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2015.9.19 09:51 【視点】 中国の脅威へ抑止力強化 http://www.sankei.com/politics/news/150919/plt1509190052-n1.html 日本の防衛法制には、いくつもの「切れ目」が存在してきた。新たな安全保障法制の目的はこの「切れ目」をふさぎ、あらゆる事態に対しても国家の平和と国民の安全を守れる防衛体制を構築することにある。 新法制の根幹を成す集団的自衛権の行使は、自国防衛のみを目的とする限定的な容認にとどまる。とはいえ、日本を防衛する抑止力として欠かせない日米同盟の協力関係はさらに強まることが期待される。 自国存立のために集団的自衛権を行使できるようにするのは当然だ。安全保障政策を専門としない憲法学者の「違憲論」を振りかざし、実のある議論を避けた一部野党の姿勢には疑念を抱かざるを得ない。 新法制では、朝鮮半島有事などを想定していた周辺事態法を「重要影響事態法」と改める。 自衛隊が補給や輸送の後方支援を行う対象は米軍だけでなく、豪州軍などにも広がる。 また、自衛隊の活動範囲を事実上、「日本周辺」に限ってきたが、新法制では地理的制約を撤廃した。安倍晋三首相は中国が触手を伸ばす南シナ海で勃発した武力衝突に適用する可能性を否定していない。日本の重要なシーレーン(海上交通路)である南シナ海の自由航行は日本の国益に直結する。この海域で自衛隊が活動できるのは言うまでもない。東アジア最大の軍事的脅威は中国に他ならない。日米同盟を強化する新法制に対し、中国以外の各国が賛意を示すのは、そのためだ。(峯匡孝) 2015.9.19 09:45 【安保法成立】 日米同盟さらに深化 共同で島嶼防衛も http://www.sankei.com/politics/news/150919/plt1509190051-n1.html 集団的自衛権の限定的な行使容認を含む新たな安全保障関連法制が成立することで、日米の外交・安全保障分野での協力はさらに拡充される。 防衛省幹部は「米政府は『集団的自衛権』の6文字が可能になったことを歓迎している」と指摘する。 その背景には、米側は「日本を守るために活動している米軍が攻撃を受けても日本は米軍を援護することもしない」(米外交筋)という従来の法制度に不満があったからだ。 存立危機事態が認定されれば従来、不可能だった米艦防護やミサイル防衛などが可能になる。例えば朝鮮半島有事が勃発し、北朝鮮と在韓米軍が交戦状態に入ったとき、日本は「新3要件」に合致する状況であれば、半島からの避難民を運ぶ米艦を海上自衛隊の護衛艦で守ることができる。 新たになる重要影響事態法に基づく後方支援では、米軍への弾薬提供や発進準備中の航空機への給油なども可能。米国には、中国が海洋進出を強める南シナ海などの安定化に自衛隊の協力を活用したい狙いがある。 一方、日本は尖閣諸島(沖縄県石垣市)を含む南西地域の抑止力として米軍の関与に強い期待を寄せているだけに、離島防衛の共同訓練など現場レベルの相互交流も一層進むことになる。 日米は民主主義、自由、資本主義など国の根幹となる普遍的価値を共有している。外務省幹部は「相互信頼が強まれば、より広範囲で同盟国としての協力が期待できる」と話す。 大詰めを迎える環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)交渉では、日米で多国間協議を牽引(けんいん)し、新たな経済ルールの構築を目指している。交渉筋は「安全保障面での協力が進むことは経済面での連携も深まることになる」と期待する。(坂本一之、石鍋圭) 2015.9.19 11:27 【安保法成立】 中谷防衛相、「『研究』から『検討』へ」 自衛隊の運用 http://www.sankei.com/politics/news/150919/plt1509190063-n1.html 中谷元防衛相は19日未明、安全保障関連法の成立を受け、「わが国の安全保障体制が一歩も二歩も進む意義のある法案が成立した。引き続き国民に理解されるように努力していきたい」と国会内で記者団に述べた。 今後の自衛隊の運用については、「法律が成立したので、『研究』から実際の『検討』に入る。新しい分野(の任務)が実施し得るかどうか、運用、装備、訓練を通じ、慎重に検討して実施する」と説明した。 日米同盟への影響については「訓練や情報交換など、今まで対応できなかった調整や協力ができる部分もある。わが国の抑止力、対処力を向上させていくことにつながる」と強調した。 