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マイナンバー還付金 麻生発言は「支配者」思想?〈週刊朝日〉
http://zasshi.news.yahoo.co.jp/article?a=20150924-00000001-sasahi-bus_all
週刊朝日 2015年10月2日号より抜粋
「複数税率は面倒」
「カードを持っていきたくなければ持っていかないでいい。その代わり、その分の減税はないだけだ」
“最強官庁”財務省の頂点に君臨する麻生太郎財務大臣が国民に向かって放った、あまりにも傍若無人な発言だ。2017年4月に消費税率を10%に引き上げる際、飲食料品の税の負担増分を後で還付する案を財務省が検討。マイナンバー制度を利用して「1人あたり年4千円を還付する」という奇想天外な還付案が突如降って湧いてきた。
小売店や飲食店で「酒を除く飲食料品」の支払いをするとき、「マイナンバーカード」を提示すれば、いったんは消費税10%分を支払うが、後日、2%分の還付を受けることができるというものだ。
この還付案と麻生発言に対し、公明党の山口那津男代表が「真意がわからない。発言が誤解を招くようなことになってはならない」と不快感を示したほか、「非常にみっともない案」(自民党の伊吹文明元衆議院議長)など、批判が続出している。
自民党の谷垣禎一幹事長も「小売業者の間で非常に煩雑だとの不安感があったことも事実だ。どう解消していけるか、この問題を考える上で重要な論点だ」と指摘する一方で、自民党の野田毅税調会長は「振り出しに戻って議論をまとめるのは難しい。別の知恵があるのか」と還付制度の撤回には応じない姿勢を見せている。来年1月からマイナンバー制度の運用が始まるが、混乱は避けられそうにないのだ。
そもそもマイナンバー制度は、国籍を問わず、住民票を有するすべての人に付与された「12桁の個人番号」を使って行政を効率化し、国民の利便性を高めようとするもの。10月から氏名、住所、生年月日、性別、マイナンバーなどが記載された「通知カード」が住民票の住所に送られる。マイナンバーは、年金や生活保護などの「社会保障」、税申告などの「税」、被災者支援などの「災害支援」の三つの分野のなかで、法律で定められた行政手続きにしか使うことができない。今のところ、民間利用はできないことになっている。
ジャーナリストの斎藤貴男氏が批判する。
「先の麻生発言は、“自分が日本の支配者”と勘違いしている本音を漏らしたもの。マイナンバー制度は、人間を番号で監視して奴隷化するに等しい所業で、神様にだって許されない行為です」
斎藤氏は、今回の財務省の還付案だけを見ても課題ばかりと指摘する。
「所得に関係なく1人あたり一律年4千円を給付するという案を軸に検討されていますが、買い物記録を集約する『軽減ポイント蓄積センター』の新設や小売店への端末設置補助などのインフラ整備に約3千億円を投じる方針です。この初期投資のほか、今後、維持費に莫大かつ永続的なコストがかかるのは確実です」
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