10. 2015年9月30日 09:35:28
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>響堂雪乃 著「略奪者のロジック」第6章 戦争――――――――――――――――――――― http://www.asyura2.com/15/senkyo189/msg/182.html#c22〜24〜湾岸戦争を契機とする米国の経済制裁は91年から開始され、これによりイラクは深刻な食糧危機に見舞われた。食糧自給率が30%程度であったことから栄養事情は急激に悪化し、乳児の死亡率は80年代当初から100%以上も増加する。一連の経済制裁による死亡者は約150万人に達し、内50%が児童や乳児であったことから国際的に非難が高まった。TPPにより食糧の対外依存が加速することは確実だが、イラクの災禍は有事においては、それが戦略物質に転化されるという原則を挙証している。 〜1990年の湾岸戦争では91トンの劣化ウラン弾が使用され、疾病により帰還したほとんどの米兵に陽性反応が見られたことなどから、イラクにおける死亡者の増大要因が放射能であるとの見方が強い。ガンは南部地域を中心に急増し、その後はイラク全土で各種の疾患が急激に広まる事態となった。 〜米国は世界第2位の埋蔵量を誇る油田を確保するため、湾岸戦争以来より2400トンを超える劣化ウラン弾を使用した。現地の汚染はすでにチェルノブイリの10倍以上に達し、2100万のイラク国民が被曝リスクを抱えている状態だという。文明国家の終焉が危惧されるなか、米国経済は戦争特需による活況を呈し、前期比3.3%増のGDPを達成する。国防費が45%に激増したことから、ロッキード・マーチンやノースロップ・グラマンなど軍需関連株は軒並み著しい伸びを記録した。 〜占頷下のイラクでは市場原理主義による急進的な社会改変が行なわれている。「独裁からの解放」、「民主国家の樹立」、「自由経済による成長」というスローガンのもと、関税撤廃、民営化、労働規制と資本規制の緩和、医療・教育・福祉の削減などがもたらしたものは、50%以上に達する失業率であり、国民経済の破綻であった。また、それまで社会事業に投入されていた原油の決済代金は、米軍が破壊したインフラや公共施設の再建費用として欧米系企業へ優先的に支払われることとなり、石油経済は急速に解体されている。 〜2007年、イラクのマリキ政権は「新石油法」を閣議決定するが、原案は米国のコンサルタント会社ベアリング・ポイントによって起草されたものだと指摘されている。2003年のイラク攻撃直後にUSAID(米国国際開発庁)が同社と契約し、法案にはブッシユ政権、石油メジャー、IMFなどが主導的に関与しながら、イラク国民には詳細がほとんど知らされることがなかった。 〜イラクの「新石油法」の第1条には”イラクの石油・ガスはイラク国民の財産”と記されているが、PSA(Production Sharing Agreement=生産分与同意)という方式により、インフラヘの投資期間中は石油の売買益60〜70%を占領国へ支払い、さらに終了後も20%を支払うという略奪的システムだ。「戦争のアウトソーシング」が実践されるイラクにおいては、米国政府に委託された傭兵グループが拘束、尋問、拷問を代行し、反体制的な市民や活動家を粛清するなどの事例が相次いでいる。 〜「新石油法」の制定によりイラク油田の経営を事実上シェブロンやブリティッシユ・ペトロリアムなどが独占したことから、一連の行為が公共資源略奪を目的とした侵略戦争であると国内外から批判が噴出するが、このような事実も厳戒な規制により報道されることはない。テロリストや武装グループとは、侵略に対する抵抗運動の歪曲表現であり、実態本質を隠蔽するレトリック(修辞法)に過ぎない。 〜イラク国内は未だ厳戒な情報統制下にあり、フセイン政権時代の新聞各紙が廃刊されるなど、一般国民に被害実態が周知されることはない。米軍が破壊した公共施設、道路、港湾、その他インフラなどの復旧はベクテル社を筆頭とする米国系企業が受注し、労働力や資材も近隣国から調達したことから、イラクの雇用環境は壊滅的に悪化した。米国史において資本と軍事は常に共同行動するのであり、紛争によって国家領土と資本利潤を拡大してきたことから、侵略は経済行為であり国家プロジェクトと見なすべきだろう。 144「米国の安全保障に関わることで国連の承認は必要ない。誰の許可も必要ない。」 ジョージ・ブッシュ (米国第43代大統領) 〜2004年から米国はイラク国内法を改正し、公営企業の民営化に着手した。セメントエ場、化学肥料プラント、燐酸や硫黄の鉱山、医薬品工場、航空会社などおおよそ産業主体となる企業群が対象となり、同時に資本規制を撤廃したためイラクの公共資源は一挙に外資に売却されたという。また税制改革により進出企業はイラク国内での納税義務を回避し、本国に利潤を送金することが合法となる。一連の政策により失業者は50%以上に達し、困窮した国民は抵抗運動に参加するが、多国籍軍はこれをテロ行為とみなし大規模な掃討作戦を展開した。 