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福田昭夫氏が思川開発・湯西川ダムの見直しを主張(ダム反対鹿沼市民協議会のサイト より)
http://www.asyura2.com/15/senkyo192/msg/544.html
投稿者 戦争とはこういう物 日時 2015 年 9 月 11 日 12:10:42: N0qgFY7SzZrIQ
 

(回答先: 八ツ場ダムの支出差し止め訴訟、住民側の敗訴確定(ダムに意味があったか検証すべき!) 投稿者 戦争とはこういう物 日時 2015 年 9 月 11 日 11:55:54)

 今回の鬼怒川堤防決壊は、大量の雨が原因で、そのためダムと巨大スーパー堤防建設を勧めるべし、との与党政権と地デジ大マスゴミの宣伝が行われるものと思われる。
 しかし実際の原因を検証すれば、巨大事業に金をかけて各地域の堤防など基本的なインフラ整備を怠ってきた政府の責任が問われるべきではないか。
 すこし古い記事だが、鬼怒川ダム建設に疑問を呈した記事があったのでここに張っておく。
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜(引用此処から)

http://kanumanodamu.lolipop.jp/NanmaDam/fukudaAkio02.html

福田昭夫氏が思川開発・湯西川ダムの見直しを主張
2009-09-03

●八ツ場ダムと湯西川ダムの動向
「民主党が政権公約で建設中止を掲げた八ツ場(やんば)ダム(群馬県)について、国土交通省は31日、9月に実施予定だった本体工事の施工業者を決める入札を凍結する方針を固めた。同省の谷口博昭事務次官は記者会見で「新大臣の指示に従う」と語り、民主政権に順応する考えを示した。」(2009-09-01朝日)のですが、2009-09-01毎日は、「湯西川ダム:きょうから本体のコンクリート工事/ 最終段階に」の見出しで、次のように報道していますが。

日光市西川で建設中の湯西川ダム本体のコンクリート工事が1日、始まる。2年後の11年10月の試験貯水開始に向けて、最終段階に入った。

国交省湯西川ダム工事事務所によると、本体工事は昨年7月に着手。今年5月からは基礎掘削工に入っていた。
思川開発事業の中止も、民主党の公約に入っていれば違った展開になっていたと思います。

●福田昭夫氏が思川開発・湯西川ダムの見直しを主張

2009-09-01朝日は、「湯西川ダム「中止すべき」/再選の福田氏、改めて主張」の見出しで、8月30日の総選挙において、「栃木2区で当選した民主党の福田昭夫氏は31日、朝日新聞などのインタビューに応じ、選挙区内で進む湯西川ダム(日光市)の建設事業と、南摩ダム(鹿沼市)の建設を含む思川開発事業について、中止の方向で見直すべきだと改めて主張した」と報じています。

福田氏は、湯西川ダムについては、「利水、治水のいずれの観点からも必要ない。本体工事は中止すべきだ」と明言したそうです。

福田氏は、「思川開発については「利水面からは中止しても大丈夫だ。問題は治水だけ。ダム建設と河川の改修工事について、費用や自然保護の観点から比較検討すべきだ」と述べた」そうです。

「利水面からは中止しても大丈夫だ。」は、そのとおりですが、2001年6月には、私たちの質問に「下流関係3県の知事(千葉県は副知事)とお会いしましたが、総体的には水が必要と理解しました。」( 福田昭夫氏のダム論)と回答していたのとは大違いです。

それはともかく、南摩ダムは、治水上も全く必要のないダムです。利水面でムダと言えるなら、治水面でもムダと言えるほど、事実は明らかになっています。今更時間をかけて検討する必要もないでしょう。

ダム訴訟では、以下のような主張が原告からなされています。

●南摩ダムの流域面積が小さすぎる

河川のはるか上流をダムでせき止めても、下流の洪水を減らす効果がわずかであることは、素人が考えても当然です。

思川開発事業における治水基準地点は、思川の乙女地点(小山市)と利根川の栗橋地点(埼玉県栗橋町)です。

南摩ダム建設予定地と上記治水基準地点の流域面積(「集水面積」ともいう。)は、次のとおりです。
    南摩ダム予定地      12.4km2
    思川・乙女地点    760  km2
    利根川・栗橋地点 8,588  km2
    

