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アベノミクス新3本の矢を威勢良くぶち上げた安倍首相だが、実際には…(首相官邸HPより)
安倍首相「1億総活躍社会」はインチキだらけ! アベノミクスも正社員を減らし非正規社員を増やしただけだった
http://lite-ra.com/2015/09/post-1536.html
2015.09.28. リテラ
自民党総裁選が無投票再選となった安倍晋三首相(党総裁)は9月24日の記者会見で「これからも経済最優先で『1億総活躍社会』を目指す」と宣言した。
首相はこれまでのアベノミクス3本の矢(大胆な金融政策、機動的な財政政策、民間投資を喚起する成長戦略)により「もはやデフレではないという状態まできた」と説明。今後を「アベノミクスの第2ステージ」と位置付け、新たな3本の矢(希望を生み出す強い経済、夢を紡ぐ子育て支援、安心につながる社会保障)を放ち、「国内総生産(GDP)600兆円への拡大」「希望出生率1.8の実現」「介護離職ゼロ」などの目標達成を目指すという。
安倍政権は来年夏の参院選に向けて、戦争法(安保法制)の成立で下落している支持率を「経済再生」、経済最優先の姿勢を見せることで挽回しようという狙いがある。
しかし、今回の新3本の矢には新聞大手各社も懐疑的だ。「GDP600兆円」は、「実質2%・名目3%以上の経済成長が続けば、2014年度に490.6兆円の名目GDPが、20年度には594.7兆円に達する」とした「内閣府が7月に公表した試算の言い換え」にすぎない。これまでのGDPの最高も1997年度の約521兆円で到底届きそうもない(毎日新聞9月25日付「首相政権運営方針 具体策乏しいスローガン」)。
また、「名目3%以上」という内閣府の試算の前提となる数値も「バブルに沸いた91年を最後に、名目成長率が3%を上回ったことはない」。バブル期の成長率を前提とした非常に楽観的なものなのだ(東京新聞9月26日付「検証せず『新3本の矢 バブル期の成長率前提』」)。
「希望出生率1.8の実現」の達成に向けては財源の壁がある。首相が言及した「幼児教育の無償化の拡充は、自民党が昨年12月の衆院選の選挙公約でも掲げたが財源の見通しが立たず、今年度からの実施は見送られた」ものだ(朝日新聞9月25日付「首相、参院選へ『果実』強調 子育て支援・介護 財源は」)。
「介護離職ゼロ」のためには、介護施設を増加させる必要があるが、さらなる介護人材不足を招きかねないうえに「介護施設の増加については、政府が掲げてきた『在宅介護の推進』との整合性も問われる可能性がある。在宅より高コストの特養入所者が増えれば、介護保険料の上昇など経済的負担が重くなるとの指摘もある」(読売新聞9月25日付「首相目標 高いハードル」)。
ここにきて、そもそもアベノミクス3本の矢(大胆な金融政策、機動的な財政政策、民間投資を喚起する成長戦略)すらも行き詰まりを見せている。
まずは、「大胆な金融政策」のために日本銀行が掲げる「16年度前半ごろ」の物価2%実現だが、きわめて厳しいことが誰の目にも明らかになった。8月の消費者物価指数(除く生鮮食品)は前年同月比0.1%下落し、日銀が量的・質的金融緩和に踏み切った2013年4月以来のマイナスに転じている。昨年夏以降の原油価格の大幅下落と中国など海外経済の減速もあり、事実上、第1の矢「大胆な金融政策」は振り出しに戻ったのだ。
第1の矢は、投資家の期待から株式市場を瞬間的に潤わせたものの、円安に誘導しただけの結果に終わった。
第2の矢である「機動的な財政政策」は「10年間で200兆円」という目玉の目標は財政難から看板倒れ、円安による資材価格の高騰もあり、公共事業の入札さえも不調に終わるケースが相次いだ。
