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IWJ Independent Web Journal
2015/09/06 「国会を取り巻く大群衆をNHKはほとんど何も伝えなかった、異常事態だ!」――岩上安身が母校・早稲田でマスコミの「体たらく」に怒りの声をあげた!
http://iwj.co.jp/wj/open/archives/263820
早稲田大学は、歴史の長さと学生数の多さから、政界、財界、ビジネス界、マスコミ界、多方面にOBを輩出してきたが、中でも「マスコミ界」に卒業生が多いと言われる。「マスコミ界で石を投げると、ワセダに当たる」と言われるほどだという。これは、創立者の大隈重信が、明治14年の政変で下野して以来、「学の独立」「在野精神」を掲げ、言論界に多くの人材を輩出すべく、尽力してきたからだと言われる。
そんな早稲田大学で、IWJ代表の岩上安身が、マスコミ界の「体たらく」を厳しく糾弾した。2015年9月6日、早稲田大学で行われた、「早稲田大学から止める!戦争法案 安保関連法案に反対する 早稲田大学全学集会」での一コマだ。
8月30日の国会前抗議行動では、主催者発表で12万人の人々が集まったが、その全容を伝えた大手マスコミは必ずしも多くなかった。特に、NHKは、抗議行動の様子について、当初、「今日、野党の4党首が集まって発言しました」としか伝えず、多くの視聴者がNHKの報道に疑問や怒りの声をあげた。
動きの鈍いマスコミ界。そのマスコミ界に多くのOBを輩出している早稲田も、動き出しが鈍かった。「早稲田大学有志の会」が立ち上がったのは7月20日のこと。会の呼びかけ人となった早稲田大学教育総合学術院教授・中垣啓氏は、「有志の会」のウェブサイト上に、「早稲田は何をやっているんだ!」という叱責のコメントを数多く受けた事実を紹介した。
今回、岩上安身が登壇したのも、安倍政権の暴走と、それを監視するメディアが精彩を欠く中、「やっと立ち上がった」母校で、ジャーナリズムの危機を訴えることに大きな意義を感じたからだ。
岩上は、スピーチの中で、アメリカ独立宣言起草者のトマス=ジェファソンの、「報道の自由がある場合にのみ、人々の安全が守られる」という言葉を引用し、ジャーナリズムが民主主義の根底になくてはならないことを切に訴えた。
以下に、岩上安身のスピーチ全文を掲載する。
(取材・記事 城石愛麻)
岩上安身「ご紹介ありがとうございます。みなさんこんにちは、ジャーナリストでIWJ代表の岩上安身です。
私は1978年に本学に入学しまして、5年いたんですけれども、その前は、3年間、鶴巻町にあった早稲田実業学校高等部に通いまして、都合8年、早稲田の町に通って、ここで育まれてきた人間です。
IWJをやっていることをご紹介していただきましたが、本日の集会もIWJで中継しています。いろんなご先生方にも、すでに(IWJのインタビューに)ご登場いただいておりまして、本日ご講演くださった水島先生には、もう2度、インタビューにご登場いただいていますし、それから憲法学の長谷部恭男先生にも、1度インタビューでご登場いただいています。それから白井聡先生が今日ご挨拶されましたが、白井先生にも、今度京都でお会いする予定になっています(注:この企画は強行採決の日程が示されたため、順延に)。大変お世話になっております。
今回の安保法制の問題については、こうした憲法学の先生方のご活躍は、本当に目覚ましいものがありました。水島先生、長谷部先生はもちろんですけれども、小林節先生とか、樋口陽一先生、あるいは、国民安保法制懇や、立憲デモクラシーの会、こういったところに集う先生方のご発言というのは、大変、インパクトや影響力があったと思います。
しかし、これらの会の動きも、大学の教室などを借りたりして、記者会見とか、講演とかなさっているのですが、われわれが中継をして伝えないと、その素晴らしい内容が伝わっていかないんですね。こういうことを非常に痛感いたしました。
しかし、この安保法制の問題というのは、憲法学者だけに任せていていい問題なんだろうか。ことの内容が明らかになってきますと、これは『知』の『総掛り』で取り組まなければいけない問題なのではないか。政治学も歴史学も、あらゆる分野の先生方にご発言願いたい、というふうに思っております。そして、アカデミズムだけに任せていていいことではもちろんなく、何よりもジャーナリズムが頑張らなければならない事態だと思います(会場拍手)。
