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まず、裏にどんな仕掛けや陰謀があろうとも、憲法に反する法案や自分にとって危険だと思う法案に反対の意思を表明するのは自然であり当然だと思う。
その一方で、したたかな支配層のえぐい統治手法もわかっていたほうがいいと思う。今回は、少しは望ましいかたちの策謀だが、消費税増税政策のように巧妙に騙して酷い目にあわせるケースもあるからだ。
まず、歴代の法制局長官が、現政権の許可なく、現政権の重要政策に反対する立場でテレビに出演することはありえない。(枢要な地位まで上り詰めた官僚が退職後に政権批判をしないのは不文律だが、それはおくとして)
ひとりか二人は、雑誌などで時の政権の政策に疑念を提起することはある。
しかし、官邸と“緊密な関係”にあるテレビ局が、官邸の許可なく、現政権の重要政策に反対する(弓を引く)ような重要役職経験者を出演させることはない。
安倍政権ともっとも緊密な関係にあるNHKは、安倍首相が新安保法制を国会上程にする記者会見を行う5日前(5月9日土曜)の夜に佐藤栄作氏の沖縄返還政策をめぐるドキュメンタリー番組「総理秘書官が見た沖縄返還〜発掘資料が語る内幕〜」を放送したが、そのなかで、佐藤首相(当時)が「アメリカの戦争に巻き込まれることはありません」と国会で答弁していながら、その実、“アメリカの戦争に巻き込まれることも覚悟しなければならない”と考えていたことを明らかにした。
そして、安倍首相は、その番組放送から5日後の記者会見のなかで、まるでお笑いのコントのように、「アメリカの戦争に巻き込まれることはありません」という表現を使って説明した。
安倍首相をはじめとする関係閣僚の国会審議におけるちゃらんぽらんな説明や質問に噛み合わないデタラメな説明も意図的なパフォーマンスである。(官僚はやる気ならもう少しまともな質疑応答集を作成することができる)
主要メディアの世論調査も、新安保法制に対する国民の理解がまったく進んでいないといった結果のオンパレードで、今国会で成立を望む人は少数派という状況が続いた。
一二のメディアで設問を変えて、安保法制の必要性は多くが認めているといった世論調査結果も出されたが、大勢ではなかった。
メディアが行う世論調査の数値は、鉛筆なめなめでつくられているものが多い。生の数値は官邸や与党には届けられても報道はされないケースが多い。世論調査の公表は、「世論形成手段」の重要な一つなのである。
従属国家日本の悲哀だが、成立させたくない法案であっても宗主国米国支配層の強い要請があれば、かたちだけでも成立させなければならないと動くのが従米政治家である。
日米安保体制に一石を投じようとした小沢一郎氏や鳩山由紀夫氏の政治的末路をつい最近みたばかりだからなおさらである。
(野田政権は新安保法制に着手したが倒れてしまった。民主党政権が続いていれば、今回は大反対運動を行った民主党が似た法案を成立させようとしたはず)
朝鮮半島や中国を想定したとされる「武力攻撃事態及び存立危機事態」は、“抑止力効果”と“損得勘定”から現実性がまったくないことを安倍首相自身がよくわかっている。
安倍首相は、“国際的おつきあい”として、殺し殺されるという事態も発生するが、国際平和協力法(PKO法)と国際平和支援法(イラク特措法やアフガン特措法の目的に対応する恒久法)を適用しての“発動”は、逃げ切れないケースではしかたがないと覚悟を決めているようだ。
幹部連中は安倍政権と内通している可能性が高いが、ほとんどの野党が身を挺して反対運動を展開してきたから、政権交代が起きても、新安保法制を適用することは難しいだろう。
今回の法制に反対してきた野党は、廃案を主張しているが、対米関係上それができないとしても、現実として新安保法制を適用した“発動”は封印せざるをえない。
奇妙で異様な話だが、安倍政権は、上程した新安保法制を是が非でも成立させるとの決意とともに、国民レベルで大きな反対運動が起きることも期待したのである。
大きな反対運動があればこそ、そうやすやすとは海外派兵ができないと米国に“断り”をいれることができる。
読売新聞や産経新聞そして主要テレビ局の幹部も、安倍政権の思いを了解したうえで新安保法制の報道を行ってきたのである。
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反発招いた首相の「誤算」 安保関連法が成立[日経新聞]
2015/9/19 5:17
集団的自衛権の行使を限定的に容認する安全保障関連法が成立した。法案を国会に提出した5月15日から約4カ月。安倍晋三首相が米議会の演説で「夏までに成就させる」と宣言したのは、まだ法案を国会に提出する前の4月29日だった。この国会で通す、という首相の意志は固かったが、学生や主婦、有識者ら一般大衆の抗議行動が国会を取り囲むほど拡大したのは想定外だったかもしれない。
審議時間は衆参両院あわせて200時間を超えた。野党が牛歩戦術で抵抗した1992年成立の国連平和維持活動(PKO)協力法の際も193時間で、今回は国会に記録が残る戦後の安保関連の法案審議としては最長だという。それでも「採決は早い」「なぜ焦るのか」という声は、野党だけでなく与党内からも聞かれた。
