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沖縄県の翁長知事が「辺野古の埋め立て承認を取り消す意向」と報じられているが、その発言はあくまでもアドバルーンであり、実際に仲井真前知事の埋め立て承認を取り消すことはないと思う。
辺野古問題の難しさは、辺野古に新たな基地を造らせないということ以上に、普天間の基地を返還(停止)させることに重要性があることにある。
仮に翁長知事が辺野古の埋め立て承認を取り消せば、基地移転不能ということになって、普天間基地の継続使用につながる可能性が大であり、問題の解決からより遠のいてしまう。
以前から書いているように、安倍政権と翁長県政の“対立”は、面従腹背的従米政治として、普天間基地の停止・返還と辺野古基地建設中止の両方をなんとか実現するための巧妙な政治劇だとみている。
日米安保条約の解消が望ましいがそうはいかないというのなら、辺野古問題を好機と考え、NHKの解説委員が言うように、「当事者でもあるアメリカを交えて、なぜアメリカ軍の再編の中で沖縄に駐留する隊員自体が減っている海兵隊の基地を維持する必要があるのか、それは本当に沖縄である必要があるのかを含め検証」し、日本が費用をより多く負担することになるとしてもグアムに全面移転してもらうべきである。
米国政権及び米軍がそのような判断を下すまで、辺野古での基地建設は「やるようなやらないような宙ぶらりんの状況」を続けるしかないと思う。
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2015年09月10日 (木) 午前0:00〜
時論公論 「辺野古集中協議決裂 溝は埋まらないのか」
西川 龍一 解説委員
アメリカ軍普天間基地の移設計画をめぐって、政府が沖縄県との集中的な協議を行うため、移設先とされる名護市辺野古でのすべての工事を中断して1か月。きのうはその期限でした。政府と沖縄県は、この間、5回にわたって協議を重ねてきましたが、対立の解消への糸口すら見つからないまま決裂した形で終了しました。今後も両者の溝は埋まらないのか、今夜はこの問題について考えます。
普天間基地の辺野古移設計画をめぐっては、政府が基地の危険性を除去するための唯一の解決策だとして作業を進めて来ました。一方で、沖縄県の翁長知事は移設反対の姿勢を崩さず、前の知事による辺野古沖の埋め立て承認に瑕疵があるとする県の第三者委員会の報告を受けて許可の取り消しを示唆していました。双方一歩も引かない状況から、急きょ政府側から作業の中断が発表されたのは、先月初めでした。期限は1か月とされましたから、内閣支持率が低下傾向となり、安全保障関連法案の審議や原発再稼働など国民の賛否が分かれる問題が続く中、政権イメージの転換につなげたいだけではないかとの受け止めもありました。
話し合いは5回にわたって行われ、今月7日の最後の協議には安倍総理大臣も加わりました。5回の協議は、沖縄と総理大臣官邸で行われました。
菅官房長官が沖縄を訪れた先月12日、奇しくもアメリカ軍のヘリコプターが沖縄の海上に墜落し、翁長知事は「基地のそばに住んでいる人にとっては大変なこと」と指摘しました。
官邸での協議には、外務・防衛・沖縄担当の関係閣僚も出席しました。
そして、今月7日に総理大臣官邸で行われた5回目の協議。初めて安倍総理大臣も参加しましたが、この場で政府側は、沖縄県との協議を続けたいという考えを示した上で、中断している工事を近く再開する方針を伝えました。これに対して、翁長知事は、「あらゆる手段で計画を阻止する」と反発し、協議は決裂した形となりました。
協議の中で、政府と沖縄県は、世界一危険と言われる普天間基地を閉鎖することが必要という点では一致しました。ただ、その方法論は、最後までかみ合わないままでした。
今回の協議で、翁長知事が繰り返し説明したのは、在日アメリカ軍占有施設の74%が集中するにいたった沖縄県の歴史です。太平洋戦争で住民を巻き込んだ唯一の地上戦が行われ住民の4人に1人が犠牲となった沖縄戦。県外の人には、上陸したアメリカ軍がそのまま沖縄に居座ったという誤解があります。沖縄のアメリカ軍基地の多くは、戦後に住民が土地を強制的に接収されて作られたこと。もともと本土に駐留していたアメリカ海兵隊が沖縄に移ってきた経緯を説明しました。そのような状況で作られた基地が「危険で老朽化したから新しい基地を作れ、移転先は沖縄が負担しろというのは理不尽だ」という主張です。歴史的な経緯を踏まえれば、県民感情として県内に新しい基地を作ることは容認できないことを示した形です。
