5. 2015年9月14日 11:13:54
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2015年9月13日(日) 緊迫 戦争法案デモ拡大にゆらぐ自民 野党結束、採決日程後退 「16日に地方公聴会を開くというのは本当か。採決じゃないのか」。自民党閣僚経験者の一人は想定外に驚きの表情を見せます。 戦争法案を審議する参院安保法制特別委員会は、野党の要求を受け入れざるを得なくなり、16日に地方公聴会を横浜市で開催することを決定しました。同日中に国会に戻り、そのまま委員会採決まで突破する強硬論もくすぶりますが、「16日の採決は事実上難しくなった」(自民党関係者)といいます。 自民、公明の与党執行部は、中央公聴会開催の強行議決(8日)に続き、“16日の委員会採決・参院本会議緊急上程↓成立”という強行日程で「合意」していました(9日)。自民党総裁選で無投票当選を告示日の8日に決めた安倍晋三首相が参院側への圧力を強めました。 一方、国会前では11日にも若者はじめ1万の市民が戦争法案廃案の声をあげました。野党は同日、日本共産党、民主党などで7党党首会談を開き、法案阻止のためあらゆる手段を尽くして頑張りぬくことを確認しました。 政府・与党が描いた16日決着という強行日程は、こうした野党共闘と国民の厳しい抵抗で押し返されたのです。 15日の中央公聴会には、参院としては史上最大の95人の応募がありました。すべて「反対」の立場。全国の大学、地域、地方の山村でも、反対の動きはぐんぐん広がっています。 「20日からの連休前には必ず終わらせる」と発言していた自民党の谷垣禎一幹事長。11日の会見では「多少ゆとりがなきゃ、後ががたがたになるおそれがある」と述べました。自民党関係者の一人は「執行部はデモの拡大をひどく気にしている」と述べます。 自民党有力議員の一人は、「自衛隊の危険は拡大しないと言ってきたが、戦死者が出る。国民の覚悟はできていない。自衛隊の内部資料が暴露されたのは遺憾だが、イケイケの議論をする自衛隊幹部は、現場の隊員とは感覚が離れている」と述べます。 戦争法案を押し通す自信が次第に揺らぐ自民党。ずるずる後退する採決日程。これに対し「必ず止める」と広がり続ける運動―。勢いの差は歴然です。 “強行すれば大変なことに” 安倍政権と自民党にじわりと危機感を広げているのが、時事通信が4〜7日に実施した世論調査の結果です。内閣支持率が前月比1・2ポイント減の38・5%となり、政権復帰後最低を更新しました。8月半ば以降の世論調査で微増傾向が続いた中、先週末の調査で「上げ止まり」が明確になり、再び下落に転じました。 安倍首相に批判的なある自民党議員は「安保法制の問題とともに、総裁選で野田聖子の出馬をつぶすため、権力を総動員して推薦人を引きはがすやり方。それに批判も出ない自民党。党員の中からも不信がでている。もはや自民党は烏合(うごう)の衆だ」と述べ、安倍政権の総裁選への対応がマイナス評価されたと分析します。 自民党議員の一人は「(総裁選は)野田が総理になるかどうかではなく、安保法案がどうなるかの問題だった。野田を押し出そうとした力は、法案を止めようとする力だ」と述べます。戦争法案をめぐる国民との矛盾が、自民党総裁選挙にも大きな力として働いたことを示します。 地方でも保守派を含む共同で廃案の声は広がっています。 8日には新潟県阿賀野市議会で、6月に「否決」された「安保関連法案の今国会成立断念を求める意見書」が逆転可決されました。賛否同数の裁決で賛意を示した石川恒夫議長(保守系)は、「参院審議に注目してきたが、法的安定性の担保をはじめ、正直な気持ち失望を禁じえない」と、意見書可決に踏み切った理由を語りました。 自民党国対内には、参院安保特別委員会の強行採決後、野党が抵抗して内閣不信任案を衆院に提出した場合、これを否決した後、そのまま「60日ルール」で“参院みなし否決”↓“衆院再議決”で戦争法案を決着させるという強硬論もあります。 