流域面積の割合をみると、南摩ダム建設予定地は思川・乙女地点と利根川・栗橋地点に対して、それぞれ1.6%、0.14%を占めるに過ぎません。南摩ダムの流域面積の割合は、治水基準地点の流域面積に比してわずかなものですから、その治水効果は微々たるものです。     

    ●洪水ピーク流量の削減効果もわずか     

国土交通省関東地方整備局が保有する「思川開発事業(見直し計画)における容量配分の設定根拠」という文書に次のことが記されています。     
    南摩ダムの効果量(洪水ピーク流量の削減量)
       思川・乙女地点   約65m3/秒
    利根川・栗橋地点  約50m3/秒
    

南摩ダムによるこれらの洪水ピーク流量の削減量は、思川及び利根川の洪水ピーク流量の削減にどの程度寄与するのでしょうか。     

国土交通省が2006年2月に策定した利根川水系河川整備基本方針では思川・乙女地点及び利根川・栗橋地点の計画高水流量(上流ダムなどによって 洪水調節を行った後の計画上の最大想定流量)は、次の値になっています。     
    計画高水流量 
    思川・乙女地点    3,700m3/秒
    利根川・栗橋地点  17,500m3/秒
    

思川・乙女地点及び利根川・栗橋地点の計画高水流量に対する上記の南摩ダム効果量の比を求めると、
    南摩ダムの治水効果の割合 
      思川・乙女地点に対して  1.8%
    利根川・栗橋地点に対して 0.3%
    

このように、国土交通省の計画でも、南摩ダムは思川及び利根川に対して微々たる治水効果しか持ちません。洪水流量の観測の誤差は通常、数%はありますから、南摩ダムの治水効果は流量観測の誤差よりも小さく、取るに足らないものです。     

しかも、思川の乙女地点に対して1.8%という値は、国が机上の計算で求めた過大な数字であり、実際の流量観測データから計算すると、1%程度でしかありません。     

    ●基本高水流量が大きすぎる     

国は、思川の基本高水流量(上流ダム等による洪水調節がない場合の最大想定流量。思川の場合100年に1回の確率で起きる大きさの洪水時の流量)を乙女地点で4,000m3/秒と設定していますが、過大です。     

利根川水系河川整備基本方針では思川・乙女地点の計画高水流量gaが3,700m3/秒とされ、それが思川の治水計画の基本になっています。この値は旧河川法の工事実施基本計画の値を踏襲したものであって、工事実施基本計画策定時にこの値を算出した計算データを、国は保有していないというのですから、デタラメなものです。     

原告らの計算では、乙女地点の基本高水流量は3,170m3/秒にすぎません。それがなぜ国の計算では、4,000m3/秒になるのかというと、国は、様々な係数の設定の仕方により計算者の主観の入りやすい、雨量の確率から流量の確率を計算する雨量確率法を基本に用いているからです。実際の流量データを統計処理して基本高水流量を算出するのが筋です。     

基本高水流量を過大に見積もって、ダムがなければ100年に1度の確率で大きな洪水が来る。だからダムが必要だというのがいつもの国の手口です。     

    ●思川上流ダム群の虚構     

水資源機構が保有する「思川開発事業検討業務報告書」には、思川・乙女地点の基本高水流量(上流ダム等による洪水調節がない場合の最大想定流量)は4,000m3/秒で、上流ダム群によって300m3/秒をカットし、計画高水流量を3,700m3/秒にすると書かれています。     

では、思川の上流ダム群とは何でしょうか。南摩ダム、行川ダム、遠ノ木ダム、中ノ畑ダムです。「中ノ畑ダム」、「遠ノ木ダム」とは何かに書いたように、それぞれのダムの治水容量は、次のとおりです。     
                                  
