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「オコジョのブログ」より
ぐずぐずしている間に、一週間たってしまった。
以下は、今後のための資料になればと思ってアップする次第。これからの日本のあり方――もう少し限定するなら安全保障のあり方――について考えようとする人たちに、なんらかの参考になれば幸いと思います。
私は謙虚なたちなので、言いたいこと、書きたいことは沢山あるのだが、自分が考えるようなことなど、みんなオマケつきで言ってくれるずっと優秀な人たちが沢山いるので、わざわざ自分が書くまでもないだろう、という気持ちが強い。
ところが、今回の問題については、どうも他の方々が書いてくれていない。
自分で書くしかないのだった。
いざ書こうとすると前提として言っておきたいことが気になってくる。その辺を押えてから取り掛かりたいと思っていたら、そちらに長くかかってしまった。
まあ、前置きはさっさと切り上げて、本題に入ろう。
前々々回になるのか、その前になるのか、高村正彦・自民党副総裁の「大失言」について記事を一つ書いた。
実は、高村による、もう一つというか、さらに重要と思われる「失言」が存在していた。
発言は、2015年9月13日・午後9時から始まったNHK番組で行われた。
最初にリンクしようとした動画は削除されてしまったが、また別のものが見つかったので、以下にリンク先を挙げておく。
<a href="https://www.youtube.com/watch?v=Y8_xIAzA3WM">NHKスペシャル 「緊急生討論 10党に問う どうする安保法案採決」</a>
(この記事のテーマであり、私が注目してほしいのは、動画開始後35分あたりの岡田と高村の議論である)
ツイッターを検索すると、この「NHKスペシャル」について、特に番組中の高村正彦の“こわれ”ぶりについては、少なからぬ言及がある。
その中に、私の注目した点について触れたツイートが一つだけあったが、全体としてはほとんど騒がれていない。私は、もっと大きく問題にしなければいけないと思ったのである。
総じて、あの番組は近ごろ滅多にないくらい、私には面白く思われた。
けっこう無警戒な発言が飛びかっていたからである。
政治家(政治屋?)の連中が、“本当は”どう考えているのかが、そうした発言をとおして明らかになっていた点に価値があると。
今回、私が触れたい高村の「失言」は、岡田克也の発言から始まった。
彼は、政府が提出した安保法案は、米国への不信感が前提されているように思えると高村に言ったのである(逐語的な正確さは保証の限りではないが、内容に間違いないことは動画を参照していただければ分かります。以下同様)。
岡田は、日米安保条約に米国のわが国への「防衛義務」が既に明記されているではないか、というのである。現在の貢献だけでなく、さらに後方支援までしないと米国が守ってくれないと政府は考えているのか、と言いたかったのであろう。
このあとの岡田発言も面白かった。
有事に、もし日本を防衛しないようなことがあれば、米国は日本における基地を失ってしまう。そんなデメリットをよしとするはずがないではないか、と言っていたのだ。
これは、日本にある米軍の基地が、(これまでの建て前とは違って)実は日本防衛のためにあるのではなくて、米国自身がもっぱら自国の世界戦略のために必要としているものだと認めてしまっているわけだ。別に当たり前の話ではあるが、そう考えているのと、それを国民の前ではっきりと言ってしまうのとは別のこと。大丈夫かいな、と思える稀有な発言であった。
さて、岡田の米国不信説に対する高村の反論。
日米安保条約は、米国の自動的な参戦を規定してはいない。あの条約は、日本有事の際には米国は参戦に向けての手続きを開始すると決めてあるだけである。(オコジョによる註:米国では、戦争を開始するためには議会の承認を得る必要がある。安保条約は、議会に諮るまでを約束しているにすぎない)米国政府は勿論日本を防衛するつもりであるが、実行できるかどうかは断言できない、と。
高村は、議会に諮るという言葉は使わなかったように記憶している。彼は、「議会」云々の代わりに「米国世論」に言及していた。日本の防衛に賛成するような「米国世論」が、あらかじめ形成されていなければ、有事における米軍の参加は保障されないだろう、というのである。
こうした議論は、そのものとしては、別に目新しいものではない。同じ指摘を、孫崎享氏などがずっと前から行っていた。しかし、与党の副総裁がそうした事情をあっさり認めてしまうというのは、画期的ではないかと思う。
今回の法案も含めて、インチキ学者・インチキ政治家たちは、何かというと米国が守ってくれる話をする。虎の子の“抑止力”も、それが前提にないと成立しない論理であるわけだ。
だからこそ、これまで政府は、日米安保条約が日本の防衛における根本だと主張し続けてきた。彼らの言い分は、何もかもすべてそこから始まっていた。
ところが、今回、副総裁が米軍も決して当てにはならないとはっきり認めてしまったのである。
私は、これは大問題だと思うのだ。
武藤貴也のようなチンピラの失言だったら別であるが、副総裁の発言となると、誰が“たしなめる”かだ。もう高村を座敷牢にでも入れるしかない、といった話だろうか。
ツイートの多くは、高村の精神的・身体的なこわれぶりを大いに話題にしていた。しかし、自民党面々の傍若無人の暴言・失言にあまりにも慣れすぎてしまったせいだろうか。上記の発言をほとんど重大視していなかった。
かつて、尖閣諸島が「安保条約の適用対象」であると“認めた”オバマの発言に、マスコミが大喜びの報道をしていたものだった。米国様が明言してくださった、という受けとめ方である。
政府与党も、腹の底は別であろうが、米国が「適用対象」を保障しているではないかとドヤ顔の様子だった。「適用対象=参戦」であるフリをしてきたのだ。
高村は、ウソをつき続けてばかりいたので、もう自分のウソのいちいちを把握しきれなくなっているのだろう。自分を含めて、自公政権が答弁で何をどこまで認めているのか、もう分からなくなっているに違いない。最近の支離滅裂ぶりは、その現れだと思う。
ウソをつくというのは大変疲れることである。エネルギーの多大な浪費である。
一つウソをつくと、それに矛盾しないように、また別のウソをつかなければいけない。そのウソについても、そのまた先のウソについても同様で、膨大な数のウソについて、ひたすらつじつま合わせをし続けなければならない。自分のついたウソのすべてを覚えていないといけないので、そのうちに破綻してしまうのは避けられないのだ。
その上、ハードディスクをドリルで破壊するのも、「法的安定性なんて関係ない」も、「議員優先株」話で人を騙すのも、何もかもオーライなのが最近の日本である。イワン・カラマーゾフではないが、自公議員の面々が「すべてが許される」と知らぬうちに思いこんでしまっているとしても不思議はない。自分の発言について緊張感を持つ、慎重になるという習慣がなくなってしまっているのだろう。
言うことがメチャクチャになるのも当然かも知れない。
閑話休題。話をもどす。
日米安保条約・第5条についての知識そのものなど、どうでもいいのである。
これまでも、知っている人は知っていた事実に過ぎない。
私が「資料」としてここに記録するのは、自民党副総裁という地位にあるものが、日米安保体制の本質を、日本全国に届く公共放送の中ではっきり認めたという事実である。日本有事の際に米軍の支援を得られるとは、必ずしも保証の限りでないと認めたのである。
今後、日本の安全保障を論じる際に、これは前提となる事実とされなければならない。
まだまだ書いておくべきことがあるが、次回にまわしたい。
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