今の拍手は、(メディアへの)怒りが裏側に隠れている拍手だろうと思うんですけれども、大手メディアの、この体たらくはなんだと、既存メディアはいったい何をしているんだと、こういう怒りが皆さまにはおありになるだろうと思います。
産経、読売は論外ですから、相手にせずとしても、いや、相手にせずにおいてはいけないんですよね、叩くべきは徹底的に叩かなければいけないんですけれども、日経はCSISとべったりですし、朝日はダブル吉田問題で叩かれて以来もう萎縮しっぱなし、東京新聞だけが頑張っている、そういう中、最も影響力のあるNHKは、産経以下ではないかと、言わざるをえないです(会場大拍手)。
NHKは、あの8月30日、国会前、行かれた方もたくさんいらっしゃると思いますけれども、あれだけの人が国会を取り巻いた、あれだけのニュースを、夕方、『今日、野党の4党首が集まって発言しました』という伝え方しかしないわけです。これは世界から見たら、大変異常なことですよね。国会を取り巻いている大群衆がいるのに、その国の国営放送、公共放送、第一の放送局がほとんど何も伝えない。これはいったい何が起こっているんだ、異常事態に陥っているのではないか、この国は。そういうことが(外部の目からは)本当に見えたと思います。
あの、『SEALDs』のコールの中で、『民主主義ってなんだ?』というのがありますね。いつも考えるんです、民主主義ってなんだ?って。民主主義には、2つ大事なことがあるんじゃないかと思います。
一つは『主権』です。『国民主権』であるということ。それからもう一つは、『情報』です。情報が基礎になければ、やはり民主主義というのは成り立たないのではないか、と思います。
これはちょっと調べてきたんですけどね、トマス=ジェファソン。トマス=ジェファソンという人が特別好きなわけではないんですけれども、民主主義の草稿、日本にも大きく影響を与えたものでもありますから、ちょっと調べてみたら良いこと言っているんですね。『人民の安全が守られるのは、「知識」がある場合だけである。報道の自由があり、誰もが読んで知ることができる場合にのみ、みなの安全が守られる』。これ、すごく重要なことを言っているんじゃないかなと。
それからもう一つ、『言論の自由がある。われわれが有する他の自由を守るのである。異議は、愛国心のもっとも崇高な表現である』と。『愛国心』という言葉にちょっと抵抗のある方もいらっしゃるかもしれませんけれども、今、政府に対して異議申し立てをすると、『反日』というレッテルをすぐ貼られるわけです。
私のツイッターのタイムラインは毎日、炎上しております(会場笑い)。一日に300から400のネトウヨが、毎日来るんです。それをお迎えしては、ブロックし、ときには諭し、ということを繰り返しているんです。そういう簡単なレッテル張りをされるんですけれども、冗談ではない。ネトウヨ君などよりも私の方がはるかに『愛国者』だ、と思っております(会場拍手)。
異議申し立てをしない『愛国者』などいるでしょうか!?いてはいけないんですよね。われわれは、政府を疑ってかからなければならない。それこそが、立憲主義であり、民主主義の基礎である。だからこそ、そこに情報を流していくことが、もすごく重要だということを、言わざるをえないわけです。
時間も限られていると思うんですけれども、どうしてもお話したいことがあります。みなさん、これをご覧になったでしょうか(手元の資料を掲げる)。
実は、先日の安保特別委員会で、仁比聡平議員が出した、防衛省の内部文書なんですよ。この内部文書、アメリカのオディエルノ陸軍参謀総長はじめ、そうそうたるアメリカ軍のトップに会って、我が国の河野統合幕僚長が、上官に報告する下士官みたいな、報告の仕方をするんですね。『全て予定通りいっているか』とオディエルノ参謀長が聞くと、『来年の夏までには、法案は成立いたします』と、こういうことを約束するわけです。去年の段階です。
国会も開かれていない、国民も知らない、文民統制すらすっ飛ばしている。こういうことが、『軍軍間』で行われてしまっているんですね。これは、宗主国の軍に、属国の軍が、直接直属してしまっている状況と、言わざるをえないのです。