〜米国政府はロビイスト集団によって運営されているが、この図式は2001年に発足したジョージ・W・ブッシユ政権においては顕著だった。リチャード・アーミテージ国防副長官(軍需・レイセオン)、マイケル・ウィーン国防総省次官(軍需・マーティン・マリエッタ)、ゴードン・イングランド海軍長官(軍需・ゼネラル・ダイナミック)、ポール・ウォルフォウィッツ国防副長官(石油・BPアモコ)、エドワード・オルドリッジ国防予算・兵姑担当次官(軍需・ユナイテッド・インダストリアル)、コンドリーザ・ライス国家安全保障担当補佐官(石油・シェブロン)、コリン・パウエル国防次官(軍需・ゼネラル・ダイナミクス)、デック・チェイニー副大統領(軍需・TRW)など、対イラク戦を決議した主要閣僚の90%以上を軍需・エネルギー産業の元役員や経営者らが占めている。 〜イラクでは生産活動が停止した状態で安価な外国製品が流人し、主要な公営企業は多国籍企業に与され、イスラム圈で最高水準にあった教育・医療など一切の厚生は米国の南部地域に劣るほど荒廃し、貧困と飢餓が蔓延した。一方、イラク戦を決議したブッシュ政権のロビイスト閣僚らは、復興計画に伴い莫大な株式益を手にするなど、アイゼンハワーの予見どおり軍産複合体と国家中枢は相互浸透し、米国そのものが軍事企業の私的運営物という様相を呈している。 149「第7ビルは制御解体だろう。内側から爆破されているから、間違いなくベテランの仕事だ。」ダニー・ジョウェンコ(オランダの爆破解体企業社長) 〜2001年9月ニューヨークの貿易センタービルヘ2機のボーイングが激突し崩壊、その後には激突されていない第7ビルまでもが崩壊。空軍の演習によりスクランブル発進ができないなど、確率論的には発生し得ない偶然が重なりテロは成功した。テロリスト集団はアラブ人財閥のビン・ラディンが率いるアルカイダとされ、世論は急速にイラク・アフガニスタン攻撃に傾斜し戦争へ突入する。ここでも「敵国の一方的な攻撃に対する、やむを得ない防衛戦争」という、米国の常套的なコンテキスト(文脈)が活用されるなど、9・11は「有用な危機の創出」であり、自作自演であったとする指摘が多い。 〜ジョージ・W・ブッシュの曾祖父であるプレスコット・ブッシュが1926年から1942年までナチス・ドイツヘ投資を行なっていたことが、米国公文書により明らかとなった。ブッシュはドイツにファンドを設立し、軍需物資による投資を行ない莫大な利益を確保したという。当時のドイツにはスタンダード石油、GM、フォード、デュポン、IBM、ゼネラル・エレクトロニクス、JPモルガン、チェース・マンハッタンなど米国企業が進出している。これにより米国資本がナチスの軍事費へ還流され、ホロコーストの原資となった。なお、ユダヤ民族の浄化というナチズムの核心は、ゴルトンの優生学思想が基礎であるとされている。 >響堂雪乃「略奪者のロジック」 第5章 メディアーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー http://www.asyura2.com/15/senkyo182/msg/434.html#c17 130 アンドレア・ミッチェル(NBCテレビ情報部長) 「何を見せられているのか、メディアにいる私たちにもわからないのです。」 〜イラクのクウェート侵攻を機に、1991年、国際連合は派兵を決定し湾岸戦争へ突入した。当初、米国の世論は反戦が多数を占めていたが、公聴会でナイラというクウェートの少女が「イラクの兵士が産院の乳児を保育器から取り出し、次々と床に叩きつけて殺しているのを見た」などと証言したことから開戦論は高まる。その後、ニューヨーク・タイムズの調査により、少女は駐米クウェート大使の娘であり、病院のボランティア経験もなく、一連の「ナイラ証言」は広告代理店・ヒルトン&ノートン社のシナリオによる虚偽であることが判明。しかし、すでに戦闘は終結し、3万6000人のイラク軍兵士と2600人の市民が爆撃によって死亡、さらに膨大な劣化ウラン弾がイラクにばら撒かれていた。 131 ルパート・マードック(ニューズ・コーポレーション会長兼CEO) 「ニュースは流すものではなく、造るものだ。」 〜メディアはカダフィ体制の崩壊を「独裁の終焉」と報道し、戦争行為を肯定した。しかしリビアでは新婚世帯に約5万ドルの住宅購入補助金を支給、失業者には公共住宅を提供、車購入の際には補助金50%を支給し、全てのローンは無利子、さらには所得税などもゼロだった。水道や電気、医療費は無償なうえに、国内で必要な治療が受けられない場合は外国での治療費と渡航費までもが援助されるシステムだ。カダフィは特に教育政策に力を注ぎ、初等教育から高等教育、さらには大学まで全てを無償化した。対し米国では4700万人が医療保険に未加入であり、350万人が路上生活を強いられ、大学生の70%以上が2万5000ドル平均の学資ローンを抱え苦しんでいる。 ―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
[32削除理由]:削除人:関連が薄い長文 |