マイク音声を通じて行う速記も一切記録が無い」ことを国会(参議院)事務局も認めたのである。
とすれば、9月17日、あの特別委員会室で、参議院規則第136条、第137条で定められた表決の要件を充たした「採決」なるものがなされたころを証するものは一切ないのは歴然としている。それでも法案は「採決」された、「可決」されたと呼号するのは「無」を「有」と言いくるめる、ねつ造、以外の何物でもない。
野党議員は結束して異議申し立てを
安保特別委の理事でもあった福山哲郎氏(民主党)は9月25日、SEALDs KANSAIが開いた集会に参加して、「ぼくは、未だにあの採決は無効だと思っています。皆さん、議事録をご覧いただくとわかると思います。プレイボールのない野球がなぜ公式記録に残るんでしょうか?」と発言している。
大門みきし議員(日本共産党)も9月18日、参議員本会議に提出された鴻池委員長に対する問責決議案に賛成する討論の中で、「また、採決自体、本当に有効だったのか検証されるべきであります。強行採決の時の議事録は“発言するもの多く、議場騒然。聴取不能”としかありません。委員長は与党議員によってつくられたドーム型のアーチにガードされ・・・、外が見えませんでした。委員長のそばの議員が手振りで合図して、与党の議員が言われるまま立ったり座ったりしただけでした。今、何を採決しているのか、本人たちはさっぱりわからなかったのではないでしょうか。なぜ、あんなことが採決と言えるのか。あまりにずさんではありませんか。」
ならば、小西議員、福山議員、大門議員らは自ら無効と断じたり、存在自体に疑義を呈する「採決」をどうするのか? 言葉だけでやり過ごすのか? 3万3千余(9月28日現在)の国民が「採決は不存在」という呼びかけに賛同した事実をどう受け止めるか。野党議員にもこの点が問われている。
私も安保法案の「廃止」を呼び掛けることに異論はないが、スローガンとして語るだけでなく、そのために何をすべきかを考え、行動を提起することが喫緊の課題である。
しかし、その場合でも、稀代の違憲の悪法が無法なやり方で「ねつ造」された事実から目をそらしてはならない。そのような「ねつ造」に法的にあるいは政治的に徹底して抗うことを怠ってはならない。
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