第3の矢「民間投資を喚起する成長戦略」では今国会で労働者派遣法の改正を断行。非正規雇用をさらに増やしかねない懸念だけを生んだ。非正規雇用の増加に歯止めがかからず、首相は会見で「アベノミクスで雇用は100万人以上増えた」としたが、朝日新聞の記事(9月25日付「アベノミクス 遠い実感 成長・消費・賃金 伸び悩む」)では、「政権発足前の12年春からの3年間で、正社員は56万人減る一方、非正規社員は178万人も増えた」と明らかにしている。
つまり、第1の矢で体力のある大企業や富裕層がさらに富み、第3の矢で、持たざる非正規雇用者が増えるという格差拡大だけがもたらされたのだ。しかも、すでにこの10年で格差は固定化されている。
「配偶者のない非正規雇用男性は84%が10年たっても配偶者のない非正規雇用男性のまま」──その冷酷な現実を調査で明らかにしたのは、『格差固定 下流社会10年後調査から見える実態』(三浦展/光文社)だ。社会デザイン研究家である著者は05年に『下流社会 新たな階層集団の出現』(光文社新書)で、日本の社会がすでに一億総中流社会ではなくなり、「中流から上流に昇る人」と「下流に落ちる人」に分化することを問題提起したが、10年後の現在、同種の調査をすることで、10年間の変化を検証したものだ。
「『下流社会10年後調査』では、10年前と2015年時点の雇用形態を聞いているので、10年間での雇用形態の変化がわかる。(略)配偶者のない非正規雇用だった男性は84%が今も同じ状態である。同様に女性も配偶者がない非正規雇用は72%がそのままであるが、15%は配偶者がある無職(専業主婦)に移行した」
「配偶者がない非正規雇用」が「正社員」に移行した割合は男性で4.5%、女性で1.4%にすぎない。一方で、「配偶者がない非正規雇用」男性が「配偶者がない無職」に移行した(失業した)割合は6.8%と高いのだ。
しかも、「10年前に無職だった男性は現在一人も正社員になっていないどころか、非正規雇用にもほとんどなっていない」のだ。
つまり、10年前の非正規雇用は非正規雇用のまま、無職は無職なままなのだ。この10年間の、06年の第一次安倍政権の「再チャレンジ可能な社会」、08年の麻生太郎政権(現・副総理)の「安心社会」、そしてアベノミクスが、若者の労働環境にとってまったく無策で、格差を固定するための政策だったことが明らかになった。内閣府「就業構造基本調査」を見ても、雇用者に占める非正規雇用者の割合は、04年の31%から14年は38%に増加している。
著者は「このように非正規雇用から正社員への移動はかなり難しいし、無職から非正規雇用への移動すら簡単ではない。雇用形態、就業形態は固定化しがちであるといえる」と指摘するのだ。
なお、富の集中も進んでいる。
金融資産については、「人口の9%が、全員の金融資産総額の59%を保有している」一方で、「300万円未満の人の構成比は49%あるが、彼らの金融資産が金融資産総額に占める割合はたった4%に過ぎないのである」。
全体の階層意識を見ると、「あなたのご家庭の生活の程度は、世間一般からみてどうでしたか。ひとつだけ選んでください」という質問に対しての回答は、「上」14%、「中」36%、「下」43%、「わからない」7%。中流よりも下流がずっと多くなっている。なお、今回の回答者の10年前は「上」15%、「中」38%、「下」39%、「わからない」8%で、中流と下流はほぼ同数だった。「つまり10年間で下流化が進んだ」のだ。
「中流が36%、下流が43%という数字は内閣府の「国民生活に関する世論調査」では昭和35〜36年(1960〜61年)と同じくらいである。(略)中流より下流が少し多いという意味では、現代の日本社会は昭和30年代半ばの高度経済成長の黎明期と同じところにまで逆戻りしたのである」(同書より)
昭和35(1960)年当時は安倍首相の祖父・岸信介が首相を務めていた時期。安倍政権は安保法制だけでなく、格差まで時代を逆戻りさせようとしているのだ。
(小石川シンイチ)
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