PKO協力法は3国会をまたいだが、今回は国会を大幅に延長して1国会で成立させた。このため、審議時間が長い割に急いだ印象が強まった面は確かにある。だが、それだけだろうか。
■参院への圧力
参院平和安全法制特別委で安全保障関連法案の採決で詰め寄る野党議員を見つめる安倍首相(17日午後)
一つは国会の議事運営だ。たとえば17日午前の参院特別委員会の採決は、鴻池祥肇委員長の不信任動議を与党の反対多数で否決した後、締めくくり総括の質疑をすべて打ち切ってそのまま採決に突っ込んだ。
鴻池委員長は強行的な議事進行に慎重だとされてきた。衆院は与党が3分の2以上を占めるが、参院は与野党の議席数が拮抗しているからだ。採決を急ぐように参院にプレッシャーをかけたのは衆院の自民党執行部だった。佐藤勉国会対策委員長は採決に先立つ幹部会合で、参院に送られた法案が60日以内に採決されない場合は否決したとみなして衆院の3分の2以上で再可決できる「60日ルール」の適用も視野に入れて対応する意向を表明した。
安保関連法は、自衛隊法など既存の法律10本の改正案を束ねた「平和安全法制整備法」と、他国軍の後方支援に関する新法「国際平和支援法」の2本立て。10本の改正案を個別ではなく一括審議した結果、議論が分かりにくくなったことも大きい。
もう一つ、首相や関係閣僚の説明不足もあった。首相は審議の最終盤でも「法案にまだ支持が広がっていないのは事実だ」と述べた。そう胸を張って語ったのも「それでも必要な法律なのだから採決は当然だ」との確信があったからだろう。「時が経つうちに間違いなく理解は広がっていく」とも予言してみせた。リーダーとしてはなんとも頼もしい発言だが、黙って俺についてこい、だけではついて行けない。首相の言葉と説明には、説得力と裏付けとなる根拠が必要だ。
8月末の日本経済新聞の世論調査では、集団的自衛権の行使、安保法案を今国会で成立させる政府の方針のいずれも賛成が27%で、反対は倍の55%に上った。米国や日本を家に見立てた火事の例え話で、納得する国民は少ない。
日本を取り巻く安保環境は、大きく変化している。だが、無条件に集団的自衛権の行使を認めれば憲法違反になる。憲法改正は困難だから憲法の解釈を変更して限定的に認めるしかない、という政府の本音は、どこまでいっても野党とはかみ合わない。
さらに、集団的自衛権を行使する新たな要件の「密接な関係国への武力攻撃で日本の存立が脅かされ、国民の権利が根底から覆される明白な危険」とは具体的にどのような危機か、という話になると、ますます分かりにくくなる。
安保政策を大転換するなら、それだけの危機がいま迫っていると分かりやすく説明しなくてはいけない。だが、これまで数少ない具体例として挙げた、ホルムズ海峡における機雷掃海についても、首相はここへきて「いまの国際情勢に照らせば、現実問題として発生することを具体的に想定しているものではない」とトーンダウンした。
国会前で安保法案に反対のデモをする人たち(14日夜、東京都千代田区)
報道の自由を制限するような発言が公然とあがった自民党の勉強会に加え、礒崎陽輔首相補佐官の「法的安定性は関係ない」という発言が、ますます首相の姿勢に対する不安をあおった。
首相が昨年12月の衆院選で信を問うたテーマは、消費増税の延期とアベノミクス継続の是非だった。「景気回復、この道しかない」と銘打った自民党のマニフェスト(政権公約)では、安保法案に関して「平時から切れ目ない対応を可能とする安全保障法制を速やかに整備します」と後ろの方に触れた程度だ。自民党に投票した有権者には、違和感を持った人もいただろう。
■深夜国会に響く叫びの中で
国会の「自民党1強」状態は、衆院選で過去最低の55.66%という低投票率と、得票率に比べて議席占有率が高くなる小選挙区の特性によるところが大きい。12年の衆院選で、自民党の得票率は48%と半数以下だったが、議席占有率は76%に及んだ。自民党の総得票数は、09年の衆院選から3回続けて減っている。野党の体たらくと政治への無関心に助けられた、といってもいい。
会期の大幅延長には、安保法案の採決と自民党総裁選の日程をぶつけて対抗馬を封じるという首相の再選戦略も透けた。「安倍1強」が生んだ「自民党1強」というまれな状況で、国論を「違憲か合憲か」で二分した安保関連法は成立した。
19日未明、参院本会議で法案の反対討論に立った民主党の福山哲郎氏は「本当に申し訳ない。野党は力不足だったが、やれることを懸命にやってきたつもりだ」と強調。やじを飛ばす与党席に向かって「武士の情けはないのか」と激高した。維新の党の小野次郎氏の反対討論には他の野党も拍手を送り、討論を終えた共産党の小池晃氏は民主党席にガッツポーズをしてみせた。弱小野党にも遅まきながら変化が出てきた。
「強行採決、絶対反対」「憲法守れ」。デモ隊の叫びがいつまでもこだまする深夜の国会内。「首相は無投票再選を果たし、安保関連法も成立した。しかし、やり方をミスったかもしれない」。そんな声が公明党内から漏れた。
(大場俊介)
http://www.nikkei.com/article/DGXLASFK18H7O_Y5A910C1I00000/?dg=1
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