こういうことを明るみにしていくこと、情報を伝えるということ、ものすごく大事なことだと思うんですけれども、この防衛省内部資料、全部記者クラブの記者たちは、配られて持っているはずです。手にしているはずです。全部記事にあげているとこ、どこにあるでしょうか。みなさん、お試しになってみて下さい。ググってみていただければと思いますけれども、引っかかるところは、あまり聞いたことがないサイトが一つ、あとは私どもIWJだけ。こうしたこと(情報を詳細に伝えないこと)が、ずっと続いているんです。
で、この安保法制の問題、集団的自衛権の問題にしても、とっくの前に、『第3次アーミテージレポート』で予告されている。その予告されている通りになってきています。じゃあ『第3次アーミテージレポート』と検索したら、その内容が和文で読めるサイト、どこにあるでしょうか。IWJ以外ないんです。全文訳出するということ、こんなことをやっているところ、どこもないんですよ。自分としては当たり前のことやっているだけなんですけど、気がついたら、横見たら、誰もいない状態なんです。恐ろしい情報環境にあります。こういう状態を、なんとか打破していかなければならない。
それからですね、この安保の問題を考えるときに、我が国だけのことを考えていていいんだろうか。この集団的自衛権の行使は、アメリカからの要請です。アメリカという国はいったいどうなっているのか。『帝国』と化してしまったアメリカはいったいどうなっているのか。アメリカはまだ、世界に対して圧倒的な影響力を有しているように見える。圧倒的な軍事力と、基軸通貨のドル、この2つが(アメリカの覇権を支える)柱です。
しかし、よくよく見ると、財政赤字がひどい。国民の貯蓄率なんて本当にひどい。ありとあらゆる経済指標がこのまま(米帝国の覇権が)続いてはいかない、ということを示しているわけです。となれば、ドルには実際には金の裏打ち、というものはないわけですから(金本位制ではない)、架空の通貨、不換紙幣ですから、経済力の裏付けも失われてゆく今、ドルがいつか崩壊するのではないか、という不安と懸念を、アメリカ自身が持っている。その不安が故に、なおのこと軍事支配というのを強化しようとする。
しかしカネがない。カネがないから属国に、『リバランス』という名前で多大な負担を負わせようとする。われわれは、もしかしたらアメリカにとって、非常に大きなライバルになるかもしれない中国と、和戦両様の構えで付き合いつつも、もし和戦の『和』ではなく『戦』とうことになったとき、アメリカが自ら手を出さず、中国との間で直接戦争することなく、日本という属国を『鉄砲玉』にしてぶつける。そのための、いわば身代わり、鉄砲玉ですね。それに着々と仕立てあげられているんだということを感じざるをえないのです。
そしてこういう、考えたくもない現実というものから、ジャーナリズムは逃げています。本当はこれを伝えなければいけない。ちょっとみなさんもしーんとしちゃいましたけれど、恐ろしい未来だからこそ、きちんと見ていないと、大変な惨禍をわれわれは招いてしまいかねない。ありうるわけです。
わたしたち今、すごく大きな歴史的分岐点に立っています。それは、日本にとっての歴史的分岐点、というだけでなく、世界史的な分岐点に立っているということです。アメリカのヘゲモニーが、ずっと安泰だったら、それにくっついていけばいいじゃないか、今まで通りに。それが一番リスクのない道だ。そういうふうに思っている方はまだまだいらっしゃると思いますけれども、いや、はたして、アメリカのヘゲモニーというのは、長続きするのか。クラッシュするときは一気にクラッシュするかもしれない。
そうしたことに備え、このような追従、このような形での隷従から、早く身を引き剥がして、われわれ自身が独立して、われわれの主権、国民主権を取り返し、われわれ自身が本当の民主主義を獲得して、自立して、かつ隣国と友好の関係を築き直すこと。ユーラシアの一角としての日本というもの、平和のうちに繁栄しうる日本というものを、作りなおす必要があるだろう。そこまでわれわれは視野に入れて、皆さんと一緒に語り合っていけたらな、と思っています。
今日はどうもありがとうございました」
2015/09/06 「国会を取り巻く大群衆をNHKはほとんど何も伝えなかった、異常事態だ!」――岩上安身が母校・早稲田でマスコミの「体たらく」に怒りの声をあげた!