これに対して、菅官房長官は政府が県南部のアメリカ軍施設の返還を進めるなど、基地負担の軽減に取り組んでいる姿勢をアピールしました。沖縄の歴史に一定の理解は示しました。ただ、辺野古への移設は、あくまで19年前、日米両政府が普天間基地の返還で合意したいわゆるSACO合意に基づくべきだと主張し、「辺野古移設が唯一の解決策」という考えを譲りませんでした。
辺野古移設に関しては、7日の協議で安倍総理大臣が、「普天間基地の危険性の除去と基地の閉鎖のためにアメリカ政府は、辺野古移設ということで具体的に動き始めている」と説明しました。さらに、沖縄の負担軽減策について「アメリカは動き始めており、安倍内閣としても全力で取り組んでいきたい」という考えを伝えました。
しかし、翁長知事は政府が進めるアメリカ軍基地の整理縮小がすべて実現しても沖縄のアメリカ軍施設の割合が下がるのは0.7%に過ぎないことから、負担軽減にはほとんどつながらないと以前から指摘し続けています。これに対する政府の答えは得られていません。
本当に必要なのは、当事者でもあるアメリカを交えて、なぜアメリカ軍の再編の中で沖縄に駐留する隊員自体が減っている海兵隊の基地を維持する必要があるのか、それは本当に沖縄である必要があるのかを含め検証することではないのでしょうか。その上で、辺野古しかないというのならまだ説得力を持つかもしれません。ただ、それを実現するには、1か月という期間では到底足りません。
さて、協議が決裂した形となった中で、普天間基地の移設問題はどうなるのでしょうか。
まずは、政府側です。協議期間終了後のきょう以降、辺野古での作業を再開する方針です。ただ、現場の海域では、沖縄県が沖縄防衛局の作業でサンゴが破砕されていないか確認作業を続けています。工事の再開は県の作業が終わるのを待ってのことになります。
一方、沖縄県側は、国の作業が再開されれば、協議期間中は見送っていた国の埋め立て申請の取り消しを判断することになります。翁長知事は、7日の協議の中で、「工事の再開をするなら、あらゆる手段で計画を阻止したい」と述べました。取り消しを決断する公算が大きいと見られています。そうなれば、埋め立て作業の法律的な根拠が失われます。政府は国が違法な作業を続けると言われる事態を避けるため、地方自治法に基づく是正指示などの対抗措置を取るでしょう。最終的には司法の場で国と県が争う事態になるのは確実です。政府と県の対立は決定的になりますが、1か月の協議は、そうした事態を避けることが目的だったのではないのでしょうか。
一方で、移設予定地に隣接するアメリカ軍キャンプシュワブ前では、工事の中断期限が迫る中で、移設に反対する人たちの抗議活動が再開されています。今月5日には、市民グループなどの呼びかけで3800人が参加して集会が開かれ、「工事の再開は許さない」と訴えました。グループの中には、法廷闘争が続く中でも、国が工事を進めることを懸念し、危機感を高める声があります。強引に工事を進めることになれば、不測の事態が起きかねないと指摘する専門家もいます。仮に基地ができても強い地元の反発の中では運用に不安も残ります。
5回にわたる協議を終えたあと、翁長知事は、「一致できないところもよくわかったし、言葉だけというのもよくわかった」と述べました。翁長知事は、今月下旬、スイスのジュネーブで開かれる国連人権理事会に出席し、基地問題で沖縄が置かれている立場を国際世論に訴える方向で調整を進めています。菅官房長官は、きのう、沖縄県側に対話を継続するための新たな協議会の設置を提案しました。両者の協議の継続は当然必要です。しかし、「協議は続けたい」と言いながら「工事は再開する」という、工事の既成事実化を前提にしたとも受け取られる対応では、沖縄の反発を増幅させるばかりだと思います。
(西川龍一 解説委員)
http://www.nhk.or.jp/kaisetsu-blog/100/227040.html
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