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政府が閣議と閣僚懇談会の議事録作成・公開を始めてから、約1年半が経過した。対象となった2014年4月以降の約150の議事録からは、実質的な議論がされていないことが見て取れる。このため「情報公開の面では意味がない」(自民党中堅)との指摘すら出ている。
「安倍政権では全てを事前調整した上で閣議にかける。自由闊達(かったつ)な議論は生じない」。閣僚経験者の一人はこう指摘した。
実際、公開された議事録に掲載されているのは、ほとんどが形式的な報告だ。閣僚懇談会に入っても、閣僚間でやりとりが展開された例はごくわずかで、閣議・閣僚懇を合わせた所要時間は平均12分にすぎない。
議事録は「率直な意見交換が損なわれる」などの不開示理由に該当すれば、「黒塗りにするか不開示理由の注釈を付ける」(内閣総務官室)ことになる。現時点で該当するケースがないことが、皮肉にも率直な意見交換がないことの裏付けとなっている。
こうした形骸化に拍車を掛けているのが菅義偉官房長官の「こわもて」ぶりだ。戦後70年談話を決定した8月14日の臨時閣議で、菅氏は「この案は既に、(安倍晋三)首相が推敲(すいこう)を重ねたものだ」と強調し、「よろしいか」と了承を求めた。
「侵略」や「おわび」などの文言の扱いに関し、各閣僚の考え方が一致していたとは言い難い。菅氏は「閣内不一致」が露呈しないようけん制したとみられ、果たして居並ぶ閣僚から発言はなかった。配布した案文についても、菅氏が「回収させてもらう。そのまま席上に置くようお願いする」と述べ、情報が漏れないよう持ち出しを禁じた。
集団的自衛権の行使を容認する憲法解釈変更の決定時(14年7月1日)や、衆院解散の表明時(同年11月21日)も、菅氏の議事進行に沿って、関係閣僚らが淡々と報告するにとどまっている。
http://www.jiji.com/jc/c?g=pol_30&k=2015092300185
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