http://iwj.co.jp/wj/open/archives/263820
早稲田大学は、歴史の長さと学生数の多さから、政界、財界、ビジネス界、マスコミ界、多方面にOBを輩出してきたが、中でも「マスコミ界」に卒業生が多いと言われる。「マスコミ界で石を投げると、ワセダに当たる」と言われるほどだという。これは、創立者の大隈重信が、明治14年の政変で下野して以来、「学の独立」「在野精神」を掲げ、言論界に多くの人材を輩出すべく、尽力してきたからだと言われる。
そんな早稲田大学で、IWJ代表の岩上安身が、マスコミ界の「体たらく」を厳しく糾弾した。2015年9月6日、早稲田大学で行われた、「早稲田大学から止める!戦争法案 安保関連法案に反対する 早稲田大学全学集会」での一コマだ。
8月30日の国会前抗議行動では、主催者発表で12万人の人々が集まったが、その全容を伝えた大手マスコミは必ずしも多くなかった。特に、NHKは、抗議行動の様子について、当初、「今日、野党の4党首が集まって発言しました」としか伝えず、多くの視聴者がNHKの報道に疑問や怒りの声をあげた。
動きの鈍いマスコミ界。そのマスコミ界に多くのOBを輩出している早稲田も、動き出しが鈍かった。「早稲田大学有志の会」が立ち上がったのは7月20日のこと。会の呼びかけ人となった早稲田大学教育総合学術院教授・中垣啓氏は、「有志の会」のウェブサイト上に、「早稲田は何をやっているんだ!」という叱責のコメントを数多く受けた事実を紹介した。
今回、岩上安身が登壇したのも、安倍政権の暴走と、それを監視するメディアが精彩を欠く中、「やっと立ち上がった」母校で、ジャーナリズムの危機を訴えることに大きな意義を感じたからだ。
岩上は、スピーチの中で、アメリカ独立宣言起草者のトマス=ジェファソンの、「報道の自由がある場合にのみ、人々の安全が守られる」という言葉を引用し、ジャーナリズムが民主主義の根底になくてはならないことを切に訴えた。
以下に、岩上安身のスピーチ全文を掲載する。
(取材・記事 城石愛麻)
岩上安身スピーチ全文
岩上安身「ご紹介ありがとうございます。みなさんこんにちは、ジャーナリストでIWJ代表の岩上安身です。
私は1978年に本学に入学しまして、5年いたんですけれども、その前は、3年間、鶴巻町にあった早稲田実業学校高等部に通いまして、都合8年、早稲田の町に通って、ここで育まれてきた人間です。
IWJをやっていることをご紹介していただきましたが、本日の集会もIWJで中継しています。いろんなご先生方にも、すでに(IWJのインタビューに)ご登場いただいておりまして、本日ご講演くださった水島先生には、もう2度、インタビューにご登場いただいていますし、それから憲法学の長谷部恭男先生にも、1度インタビューでご登場いただいています。それから白井聡先生が今日ご挨拶されましたが、白井先生にも、今度京都でお会いする予定になっています(注:この企画は強行採決の日程が示されたため、順延に)。大変お世話になっております。
今回の安保法制の問題については、こうした憲法学の先生方のご活躍は、本当に目覚ましいものがありました。水島先生、長谷部先生はもちろんですけれども、小林節先生とか、樋口陽一先生、あるいは、国民安保法制懇や、立憲デモクラシーの会、こういったところに集う先生方のご発言というのは、大変、インパクトや影響力があったと思います。
しかし、これらの会の動きも、大学の教室などを借りたりして、記者会見とか、講演とかなさっているのですが、われわれが中継をして伝えないと、その素晴らしい内容が伝わっていかないんですね。こういうことを非常に痛感いたしました。
しかし、この安保法制の問題というのは、憲法学者だけに任せていていい問題なんだろうか。ことの内容が明らかになってきますと、これは『知』の『総掛り』で取り組まなければいけない問題なのではないか。政治学も歴史学も、あらゆる分野の先生方にご発言願いたい、というふうに思っております。そして、アカデミズムだけに任せていていいことではもちろんなく、何よりもジャーナリズムが頑張らなければならない事態だと思います(会場拍手)。
