「突破」された民主主義のセーフティネット
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2015年9月19日　ニュース・コメンタリー　ビデオニュース・ドットコム

「突破」された民主主義のセーフティネット

　野党が問責や不信任案を連発し、ぎりぎりの抵抗を続ける中、集団的自衛権の行使を可能にする安保関連法案は9月19日の未明に参院で可決し、成立した。

　しかし、法案の可決に至る過程で、政権によって数々の民主主義のセーフティネットが突破されてしまったことの影響はあまりに大きい。今日本は民主主義のセーフティネットに大きな穴が開いている状態にあることを、われわれは認識する必要があるだろう。

　そもそも安倍政権は当初、憲法９条の改正を目指していた。しかし、そのハードルが高いと見るや、現行憲法の下で集団的自衛権の行使を可能にするための解釈改憲へと舵を切った。

　そして、そのためにはまず、内閣の法の番人の機能を果たしていた内閣法制局を押さえこむ必要があった。内閣法制局は内閣の一部局だが、時の政権が自分たちの都合よく憲法を解釈しないように、内閣の監視する機能を果たしていた。

　ところが安倍首相は内閣が法制局長官の任命権を持つことを利用して、現行憲法下でも集団的自衛権の行使が可能との持論を持つ外務官僚の小松一郎氏を新しい長官に任命した。こうして長年にわたり民主主義のセーフティネットの機能を果たしてきた内閣法制局は、突破された。

　安倍政権は他にも、民主社会で重要なセーフティネットの機能を果たる報道機関にも、様々な形で介入することで、報道機関の権力監視機能を骨抜きにした。これでまた、セーフティネットがもう一つ突破された。

　しかし、この２つが突破されたとしても、国会が正常に機能していれば、権力の暴走は防ぐことが可能だ。安倍政権の閣僚は国会審議においても、矛盾した答弁を繰り返した。衆参両院の国会審議を通じて、安保関連法案のいくつもの問題点が浮き彫になっていった。

　にもかかわらず安倍政権はここでも、「突破」の道を選んだ。法案の問題点や矛盾点が次々と露呈しているにもかかわらず、国会の審議で一定の時間が消化されると、「審議は尽くされた」として、両院で過半数を握る与党の独断で審議を打ち切り、採決する道を選んだ。国会を数の力で突破しようとする政権与党と、何としても突破を防がなくてはならない野党の間で激しい攻防が繰り広げられたのが、今週の異常ともいえる国会での与野党の対立だった。

　内閣法制局が突破され、報道機関のチェック機能が突破され、そして最後は民主政の最後の砦とも呼ぶべき国会が突破された。

　民主主義の数々のセーフネットは実際には統治権力の暴走を防ぐために、政権を縛るネットとして存在する。しかし、セーフティネットは破られた。

　議会という最後のセーフティネットが破られた今、われわれ市民社会はいかにして統治権力を縛って行けばいいのだろうか。ジャーナリストの神保哲生と社会学者の宮台真司が議論した。