ダム名 治水容量(万m3)
南摩ダム 500
行川ダム 300
遠ノ木ダム 1,070
中ノ畑ダム 870
計 2,740
    
    

思川の治水計画では、思川上流ダム群として合計2,740万m3の治水容量を確保することになっています。     

ところが、行川ダムは、2001年に中止になりました。遠ノ木ダムと中ノ畑ダムについては、「中ノ畑ダム」、「遠ノ木ダム」とは何かに書いたように、両ダムは幻のダムであり、計画さえ存在しません。     

結局、上記四つのダムのうち三つは存在しえず、かろうじて建設できそうなのが、治水容量500万m3の南摩ダム1基だけなのですから、思川上流ダム群によって、乙女地点の4,000m3/秒の基本高水流量を300m3/秒カットするという構想自体が破たんしています。     

南摩ダムだけでは、500万m3*300m3/秒÷2,740m3=55m3/秒しか乙女地点の流量を削減できません。思川水系に南摩ダム以外には今後ダムを建設できる可能性がないのに、残り245m3/秒は、一体どうやって削減するというのでしょうか。いつまでたっても治水計画は完成しないじゃないですか。治水計画なんてどうだっていい、南摩ダムを建設するための当面の 理屈があればいい、というのが国の本音ではないでしょうか。     

    ●南摩ダムの治水効果は利根川には及ばない     

治水効果の及ぶ範囲を勝手に変えてしまう国土交通省に書いたように、1998年2月に建設省関東地方建設局(当時)と水資源開発公団(当時)が連名で作成した「思川開発事業」という冊子に構想当初の治水目的は「南摩川、思川の洪水被害を軽減する。」であり、利根川の洪水被害の軽減は目的に入っていなかったのに、1994年5月の変更で、「南摩川、思川、利根川の洪水被害を軽減する。」に変わってしまい、南摩ダムの治水効果が渡良瀬遊水地を越えて、利根川まで及ぶことになってしまったのです。     

そうしないと、費用対効果が得られないからではないでしょうか。     

繰り返しますが、渡良瀬遊水地は、洪水調節容量が現状で1億7180万m3もある、巨大な洪水貯留施設ですから、その下流の利根川では、南摩ダムなんてあってもなくても関係ないのです。     

治水効果の及ぶ範囲を勝手に変えてしまう国土交通省に書いたように、南摩ダムの治水効果が利根川に及ばないなら、思川開発事業の費用対効果は、0.39にすぎないのです。     

    ●年平均被害軽減期待額がデタラメ     

治水効果の及ぶ範囲を勝手に変えてしまう国土交通省に書いたように、国が2002年ごろに公表した思川開発事業の治水の費用対効果計算では、南摩ダムによる年平均被害軽減期待額は、思川で5億3100万円とされていますが、物価が現在とあまり変わらない1991年度から2008年度までの18年間の南摩川と思川の年平均被害額は、南摩川で17,017千円、思川で205,590千円、合計しても222,607千円にすぎませんから、平均して1年間に5億3100万円の被害が軽減できるという前提での費用対効果の計算は、間違っています。     

    ●まとめ     

以上をまとめると次のとおりです。     

    
南摩ダムの流域面積が小さすぎて、はるか下流での治水効果は期待できない。
    
南摩ダムによる治水基準地点での洪水流量削減量は小さく、流量測定における誤差の範囲内程度である。
    
基本高水流量を過大に設定して、ダムの必要性を創出しようとしている。
    
既に中止になったダムや計画さえも存在しないダムによって描かれた思 川の治水計画は破たんしてる。
    
渡良瀬遊水地を無視して治水計画が立てられている。
    
被害軽減期待額が被害実績額を超えるという計算の下に費用対効果分析がなされている。
         
    
環境問題を抜きにしても、思川開発事業の費用対効果が得られないことは明らかだと思います。

(文責:事務局)

《鹿沼のダム:(ダム反対鹿沼市民協議会のサイト)》

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜(引用此処まで)


 

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