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8年前の安倍辞任劇を今になって持ち出した朝日新聞の真意
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2015年9月29日 天木直人のブログ 新党憲法9条
朝日新聞に、「70年目の首相」と題する安倍首相の政治を検証する連載特集記事が始まった。
きょう9月29日のそれは第二回目で、安倍首相が2007年9月12日に突然の辞任発表をした前後の「苦闘」ついて書いている。
私が注目したのは次の箇所だ。
私は気づかなかったのだが、安倍首相は辞任表明をしてから12日後の9月24日に、入院先の慶応大学病院で記者会見を開いていたというのだ。
そしてその会見で次のように述べていたという。
「この一カ月、体調が悪化し続け、自らの意思を貫くための基礎となる体力に限界を感じた。もはや首相としての責任を全うし続けることはできないと決断した」と。
こんな、情けないことを記者会見で言っていたのだ。
しかし、私がこの朝日の記事で驚いたのはそのことではない。
朝日の記事は次のように続ける。
安倍が当初、語った辞任理由は違うものだった、と。
すなわち、その年の7月の参院選で自民党は民主党に大敗し、衆参両院で「ねじれ国会」になっていた。安倍はインド洋での自衛隊の給油活動の延長を実現する法案成立のため、「私が辞することによって局面を転換したほうがいいだろうと判断した」、「今の状況で、国民の支持信頼の上に力強く政策を進めていくのは困難」などと語っていたというのだ。
そして、朝日はこう書いている。
予定されていた衆院本会議での代表質問に出席せず、辞任を表明する異例の退陣劇。安倍は「政権放り出し」、「無責任」と批判された、と。
これは、安倍は病気を理由に敵前逃亡した、と言っているのではないのか。
もちろん朝日のその記事は、仮病だなどとは一言も書いていない。
それどころか、安倍が、持病の潰瘍性大腸炎を患っていたのも事実だった、と書いている。
しかし、問題はその持病が、皆が驚く前代未聞の本会議開始直後の突然の辞任を余儀なくさせるほど、緊急かつ重篤なものであったかどうかだ。
敵前逃亡の汚名を挽回するために、思いもかけずに返り咲いた安倍首相が、異常なまでに強行に出ているとすれば、日本にとってこれ以上不幸なことはない。
安倍首相が安保法案を強行して得意の絶頂にある今、8年前の病気辞任を持ち出した朝日のこの記事は、そう言っているとしか、私には思えないのである(了)
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