今の拍手は、(メディアへの)怒りが裏側に隠れている拍手だろうと思うんですけれども、大手メディアの、この体たらくはなんだと、既存メディアはいったい何をしているんだと、こういう怒りが皆さまにはおありになるだろうと思います。
産経、読売は論外ですから、相手にせずとしても、いや、相手にせずにおいてはいけないんですよね、叩くべきは徹底的に叩かなければいけないんですけれども、日経はCSISとべったりですし、朝日はダブル吉田問題で叩かれて以来もう萎縮しっぱなし、東京新聞だけが頑張っている、そういう中、最も影響力のあるNHKは、産経以下ではないかと、言わざるをえないです(会場大拍手)。
NHKは、あの8月30日、国会前、行かれた方もたくさんいらっしゃると思いますけれども、あれだけの人が国会を取り巻いた、あれだけのニュースを、夕方、『今日、野党の4党首が集まって発言しました』という伝え方しかしないわけです。これは世界から見たら、大変異常なことですよね。国会を取り巻いている大群衆がいるのに、その国の国営放送、公共放送、第一の放送局がほとんど何も伝えない。これはいったい何が起こっているんだ、異常事態に陥っているのではないか、この国は。そういうことが(外部の目からは)本当に見えたと思います。
あの、『SEALDs』のコールの中で、『民主主義ってなんだ?』というのがありますね。いつも考えるんです、民主主義ってなんだ?って。民主主義には、2つ大事なことがあるんじゃないかと思います。
一つは『主権』です。『国民主権』であるということ。それからもう一つは、『情報』です。情報が基礎になければ、やはり民主主義というのは成り立たないのではないか、と思います。
これはちょっと調べてきたんですけどね、トマス=ジェファソン。トマス=ジェファソンという人が特別好きなわけではないんですけれども、民主主義の草稿、日本にも大きく影響を与えたものでもありますから、ちょっと調べてみたら良いこと言っているんですね。『人民の安全が守られるのは、「知識」がある場合だけである。報道の自由があり、誰もが読んで知ることができる場合にのみ、みなの安全が守られる』。これ、すごく重要なことを言っているんじゃないかなと。
それからもう一つ、『言論の自由がある。われわれが有する他の自由を守るのである。異議は、愛国心のもっとも崇高な表現である』と。『愛国心』という言葉にちょっと抵抗のある方もいらっしゃるかもしれませんけれども、今、政府に対して異議申し立てをすると、『反日』というレッテルをすぐ貼られるわけです。
私のツイッターのタイムラインは毎日、炎上しております(会場笑い)。一日に300から400のネトウヨが、毎日来るんです。それをお迎えしては、ブロックし、ときには諭し、ということを繰り返しているんです。そういう簡単なレッテル張りをされるんですけれども、冗談ではない。ネトウヨ君などよりも私の方がはるかに『愛国者』だ、と思っております(会場拍手)。
異議申し立てをしない『愛国者』などいるでしょうか!?いてはいけないんですよね。われわれは、政府を疑ってかからなければならない。それこそが、立憲主義であり、民主主義の基礎である。だからこそ、そこに情報を流していくことが、もすごく重要だということを、言わざるをえないわけです。
時間も限られていると思うんですけれども、どうしてもお話したいことがあります。みなさん、これをご覧になったでしょうか(手元の資料を掲げる)。
実は、先日の安保特別委員会で、仁比聡平議員が出した、防衛省の内部文書なんですよ。この内部文書、アメリカのオディエルノ陸軍参謀総長はじめ、そうそうたるアメリカ軍のトップに会って、我が国の河野統合幕僚長が、上官に報告する下士官みたいな、報告の仕方をするんですね。『全て予定通りいっているか』とオディエルノ参謀長が聞くと、『来年の夏までには、法案は成立いたします』と、こういうことを約束するわけです。去年の段階です。
国会も開かれていない、国民も知らない、文民統制すらすっ飛ばしている。こういうことが、『軍軍間』で行われてしまっているんですね。これは、宗主国の軍に、属国の軍が、直接直属してしまっている状況と、言わざるをえないのです。