2015.9.19 12:09 【安保法成立】 石破氏 「国民への説明努力を」 http://www.sankei.com/politics/news/150919/plt1509190065-n1.html 石破茂地方創生担当相は19日のTBS番組の収録で、安全保障関連法の成立を踏まえ、政府、与党が今後も国民に法整備の意義などについて説明を尽くすべきだとの考えを示した。「(法律が)決まったからいいだろうではない。自衛権と警察権の違いや、国連とは何かを国民に分かってもらう努力をするのは、われわれの責任だ」と述べた。 同時に、アジア太平洋地域の安保環境に関し「軍事バランスが保たれているときは戦争は起こらないが、今はアジア太平洋地域の軍事バランスが崩れつつある」と指摘した。 2015.9.19 13:38 【安保法成立】 フィリピンも「歓迎」中国と対立、自衛隊と訓練拡充 http://www.sankei.com/politics/news/150919/plt1509190067-n1.html 【シンガポール=吉村英輝】フィリピンのデルロサリオ外相は19日、日本の安全保障関連法の成立を「歓迎する」との声明を出した。声明は、地域の安定へ日本との安保面での戦略的な協力関係を強化していくことへ意欲も示した。 フィリピンは、南シナ海の領有権をめぐり中国と対立。自衛隊との共同訓練拡充などを進めている。 2015.9.19 13:39 【安保法成立】 国会関与の強化を閣議決定 http://www.sankei.com/politics/news/150919/plt1509190068-n1.html 政府は19日の持ち回り閣議で、安全保障関連法による自衛隊海外派遣をめぐる国会関与の強化について決定した。与党と次世代の党、日本を元気にする会、新党改革の5党合意を政府として尊重するとした。 2015.9.19 15:38 【安保法成立】 「国民の平和な暮らしを守る態勢を整備」「憲法の平和主義に大きな傷」 与野党幹部がコメント http://www.sankei.com/politics/news/150919/plt1509190070-n1.html 山崎正昭参院議長が安全保障関連法の成立を告げると、与党議員から拍手が起きた=19日未明、参院本会議場(福島範和撮影) http://www.sankei.com/politics/photos/150919/plt1509190070-p1.html 集団的自衛権の限定的な行使容認を含む安全保障関連法が19日未明の参院本会議で可決、成立した。与党は成立を歓迎したが、野党は批判を強めている。安保法成立を受けた各党幹部のコメントをまとめた。 自民党の谷垣禎一幹事長「日本の安全、平和をきちっと確保していくにはどうしたらいいかということについて結論を出すことができてほっとしている。今回の安全保障法制が、今の日本人の憲法や安全保障の意識の中で許容しうるギリギリの範囲なのではないか」 自民党の佐藤勉国対委員長「良識の府である参院で、(採決時の討論で)民主党や共産党まで時間オーバーしたことは、かつてないできごとだった」 自民党の伊達忠一参院幹事長「初めから『60日ルール』を使わず、参院で結論を出していこうと参院幹部で決めていた。しっかり(法案の中身を説明する)努力をしていけば、来年の参院選も必ずわれわれは過半数という目標に行けると思っている」 自民党の吉田博美参院国対委員長「私の地元・信州の地形と同じで山、坂が多く、難産そのもので厳しかった。責任の重さを感じた」 参院平和安全法制特別委員会の鴻池祥肇委員長(自民党)「日本国民の命や財産を守っていくのは政治の責任だ。法律ができて安心感を国民のみなさんに受け取っていただければありがたい」 公明党の山口那津男代表「日本をとりまく安全保障環境が厳しくなりつつある中、国民の命と平和な暮らしを守る態勢を整備できた。民主党が国会審議の終盤、『廃案』一辺倒になったのは極めて残念だ。それは民主党の政権担当能力のなさを露呈した」 民主党の岡田克也代表「極めて残念だ。憲法の平和主義、立憲主義、民主主義に大きな傷跡を残した。われわれは数が足りなかったが、各野党と協力しながら、次の選挙でしっかりと結果を出したい。そのための戦いが今日から始まる。安倍晋三政権を倒さなければならない」 民主党の蓮舫代表代行「(廃案に向け)ありとあらゆる可能性のあるものを参院本会議場でやった。言論の府なので、言葉をもって戦ってきたが、数が足りなかった。終わりじゃなくて、始まりの始まりだ。