しかしこれに対しては自民党内からも、「国対はおかしいのではないか。参院が委員会採決後、(不信任案提出で参院本会議が止まっても)衆院再議決で通すというのは、いくらなんでも無理だ」という声もあがります。「参院であれ衆院再議決であれ、強行採決すれば大変なことになる」という声が強まっています。(中祖寅一) http://www.jcp.or.jp/akahata/aik15/2015-09-13/2015091301_02_1.html 2015年9月13日(日) 主張 戦争法案「合理化」 破綻した弁明で強行するのか 安倍晋三政権は、戦争法案の今週中の参院採決・成立の強行を狙っています。しかし、法案の明白な違憲性、国民多数の反対世論を無視した民主主義破壊、「自衛隊の暴走」を許すシビリアンコントロール(文民統制)の欠如など、あらゆる点で強行が許される状況ではありません。安倍政権が決まって持ち出す「法案は日米同盟の抑止力を高め、戦争を未然に防ぐものだ」「『戦争法案』ではなく、国民の命と平和な暮らしを守る平和安全法制だ」などという弁明も完全に破綻しています。 日本に攻撃の矛先が 戦争法案が可能にする集団的自衛権の行使とは、日本が直接、武力攻撃を受けていないのに、「存立危機事態」を口実にして、第三国による他国への武力攻撃を排除するために日本が武力を行使するというものです。 安倍政権は「限定」した集団的自衛権の行使だから違憲ではないと言い逃れようとします。これに対し、日弁連憲法問題対策本部の伊藤真弁護士(副本部長)は、8日の参院安保法制特別委員会の参考人質疑で「たとえ要件を解釈で厳格に限定したとしても、その効果は、日本が武力攻撃されていない段階で日本から先に相手国に武力攻撃をすることを認めるもの」であって「敵国兵士の殺傷を伴い、日本が攻撃の標的となる」と指摘し、「日常用語ではこれを『戦争』と言います」と厳しく批判しました。「国民の命と平和な暮らしを守る」どころか、文字通りの「戦争法案」に他なりません。 「法案が抑止力を高める」という主張も通用しません。元内閣法制局長官の大森政輔氏は同日の参考人質疑で「わが国が集団的自衛権の行使として武力行使をしている第三国に武力攻撃の矛先を向けると、その第三国は、反撃の正当な理由の有無にかかわらず、事実上、わが国に対し攻撃の矛先を向けてくることは必定で、集団的自衛権の抑止力以上に紛争に巻き込まれる危険を覚悟しなければならず、バラ色の局面到来は到底期待できない」と力説しました。 この問題では既に元内閣法制局長官の阪田雅裕氏が衆院の参考人質疑で「集団的自衛権を行使するということは進んで戦争に参加するということであり、敵となる相手国にわが国領土を攻撃する大義名分を与えることでもあるから、国民を守るというよりは進んで国民を危険にさらすという結果しかもたらさない」と指摘しています(6月22日)。歴代の内閣法制局長官の繰り返しの警告に耳を傾けない安倍政権の姿勢はまったく異常です。 米国がベトナム戦争やイラク戦争のような無法な先制攻撃の戦争に乗り出した際、日本は言われるままに集団的自衛権を発動し、武力を行使することになる―。ここに、集団的自衛権行使の最も現実的な危険があることは明白です。 反対の声に反論不能 メディアの世論調査に示されるように、政府の説明に圧倒的多数の国民が納得していないのは当然です。自民党内では「十分に(国民の)理解が得られていなくともやらなくてはいけない時がある」(高村正彦副総裁)などという居直りの声も上がっています。安倍政権が戦争法案反対の声に反論不能に陥っていることを示すものです。戦争法案は廃案しかないことはいよいよ明らかです。 http://www.jcp.or.jp/akahata/aik15/2015-09-13/2015091301_05_1.html |