こういうことを明るみにしていくこと、情報を伝えるということ、ものすごく大事なことだと思うんですけれども、この防衛省内部資料、全部記者クラブの記者たちは、配られて持っているはずです。手にしているはずです。全部記事にあげているとこ、どこにあるでしょうか。みなさん、お試しになってみて下さい。ググってみていただければと思いますけれども、引っかかるところは、あまり聞いたことがないサイトが一つ、あとは私どもIWJだけ。こうしたこと(情報を詳細に伝えないこと)が、ずっと続いているんです。
で、この安保法制の問題、集団的自衛権の問題にしても、とっくの前に、『第3次アーミテージレポート』で予告されている。その予告されている通りになってきています。じゃあ『第3次アーミテージレポート』と検索したら、その内容が和文で読めるサイト、どこにあるでしょうか。IWJ以外ないんです。全文訳出するということ、こんなことをやっているところ、どこもないんですよ。自分としては当たり前のことやっているだけなんですけど、気がついたら、横見たら、誰もいない状態なんです。恐ろしい情報環境にあります。こういう状態を、なんとか打破していかなければならない。
それからですね、この安保の問題を考えるときに、我が国だけのことを考えていていいんだろうか。この集団的自衛権の行使は、アメリカからの要請です。アメリカという国はいったいどうなっているのか。『帝国』と化してしまったアメリカはいったいどうなっているのか。アメリカはまだ、世界に対して圧倒的な影響力を有しているように見える。圧倒的な軍事力と、基軸通貨のドル、この2つが(アメリカの覇権を支える)柱です。
しかし、よくよく見ると、財政赤字がひどい。国民の貯蓄率なんて本当にひどい。ありとあらゆる経済指標がこのまま(米帝国の覇権が)続いてはいかない、ということを示しているわけです。となれば、ドルには実際には金の裏打ち、というものはないわけですから(金本位制ではない)、架空の通貨、不換紙幣ですから、経済力の裏付けも失われてゆく今、ドルがいつか崩壊するのではないか、という不安と懸念を、アメリカ自身が持っている。その不安が故に、なおのこと軍事支配というのを強化しようとする。
しかしカネがない。カネがないから属国に、『リバランス』という名前で多大な負担を負わせようとする。われわれは、もしかしたらアメリカにとって、非常に大きなライバルになるかもしれない中国と、和戦両様の構えで付き合いつつも、もし和戦の『和』ではなく『戦』とうことになったとき、アメリカが自ら手を出さず、中国との間で直接戦争することなく、日本という属国を『鉄砲玉』にしてぶつける。そのための、いわば身代わり、鉄砲玉ですね。それに着々と仕立てあげられているんだということを感じざるをえないのです。
そしてこういう、考えたくもない現実というものから、ジャーナリズムは逃げています。本当はこれを伝えなければいけない。ちょっとみなさんもしーんとしちゃいましたけれど、恐ろしい未来だからこそ、きちんと見ていないと、大変な惨禍をわれわれは招いてしまいかねない。ありうるわけです。
わたしたち今、すごく大きな歴史的分岐点に立っています。それは、日本にとっての歴史的分岐点、というだけでなく、世界史的な分岐点に立っているということです。アメリカのヘゲモニーが、ずっと安泰だったら、それにくっついていけばいいじゃないか、今まで通りに。それが一番リスクのない道だ。そういうふうに思っている方はまだまだいらっしゃると思いますけれども、いや、はたして、アメリカのヘゲモニーというのは、長続きするのか。クラッシュするときは一気にクラッシュするかもしれない。
そうしたことに備え、このような追従、このような形での隷従から、早く身を引き剥がして、われわれ自身が独立して、われわれの主権、国民主権を取り返し、われわれ自身が本当の民主主義を獲得して、自立して、かつ隣国と友好の関係を築き直すこと。ユーラシアの一角としての日本というもの、平和のうちに繁栄しうる日本というものを、作りなおす必要があるだろう。そこまでわれわれは視野に入れて、皆さんと一緒に語り合っていけたらな、と思っています。
今日はどうもありがとうございました」
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