来年は参院選があるので、(衆参両院勢力が異なる)ねじれをつくり、法の執行ができない事態をつくる」 民主党の福山哲郎幹事長代理「数が全てなら議論も民意もいらなくなる。そういう今の政治に議会人として残念に思った」 維新の党の松野頼久代表「本当に強い野党をつくらないと、国民の意思と違う法律ががんがん強行採決で通ってしまう。この状況に歯止めを掛けなければいけない」 共産党の志位和夫委員長「安倍政権による戦争法案の採決強行を満身の怒りを込めて糾弾したい。憲法の平和主義を壊し、立憲主義を壊し、国民主権の民主主義を壊す、まさに歴史的な暴挙だ。この暴挙を働いたものには、必ず歴史の裁きが下る」 生活の党と山本太郎となかまたちの山本太郎参院議員「これを受け止めろという方が難しい話だ。可決もルール違反をもとに行われた可決だ。(採決で行った『牛歩戦術』は)何でこの人はこんなことやっているのかと疑問に思うところから、違憲立法の中身を知っていくステップになるかもしれない」 次世代の党の中山恭子参院議員(次期代表)「この法律は国民の命と幸せな暮らしを守るため、なくてはならないもので、緊迫する東アジア情勢にも的確な対応が可能になると評価できる。国民にはより丁寧な説明を行う」 日本を元気にする会の松田公太代表「11本を束ねた法案は間違っている。バラバラにして出し直すべきだった。ただ、(修正協議で)運用上の歯止めをかけることができたのは大きな成果だ」 2015.9.19 20:05 【安保法成立】 米報道官「日本は戦後70年、平和を一貫して守ってきた」 東・南シナ海協力、相互運用強化など検討へ http://www.sankei.com/world/news/150919/wor1509190052-n1.html 安全保障関連法の成立について、同盟国の米国や、中国の軍事的台頭を警戒する国・地域からは歓迎する声明が相次いだ。 米国防総省のビル・アーバン報道官は安全保障関連法の成立について、「日本は戦後70年にわたって平和、民主主義、法の支配を一貫して守ってきた模範だ」と強調した。マケイン上院軍事委員長ら軍事、外交両委員会の超党派議員も「改定された『日米防衛協力のための指針』に則し、日本と新たな方策の導入に取り組むことを期待している」との声明を発表した。 日米両政府は今後、米軍と自衛隊の抑止力と共同対処能力の強化に向け、(1)朝鮮半島、東・南シナ海、中東情勢などの現状と想定に照らした協力(2)共同作戦、運用計画の見直しと新たな策定(3)相互運用性の強化(4)日米物品役務相互提供協定(ACSA)の見直し(5)合同演習の強化−などを順次、検討していく方針だ。 ◇ 台湾の外交部(外務省に相当)は19日、報道官談話を発表し、「日米安保体制は地域の平和と安定の基礎だ」とし、同法は「日本の国際的な安全保障への関与を増進すると同時に、日米同盟を強固にし深化するものだ」と評価した。 南シナ海の領有権をめぐり中国と対立するフィリピンのデルロサリオ外相は19日、日本の安全保障関連法の成立を「歓迎する」との声明を出した。声明はまた、「日本との戦略的関係を強化していく」とし、自衛隊との共同訓練拡充などを進める意向を示した。 オーストラリアのビショップ外相も関連法成立を歓迎する声明を出した。 ◇ 一方、中国外務省の洪磊報道官は19日、「戦後日本の軍事・安保分野でのかつてない行動だ」とする談話を発表し、「日本は専守防衛政策と戦後の平和発展の歩みを放棄するのかとの疑念を国際社会に生じさせている」と批判した。 中国政府系シンクタンクに所属する日本問題専門家は、「9月3日の北京での軍事パレードに招待されたにもかかわらず、安倍晋三首相は来なかった。その直後に中国の国民感情を刺激する安保関連法を強引に成立させたことで、中日関係の回復は当分難しいだろう」と分析した。 ◇ 韓国外務省は19日未明、報道官論評を出し、日本の今後の防衛安保政策について、「日本政府が戦後一貫して維持してきた平和憲法の精神を堅持しながら地域の平和と安定に寄与する方向で、透明度をもって推進していく必要がある」との見解を示した。 韓国政府は基本的に、米国のアジア安保政策に寄与する日本の安保関連法の重要性は理解している。ただ、国内には「朝鮮半島情勢への軍事介入」を懸念する声もあり、論評でも、日本の集団的自衛権の行使に関し、「朝鮮半島の安保や韓国の国益に関連した事案では、韓国の要請または同意がない限り容認できない」とクギを刺した。(ワシントン 青木伸行、台北 田中靖人、シンガポール 吉村英輝、北京 矢板明夫、ソウル 藤本欣也)
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