コメント
1. 2015年9月20日 01:37:41 : RmK8txBPSw 対談だけではいけない。呼びかけるとともに行動しましょう。
2. 2015年9月20日 02:58:22 : 5hObNhRE9U 理事会では、公聴会はただのセレモニーで、強行採決のシナリオを佐藤議員がきって強力に主張していたのだろう。鴻池委員長は、それに負けたんだ。それは明らかに不正であるから普通には理解できない判断だ。何か鴻池委員長にとって嬉しいことがあったのかな。
3. 2015年9月20日 05:40:22 : YxpFguEt7k お二人のご指摘、ご意見、すべてその通りだと思います。 一点だけ不満なのは横畠裕介氏に対する評価ですね。私は万死に値すると思います。 あれで全官僚に対する尊敬の念は永遠のゼロになりました。小役人そのものです。上に唯々諾々とするだけなら、機械でもできます。「人事で脅されたから」そんな理由で免罪されるものなのですかねぇ… 「水晶玉が合憲って言ってますから」 「人工知能が合憲って言ってますから」 と何が違うのでしょうか？　人間としての尊厳を捨てたバカだと思います。
4. 罵愚 2015年9月20日 06:12:37 : /bmsqcIot4voM : Fycx7SnmDY 　歴史認識の問題だが、平和憲法こそが民主主義を無視して誕生した違法な欠陥憲法だよ。歴史的事実としては、義務教育のなかで教えられているんだが、その評価を真逆にして、理想的な憲法としてすり込んでいるのが日教組教育だよ。 　護憲派論者は、感情を押し殺して、そのマインドコントロールを客観的に再評価してごらんよ。敗戦直後の混乱した時期に、占領軍が押しつけた憲法は国際法違反の違法憲法だという歴史的事実を直視しするところから、議論がはじまると思うよ。 　その意味で、戦後民主主義は民主主義ではないし、立憲デモクラシーの会は憲法学者ではない。平和憲法は憲法とは呼べない。
5. 知る大切さ 2015年9月20日 07:05:07 : wlmZvu/t95VP. : rXmQVSTR26 罵愚 さん 自民党の憲法草案賛成の立場からのご意見、拝聴しました。 自民党を一旦出た武藤議員と同じ主張だね。 自民党の憲法改正本部も同じ事を主張してるね。 それって日本国憲法をかなり否定してるが、その権利すらも現行の日本国 憲法はＯＫしている でも自民党が党是としている憲法草案ではどうしてる？ 同じ事が可能なのか？ (結構縛ってるぞ？) 罵愚さんはどう考える？ 現行の日本国憲法は 民主主義憲法であり統治を国民の幸福に結びつける事を要求し、権限委託先を 縛っている(憲法を超えるな！委託契約違反は無効だ！) 前文、97条(11.12.13条など)、98条、99条だね。 もうＧＨＱ憎しの話は聞き飽きたよ！ 日本帝国が70年前の敗戦後に国民に提示しょうとした もんは腐っていたよね。 ほぼそに腐臭が漂うものに近いものを今自民党は来年に国民に押し付け ようと画策してるね。 自民党のTOPページ見てみな、 メインバーナー3つだけがグルグル回ってるけど 自民党憲法草案関連が2つだぜ！ どんだけ力入れてんだ！ https://www.jimin.jp
6. 2015年9月20日 08:34:53 : 3tkeCToRQg エセウヨなんて相手にしなさんな。 結局言いたいことは「押しつけ憲法」だけ。 あとはアメリカ様に何でもへーこら、 それが愚物の生き方さ。
7. 2015年9月20日 20:54:29 : Fwfd04xZUs 一人でも多くこの動画を見てもらいたなー。 デモクラシーを民主体制、民主政治と正しく訳すなら、法案を通す手続きは賛成派にとっても反対派にとっても等しく納得の行く手順が踏査されねばならない筈だ。 あらゆるイデオロギーがせめぎ合う案件における有効な調停方便である民主体制は、本国会において始めから決議に到るまで一度も機能する事がなかったと見るべきだろう。 覇権主義に追従する親米主義と民主主義の齟齬の図式を我々自身が超克し、本来あるべきデモクラシーへと向かう端緒にする事ができたなら 幸い、あの時がデモクラシー元年だったと後に語られのかも知れない。
8. 罵愚 2015年9月21日 04:28:29 : /bmsqcIot4voM : Fycx7SnmDY Res 5. 知る大切さ さん >その権利すらも現行の日本国憲法はＯＫしている 　してないよ、っていうか事実上拒否している、まれにみる硬性憲法だよ。安倍政権は当初、憲法改正がむつかしくて、この改正条件の緩和を画策して失敗した。共産支那の膨張が時間的余裕を奪って、今回の安保法制に結びついている。 　野党も事情はわかっている。わかっていながら、現実的対応をすっ飛ばして利敵行為に走ってる売国勢力だと思う。 >日本帝国が70年前の敗戦後に国民に提示しょうとしたもんは腐っていたよね。 　腐っていたか、賞味期限内かはともかく、当時の民意は…すくなくとも形式的にはまちがいない。７０年の時間はとりかえしようがないが、それはむしろ平和憲法の無効を証明している。 　現実問題としての対応は、いろいろ考えられるが、戦後平和主義のマインドコントロールの払拭が前提条件になると思う。

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