97. 2015年9月21日 00:22:06
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2015.9.20 05:00 【主張】 新安保法成立 戦争抑止の基盤が整った 国民守る日米同盟の強化急げ http://www.sankei.com/column/news/150920/clm1509200002-n1.html 日本や日本国民を、真の意味で戦争の危険から遠ざける法的な基盤が整った。成立した安全保障関連法の持つ意味合いだ。 国民の安全と領土・主権を守り抜く覚悟と態勢を持つ。日本を脅かす周辺の国々に、それを知らしめる意義も大きい。 柱となるのはこれまで禁止してきた集団的自衛権の限定行使の容認であり、国際平和構築への積極貢献も新たに位置付けた。 敗戦から立ち直ったとはいえ、戦後日本の防衛政策は他者依存の姿勢、消極的平和主義という宿痾(しゅくあ)を抱えていた。 ≪さらに理解得る努力を≫ そこからの脱却を図る安保法制の見直しは、歴史的な政策転換として高く評価できる。 自衛隊がより高い機能を発揮し、日米共同の抑止力を強めることを通じ、平和への取り組みを着実に続けなければならない。 新安保法制によって、集団的自衛権の限定行使のほか、重要影響事態や国際平和支援における外国軍への後方支援、国連平和維持活動(PKO)での「駆け付け警護」などが行えるようになる。平時から日本有事まで、さまざまな危機に、切れ目なく対処することが期待される。 その際、日本を共に守る米国との絆を、いかに強いものにしておくかが問われている。どのようなときも助け合い、守り合うのが本当の仲間だ。そこに集団的自衛権を行使できるようにしておく大きな意味がある。 同盟の抑止力は強化され、米国以外の友好国との安保協力も一層充実できよう。 日本を挑発しようという国を思いとどまらせることによって、国民の安全は確実に高まる。民主党などの反対勢力による「戦争法案」「徴兵制につながる」といった決めつけは、平和や安全に無益なものだ。 もっとも、法制に対する国民の理解が深まっていないことを軽んずることはできない。安倍晋三首相も、国会審議の中で認めざるを得なかった。 自衛隊の円滑な活動には、国民の理解や支えがなくては難しい面も大きい。政府与党は引き続き、法制や日本を取り巻く厳しい安全保障環境について、国民に丁寧に説明しなければならない。 日本の安保法制への取り組みや積極的平和主義への姿勢について、世界の多くの国々が支持し、歓迎していることも併せて知らせることが重要だろう。 平成4年にPKO協力法が成立した際、世論調査では不支持が支持を上回ったが、派遣を重ねるうちに支持が広がった。 安保法制も時間を経て理解が深まるとの見方が政府内にあるが、楽観的すぎないか。比較的、成果が見えやすいPKOと異なり、戦争を抑止する活動はそれ自体が国民には見えにくいからだ。法制との関係も分かりにくい。 ≪憲法改正にも着手せよ≫ 国際貢献や防衛の分野で、自衛隊の活動範囲がどのように広がり、いかなる成果を上げることができるか。国民の理解や支援を得られるよう、政府は積極的に説明を行うべきだ。 中国が国際ルールに反して南シナ海で人工島の軍事拠点化を進めている問題では、海上自衛隊が警戒監視活動に加わることに米国が期待を寄せている。具体的な課題にどう対応するか。近い将来、結論を出す必要があろう。 新しい日米防衛協力の指針(ガイドライン)に沿って、自衛隊と米軍が平素から守り合うなど、共同行動も強化される。 「想定外」が起こりやすい安全保障の世界で働く自衛隊の行動を、がんじがらめに縛るのは極めて危うい。今後、部隊行動基準などが改められるが、法律の範囲内で、行動の柔軟性はできるだけ確保しておくべきだ。 集団的自衛権の行使は、憲法解釈変更で認めた。条文改正は見送ったが、9条をはじめ憲法改正への歩みを止めてはならない。 国を守る重要な組織である自衛隊に何ら言及していない現行憲法を改め、どの国も持っている軍と自衛権を明確に規定することの重要性は何ら減じていない。 巨大な軍備をもつ中国は、年率2ケタの国防費の増額を続けてきた。日本の財政事情は厳しいが、相手の動向を勘案した備えは欠かせない。必要な予算、人員、装備の確保にも努めてほしい。 