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高知新聞 社説
【安保法案採決】省かれた民主主義の過程
http://www.kochinews.co.jp/?&nwSrl=344369&nwIW=1&nwVt=knd
2015年09月19日08時03分
日本の針路を左右する安全保障関連法案。その採決をめぐる与野党の攻防は、憲政の歴史の中でも激しいものだった。
参院の平和安全法制特別委員会では、与党が野党の一瞬の隙を突いて採決を強行した。鴻池委員長を与野党の議員が取り囲み、何が行われているかも分からない混乱ぶりだった。
これが言論の府、しかも良識の府かと、参院審議のありように失望、落胆した国民は多かったに違いない。
採決強行は演説に長い時間をかけるなど、審議引き延ばしを図る野党への対抗策だった。こうした議事妨害は少数派が多数派から譲歩を引き出すための戦略ではあるが、本来は正々堂々と議論するのが憲政の王道である。
ところが今回、与党は採決前の総括質疑さえ「省略」した。討論の場そのものを奪うのは、どう考えても行きすぎだ。私たちが「日本の民主主義における歴史的汚点」と批判するゆえんである。
法案の審議は衆参両院で計200時間を大きく超えた。戦後の安保法制の審議では最長である。これをもって与党は「十分に審議し、論点も出尽くした」と採決を正当化する。
しかし安保法案は、地球規模での自衛隊の海外派遣と対米支援を可能とする。憲法9条の下で専守防衛に徹した「国のかたち」の大転換を、審議時間を目安に決めること自体、違和感を禁じ得ない。
集団的自衛権の行使容認、他国軍の後方支援に自衛隊を随時派遣できるようにする恒久法など、安保法案は11本の法案を2本にまとめている。巨大法案だけに国連平和維持活動(PKO)における自衛隊の駆け付け警護など、議論が不十分な分野も少なくない。
まだまだ論点は出尽くしていないし、論点に対する政府の回答も国民に理解されてはいない。
国民の間に亀裂
1960年に日米安保条約が改定された時、当時の本紙論説委員長は書いている。
「国民生活に直接ひびく法案が、『多数』を占めるというただ一つの事実によって、多数党が審議もそこそこに、しかも単独可決を強行することが許されるなら、まわりくどく、しかも多額の国費を要する国政審議の場は、およそ無用の長物でしかないということにもなる」
半世紀以上を隔てて同じ懸念を記さざるを得ない。
むろん議会制民主主義である以上、最後は多数決によることに異存はない。ただしそれが許されるのは、与野党の論議が生煮えで国民も内容を未消化である状況を解消してからだ。
その重要なプロセスを省いて、時間が来たからと言って機械的に決するだけなら、単なる多数決主義であって民主主義とは呼べない。
国会内「多数党」の意見と「世論」との隔たりが大きければ大きいほど、世論の理解を得るプロセスに十分な時間を割く必要がある。
それとは逆に、「国民の理解が得られなくても成立させる」という与党の姿勢がもたらすものは何か。国民と政府との、国民の中の賛成派と反対派との深刻な亀裂であり分断であろう。
そんな社会をつくりだすことは、国家の安全保障にとってもプラスになるとは思えない。民意に背を向け安保法制の成立に固執する安倍政権。その代償はあまりに大きい。
【安保法案採決】省かれた民主主義の過程
http://www.kochinews.co.jp/?&nwSrl=344369&nwIW=1&nwVt=knd
2015年09月19日08時03分
日本の針路を左右する安全保障関連法案。その採決をめぐる与野党の攻防は、憲政の歴史の中でも激しいものだった。
参院の平和安全法制特別委員会では、与党が野党の一瞬の隙を突いて採決を強行した。鴻池委員長を与野党の議員が取り囲み、何が行われているかも分からない混乱ぶりだった。
これが言論の府、しかも良識の府かと、参院審議のありように失望、落胆した国民は多かったに違いない。
採決強行は演説に長い時間をかけるなど、審議引き延ばしを図る野党への対抗策だった。こうした議事妨害は少数派が多数派から譲歩を引き出すための戦略ではあるが、本来は正々堂々と議論するのが憲政の王道である。
ところが今回、与党は採決前の総括質疑さえ「省略」した。討論の場そのものを奪うのは、どう考えても行きすぎだ。私たちが「日本の民主主義における歴史的汚点」と批判するゆえんである。
法案の審議は衆参両院で計200時間を大きく超えた。戦後の安保法制の審議では最長である。これをもって与党は「十分に審議し、論点も出尽くした」と採決を正当化する。
しかし安保法案は、地球規模での自衛隊の海外派遣と対米支援を可能とする。憲法9条の下で専守防衛に徹した「国のかたち」の大転換を、審議時間を目安に決めること自体、違和感を禁じ得ない。
集団的自衛権の行使容認、他国軍の後方支援に自衛隊を随時派遣できるようにする恒久法など、安保法案は11本の法案を2本にまとめている。巨大法案だけに国連平和維持活動(PKO)における自衛隊の駆け付け警護など、議論が不十分な分野も少なくない。
まだまだ論点は出尽くしていないし、論点に対する政府の回答も国民に理解されてはいない。
国民の間に亀裂
1960年に日米安保条約が改定された時、当時の本紙論説委員長は書いている。
「国民生活に直接ひびく法案が、『多数』を占めるというただ一つの事実によって、多数党が審議もそこそこに、しかも単独可決を強行することが許されるなら、まわりくどく、しかも多額の国費を要する国政審議の場は、およそ無用の長物でしかないということにもなる」
半世紀以上を隔てて同じ懸念を記さざるを得ない。
むろん議会制民主主義である以上、最後は多数決によることに異存はない。ただしそれが許されるのは、与野党の論議が生煮えで国民も内容を未消化である状況を解消してからだ。
その重要なプロセスを省いて、時間が来たからと言って機械的に決するだけなら、単なる多数決主義であって民主主義とは呼べない。
国会内「多数党」の意見と「世論」との隔たりが大きければ大きいほど、世論の理解を得るプロセスに十分な時間を割く必要がある。
それとは逆に、「国民の理解が得られなくても成立させる」という与党の姿勢がもたらすものは何か。国民と政府との、国民の中の賛成派と反対派との深刻な亀裂であり分断であろう。
そんな社会をつくりだすことは、国家の安全保障にとってもプラスになるとは思えない。民意に背を向け安保法制の成立に固執する安倍政権。その代償はあまりに大きい。
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