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田原総一朗:「柔構造」失われた自民、頼れない民主
http://zasshi.news.yahoo.co.jp/article?a=20150928-26393266-collegez-pol
BizCOLLEGE 9月28日(月)7時19分配信
安全保障関連法案が9月19日未明、参院本会議で自民、公明両党などの賛成多数で可決され、成立した。ところで、安倍晋三首相は9月7日の政府・与党連絡会議で、参院で審議中の安保関連法案について「議論も深まってきている」と述べ、採決の環境が整いつつあるとの認識を示していた。
●政府の説明は「不十分」が7〜8割超
この「議論も深まっている」というのは国会での審議について述べたものだろうが、果たして国民への説明はどうだったか。言うまでもないが、あらためて数字で振り返っておきたい。
毎日新聞9月24日付の「安保『説明不十分』8割」という記事に大手新聞・通信社の世論調査をまとめた表が掲載されている。それが参考になるので一部引用させていただく。各調査で質問の仕方は多少異なるが、政府・与党は国民に十分に説明したか、という問いに対する答えだ。
毎日新聞 十分だ 13% 不十分だ 78% 朝日新聞 十分にしてきた 16% 十分にしてこなかった 74% 読売新聞 十分に説明した 12% そうは思わない 82% 日経新聞 十分だ 12% 不十分だ 78% 共同通信 十分に説明していると思う 13% 十分に説明していると思わない 81.6%
安保関連法案に関する政府の説明は「不十分だ」と回答した人が7〜8割超にも上ることがわかる。
●安倍首相、中谷防衛相の定まらない発言
安保関連法案の審議は衆院で約116時間、参院で約100時間、合計216時間を超えた。国会に記録が残る戦後の安保関係の法案審議で最長となったが、それにもかかわらず、国民の約8割、つまりほとんどの人は「安保関連法案とは何か」「何をやろうとしているのか」「今、なぜ安保関連法案が必要なのか」がさっぱり理解できていないのだ。
「説明不十分8割」という世論調査について別の見方をすれば、まるで「安倍政権は国民への説明を放棄したのではないか」とすら思える結果である。
なぜ、このようなことになったのだろうか。それは自民党の体質がずいぶん変わってしまったからにほかならない。ある意味で、自民党が「劣化した」からと言っていいもしれない。
審議中、政府は集団的自衛権を行使する場合の具体例を示したが、その発言は定まらなかった。具体例として、当初からホルムズ海峡に機雷が敷設された場合、自衛隊による機雷掃海が挙げられてきたが、9月14日に参院平和安全法制特別委員会で、安倍首相は「いま現在の国際情勢に照らせば、現実問題として発生することを具体的に想定しているものではない」と撤回してしまった。
あるいは、審議の早い段階から、朝鮮半島有事の際、脱出する邦人を輸送する米艦を防護することを具体例として挙げてきた。しかし、8月26日の参院特別委員会の審議で、中谷元防衛相は、邦人が米艦に乗っているかどうかは「絶対的なものではない」と述べ、あっさりと否定してしまった。
●自民党で激しい党内論議が行われなくなった
安倍首相や中谷防衛相の答弁では、このように今までしてきた説明をあっさり変えてしまうという基本的な矛盾がたびたび感じられた。
これは二人の個人的な問題なのではなく、自民党の問題なのだと思う。
以前の自民党は、ある政策をめぐって基本的な矛盾が起きないように、党内で十分に論議してから国会審議に臨んでいた。だが、最近の「安倍一色」の自民党ではそうしたことが行われなくなってしまったのだ。
自民党はかつて党内の主流派に対して厳しく論議を挑む反主流派や非主流派の存在があった。さまざまな場面で、いろいろな問題が激しく討議された。
自民党内に反主流派、非主流派があったころは、政治ジャーナリストたちは野党であった社会党や共産党の取材にはあまりエネルギーを使わなかった。自民党の主流派と反主流派、非主流派の論争に体力も神経も使い果たしてしまうからだ。
自民党の首相が代わる原因も党内事情による場合が多く、社会党や共産党の影響などほとんどなかった。自民党内の反主流派、非主流派の主張に抗しきれず、自民党の歴代の首相は交代してきたのだ。
●自民党から失われた「柔構造」
そういう、ある意味でダイナミズムを感じさせたのがかつての自民党である。自民党の議員たちは自分の意見を自由に表明し、論議できるという「柔構造」が自民党にはあった。
だからこそ長期間にわたって政権を持続できたのだが、しかし、そうした「柔構造」は失われてしまった。
その理由の一つとして、選挙制度が変わったことが挙げられるだろう。1選挙区から1人を選ぶ小選挙区制になり、自民党執行部が推薦する人物しか立候補できなくなったため、反主流派や非主流派がいなくなってしまったのだ。
さらに自民党総裁選では、これまで複数の候補者が名乗り上げることが多く、各候補がそれぞれ考えや意見を表明してきた。それが自民党という党の広がりを示すことに役立ってきた。
ところが、9月の総裁選を振り返ると、まるで安倍首相に対する信頼度を競うかのように、全派閥が安倍支持を打ち出した。しかも、「自民党の多様性をお見せするのは総裁選しかない」として立候補しようとした野田聖子衆院議員は、一時は20人集めたとされる推薦人の強引な引き剥がしにあい、結局は立候補を断念せざるをえなかった。無投票で安倍首相が総裁に再選されたのだ。
自民党は旧ソ連や中国を「独裁政治だ」と揶揄を込めて批判したことがあるが、今の自民党はまさにそれに似てきている。これは誰がどう見ても自民党政治の劣化ではないか。
●民主党は安保関連法制の対案を今からでも出すべき
自民党政治が劣化してくると、野党に期待せざるをえない。しかし、その野党がどうにもだらしがない。野党第一党の民主党は安保関連法案の対案を出すこともできなかった。
実は、民主党は対案をつくったらしいのだが、党内に異論があり、結局はそれを表に出すこともなく、ただ「反対」と叫ぶだけで終わってしまった。多様性が失われているという点で、まるで民主党までが自民党のマネをしているかのようだ。民主党も劣化していると言われても仕方あるまい。
私は民主党の岡田克也代表が安保関連法制の対案を出すことを望む。与党の安保関連法制に問題ありと言うならば、民主党の対案を今からでも出すべきだ。
最新の世論調査では、内閣支持率は軒並み「不支持率」が「支持率」を上回っているが、皮肉なことに、支持政党は各調査とも自民党が35%前後、民主党が10%前後と低迷していて、自民党以外に頼れる政党がないという結果になっている。
この大きな責任は民主党にあると言ってもよい。
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