2015.9.20 10:33 【安保新時代(中)】 「NGO職員が襲撃、至急救援を」… 長年の懸案「駆け付け警護」、来春にも http://www.sankei.com/politics/news/150920/plt1509200009-n1.html 「日米同盟の強化につながっていく。同盟とは助け合いだ。1プラス1は2になる。日本を守る力も地域の平和と安定を維持する力も2になる」 安倍晋三首相は19日、産経新聞のインタビューで、安全保障関連法を成立させた意義について強調した。 同盟国の米政府も呼応し「日米同盟を強化し、地域と国際社会の安全保障に、一層積極的な役割を担う日本の努力を歓迎する」(国防総省のビル・アーバン報道官)と評価した。 安保関連法成立により、日本は「自国防衛」を強化するのみならず、国際社会の平和と安定のために積極的な貢献を果たすことになる。 政府は平成24年1月から南スーダンの国連平和維持活動(PKO)に陸上自衛隊施設部隊を派遣し、幹線道路のインフラ整備や避難民への給水活動を継続している。現在、日本が参加している唯一のPKOだ。そのPKOの現場でも自衛隊はより高いレベルの役割を担うことになる。その一つが「駆け付け警護」だ。 以下のシナリオを想定してみる。 《×月×日夕、陸自部隊長は国連南スーダン派遣団(UNMISS)司令部から一本の緊急電話を受けた。 「○○マーケット近くでNGO(非政府組織)職員が襲撃されている通報が入った。至急、救援の部隊を派遣してほしい」 陸自部隊への救援の要請だった》 陸自が拠点を置く首都ジュバの治安は比較的安定している。とはいえ、南スーダン国内では政府軍と反政府軍による内戦が続き、いつ戦闘に巻き込まれるか見通せない。実際、26年1月にはジュバ市内で反政府組織による銃撃戦が発生し、自衛隊の宿営地も武装集団に取り囲まれる緊迫した事態に陥った。 「正当防衛や緊急避難に該当する場合は命を守るために撃て」 当時の部隊長は、全隊員に武器と銃弾を携行させ、射撃許可を出した。自身の生命を守る最小限の武器使用を認めるPKO協力法の規定に基づくギリギリの判断だった。 もし、この事態で宿営地から離れた場所にいるNGO職員やPKOの他国軍の救助を求められたとしても、自衛隊が現場に駆け付け、救援する法的根拠はなかった。「当時の状況を考えれば起こり得た」(陸自幹部)ことだった。 過去に行われた東ティモールのPKOでは、争乱に巻き込まれた日本人を救うため、「休暇中の隊員を迎えに行く」という“名目”を編み出し、部隊を派遣したこともある。現場の自衛官による苦肉の策だった。 安保関連法は、長年の懸案だった駆け付け警護を可能にする。 防衛省幹部は「法律が整備されたことで十分な訓練を行い、必要な装備も調えることができる。現場に無理な判断を押しつけてきた以前より、リスクはむしろ下がる」と指摘する。 安保関連法では「宿営地の共同防衛」も可能になる。南スーダンでも課題になっていたことだった。自衛隊の宿営地にはインドやルワンダ、バングラデシュなどの各国軍隊も入っている。宿営地全体の警備は歩兵部隊を主力とするルワンダ軍が担当しているが、情勢が悪化すれば各国は互いに連携しながら警備態勢を整える。「一国で対処するより格段に効率が高まる」(陸自幹部)ためだ。 25年12月、ジュバ市内で大統領警護隊同士の衝突が勃発。1万人とも2万人とも言われる避難民が発生し、宿営地内に収容する事態になった。周辺では銃撃による混乱が続き、UNMISS司令部は収容した避難民を守るためにも、宿営地の警備を各国共同で固めることを決定した。 自衛隊が警備する区域も示されたが、日本は「国内法」を理由に拒否した。しかし、装備も能力も十分な自衛隊の不参加は他国軍が納得しなかった。押し問答が続き、日本の国内法制を理解してもらうのに丸1日を要した。自衛隊の態度に心ない言葉を浴びせる他国軍兵士もいた。 陸自幹部は「他国軍と対等になることで信頼関係は強くなる。自らのリスクを減らすことにもなるし、より積極的な国際貢献も可能になる。法整備は不可欠だ」と断言する。 政府は、来春にも南スーダンの派遣部隊に、駆け付け警護や共同防衛を新たな任務として加えることを検討している。 自衛隊の国際貢献は、ようやく国際標準に追いつこうとしている。
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